二話目の投稿です。
題名の通り再会します。
「何で生きているんだ?何を企んでいる」
周りの祭りの活気の中、この3人の場の空気だけが凍りついた。
先に口を開いたのはスティであった。
「ヘレストナ…?」
「スティ、そいつから離れなさい。」
「へ…?」
「離れなさいといっているでしょう!」
状況についていけず動けないスティに魔法の勇者が一喝する。
スティはビクッと身を竦ませ両目にみるみる涙をためた。
周りの人々はこの状況に気づき、いつの間にか囲むように野次馬が群がっていた。
もちろん他の勇者も。
「カグヤ、どうした?こんな切羽詰まった大声出して。まさか魔王が復活したわけじゃぁないしな。」
と片方の男、剣の勇者が軽口をたたく。
魔法の勇者、カグヤは彼を睨み付け、ヘレストナを指差してただひと言
「魔王ヘレストナだ」
途端、残る2人の勇者は剣、拳を構えた。
「リツ様、ナオヤ様、カグヤ様どうなされたのですか?」
野次馬の中の1人が慌てて聞く。
「魔王だ。何故生きているのかは知らないが、何か企んでいるのだろう。」
「…違う、私は…」
「違う?なにがだ。オレらに気づかれないように魔力隠して、外見変えて…復讐でも考えてオレらに近づこうとしていたんだろう。」
「さすがは魔王、狡猾だな。」
誰もヘレストナの話を聞こうとしない。
確かに魔力を抑えてはいるのだが、魔王としての魔力は全て失っているのだ。
残ったのは魔王になる以前の魔力だけ。
今のヘレストナはただの魔人だ。
復讐は一切考えてなどいなかった。
ただ、彼らに近づこうとしていたのは事実ではあった。
ある重要事項を伝える為に。
「話を聞きなさい。」
焦る気持ちを抑え、魔王の時のようなあの時の冷徹な声を出す。
こうすれば聞いてくれると信じて。
「誰がおまえなんかを…」
「聞きなさいといっている。」
その声は決して大きくなどない。
しかし、この場にいる全ての人々の耳に届いた。
「私は忠告をしに来ただけ。これから言うことは1度しか言わないから聞きなさい。」
勇者たちは魔王と対峙したときのような強大な魔力は感じていなかった。にもかかわらず、誰もが動くことができなかった。
長いようで短い緊迫したなか、1人の人間が魔王の前に出てきた。
「ひどいこと、しないで。ヘレストナはわたしのともだちなの」
スティはヘレストナの前に立ち、両手を広げた。
ヘレストナを守るように。
その事には誰もが驚いた。
魔王の味方をする、ということは3勇者を敵に回すということに等しい。
ヘレストナは思わぬ味方に驚き、動揺した。
「す、スティ私から離れなさい。」
「いや」
「スティ」
「ぜったいにいや。」
ヘレストナの言うこともましてや勇者の言うことも頑として聞かず、ヘレストナから少しも離れることはしなかった。
勇者をはじめとする人々だけでなく、ヘレストナまでもが動揺する。
「…今の話を聞いていたでしょう。私は魔王。だから守る必要なんて…無い。知っているでしょ、魔王がどんなことをしていたのか。」
スティは少し怒ったように振り向く。
「まおうがしたことはしってる。でもいまはヘレストナはわたしのともだち。みすてられないよ。」
「ヘレストナが魔王とわかっていて言っているのか!?」
スティはカグヤの言うことに自信満々に頷く。
「うん!だってヘレストナやさしいもん!」
誰もがスティの言ったことに疑問を持った。
ヘレストナはスティに優しくした覚えは一切なかった。
なのに、スティは優しいといった。
「優しくなんてない」
「でも、ヘレストナは…」
スティがいいかけた時、
「ヘレストナ様ご無事ですか!?」
「あなた…?!」
声のした方を振り向くと、野次馬の中から出てきた黒色のローブを羽織り、フードを深く被った若い男がいた。
「嗚呼、ヘレストナ様ご無事で何より」
男はフードを脱ぎ、顔を露にした。
「誰だ!」
「おお、申し遅れました。わたくしはヘレストナ様の幹部であるテルクナロク、と申します。」
一瞬の静寂、そしてその一瞬後ざわざわと騒々しくなる。
無理もない。
魔王だけでなく、その魔王に次ぐ実力を持つ幹部までもがこの村に現れたのだから。
「テルクナロク。私はもう魔王ではない。だから10年前の契約は無効だ。」
「ええ、わかっております。しかし、わたくしは貴女についていく事を10年前のあの日に決めていました。契約が無効になっていたとしても今までと気持ちは変わりません。」
テルクナロクはヘレストナの前に跪いた。
「私は魔王でない上にあの勇者よりも弱い存在となった。それでもついていくのか?」
「ええ、勿論。」
ヘレストナの問いにテルクナロクは間を空けず瞬時に答える。
その答えにヘレストナはホッとしたようにほんの少し微笑む。
「そうか…」
「ところで、ヘレストナ様。どうするのですか?」
「なにがだ?」
「世界征服のことです。」
この場の空気が張り詰める。
ヘレストナはため息をついて周りを見回す。
勇者が構えるのは勿論、村人の男たちは鍬や斧等を持ち出したり、女子供はいつの間にか家の中に隠れている。
スティの方は両親に抱えられ家の中へと連れていかれているのが見えた。
「はぁ、私はもう世界征服など考えてなどはいない。」
「では、何故このような所に居られるのですか?」
「…これから話す事は全魔人を敵に回すことになるかもしれない。それを知ってでも聞くか?」
この問いにも素早く答える。
「ええ、勿論。わたくしは何処までも貴女に付いていきます。」
「ならば良い。…勇者共、お前らも少しこちらへ来い。重要な話だ。」
「…」
警戒している勇者たちを近くに呼ぶ。
「私が魔王となったすぐに世界を征服しようとしていたことは知っているな。」
「ああ」
「ならば、私が魔王となったすぐ後に動き始めた1人の人物は?」
「そういえばいましたね。アルディス…でしたね。ヘレストナ様の側近となった。」
テルクナロクはムスッとして答えた。
「そうだ。アルディスは霊媒術の使い手で、私の…育ての親だ。」
「なんですと!?それは初耳です。」
「…で、そのアルディスとやらがどうしたんだ?」
「…それは」
剣の勇者リツの問いにヘレストナが答える前に誰かが答えた。
「私がどうかしたのかい?」
ヘレストナが振り向くとそこには長い銀髪をなびかせた美しい顔立ちの人物がいた。
声と体つきからして男のようだ。
「…!私を追ってきたのか!」
「そうだよ。『娘』の安否が心配でね。」
「アルディス…!貴女に私の事を娘と呼ぶ資格など無い!…黒炎《ヘルブレイズ》!」
ヘレストナはアルディスに強い憎しみを込めて魔法を放った。
しかし、その魔法はアルディスが腕を一振すると、四散してしまった。
「かわいそうに…こんなに力を失ってしまって…でも大丈夫。また力を授けてあげるから。」
「そんなものもう、要らない!」
「授けるってまさか…ヘレストナお前、あの力は霊の力だったのか!?」
声を荒げた格闘の勇者ナオヤだけでなく、他の勇者や人間たち、そしてテルクナロクさえも声がでなかった。
当のヘレストナとアルディス以外、誰も魔王ヘレストナの強さは霊によるものだとは思ってなどいなかったのだから。
「私への弾劾は後でいくらでも受ける。だから、今はアルディスを倒す事に協力してくれ!」
大体このくらいのを2~3週間くらいで以後、進めていきたいと思っています。