機密戦隊ポリコレンジャー(不定期更新中です)   作:あばばばばsho

10 / 15
あけましておめでとうございます。

大変長らく投稿していませんでした。すいません。
春休み中にもう少し投稿できたらしたいですね。


第10話

A.D.2018 5/21 13:35 台頭区 植野付近

 

 私は狩野さんに連れられ、植野恩賜公園の近くにいる。今日は平日だけど、かなりの人がいる。

 狩野さんにいろいろ言われてまたポリコレンジャーになったんだ。今度こそ、みんなが平等に、そして争わないような理想を実現するんだ。私にはその責任がある。ポリコレッドなんだから。

 

「さて、この付近だな。いいか、政。アンチポリコレ派の奴らは、ウィルスを無関係な人間に感染させるような奴らだ。そんな奴らは我々が叩きのめすしかない。お前の理想は実現することは不可能に近い、それだけは覚えておけ。」

「不可能に近くても、それを可能にするのが、ポリコレッドである私の責任です。」

「そうか。健闘を祈る。」

 

 狩野さんはそう言って私に背を向け、離れて行ってしまった。

私は人気のない所に隠れ、ポリコレチェンジャーとポリコレメモリを取り出した。

 

『ポリコレチェンジャー!』

 

 ポリコレチェンジャーを腕に巻くのは久しぶりの感覚。

 

『レッド!』

 

「ポリコレチェンジ!」

 

『ポリコレッド!』

 

 鎧が身体の周囲で展開され、装着される。この痛みも久しぶりだ。

 

『電脳転移システム、起動』

 

 

A.D.2018 5/21 13:40 ???

 

 目を開けると、青い電脳世界の植野恩賜公園が広がっていた。さっきまでたくさんいた人はどこにもいないけど。

 

「あれ、かなり強力なウィルスの集合って聞いてたんですけど、電脳世界は普通ですね。」

『政、久しぶりだね。うん、こないだのウィルスみたいに辺り一面をウィルスをまき散らしているわけじゃないけど、近くにかなり高濃度のウィルスを感知している。気を付けてね。』

「了解です。」

 

 私の通信に応えてくれたのは原須さんの声だった。原須さんの声を聴くのも久しぶりだな。

 

 ヘルメット内部に映された地図でウィルスの位置を確認。かなり近いので、ポリコレイダーには乗らないことにした。

 

「あれって…。」

 

 地図で示されたところに行くと、黒い人の形をしたウィルスがいた。その形は、ポリコレッド、じゃない。あの黄色い鎧の人にそっくりだ。じっとして、動かないみたい…。しかも、人がウィルスに取り込まれている、そんな気がする。あのおじさんの時みたいな雰囲気とは、全然違うけれど、どこか似てる気がするから。

 

 

A.D.2018 5/21 13:45 台頭区 植野 植野パーク・カフェ

 

「やっと出てきた、赤いの。」

 

 植野恩賜公園の近くの喫茶店で、一人の少女はタブレット端末を弄りながら、生ぬるくなったコーヒーを啜る。

 

「さて、ポリコレチェンジャーを起動するかな。このおもちゃが壊れるまで、あの赤いのが耐えられるのかどうか…。」

 

 少女は立ち上がり、会計を済ませると外に出る。

 

「様々な人の頭脳、記憶のコピーを併せ持った人知を超えた兵器、この力がどれほどのものなのか。君でテストすることにしたよ。ここはプレイヤーではなく、観客として楽しもうかねぇ。」

 

 

A.D.2018 5/21 13:46 ???

 

 目の前の黒い、黄色い人に似た鎧の人は、まだじっとしている。ああもう、日本語がめんどくさい!

 

『政、油断するな。いつ急に動き出すかわからない。』

「了解です。」

 

 私は腰のホルダーに手をやろ…

 

「うわっっ!」

 

 痛っ!気が付くと地面に転がってるし。黒い鎧の人から、衝撃波のようなものが来たのは見えたけど、避けられなかった。

 立ち上がると、今まで青かった電脳世界が黒に染まっているのに気が付いた。

 

『文春キャノン!』

『文春キャノン!』

『文春キャノン!』

『文春キャノン!』

 

 えっ?!目の前の黒い人は私と同じように腰のホルダーからカードを取り出して、黄色い人が使っていたのと同じ大砲を腕に着けたんだけど?!しかも四回くらい聞こえて…

 

『政、左右と後ろだ!』

 

 原須さんの言葉を聞き、瞬時に右を向いた。

 

「あっ!」

 

 右にも黒い人はいて、その人は私に向けて大砲を向けていた。

 次の瞬間、右の黒い人は黒い火球を私に撃ってきた。

 

「っ!!」

 

 その火球を、左にステップしてよける。結構ギリギリだった…。

 次は、もともと私の後ろ側にいた黒い人が、その次は左にいる人が撃ってきた。

 それらの火球を避けつつ、私は原須さんに尋ねた。

 

「この黒い人、分裂するんですかっ?!」

『ウィルスを自分の分身として使役しているようだな。それぞれごちゃごちゃに動いているようにみえて、政が避けにくい最適なタイミングで砲撃をしてきてる。これは意志を持ち、瞬時に計算できる能力を持ったウィルスなのかもしれない。分身はもっと増えるかもしれない。万が一の時はすぐに離脱してくれ。』

「はいっ!!」

 

 原須さんと話している間にも、黒い火球は飛んでくる。どうすればいいんだろう…。こんなんじゃ、ウィルスにも勝てないし、私の理想も叶えられそうにない…。ウィルスに取り込まれているかもしれない人と戦わずに、この火球に当たらずに、ウィルスを消す方法はないの?

 とりあえず、建物の陰に入って、体制を立て直そう。

 

『文春キャノン!』

 

 建物の陰でポリコレ棒を召喚しようとしたら、またあの音声が聞こえた。振り返ると、すぐそこで、黒い人が私に大砲を向け…

 

「あ゛っ…った!!」

 

 火球を肩に食らって、黒い地面をゴロゴロ転がり、青い道を作った。幸い、まだ鎧の耐久力は問題なさそうだけど。

 青い道の両端に、次々と黒い人が地面から生えてくる。

 

『ウィルスのあるところ全てからの情報を得られるし、分身を作り出せるのかっ!まずいぞ政!いったん離脱して、作戦を練ろう!』

 

 原須さんから通信が来た。そういうことなんだ。でも、ここで私がいなくなったら、ますますウィルスが強くなって、いつまたたくさんの人に感染するかわからない。

 

「私が何とかします!」

『いや、何ともならない!君まで失うわけにはいかないんだよ!』

 

 原須さんは優しいな。でも、私はポリコレンジャーなんだ。ポリコレッドなんだ。こんなところで負けてられないよ。

 私は原須さんからの通信を切った。集中しなきゃ。考えなきゃ。どうすれば…。

 

「はっ…やっ…!」

 

 考えている間にも、次々に分身は生まれて、火球を放って、消える、というのを繰り返す。避けても避けても、全然、キリがない!

 

「うわっっ!」

 

 また、火球に当たってしまった…!今回は掠っただけだけど、跳躍中の私の体はバランスを崩し転して、黒い大地に落ちた。

 そういえば、この砲撃、何でこんな威力が低いんだろ?この前のおじさんのウィルスの時は、一撃のパンチで一気にやられちゃったのに。この砲撃を3回くらい当てられてるけど、まだまだ耐久力は大丈夫みたいだし。

 しかも、私がポリコレロッドを召喚しようとすると、私の回避を阻害する、というよりも、召喚を阻害するように撃ってくる。そう、私の右手を集中的に狙う。

 

「もう一回…!」

 

 私は腰のホルダーに手を当てようとする。やっぱり右手を狙ってきた。私の動作で、腰のホルダーに手をやろうとするのはすぐにバレてしまうみたい。

 どこかで黒い人の発生を止めないと、キリがない!

 

「やばい!!」

 

 連続して跳躍する体力も、集中力も流石に無くなってきた。横に転がって、火球を回避する。青いラインができていた。

 

「あっ!!!これだ!!」

 

 閃いた!!ウィルスが恐れていたのは、ポリコレロッドじゃなかった!この手なら、ウィルスの中の人と戦わずに、ウィルスを弱められる!

 

 

A.D.2018 5/21 14:09 台頭区 植野動物園

 

 平日ほどではなくとも、そこそこ多くの人が行き来する動物園で、少女は猿山の前で、タブレット端末を抱えて佇んでいた。

 

「かわいそうだなぁ。こんな狭いところで一番偉くなって何になるんだ。まあ、今の私も君と変わんないけど。」

 

 少女は、猿山の長、と掲示板で紹介されている一頭の猿に目をやる。

 

「だけどもうすぐ、私は君とは別次元の存在になる。檻なんてない。私の知能を開放し、この世に神がもしいたなら、それと近しい存在になる。」

 

 少女は手元のタブレットを見やる。

 

「さあ早く、その赤いのを殺してくれよ。私の最高の友達、レモンちゃん?君も、あいつが倒せて幸せじゃない?」

 

 

A.D.2018 5/21 14:12 ???

 

「てやああっ!はあっ!」

 

 政は火球を転がりながら回避し、次の火球もその次の火球も、地面を転がりながら回避しつづけた。

 

「今だ!!」

 

 そう叫ぶと、政は前に少し跳躍し、右手を腰のホルダーにやろうとした。周囲にウィルスの分身が発生することはなかった。政が転がり続け、周囲の地面のウィルスが消滅していた。

 

「これでもうウィルスの分身なんか、怖くない!」

 

 そう言って、政はポリコレイダーのカードをスキャンさせる。

 

『ポリコレイダー!』

 

 政は再び跳躍し、現れたポリコレイダーに瞬時に跨った。その瞬間、すべてのウィルスの分身は停止し、崩れた。

 

「あれ?」

 

 黒いウィルスは、まるで波が引くように瞬時に消え去り、青い電脳世界が再び現れた。ただ一点を除いて。そこから、先ほどの黒の衝撃が再び押し寄せた。

 

 

A.D.2018 5/21 14:14 ???

 

「うわああっ!!」

 

 吹き飛ばれた。転がって、地面のウィルスを消滅させれば、そこからは分身が現れないと思った。ウィルスはポリコレイダーを恐れていると思った。ポリコレイダーを使えば、ポリコレイダーの走った範囲のウイルスを一気に消滅させられると思った。全部甘かった。全部敵の計算のうちだった。ウィルスをまた集めて、最初の時みたいにもう一回撒くなんて…。

 身体が地面に着く。またさっきまでみたいに分身が現れる。脳内でポリコレイダーを操り、私に大砲を向けているウィルスの分身に攻撃させる。それでも、分身は次々に現れる。少しずつでも、ウィルスの濃度を薄くして、本体に近づくしかない。

 

『おい、政!勝手に通信を切るな!耐久力も限界に近付いている。早く離脱するんだ!』

 

 原須さん、通信を無理やりまたつなげたのかな…。

 

「さっきはすいません。でも、私はあきらめたくない。ここで諦めるくらいなら、私の理想は叶えられそうにないですから!」

『死んじゃったら意味がないじゃないか!』

 

 たしかに、死んじゃったら、何もできないよね。でも、

 

「私はこんなところで死んじゃうような人じゃない!私は、死なない。死ねない。狩野さんと約束したんです。私の理想をきっと叶えるって。そのためになら、私はなんだってする!」

『死なないなんて、そんな保証、どこにもないじゃないか!』

 

『いや、あるさ。』

 

 突如、狩野さんの声がした。

 

『政、君はやっと私が望んだポリコレッドになった。自分を信じ、執念を燃やし、何度だって立ち上がる。決して私と同じ理想ではないが、見届けよう。君の未来を。』

「あ、ありがとうございます!」

 

 そして、と狩野さんは続けた。

 

『君はその手に掴んでいる。それは、現在の最強の抗ウィルス兵器だ。』

「狩野さん、何ですかそれは?!」

 

 気づくと、いつの間にか私はカードを握っていた。え??いつの間に…?原須さんも知らなかったみたいだし。

 そのカードには、剣のイラストが描かれていた。

 

『それはタイヨウセイバーだ。この混沌の時代に、新たな夜明けを運んでくる剣だ。その剣をもってすれば、全てのウィルスは敵ではないだろう。』

 

 たしかに、その力があれば、ウィルスを全部消滅することはできるかもしれない。けど、私が欲しいのは、そんな力じゃない。

 私が望むのは、みんなが争うことのない世界。そんな力じゃ、争いが絶えることなんてない気がする。

 黒い火球を避けながら、私は叫んだ。

 

「狩野さん、ありがとうございます。でも、私はこの力はいらない。欲しいのは、こういう力です!」

 

 握ったカードをポリコレチェンジャーにスキャンさせる。そう、私の理想にふさわしいのは、どこかで聞いた、あの言葉。ええと…多様性、だ!

 

 

『タヨウセイバー!』

 




第10話まで、ご読了ありがとうございました。
ようやく10話まで到達できました。
めちゃくちゃ遅い更新ですが、一応完結させる予定ではあります(いつになるかは未定)。

以前の文章に、時たま加筆修正を加えております。いまだ拙い文章ですので、あとから見返すと、読みにくい部分や誤字などがあったりするので、修正を重ねております。反則ではありますが、お許しください。話の展開に大きなズレはないと思います。

次回予告とかをしたいのですが、次回でどこまで進めるのか未定なのでやめておきます。

今後ともよろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。