機密戦隊ポリコレンジャー(不定期更新中です)   作:あばばばばsho

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約二か月ぶりの投稿となりました。
今回は13話のみの投稿、と考えていたのですが、13話で想定していた内容を文字に起こしてみたら7000文字くらいになってしまったので、14話もまとめて書いてしまうことにしました。なので、13話の終わり方が少し中途半端になってしまっています。すいません。

それでは、第13話です。


第13話

A.D.2018 5/24 10:11品川区 大崎警察署

 

「今日都内で発見された遺体は20名にも上りますよ、佐藤さん。これで、この四日間に発見された遺体は合計200名は超えました。しかも誰もまだ疑わしい人物が上がってないんです。」

 

 鈴木は、彼の上司である佐藤を見つけるとまくし立てた。

 昨今、謎の変死体が多く発見される事件が多発しており、世間は大混乱の渦中にあった。

 

「全員に共通することも殆どないよな。これらが単一犯によるものだとは考えにくいが、これによる市民の不安は計り知れない。犯行の目的も謎だしな。」

「早く詳細を突き止めなきゃですね…。」

 

 

A.D.2018 5/24 12:34 都内某所

 

「なるほど。引き続き頼むよ。ウィルス感染から解放されたのは、まだあと100人くらいいるんだから。」

 

 部屋にこもった長身の女性は電話を切り、色々な機械が添えられたベッドに横たわった。すると、また再び彼女の携帯端末に電話がかかってきた。

 

「ああ。ここまでの計画は完璧だ。狩野言葉としてのあいつの行動は少し度が過ぎているが、まあいい。いや、まだ干渉すべき時ではない。三度目にしてやっと上手く成長していきそうだからな。狩野も今回ばかりは必死なのだろう。それでは私は引き続き監視に戻るとするよ。」

 

 再び通話を切り、彼女は深く息を吐いた。枕元にあるヘッドギアを被り、彼女は深い眠りについた。

 

 

A.D.2018 5/24 15:29 湊区 代場シティーセンタービル ポリコレンジャーラボ

 

 学校が終わり、今日は狩野さんから呼び出しがあったので、私はポリコレンジャーラボを訪れている。

 

「今日はどうしたんですか?」

 

 いつも通り奥のラボにいた狩野さんと原須さんは、私が来るとこちらに振り向いた。

 

「今日呼び出したのは、彼を紹介しようと思ってね。」

 

 そうやって狩野さんは顎で中央のポリコレッドの鎧が収められたケースを見ている男の子のいる方を示した。…ってなんでこんなところに知らない人が?!

 

「彼は新しいポリコレンジャーの一員だ。義道 信我(ぎどう しんが)だ。先日銭倉から紹介された子だ。」

 

 狩野さんの紹介が終わると、義道さんは口を開いた。

「義道信我です。よろしくお願いします、先輩!」

「えっ?あー、はい!こちらこそよろしくお願いします!」

 

 先輩って…。まあ確かにポリコレンジャーとして活動してたのは私の方が先だけど、義道さんは私よりも年が上そうだし、なんだか複雑な気持ちだ。

 そのあとは義道さんと私はラボを出て、ポリコレンジャーラボのオフィス部分に戻り、応接用のソファーに向かった。

 私がソファーに向かうと、義道さんはお茶を汲んでくれた。

 

「あ、ごめんなさい!そんな気を遣わなくてもいいですよ!」

 

 私は慌てて義道さんの方に向かおうとしたけど、義道さんは少し微笑んで、首を横に振った。

 

「いいんですよ。僕も丁度飲みたかったところなので。それに、先輩は後輩の僕に対して、敬語なんて使わないでください。」

「いやいや、義道さんの方が年上かもしれないじゃないですか。」

 

 義道さんは明らかに私よりも年上な気がする。私だったら、こんな気遣いをすることができないと思うし…。

 義道さんはお盆に乗せたお茶をテーブルの上に置くと、私の向かいに腰かけた。

 

「まあ、確かに僕の方が歳は上ですね。先輩は確か中学二年生でしたよね?僕は高校二年です。」

「え、何で知ってるんですか?もう狩野さんから色々聞いたんですか?」

「ええ、まあ。これから一緒に働く先輩のことはよく知っておこうと思いまして。」

 

 義道さん、本当にすごい人だ。銭倉さんが新しいポリコレンジャーの一員として紹介するのが納得がいく。

 少し熱いお茶を飲み、私は義道さんに尋ねた。

 

「そういえば、義道さんはポリコレンジャーの仕事については狩野さんから詳しく聞いてますか?」

「はい。大体ですが。ウィルスをばら撒くアンチポリコレ派を潰すのが僕たちの仕事ですよね?」

 

 潰すって…。まあ間違ってはないけど、義道さんでもこんな言葉使うんだ…。

 

「まあ潰すっていうより、ウィルスに苦しめられてる人を助けるのが第一ですよね。」

 

 私が言い終わると、義道さんは少し考えるそぶりを見せ、再び口を開いた。

 

「お言葉ですが、ウィルスに苦しめられている人を助けるだけでは、根本的な解決にはならない。ウィルスをばら撒く悪の組織、アンチポリコレ派を殲滅させなければ、ウィルスに苦しめられる人は増えるばかりじゃないですか?」

「確かに、その通りですよね。」

 

 義道さんは本当のことを言ってる。

 

「でも、私は最近、正しいとか悪いとか、そういうのではこの戦いは終わらない気がしているんです。ウィルスに苦しめられた方々や、アンチポリコレ派の人々と戦って、話して、感じたことなんです。」

 

 これは私の本心だ。義道さんはまだ知らないかも知らないかもしれないけど、きっとポリコレンジャーとして戦ってくれれば分かってくれると思う。

 義道さんが何か言おうとしたその時、狩野さんがオフィスに入ってきた。

 

「義道、少し話がある。来てくれ。あ、それと、政は今日はもう帰っていい。」

「了解です。」

「至急伺います。」

 

 私と義道さんの言葉が重なった。狩野さんは言い終わると、すぐに奥にまた戻ってしまった。

 義道さんは素早くお茶を飲み干すと立ち上がった。

 

「義道さん、お茶片付けておきますから。」

「あ、すいません。ありがとうございます。また今度お会いしましょう。」

「はい。その時はまたよろしくお願いします。」

 

 まだ若干温かみの残る湯飲みをお盆に乗せ、私は片付けを始めた。

 

 

A.D.2018 6/18 11:34 台頭区 銭倉コーポレーション 谷仲研究所

 

「社長!お疲れ様です!」

 

 そう言って一人の研究員は銭倉に頭を下げる。それに気づいた他の研究員らも、彼に向って深々と頭を下げる。研究所は、周辺の谷仲の古き良き雰囲気とはかなり異なっていて、異様な空気がそこにはある。

 

「例の開発は進んでいるか?」

 

 銭倉は、一人目に挨拶をした研究員に尋ねた。

 

「はい。社長がこの二体をこの研究所に届けてくださったおかげで、よりウィルスに関する知見が深まってきました。」

 

 銭倉は、近くのケースに横たわる唯野の遺体と、昏睡状態にある佐別の方を向いた。

 

「まあ、彼らをここに連れてくるのに随分と骨を折ったからね。まあ、開発がはかどっているなら何よりだ。計画よりも早く例のものを仕上げることが出来れば、さらなる待遇も考えよう。」

「社長!ありがとうございます!」

 

 研究員らは次々と頭を下げる。

 

「まあ君たちの能力を考えれば、この程度の待遇は当然のものだ。さらなる進展を期待しているよ。」

 

 そう言って銭倉は研究所を後にした。

 すると、彼の携帯端末に着信があった。

 

「もしもし。ああ、彼らと接触できましたか。まあ、私も彼らを探すのに随分と骨を折りましたからね。どうです、彼らは?ああ、そうですか。なら良かったです。それでは、失礼します。」

 

 銭倉は通話を切り、谷仲の雑踏へ消えていった。

 

 

A.D.2018 7/8 14:08 隅田区 政宅

 

「あー、暑い…。」

 

 私は今、自宅で学校の期末試験の勉強の真っ最中。かなりの時間を英語の勉強に使ってるけど、英単語が全然覚えられない。それに、部屋で勉強していると、最近は暑くてすぐ喉が渇から、全然集中できない。

 最近はポリコレンジャーの仕事も殆どなく、学校の友達も多くできた。最近あったことといえば、伊地目君に関してだ。前は、私に出来ることなんてないって思ってたけど、最近は私から伊地目君に話しかけるようにした。そうしたら、前まで殆ど喋らなかった伊地目君は、最近は自分の思っていることを少しづつ言葉にするようになってきた。

 椅子から重い腰を上げ、水を飲みに台所へ向かおうと思った時、携帯端末が鳴った。

 

『政、ウィルスの反応だ。至急今から転送する場所に向かってくれ。』

「了解です!」

 

 佐別さんがウィルスに感染させられた事件以来、ウィルスは全く現れなくなった。狩野さんは、アンチポリコレ派が今の時期に体制を整えてるだけだろう、といっていたけど、ついにまた現れてしまったのかな。そう思うと、なんだか不安になった。

 

「ちょっとあなた、どこ行くの。」

 

 居間を通り過ぎようとした私に、お母さんは尋ねた。

 

「ちょっと、友達と勉強会。」

 

 へえ、とお母さんは言うと、お母さんはテレビの画面を指さした。

 

「ついさっき、変な怪物みたいなのが街で見つかった、とかで大騒ぎだったみたいだよ。今はどこにいるか分からないみたいだけど。」

「そうなんだ。ちなみにどこらへんだったの?」

「ええと、杉波区だったかな。」

「変な話もあるもんだね。それじゃあね!」

「はい、行ってらっしゃい。気を付けてね。」

「はーい!」

 

 いつも通りの挨拶を済ませ、靴を履いて外に出た。

 家の近くの寂れた公園の端っこの方で変身しようと思い、向かっている途中に狩野さんからまた電話がかかってきた。

 

『さっきのウィルスの反応なのだが、今は消えてしまった。しかし、今回のウィルスはどうやら電脳世界には存在しないらしい。』

「え?!それってどういうことですか?!」

 

 今までのウィルスは、電脳世界の中にしか現れなかったし、私はずっとそこで戦ってきた。

 

『今回のウィルスは、この現実の世界に現れた可能性が高い。』

「そんな!」

『ああ、信じられないかもしれないが、そのようだ。幸い、pc.anti virus シリーズには電脳世界だけでなく、現実世界でも戦える機構であるが、エネルギーの消費が激しい。この対策はする必要があるが、今回はこの現実世界で戦う他ないだろう。』

 

 信じられない!現実世界じゃないからこそ、周りに被害を出さずに戦えたのに、これじゃみんなが戦いに巻き込まれちゃう…!

 

『場所はさっき転送した通り、杉波区の麻ヶ谷付近だ。近隣にかなり人が多い地帯であるから、注意して向かうように。』

 

 杉波区…。まさかさっきの怪物って…。

 

「…わかりました。」

 

 狩野さんとの通話は切れた。狩野さんと話している間に、人気のないところまで行き着いた。

 鞄からポリコレチェンジャーとポリコレメモリを取り出した。色々驚くこと、不安なことはあるけれど、私が解決するしかないんだ。

 

『ポリコレチェンジャー!』

 

 ポリコレチェンジャーを腕に巻くと、ちょっと懐かしい音が流れた。

 続いて、ポリコレメモリの起動ボタンを押す。

 

『レッド!』

 

 大きく息を吸い込み、いつもの掛け声をかける。

 

「ポリコレチェンジ!」

 

 ポリコレチャンジャ―のトリガーを引くと、身体の周囲に赤い鎧が部分的に展開されていく。そして、それらが一斉に身体に装着された。久しぶりの痛みだ。

 変身した直後、腰のホルダーに手を伸ばし、カードを取り出して、ポリコレチェンジャーの溝に通した。

 

『ポリコレイダー!』

 

 出現したポリコレイダーに跨り、私は目的地である杉波区の麻ヶ谷に向かってバイクを走らせた。

 

 

A.D.2018 7/8 14:15 杉波区 麻ヶ谷付近

 

「こんなので本当にそいつは来るのか?」

 

 派手な格好をした3、40代の男が、手元の携帯端末を弄る天野に歩み寄ってくる。彼のその出で立ちと、彼が大声を出しながら少女に向かっていく様子に、周囲の人は衝撃を受けた。

 

「絶対来るね。それに狩野なら、この反応の異様さに気が付くはずだよ。」

 

 それに、と彼女は続ける。

 

「君、かなり目立ってるよ。まあいいけど。」

「来るならなんでもいい。俺はその狩野とかいう奴みたいな思想の持ち主に復讐できれば。」

 

 天野はため息をつくと、呆れた顔をした。

 

「まあ復讐もいいけど、計画通りに動いてくれなきゃ困るんだよねぇ。今回の目的は、ポリコレッドの現実世界での戦闘能力を計測することと、君に渡したウィルスインジェクターの戦闘能力を実践で試すこと。勿論ポリコレッドが明らかに弱かったら殺しちゃってもいいけど。」

 

 男は天野に一歩詰め寄った。

 

「言っておくが、俺がお前に従っているのは、お前からもらった力を利用するためだ。本当ならお前みたいなガキに従う気持ちなんて微塵もない。」

 

 天野は全く動じず、肩を竦める。

 

「まあ、従わないのは勝手だけど、変な動きを少しでもしたら、君のインジェクターは君の意思で動かせなくなるようにいつでもできる。あと、そういう態度はポリコレ的にアウトだから。君がなんでこんな状況になってるのかも納得だよ。」

 

 男は明らかに苛ついた表情を見せたが、天野に背を向け、歩き出した。

 

「とんでもない馬鹿だけど、利用価値は十分にあるね。せいぜい頑張ってくれよ?」

 

男の背に小言を吐き、天野は彼と反対方向に進み始めた。

 

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