待って下さった方々、ごめんなさい、そして、ありがとうございます(^.^)(-.-)(__)
「ヘレストナはやさしいから。だって、わたしみんなのこころがかかるんだから!」
「この子、まさか能力が発現したのか!?」
人間には魔法以外に1人ひとつ能力を持っている。
何故人間が魔法というものを持ちながらそんなものを持っているのか…
人間は他種族と違い、力や魔法に知恵、技術を持っている。しかし、他種族と比べてそれぞれが劣る。
そのため、力を持たない人間を哀れんで神が授けたという説があるのだが、真相は誰も知らない。
「わたし、わかる。ヘレストナはせかいを、わたしたちをきずつけようってかんがえてない。」
「だが…」
「…どうやらこの魔王の言うことは本当だったみたいだな」
ようやく勇者たちは武器を収める。
但し警戒は解かないままで。
「スティの能力に命拾いしたな」
「…ああ、本当に」
ヘレストナもホッとする。
「…にしてもスティ、いつ能力が発現したの?」
「?」
スティはカグヤ意味がよくわからないという風に首を傾げる。
「つまり、人の心がわかるようになったのはいつなの?そのとき、何をしていた?」
「えーとね、ヘレストナにあったときから」
「魔王と?なんで?」
「ヘレストナ、さびしそうだった。こわがってた。わたし、たすけたいっておもったの。」
能力は発現するのにいくつか条件がある。
1つ目は突発的に何かを強く、今までに無かったほど強く思ったとき。
2つ目は長い間、何かを曲げることなく思い続けているとき。
3つ目は能力を発現させるための儀式をしたとき。
スティの場合は1つ目だろう。
「いままではじぶんをまもるだけだった。だれかのこころなんてかんがえたこと、なかった。」
「ヘレストナを見つけて気持ちを知って助けたい、そう思ったのか?」
ナオヤの言葉にスティは首肯く。
「…どうする?」
「あの子がああいうなら…」
「でもアイツだぞ」
勇者たちがこそこそと話し始めた。
内容はよく聞き取れないが、恐らく ヘレストナの処分について話し合っているのだろう。
そして数分後、
「ヘレストナ、お前の処分が決まった。」
「お前の要求通り村にいていいが、条件がある。」
条件というのはこのようなものだった。
1、人間に手を出さないこと。
2、必ずどんなときでも勇者と行動すること。
3、村の復興のために人に協力すること。
「これが呑めるのなら…」
「わかった」
「ずいぶんと即答だな…」
「和解するというのは本気だからな」
ヘレストナはテルクナロクの喉に手を当てる。
すると一瞬黒く光り、その光は徐々に消えていった。
「声、出せるか?」
「は、はい、出せます。…ヘレストナ様、今のは…?」
「……」
誰もが驚く。
無理もない。
何故なら、魔族というのは主に攻撃に特化した魔法や呪い等しか扱わない、いや、扱えない筈なのだ。
ヘレストナの魔法は呪いの解除という呪いを掛けた本人又は神官にしかできない筈のものだったのだ。
テルクナロクの疑問には答えなかった。
「テルクナロク、お前は先程の条件を呑めるか?」
テルクナロクも何かを感じたのかそれ以上の追及はせず、はい、とだけ答える。
「…ということだ」
「勇者様!本当に魔王や魔人を人の村に住まわすのですか!?」
「…スティは、我が娘は嘘を吐かない。誰でも知っているはず。だから、私たちはスティを信じるしかない」
村人の内の1人が叫ぶ。それをきっかけに非難を浴びせる。しかし、答えたのは勇者ではない、別の人であった。
「し、しかし村長…」
「スティは嘘なんて吐かないよね。」
「わたしはうそつかない!」
「わかってる」
カグヤの言葉に強く肯定するスティ。
村長は微笑んでスティの頭に手をポンと乗せる。
「私は魔王を全て信用している訳ではない。しかし、全てを信用していない訳でもない。魔王の言葉が本当ならば、魔人が私たち人間を襲うことが無くなるかもしれん。私はスティを信じてこの賭けに乗る」
村長の言葉に非難していた者は全員黙りこむ。
その言葉を聞き、それを見たスティは笑顔を弾けさせた。
こうしてヘレストナとテルクナロクがこの村にいることが決定したのだ。
村の中、まだ辺りが暗く、誰もが眠りから覚めていない中、2つの影が動く。
「おはようございます、ヘレストナ様」
「ああ、おはよう、テルクナロク。」
ヘレストナ達は村で一夜を過ごした。
村は半壊してしまったため立て直した家はまだ少なく野宿となってしまったが、それでもヘレストナにとっては嬉しいことであった。
ヘレストナの人と魔人の共存という願いが今小さくも一歩スタートラインから踏み出されたのだから。
「ようやくスタートだな」
ヘレストナがテルクナロクにも聞き取れないほどの小さくそう呟く。
すると、ここから崩されてもはや原型を留めていない小さくなった魔王城から日が昇る。
人々を苦しめ続けた魔王はこの世界にはもう、存在しない。
今、この瞬間から元・魔王となった魔人の少女ヘレストナの人間との生活、ヒューマンライフが始まる。
ようやくスタートです。