その日私は悪に変わった。   作:水戸 遥

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呪文みたいなコーヒー

……は?

何を言ってるんだコイツは。

いきなり俺を助けたと思いきや拳銃をぶっ放すし、刀は振り回してくる。

あらには隣の席に座るし、こうして家に押しかけてきている。

「ほらさっさと飲み物ぐらい出しなさい!コーヒー!エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ!!砂糖はカンナ!一分以内よ!」

コーヒーとエスプレッソしかわからなかったが、品種名かなんかか?さすがにそんなブランド名がつくようなものは、あいにく俺は持っていない。

……一人心当たりがある。あいつに電話かけてみるか。

「ちょっと待てアリア。ちょっと電話してきていいか?」

「何よ。変なことするんじゃないでしょうね?」

「その呪文みてぇなコーヒーについてわかるやつ呼ぶだけだ」

「あっそう」

そして俺は、一応アリアの知らないやつかもしれないということを前提に、ベランダへ行って電話にあるとある貴族様に連絡を入れるのだった。

 

******

 

 

「もしもし」

「すまんエル。今大丈夫か?」

「大丈夫ですが、どうしました?」

「今、アリアが部屋に来てるんだが、呪文みてぇな名前のコーヒーを頼まれてな。それを持ってきてほしいんだが」

「わかりました。すぐに行きますね。それでは」

「あぁ、よろしく頼む」

……あれ、俺コーヒーとしか伝えてないが、大丈夫なのか?

 

ガラガラッ

「馬鹿キンジ。電話終わったのなら、早く戻ってきなさいよ!」

「あ、あぁ……」

「それで>?その子は持ってきてくれるの?」

「すぐに来るそうだ」

「ふーん」

 

******

 

ピン、ポーン……

「来たのかしら?」

「かもな。この部屋に来る奴はほとんどいないし。それにしても早すぎるとは思うが」

とりあえず俺はその来客を受け入れに、玄関へと向かった。

「お疲れ様ですキンジさん。頼まれていたものをお届けに参りました。部屋へ上がっても?」

「あぁ、大丈夫だ。すまんな」

「いえいえ、お安い御用ですよ」

そんな他愛もない会話をしながら、居間につくとアリアは俺の連れてきた来客を見て……なぜか怯えている。というか俺の横から、ものすごい威圧感を感じる。

「やっぱりアリアだったんだね?ご注文の品お届けに参りましたよ?」

「ア、アリガトウゴザイマス……」

「す、すまん。二人はどういう関係だ?」

「私とそこの怯えている。キンジさん風に言うのならピンク頭は私の異母妹です」

……ふむつまり。

「アリアも貴族なのか?」

「そうですね。一応貴族ということになるのでしょうか。まぁ、私は貴族の品位がないこの子は……」

「エル様、どうかご勘弁を」

「もちろん冗談よアリア。けどその様子を見るにまたあなたは人様に迷惑をかけているようですねぇ?」

「ごめんなさい」

「おい、その会話のテンポでお前らが姉妹なのはわかったが、喧嘩だけはしないでくれよ?」

「大丈夫ですよキンジさん。この子は私に勝てることは一生ないですから。」

「そ、そうか……」

 

 

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