ポケットモンスター 夢追う者と去る者2 作:Blueクラーケン
「ほら、サトシ。シゲルとの赤ちゃん、触ってみる?」
幼馴染である。カスミは俺にお腹の中にいる赤ちゃんを触らせようとする。
(俺にそんな眩い希望を見せつけないでくれーーー)
俺の心は砂漠の様に、枯れてしまった。
~一か月前 PM:5:00 ~
「…また出たんですって」
「本当?これで何件目よ」
夕方の町中、ご近所付き合いのあるお母さん達はヒソヒソ話をしていた。
「この前だって繁華街で行方不明になった奥さん。結婚して2年目になる直前だったそうよ」
「その前も確か。受験控えたお隣さんの娘さんなのよ。もうホントどうなっちゃったのかしらこの町」
どうやらこの町では、ここ最近女性の行方不明が多いそうだ。
「私なんて、最近は解決するまで子供を外に遊びには行かせないわ」
「学校側も集団下校を実施してり、防犯ブザーの購入も急増。
独身の女性教師さんは怖くて夜も寝付けないって生徒に愚痴言っていたそうよ」
その為、この町から夜逃げするように別の地方に引っ越しする人も続出している。
「私も夫と相談して、今引っ越しの準備を終えて一段落しているところよ」
「羨ましいわ。私なんて家のローンがあって引っ越したくても出来ないのよ」
皆、早くこの暗い空気が渦巻く町から抜け出したい。
今朝お隣の夫婦も別れの挨拶をしてくれた。
「あ、もうこんな時間帰らなくちゃ。日が暮れる前に家族と外食する約束してたのぉ」
「なら、早く行ってあげなさい。…また元気で話できる町に戻ったら、偶には遊びに来てね」
「分かっているわよ。それじゃあね。バイバイ」
さっきまで話していた奥さんの姿が遠くに見える頃に一人で愚痴った。
多分もう会うことはないでしょう
貴方も今朝の夫婦と同じ顔をしていたの。
「やっと、この地獄から抜け出せるって顔を」
その夜、買い物に行ってくるといったR氏さんが行方不明になったと役所から放送があった。
これでもう7人目。
この町に一体何が起こっているの?
~AM:11:00 ハナダシティ入口~
「はぁ~。もう今日はここで一泊しよう。流石に野宿が続くと体が回復するどころか悪化するよ絶対」
俺=サトシは洞窟での出来事から直ぐこっちに向かった。もう土の上で寝るのは懲り懲りよ~と言わんばかり体の節々が悲鳴を上げていた。
「ピカチュうパイ先も偶にはベットで寝たいよな。ついでに体も綺麗に洗おうな」
お互い洞窟を探索したため、服が汚れている。
「しっかしこの町。こんなに寂れてたかなぁ?」
この前雑誌では有名なオカルトスポットとなり、その筋の人達が住んでいると掲載されてたんだけど。
「まあ新しい家々が空き家になってる? でも変だな」
中が綺麗に無い物もあれば、急だったのか家具が散乱しているが住んでいる様子がない。
「…ふむ。空き家に一泊すれば宿代が浮くな!」
なんてこった、きっと天からの恵みだ。そうと決まれば防犯装置を解除しなければ。
「っとその前に、カスミの家に寄っていくか」
母さんがどこにいるか確かめなきゃいけないし、何か情報を持っている可能性もある。
「それとキャンプ用の品も買い止めしとくか」
大分消耗しすぎて、ランプの燃料も交換しなければいけなくなってしまった。
「よっし。それじゃあ、先に町に繰り出すとするか」
念の為、小型のカメラを庭下に置いておこう。
そうして、町の中心街へ向かった。
~AM:12:30 ハナダシティ 中心街 繁華街~
「う~む。何だか顔色悪い人が多いなあ。皆下痢でもしてるのか?」
必要品を買いに来たのだが、通りすがった人も店員も暗い顔をしていた。
「しかも、警察も巡回している。何か事件でも起こってるのかな」
強いて思い浮かべるのは、俺の不法侵入だが。あれは無罪放免のサトシ裁判で判定されたから違うな。
「あ、あれ。サトシじゃない?」
誰だろう?俺のファンかな。でも聞いた事ある声だな。
そんな考えをしながら、振り返ってみると。
「カ、スミ?…カスミじゃないか!ひっさしぶりだなあ、元気にしてたか」
「サトシこそって何かあったの?服汚れているじゃない!」
これは…その。洞窟に探索したのであって、記憶がないけど。
「いやーはは。ここへ来る途中で色々あってね。それよりこの町の人暗い顔してるけど、どうしたの?」
ここへ来てから気になっていたことを口にした。すると、さっきまで元気の良かったカスミが急に暗い顔して
「うん。ちょっとね」
???
どうやら事情を知っているようだが、そんな顔するほどやばいことが起きているのか。
「…私の家、ここ曲がって直ぐだから。そこで…ね」
「わ、わかった」
この街中で、話すと不味い事でもあるのだろう。けれどこの不安感を解消するためにカスミの家に共に向かう。
~PM:12:40 カスミの家~
「ただいま~」
「お、おじゃまします」
「そんなに畏まらないでもいいのに~」って言ってくれたけど、女子の家に上がるのはぎこちなくなってしまう。
「昼食まだでしょ。今アンタの分も作ってあげるから、適当に座ってて」
「では、お言葉に甘えて」
リビングのソファーに座り、目の前のテーブルにあった新聞を読んで暇つぶしでもするか。
俺は読んで分かった、この町で起こっている事が。
「現在。女性の行方不明者が多数、犯人は分かっておらず。付近の住民は例え昼間でも、お子さんの傍から離れず防犯道具を必ず持ち歩きを推奨します。なお、未だ単独犯なのか集団での犯行かもわかっておりませんので戸締りをしっかりして過ごしてください」
「おい、何なんだよこれ!」
俺は思わずカスミに叫んでしまった。
「あ。それはね…食べてからにしよう、食べにくくなってしまうから」
「…ああ」
タケシと決別する時の沈黙した、空気が張り詰めたそんな感じが俺らを包み込んだ。
~男女食事中~PM:13:00~
「…で、この町で何が起こっているんだ?」
新聞では深い所まで記載されてるわけでもない。こういう時は住民に聞くのが一番だ。
すると、カスミは震えたような口調で話し始めた。
「じ、実はね。ここ最近、女性ばかりが行方不明になる事件が起きているのは知ったよね」
新聞に載っていた、あれか。俺は首を縦に振り、カスミが続ける。
「あれね。メディアでは行方不明事件として取り扱っているのだけど、実際は違うの。
この事件は誘拐事件だと町の人達が噂しているのよ」
確証した証拠があるわけではないが、噂が広まって今では信じ込まれたらしい。
「空き家が沢山有ったのも、それが原因か」
今日の宿泊するマイホームを思い出しながら、カスミに返事を求める。
「そう、来る前に見たのね。そうよ、噂が広まって皆この町から逃げたくなってしまった。
最初は抵抗していた人もいたけど、今はもう止める人はおろか誰もが早く出て行きたいのよ」
カスミの家はこの町のジムリーダーである為と、家のローンが原因で引っ越しに目途が立っていないとのこと。
「本当なら。30年も過ごした故郷を離れたくない、でも赤ちゃんのことを考えると」
カスミは自身のお腹を触って、ちょっと明るくなった。
!!アカチャン?
「ちょっと待て、そのお腹の子誰との子だい?」
最初会ったとき、いや~デブになりましたな~って思っていたけど妊娠してたのか。
俺はびっくりしながら、問いただす。
「あ、知らなかったの?シゲルとの子よ 」
う、嘘だろ。何で俺以外の同級生が子持ちが多くなっているんだよ。
ちょっと心がへし折れそうになったが、何とか持ちこたえた。
「へ、ふぇー。シゲルの奴、お前と付き合ってたのか。
只でさえ出番少なかったからって、おっせせしているとは」
会ったらとりあえず「リア充死すべし、慈悲はない」と言いつつぶん殴ろ。
「まだ、新婚旅行はまだだけど。赤ちゃんが生まれたら、行こうと思っているの!」
ま、眩しい。最近俺の身に起きた事が暗すぎて、直視できねえよ。
でも先ずは
「おめでとうカスミ。本当ならお祝い品を用意すれば良かったけど、ごめん」
ドタバタして、連絡していなかった。痛恨のミスだ。
「仕方ないよ、サトシだって夢に向かって一生懸命やっていたんでしょ」
…今持ちこたえた心が『ペキッ』と音が鳴るのが理解できた。
「ま、まあ。まだポケモンマスターになっていないけげ、今度こそなってやるぜ」
知られたくない、母が俺の預けていたポケモン達がオークションで売却されていたなんて。
「あ、そうだ。いい機会だから、サトシもお腹の赤ちゃん擦ってみる?」
それは俺にとっては現実を見なければいけないなる為、死刑宣告みたいなものだ。
しかし、幼馴染の提案を断る訳にもいけ無い。しょうがなく俺はカスミの傍に寄り、お腹の中にいるであろう赤ちゃんに気を使いながら摩った。
「ふふ。変な気分、サトシにお腹を摩ってもらえる日が来るとは思ってなかったですもん」
ああ、俺も気分が変だ。…おや、心から失踪届が出てる。・・・・・・え?
もう十分だな。これ以上は俺が俺じゃなくなると思い摩るのをやめ、話題を変えました。
「俺の母さんの居場所知らないかい?」
本来の目的を達成するため、何か知っているのか聞き出す。
「あ~。それなら、シゲルが知っているわよ。一度来たらしくって、その時は私は買い物に行っててよくは知らないけど」
おっしゃ、やっぱり手掛かりがあった。そしてシゲルが今何処にいているのか続けて聞く。
「シゲルは、今シオンタウンに行ってる。亡くなってしまったコラッタの墓参り何ですって」
そう言えば、昔に会った時もシオンタウンだった時があったな。コラッタの墓があったのか。
「取り敢えず、明日にでも向かってみるよ」
礼を言い、夜遅くなってしまった為マイホームに戻ろうと玄関に向かう。
「繁華街のホテルなら警察もいるから安全だよ。飲食店もあそこなら遅くまでやっているわ」
カスミは俺を見送る直前に、この町の比較的安全な場所を教えてもらった。
…でも俺は、空き家に一泊するからなあ。
「ありがとう。そこで宿とって、さっさと寝るよ」
嘘をつきながら、ドアを開けて一言述べた
「飯、美味しかった。タケシより旨くなってんじゃん」
「当然よ!これでも主婦ですもの、夫に美味しいご飯ふるまう為努力したんもん」
別れが惜しくなるが俺は
「また、来るよ」
「ええ、次は連絡して頂戴。腕によりをかけて料理を作るわ」
本当に敵わないなぁ、カスミには。俺は微笑みながら扉を閉め、宿泊地へ向かう。
~PM:7:00~空き家(サトシハウス)
ガチャン
「待たせたな!」
ドアを開ける事なんて朝飯前よ。
「やっぱり我が家(勝手に)は気兼ねないていいから最高だぜ!」
でも、やっぱり寂しい感じはあった。
けど気分が落ち込んでても、仕方がないよね。
「ではでは、早速。キッチンの所に行ってみましょう。突撃空き巣の冷蔵庫の中」
何故か妙にテンションが高まり、興奮していた。
「やったぞ!冷蔵庫の中に食べ物がある。持ち運べなかった食べ物を俺が食べる、なんてエコロジーなんだ」
賞味期限もまだまだ先、大丈夫三日位切れてても食べきるそれがグルメ家。
ピカチュうもこれにはニッコリ。
「よし、ランプの光が漏れないようにカーテンをしっかりして鍵も閉めないと」
防犯対策はしっかりしないとね。田舎で暮らしている人も用心はした方が身のためだよ。
「ふぃ~。久しぶりのお湯、全身で堪能堪能」
服は今、洗濯し終えて乾燥中。なので俺の格好は、この家にあったのを適当に見繕ったものになった。
「パイ先も体を綺麗になって、よかったね」
真っ黄色に汚れ一つもない姿に、思わず抱き枕に良さそう。
「よーし、今日はパーッと豪勢にしようぜ!」
お金が少なくなる原因が自分にあることを自覚しない愚かな。
「ビールも冷えてるし、ポケモンフードもある。良きかな良きかな」
気分は金曜日に定時で飲みに行けるサラリーマンだぜ。
「プハァーうめぇ。五臓六腑に染み渡るぜ」
チンした。生パスタやピザ、残っていたのを余す事無く好きな分だけ食べた。
~青年飲食中~
~PM:11:00~
「満腹、余はもう満腹じゃ」
「ピカ、ゲッピ」
今すんげぇ、聞いてはいけない発音が…忘れよう。
「布団で寝るなんて何年ぶりだ?」
ここ数年は野宿かハンモック悪かねぇがやっぱりベット一番。マサラ人がいうだから間違いなし!
「電気は流石に通ってないから、テレビは映んないか」
娯楽がないというのは、寝るまでの時間潰しが出来ないなんて
「仕方ない、通信量がやばいけどスマホゲーで潰すしかねぇか」
光を調節して、明るさを弱く設定した。
「夜中にゲームをすると目が悪くなるとか言うけど、ホントなのか?」
一般的にはダメと聞くけど実際にどうなるかわからねぇな。
「・・・・ぉぃ」
!?外に誰かいる!
カーテンを少しだけ開けてそこから外の景色を見てみる
「なんだ?男性二人が何かを運んでる」
暗い為、よく見えないけど。重たそうな荷物?を何処かへ運ぼうとしているのは分かった。
「気になる。仕方ない、道具を出すか」
サトシの7つ道具其の2 魔改造式無音ドローンを展開した。
「これで近くまで行けば、音が拾える」
移動音が無いとはいえ、見つかったらどうなるか解らない。だから声が聞こえるギリギリの距離にドローンを配備した。
「一体何をしているんだ?」
恐怖心もあったが好奇心が勝り、危険を冒してしまった。
今思えば、あの時警察に連絡しておけば良かったと後悔している。
そうしておけば、次の犠牲者は出なかったのに・・・
本当は短編で今回の話を終わらせ様と作成していたら、また話が長くなってしまいました。
そしてシオンタウンに向かうサトシ。そこにいるシゲル。
ハナダシティで起こる誘拐事件はいつ終息するのか
次回もよろピコ