結衣「珍しく遥がやる気を出しているわ」
入試とはなんてめんどくさいものだろう。
私は今、とある校門前に来ている。
何故こんな所に来てしまったのだろうか。ものすごく後悔してる。
「はぁ、とりあえず案内板の所まで行きますか。場所わかんないし」
誰も聞いてないのを分かりながらも私はそう独り言を言いつつ、案内板へ歩き出す。
案内板の前にはまだ少し時間も早いせいか、人数もそんなに居なくそこに来た人も直ぐにどこかへ去っていく。
「えーっと、
「ねぇそこの貴方、受験生かしら?」
誰かが私に話しかけてきた。
「はい、そうですけど……」
「私は東京武偵校1年、まぁあなた達が入ってきたら2年になる那須瞳よ。狙撃科を探してるんでしょう?案内するわ」
「ありがとうございます」
どうやら話しかけてきたのは先輩になるかもしれない人のようだ。狙撃科まで案内してくれるみたいだし、ここは大人しく着いていこう。
「そういえば先輩って、狙撃科なんですか?」
「えぇ、そうよ。1つ教えると那須与一の子孫に当たるわね」
「へー……えぇ?!先輩って那須家の子孫なんですか?!」
そこまでびっくりすることじゃないと思うのだけど……と言いたそうな顔をしてる先輩。そんな表情が面白くなってしまって、先輩をからかいつつ歩いていると。
「着いたわ。ここよ」
「以外に大きいんですね〜」
「そうね。私も入ってきた頃はびっくりした覚えがあるわ」
「先輩。ありがとうございました」
「私は何もしてないわ。それじゃ、私は戻るわね」
「はい!本当にありがとうございます。」
そして私達は握手をして、それぞれ別の方向へと歩き出した。
*****
試験会場の一つである狙撃科。その一室に私は座っている。
もうすぐ試験開始の時間になるから担当の教師も来るはず……お、はいってきた。
「全員席に着いてるな。私は狙撃科の担当をしている南郷だ。早速だが、君らにはまず狙撃を行ってもらう。その後にここに戻ってきてペーパーテストを行う。では行くぞ」
先生は自己紹介ごは必要なことしか言わず、質問も受けつけない。と雰囲気で語っていた。
あ、私も行かなきゃ。
そして狙撃試験の会場へ行くと、奥行が3キロはありそうな、とても長いシューティングレンジがあった。
「それでは今から実技試験を始める。事前に受験番号で組み分けをしているから、それに則りレーンに並べ」
そう南郷先生はそれだけ言うと、試験監督用だろうスペースに行った。
それじゃあ私も組み分け見ますか。
「良かった。あの子とは別の組になってる。あの子はだいぶ後にやるみたいね」
私が口にしたあの子とは、私の妹の事だ。もう何年も会ってないから成長が気にな……やっぱやめやめ。今の考えは要らない。だってあの子は……
「次、三組目、レーンに入れ」
私の番が来たようだ。素直にレーンに入り、指示の通りに私は狙撃準備体勢へと入る。
使うのは私の愛銃であるZastava M76。私はナムちゃんと読んでいる。
そして展開が終わり、しばらく待っていると。
「狙撃初め!」
南郷先生の初めての大声が聞こえてきた。イヤーマフを付けてるから、聞こえるように配慮しているのだろう。
私は、合図と同時に正確に的の中心部を撃ち抜く。
的は1発弾を受ける事に、距離が伸びていく仕様のようだ。
私がやってるのはピンホールショットだが、それでも問題はないようで、着々と距離が遠のいていく。
先生は私の狙撃を見て、少し驚いてるようだ。それもそのはず、私は今2500mまで的の距離がある。
よし、あと500ならそこまで行ける。
そう思い、私はその通りに的の距離を稼いで行った。
私が最長距離の3000mまで撃つと、先生が近づいてきた。
「お前はペーパーを受けるまでもない。Sランクに認定だ。」
「あの、先生?ペーパー受けるまでもないって、どうしてですか?」
「お前のその腕を見てたら分かる。ピンホールショットなど知識が十分に無いとできない芸当だ。それに3キロの距離まで出したんだ。ペーパーを受ける必要が無い。ペーパーのことは私が教務科に報告しておくから今日はもう帰って、休むと良い」
「分かりました。それじゃあお疲れ様でした」
そう言って帰路に着こうとするとこちらを見ている影が……妹だ。無視して帰ろっと。
そして後日送られてきた東京武偵校からの封筒の中には、『合格』と『Sランク』の文字が書かれていた。
やっべ……1750って、そんなに書いてたの私は……
いつもなら1000をやっと越すぐらいなのに。
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