今月中とは言いつつもここまでギリギリになるとは…
猛省です…
それでは久しぶりのまおヒュー
どうぞっ( ゚∀゚)つ
「ヘレストナ、こっちきて」
「なんだ、スティ?」
早くも魔王が倒されてから7日、魔王がやって来てから6日が経った村。ヘレストナはスティにある場所へ連れられていた。
村の端に連れてこられたヘレストナはポツンと建てられた小さな小屋があることに気づいた。
「スティ…この建物は…」
「ヘレストナとテルクナロクのおうち。ゆうしゃさまたちにつくってもらったの」
「わたくしも不本意ながら勇者と共にお造りしておりました」
テルクナロクが自分のことも忘れるなとばかりにスティに申し立てをする。
「うん!テルクナロクもがんばったよ」
「そうか。テルクナロク、ご苦労だったな。ありがとう」
ヘレストナから労いの言葉を貰うと嬉しそうに頭を下げ…ようとして丸太を持ったままだったことに気付きわざわざ慌てて下ろして頭を下げた。
ヘレストナ本人から主従関係を解消したと言ってもテルクナロクにとってはこの態度は絶対らしく、最早ヘレストナは何も言わなかった。
「おいテル!早く来い!」
「俺はテルではない、テルクナロクだ!何度も言っているだろう!」
「うっせ、長いし言いづらいからテルでいいじゃないか?」
「この…」
何やら不穏な空気(テルクナロクのみ)が醸し出されるなか、思わぬ方向から賛同の声が上がる。
「いいではないか」
「…ヘレストナ様がおっしゃるなら──」
「私もその…テルクナロクという名は少々言いづらいと前々から思っていてな」
ヘレストナが賛同したと言うことで渋々了承しようとしたとき、そう付け足した。
それを聞いたテルクナロクは固まり手から滑り落ちた丸太が足を下敷きにする。
突然のことに驚きを露にするヘレストナ。
「お、おい!テルクナロク!?」
彼は頑丈なので丸太によるダメージはさほど心配はしていないが、こうなるほどにショックを受けるテルクナロクを見て流石に何かあったのではないかと思ってしまう。
そして本人はと言うと、
「……」
元とは言え主に名を言いずらいと言われたことに精神的なショックを受けて、未だに固まっていた。
「うわっ、ナチュラルに抉った」
「魔王って案外、天然…?」
それを一部始終見ていた勇者二人。
カグラとリツだ。
「理由、教えるべき…?」
「……どうだろう?」
二人はテルクナロクを憐れと思いながらも結局特に口出しすることもなく傍観に徹した。
「早く来いと言ったろうがっ!」
しかしそこへ空気を読まない勇者一人。
ナオヤは白くなったままのテルクナロクの襟元をひっ掴むとズルズルと引きずっていった。
それを止めることもできずただそんな二人を見送ることしか出来なかったヘレストナ。
暫く呆然と佇んでいた。
「…え?何で?」
そう呟かれたその言葉に答えるものはいなかった。
その日の夜、ヘレストナはスティから何かを差し出された。
「ヘレストナヘレストナ、これ」
「うん?何だこれは」
スティの小さな手の中にあったのは苗木だった。
スティの言葉足らずの説明によると、この村には新しく建った家の側に苗木を植え、家の守り木として育てるという風習があるらしい。
少し前、村の中で建て直した家の側に皆が何かを植えていたことを思い出したヘレストナは納得し、そして不安げに顔を歪める。
「育てる…私なんかにできるのか?」
「できるよ。おおきくなあれってまいにちおみずをあげるの」
花すら育てた事の無かったヘレストナ。
育てる、と聞いてどんなことをするのかと不安に思ったが、案外簡単であると拍子抜けした。
スティからおずおずと苗を受けとると千切らないように、傷つけないようにじっくりと見たり葉をツンツンと突っついてみたりしていた。
そしてふと何かを思い出したヘレストナは聞く。
「この苗木とやらは何処にあったんだ?この辺りの木や花は枯らしてしまっていた気がするのだが…」
そう、この村は魔王城から一番近い場所。
魔王の邪気を顕著に受け、殆どの植物を枯らしてしまったことをヘレストナ自身は自覚していた。
なのに何処にこんな苗木が幾つもあったのか。
「種があったらしいぞ」
いつの間にやって来ていたナオヤとテルクナロクそしてスティを迎えに来たらしいカグヤ。
どうやら今日の仕事は終わったようだ。
何故だかテルクナロクは不機嫌そうだ。
「テルクナロク、どうしたんだ?」
「!!」
するとテルクナロクはパッと不機嫌そうな顔を消し、嬉しそうに答える。
「いえ!何でもありません!」
「?ならいいが…」
原因は分からずじまいだったが彼の機嫌がよくなったのでまあ気にしなくていいだろう、そう思ったヘレストナだった。
「ゴホン!…俺の話、聞いてるか…?」
わざとらしく咳払いをしてヘレストナたちの注目を集めるナオヤ。
「ああ、聞いてるぞ。で、種があったんだって?」
「ああそうだ。どうやら長い間保管されていた種があったらしいんだ。それを少し前から苗木まで育てていたらしいぞ。それから何故種があったのかはかはオレに聞くな。オレだって知らないんだからな」
ヘレストナが聞こうとするかもしれないと思ったのか先回りをして言う。
そしてそれ以上は質問不要と踵を返し広場へ戻っていった。
それを見てやれやれと言いつつスティの手を握りカグヤも去っていった。
先程彼は理由を聞くなと言っていたが、ヘレストナは別に何故かを聞こうなどとは思っていない上に何となくは理由は察していた。
(…恐らく誰かが予想していたのだろう。この村の植物が枯れ、また植えるために…)
実はヘレストナ、村をスティと回っている間にこんなことを耳にしていたのだ。
『先人のお陰で伝統が一度も止まることなく続けられます…』
まさかこの苗木がそうだとは思いもしなかったが『先人』が用意していたから今、この手に苗木があるのだろう。
ヘレストナは苗木の葉を撫でるとテルクナロクに振り向いて言う。
「共に植えよう。これからはここが私たちの家だからな」
「はい!」
次回は再来月辺りになると思いますが変更になる可能性もあるのでその場合は活動報告にてお伝えします