やはり俺の青春をR6Sに費やすのは間違っているのか 作:二代目山勘
「証券、ヒバナ入ったわ。スパ、ハッチ開けれる?」
『おけおけ、キンフィカバー頼む。』
『了解。見とく見とく。』
画面を見ながら、マウスに自然と力が入る。
チームメンバーの報告する声を耳にしながらエイムを合わせていく。
ロックしていた部屋に上から降りてきた敵に対してマウスの左ボタンをクリックする。
同時にヘッドセットから銃声が鳴り響き敵をキル。
イン、強オペレーターの一人、これは味方にとって大きなアドバンテージになる。
「イン、キルした。ニトロ投げて俺引くよ」
『ナイスカット。』
『ナイス、ミュート余ってるならこっちにくんね。』
リロードを入れながら一階に降りてキンフィことキングフィッシャーの下に向かう。
「おk、いまいく」
俺こと比企谷八幡、プレイヤーID「Owl88.gh」
が今、プレイしているのはRainbow six siege
通称R6S
ユービーアイソフトが発売した世界中の特殊部隊をテーマにしたFPSタイトルだ。
このゲームの大きな特徴は特殊部隊ならでは個性的なオペレーター、そしてオペレーター固有のガジェット。
そしてFPSタイトルならではのリスポーンと呼ばれる復活システムがないこと。
もっとも大きな特徴として壁や床が破壊可能なオブジェクトに入っていること。
これらにより緊迫感とスリルが他タイトルよりも数倍濃縮されて味わえる。
そして俺は青春をこれに使ってしまおうと考えていた。
なぜかって?
理由は簡単だ。
それ以外に時間を使うということが現在ないからである。
読書も好きだが、それよりもエイムの精度を上げることに時間を使いたくなる。
友人?友達? それ聞いてる奴の友達の定義ってどんなものか聞きたくなるわ。
適当に付けたIDが所以で仲間に入らないかと言ってきたクランに入ってしばらくたつ。
クラン「GloRy HwaKs」
全員が鳥の名前をユーザーIDに使用しているという変わり者クラン。
メインのフラッガー、スパことSpa11ow.gh
現在使用中のオペレーターはミラ
IGL(In Game Leader)を担当するモッキ―ことMoCKingbird.gh
情報系のオペレーターをメインに使い、今のマッチでもヴァルキリーを使用している。
遊撃担当、キンフィことKin6fisHeR.gh
現在バンディット使用中
サポートをメインとするシュラことShri3k.gh
現在エコーでドローン見てたらヘッショされてカメラにて情報共有中
最後に加入した俺、オウルことOwl88.gh
ミュート使用中、音声オフにしてるわけじゃないぞ。
現在プレイ中のマップは銀行、この防衛フェーズを取れば勝利だ。
こいつらがいるから俺は戦える。
本当に「友達」と呼べるのはこいつらしかいねぇ
だから
だからこそ
俺は「本当の友達」が欲しいのかもしれない。
そんなことを考えている間にも仲間たちは次々とキルしていく。
残るは一人。
俺の使う「ミュート」の手に握られたMP5Kに付けられたサイトを覗き込みながら廊下を進んでいく。
キルされたシュラ、キンフィがカメラを通して敵の位置情報を伝えていく。
他のメンバーもそれぞれの位置からエイムを固定してロックする。
見えた!
すかさずマウスを押し込む。
軽い破裂音がヘッドセットから聞こえる。
相手のラスオペはアッシュ、撃ち合いでこちらが不利になるところだった。
俺らの勝ちが確定した。
『ナイスカット!』
『つんよーーーーーーーー!』
『オウル強すぎぃぃぃぃぃ!』
「あー、心臓飛び出るかと思った。」
知らず知らずのうちに息止めてたわ。
全身の筋肉から力を抜いて、ゲーミングチェアに体重をかける。
『勝ったし、そろそろ解散するか。学生組は学校あることだし。』
時計を見ると深夜二時に針が届きそうになっている。
『了解、お疲れっす。』
『おつでーす。』
「おkです、お疲れ様っす。」
みんなが抜けていくのを片目に
ボイチャを切ろうとするとちょっといいか?と声をかけられる。
「どしました?モッキ―さん。」
『いや、普通だったら学校の話とかするんだろうけど、ほらスパとかシュラはするけどお前さんは一切しないからな。ちょっと気になったんだよ。』
「そすか。」
『今確か二年だろ。高校生としては一番いい時期なんじゃないかとも思ったんだが。』
「いや、俺学校では特に親しい人間作らないようにしてるんで。」
『それでいいのか?俺らは特にガチでやって大会とかも出れるまでやってるつもりだけど。』
「いんすよ。」
総武高校に入って早一年。特に親しい友達はいるかと言われれば「いない」としか答えることが出来ない俺。
画面の向こうにいる三歳年上の先輩は心配してくれる。
『わかった、だけどな。』
「はい?」
『自分一人で抱え込むな、助けを求めるときは求めろ。』
「あざっす。」
『とにかく、お疲れ。』
「お疲れ様です。」
あぁ、この人は本気で俺のことを心配してくれるのだな。
そう考えると、ベットに潜り込む。
明日ってか、六時間後には学校か。
一時間目担当誰だっけ。
そう考えている間にも意識が闇に吸い込まれていく。
あー、めんどくせぇ
ぷっつりと意識がそこで途絶えた。
書き終わって一言
八幡じゃねえな……。
時期的には合いませんがY3S2
を終えたぐらいにしたいと考えています