オーバーロード 死者の王は地母神と共に   作:葉瀬ミナミ

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オーバーロードが書きたくて…。よろしくお願いします。
色々と編集しました。


終わりの始まり

YGGDRASIL (ユグドラシル)。12年前に発売されてたそのゲームは、その自由度の広さから爆発的な人気を誇ってた。しかし、今は過疎が進みプレイヤーは減る一方。そんなかある一報が現在のプレイヤー達に届いた。

 

『3ヶ月後にYGGDRASIL のサービスを終了させていただいます。長くに渡りプレイして頂きありがとうございました。』

それはプレイヤーである私、花宮桜。アカウント名、木花咲耶姫にも届いた。私は悪名高き異業種ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの42人の1人であり、何年か前からログインの回数は減ったもののいまだに現役であった。

種族は地母神(ネルトゥス)。髪の部分は腰の辺りまであるストレートで色は若葉の様な緑。眼は常に微笑んであるような、所謂糸目。頭の上には左右色違いの大きな花飾りが付けてある。肌は一見すると褐色に見えるがよく見るとその全てが木で出来ている。強力なバフとデバフを使った支援や妨害が得意な種族で、YGGDRASIL ではよくぶくぶく茶釜さんとコンビを組んでいた為、他のプレイヤーからは

「盾役が硬すぎて無理ゲー」

「後ろの妨害が鬼畜過ぎる」

等言われていた。

そしてギルド長、モモンガが今もギルドをナザリック地下大墳墓を維持(守っている)している事を知っていた。だからこそ、

「モモンガさんに何かお礼したいなぁ。」

と考えた。そこで、モモンガさん以外のメンバにメールを送った。

 

『モモンガさんが今もギルドの管理をしてくれている。サービス終了に合わせてパーティーをやりたいから手伝って』

このメールを見たメンバーはある者は罪悪感から、ある者は悪戯心から、ある者は純粋にモモンガさんを労う為になんとか時間を作り、ログインしては話し合った。

ただでさえ、アクが強いメンバーがお互いの意見を曲げず何度か大喧嘩に発展しそうにはなったが、そこは木花咲耶姫が個人的にオハナシをつけ以下のことが決まった。

 

・パーティー会場は玉座の間を改造。ただし、主催者である木花咲耶姫がある合言葉を言うと姿を現わす。

・モモンガさんに対しての1人1人メッセージを録音、編集してプレゼントにする。

・モモンガさんだけじゃなくて自身が作ったNPC達にも何かプレゼントを用意する。

 

なんとか決まったそれを、お互いの得意分野を生かして準備をする。勿論、モモンガさんには内緒で。

そしてサービス終了まで後1週間を切った時、ほぼ全ての準備が終わった。るし★ふぁーさんには困ったけどね…。改造するからって宝物庫にあるアイテム勝手に使おうとするし。止めるの大変だった。後は、モモンガさん用のプレゼントに必要なアイテムを採取するだけ。他のメンバーはログイン出来る時間がほとんどなくなったようで私にNPC達の用のプレゼントを託し、みんな

「モモンガさんによろしく」

と言ってログアウトしていった。それから、アイテムを探す為にフィールドに出るが全然見つからない。時間もない中気持ちばかり焦る。そんなに難易度が高いアイテムじゃなかったのに。

 

そして、サービス終了の日。終了2時間前に見つかったお目当ての物は透明でクリスタルで出来た様な花弁を持つ花。名前を勿忘草(ミオソティス)。これに録音したメッセージを入れるとと永久保存出来る。今までクズアイテムと呼ばれてきたこれが探し求めていた物だった。

急いでナザリック地下大墳墓に戻ろうとするが、周りの気配に気づき足が止まる。辺りを見回し

「そこにいるのは誰‼︎」

と大声をだす。すると、木々の間から他のプレイヤーがざっと20人くらいだろかどう見ても穏やかな様子ではない。各々の手に武器を持ちこちらの隙を伺っている。よく見れば、そのプレイヤー達の多くは異種族狩りをしていたプレイヤーだった。

「アインズ・ウール・ゴウンの木花咲耶姫だな。最終日で悪いが今までの借りを返させてもらう」

と言うがニヤニヤしているため、全然悪いと思っていない事は明白。時間がない中での空気が読めないPV。無言でアイテムボックスから取り出した1本の杖を強く握りしめる。ため息と共に出た怒りは笑い声と共に吐き出される。

「フフフ。そんなにもお仕置きされたいのですね、あなた達は。いいですよ。取り敢えず、その腐ってる根性叩き直してあげますから」

その言葉で、一気にヘイトを買うが気にしない。寧ろ、笑顔のアイコンを連発してさらに周りを挑発する。

 

そして、1対20人以上のPVが始まった。

 

 

周りには誰もいなくただ1人、木花咲耶姫が立っていた。1対多数のPVは勝った。しかし、戦闘の後が激しくHPもMPもほとんど残っていない。転移するにも回復ポーションは残っておらず、ここがナザリック地下大墳墓の近い場所だとだけはわかるが、終了まで後5分。もう、絶対に間に合わないと苦笑いを浮かべるしかない。ただ、謝りたくて、スキルのメッセージを発動する。

 

 

 

 

 

———————————————————————————

 

 

モモンガside

 

「—————ふざけるな‼︎」

 

サービス終了まで後2時間。古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)のヘロヘロがログアウトした後、怒号と共にテーブルを叩きつけたのは金と紫で縁取られた、漆黒のアカデミックガウンを羽織っている、皮膚も肉も付いていない骸骨。種族、死の支配者(オーバーロード)。ギルド、アインズ・ウール・ゴウンのギルド長、モモンガだった。

 

「ここは皆で作り上げたナザリック地下大墳墓だろ‼︎どうして皆そんな簡単に棄てられる事が出来る‼︎」

 

激しい怒りの後に込み上げてきたのは寂寥感。わかってはいたのだ。

皆、離れたくて離れたわけじゃない。それぞれの事情がある、仕方がないんだと自分に言い聞かせる。

ふと、円卓に置かれていたギルド武器、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを見る。過去の事ではあるが確かに輝いていた時代があった。その輝いていた記憶を宿す物。

 

「こんな、格好じゃ情けないよな」

 

モモンガはギルド長に相応しい武装をする。そして、スタッフ・オブアインズ・ウール・ゴウンを持ち

 

「行こうか、ギルドの証よ。いや———我がギルドの証よ」

 

円卓の間を後にした。

 

モモンガは最後を迎えるべくある場所に向かっていた。その道すがら、仲間達が作り上げたNPCのメイドであるプレアデス、家令の仕事も任されている執事の設定を持つセバスを見かけ最後だからと引き連れて向かっていた。

着いた先はナザリック地下大墳墓最奥にして最重要箇所、玉座の間。ナザリック地下大墳墓の中でも1、2を争うほど作り込まれたこの場所こそ最後を迎えるに相応しいとモモンガは考え、扉を開ける。中に入ると思わず立ち止まり感嘆のため息をついたが、モモンガは再び歩み始める。そして、視線の先を玉座の横に立つあるNPCに向けた。

それは純白のドレスを纏い、腰まで流れる様な黒髪を持ち左右に山羊の角と腰あたりから黒く染まった天使の翼を生やした異形の女性NPC。彼女こそナザリック地下大墳墓階層守護者統括、アルベド。今まであまり遭遇しなかった為、どんな設定だったかと閲覧する。すると、目の前に顔が引き攣るほどの文字が現れる。

 

「そういえば、アルベドの製作者はタブラさんだったか…。あの人設定魔だったからなぁ」

 

と思い、長文を飛ばし最後に書かれて文書を読む。

 

〈モモンガを愛している〉

「えっ、なにこれ?」

 

目が点になる。何度も読んでも同じ文章が書かれたまま。恥ずかしさやらなんやらで頭を抱え、最後だしと設定を変えようと指を伸ばすが

 

『モモンガさん、すいません。今、大丈夫だ ですか?』

『おわっ、え、木花咲耶姫さん来てたんですか?』

『すいません。本当ならそっちで会う予定だったんですけど、用事があってフィールドに出たら多数からPVに会いまして…』

『えっ、だ大丈夫だったんですか!』

23:55:48

『なんとか勝てました(笑)ただ、HPもMPもほとんどなくてそっちに行けそうにないんですよ』

『はー、そう言う時は早めにメッセージ送ってくださいよ。そしたら、助太刀に行けたのに…』

23:57

『いやー、ほんと申し訳ない。みんなで色々準備してたんですけどね』

『えっ、なにそれ。俺聞いてないんですけど‼︎』

『秘密にしてましたからね。後でちゃんと教えますよ』

23:59:35

『ちゃんと、教えてくださいよ?でも、最後に話せて良かったです』

『私もです。モモンガさん今までありがとうございました』

23:59:58

 

残された時間もない。離れた場所にいながらお互い目を閉じる。このまま、ブラックアウトすると信じて…

0:00:1、2、3…

『『…ん?』』

 

これが新たなる始まりだった。




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