俺の暗殺教室   作:鬼如月

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第5話 刃の時間

 

朝のHRの後、一時間目が始まろうとして教室がシンと静まり返った中、分身した殺せんせーが教壇に立つ。

 

 

「「「「「「さて、始めましょうか」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

――――――......何を?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「学校の中間テストォ?」

 

この椚ヶ丘中学校へ転校して数日、E組のクラスメイトの顔も覚えてきた頃、殺せんせーからテストが迫っていることを知らされる。そういえば転校して忙しかったから気づかなかったがもうそんな時期なのか。

 

俺の言葉に殺せんせーは頷き、テスト対策の説明に入る。どうやら分身を使ってのマンツーマンで行うらしい。ご丁寧に苦手強化が書いてある鉢巻を付けやがって。

ちなみに俺の苦手強化は英語だそうだ。だって単語覚えるの面倒くさいじゃん...

 

 

 

「何で俺だけNARUTOなんだよ!!」

 

「寺坂君は特別コースです。苦手科目が複数ありますからねぇ」

 

 

...どんまい寺坂。

 

 

 

 

 

 

「―――というわけでここはso thatとtoo toの書き換えなので...」

 

殺せんせーの教え方が良いお陰で、文法あたりは大体わかるようになってきた。あとは単語を覚えるのがなぁ...等と考えていると突然先生の顔が大きく歪む。うわなにそれ、怖っ。

 

「急に暗殺しないで下さいカルマ君!!それ避けると残像が全部乱れるんです!!」

 

意外と繊細なんだなこの分身...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「さらに頑張って増えてみました。さぁ、授業開始です」」」」」」」」

 

...中間テスト前日、分身の数が昨日の数倍に増えていた。増えすぎだろ!?なんか残像も雑になってきてるし怖いわ!!

 

それでも流石は殺せんせー。分身は雑でも教え方は丁寧である。というか一人に対して三人って威圧感やべぇな...

 

 

 

 

 

「ぜぇー.....ぜぇー.....ぜぇー.....」

 

このタコ教師、ガス欠である。汗だくで団扇と扇子を扇いでいる。

 

「…流石に相当疲れたみたいだな」と前原。

 

今なら殺れるかな、と呟く中村。さすがに無理じゃないかな...

 

「なんでここまで一生懸命に先生をすんのかね〜」と岡島がぼやく。まあ解らないでもないが、あんな一生懸命『先生』というものを楽しんでいるんだ。多分生徒が大切だからとか教えるのが好きだからだとかだろ――――

  

――――「.....ヌルフフフ、全ては君たちのテストの点を上げるためです。そうすれば...

『殺せんせ〜!!おかげでいい点取れたよ‼︎もう殺せんせーの授業無しじゃいられない‼︎殺すなんて出来ないよ‼︎』

『先生‼︎私達にも勉強を教えて❤︎』 

となって殺される危険も無くなり先生には良い事づくめ」――――

 

――――そんなこと無かった。ただのクソタコだった。タコの代表格である邪神様(クトゥルフ)を見習え。

 

...ってあれ?皆黙っちゃってる。ついにタコ教師に愛想が尽きた?それともまさか実際にそんなことになるとか思っちゃった系?.......まじで?

 

「....いや、勉強の方はそれなりでいいよな」

 

「...うん、なんたって暗殺すれば賞金百億だし」

 

「「「百億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だしさ」」」

 

さすがにそんなことは無かった。でも正直百億あればいいって考えは危険だよな。一気に大金を手に入れた人なんて大体がろくな人生送ってないって統計が出てるらしいし。

 

まあ百億円は欲しいけどな!!」

 

「声に出てるよあーちゃん...」

 

陽菜乃に白い目で見られた。どうやら声に出ていたらしい。と、それはともかくと先生の方へ目を向けると先生の声色が明らかに変わっていた。何かが先生の機嫌を損ねたらしい...?

 

近くにいたカルマに尋ねると皆は諦めているんだ、との返答がきた。諦めている?何を?なんとなく先生の方にいるやつらが暗い顔をしているような気がする。

 

「――――なるほど、よくわかりました。今の君達には...『暗殺者』の資格がありませんねぇ」

 

殺せんせーの顔に ×印が浮き出る。

 

「全員校庭へ出なさい。烏間先生とイリーナ先生も呼んで下さい」

 

召集をかけられて、俺達は校庭へ集合する。

校庭に着くと、先生は校庭にあるゴールを退かしていた。何をするつもりだのだろうか。そう思っていると先生が口を開く。

 

「イリーナ先生。プロの殺し屋として伺いますが、あなたはいつも仕事をする時...用意するプランは一つですか?」

 

聞かれたイリーナ先生は少し戸惑いながらも答える。

 

「...いいえ。本命のプランなんて思った通り行く事の方が少ないわ。不測の事態ぶ備えて...予備のプランをより綿密に作っておくのが暗殺の基本よ」

 

その答えに満足したのか、殺せんせーはイリーナ先生から視線を外し、烏間先生に質問を投げる。

 

「では次に烏間先生。ナイフ術を生徒に教える時...重要なのは第一撃だけですか?」

 

「.......第一撃は勿論最重要だが、次の動きも大切だ。強敵相手では第一撃は高確率でかわされる。その後の第二撃、第三撃を...いかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける」

 

「結局、何が言いたいん...

「先生方のおっしゃるように、自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。対して君たちはどうでしょう?『俺らには暗殺があるからそれでいいや』...と考えて勉強の目標を低くしている。

―――それは劣等感の原因から目を背けているだけです」

 

殺せんせーが凄まじい速さで回転していく。

 

「もし先生がこの教室から逃げ去ったら?もし他の殺し屋が先に先生を殺したら?暗殺というよりどころを失った君達には、E組の劣等感しか残らない。...そんな危うい君達に、先生からの警告(アドバイス)です」

 

回転の勢いが増していき、次第に風を巻き起こしていく。バカな。そんなアホみたいな....

 

「第二の刃を持たざる者は...暗殺者を名乗る資格なし!!」

 

風は次第に大きくなり巨大な竜巻へと変わっていく。大きく砂埃が舞い上がり、前が見えなくなる。おもわず目を瞑り、手で顔を覆う。

 

 

殺せんせーが回転を止めた時、学校の校庭は、綺麗さっぱり平らになっていた。

 

 

 

「...校庭に雑草や凸凹が多かったのでね。少し手入れをしておきました。先生は地球を消せる超生物、この一帯を平らにするなど容易いことです。 

―――もしも君たちが自信を持てる第二の刃を示さなければ、相手に価する暗殺者はこの教室にはいないと見なし、校舎ごと平らにして先生は去ります」

 

...その宣告に俺ら生徒だけでなく、烏間先生やイリーナ先生も固唾を飲んで先生を見る。

 

「第二の刃...いつまでに?」

 

潮田が尋ねる。

 

「決まっています。明日です。明日の中間テスト、クラス全員五十位以内を取りなさい」

 

愕然とする。五十位!?俺とかカルマ以外の皆は成績が悪くてE組(ここ)に落とされたんだろ!?大丈夫なのか?

 

「君達の第二の刃は先生が既に育てています。仕事(ミッション)を成功させ、恥じることなく笑顔で胸を張るのです。自分達が暗殺者(アサシン)であり、E組であることに!!」

 

そう触手を広げて締めくくる。大丈夫かなぁ...?

 

 

 

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