機密戦隊ポリコレンジャー(不定期更新中です) 作:あばばばばsho
A.D.2018 4/8 9:35 湊区 首都拘束湾岸線上
『政、電波障害の範囲が南下しつつある。』
「了解しました。」
私は今、バイクに乗っている。狩野さんとは無線の通信で会話をしてる。因みに無免許。パイクの教習所にも行ったことないけど、このバイク、目的地とルートを指定すれば勝手に動いてくれるみたい。しかも、何故か周りから見られないようにステルス機能が付いている。お陰で私は警察に捕まらずに済むんだけど。
今、首都拘束湾岸線上を走っているらしい。ここら辺の地理はよくわからないけど、多分両手に見えるのが東京湾。ここからもう少し行けば品河区に到着するみたい。
「さぁ、ウィルス討伐としますか!」
少し不安が残るけど、きっと狩野さんや原須さんがなんとかしてくれるよね。
A.D.2018 4/8 9:50 品河区 大埼駅前
「やはりまだこの周辺も電波障害があるみたいです。」
私は狩野さん達に無線で伝えた。バイクから降りると、ステルス機能がなくなったみたいで、周りの人たちは驚いて、私の事を写真で撮ったりしている。まあ正義のヒーローだし、しょうがないか。
『とりあえず、今いるところから電脳世界に入ってくれ。』
電脳世界への入り方はさっきバイクに乗りながら狩野さんに教わった。ええと、ポリコレチェンジャーの側面の、このボタンを押す、とかだっけ。
『電脳転移システム、起動』
変身の時に流れた様な音声が流れると、今度は私の眼前から大埼駅が消えた。
A.D.2018 4/8 9:52 ???
「ここが電脳世界なのかぁ。」
私の目の前に広がるのは、先程までの大埼駅……ではなく、青い大埼駅が広がっていた。大埼駅だけではなく、全てが青の濃淡の世界。
「ブルーライトが目に沁みますね。」
流石は電脳世界、ブルーライトでいっぱいのようだ。
『バカなこと言ってないで、ウィルスのいる方に向え。君のポリコレイダーが反応しているということは、君の出現させた電脳世界内にウィルスを捕捉したということだ。マップは君のマスク内部に投影出来るだろうから、ポリコレイダーで接近してくれ。』
なるほど。ていうかこのヘルメット、内部に地図を投影できたり、自分の体調を表示できたり、結構便利。あ、そういえば、
「ポリコレイダー、現実世界に置いてきちゃったんですけど!」
忘れてたぁぁ!!徒歩で行くの嫌だよ?地図見る限りちょっと遠そうだし。
『それなら心配に及ばない。腰の辺りにあるホルダーを開けてくれ。』
ホルダー、ホルダー…これか!
「カードが何枚か入っているんですけど。」
『そのカードこそが、このpc.anti virus Mk-Ⅱの真の力を発揮するエッセンスだ。このカードに書いてある道具や効果を、カードをポリコレイダーにスキャンすることで発動できる。何度も発動できるやつもあるし、一回電脳世界から出ないと再度使えないものもある。とりあえずポリコレイダーは何回も使えるから、それをスキャンしてみてくれ。』
多分ポリコレチェンジャーの溝にカードを入れるんだろうけど。
今持ってるカードは……まずこれがポリコレイダーね。バイクの絵柄が書いてある。そしてこれが……棒?まあ、ポリコレ棒とか名前付けとくか。てかカード、この2枚しかないじゃん。
『ポリコレイダー!』
ポリコレイダーのカードをスキャンしたら、また音声が流れて、ポリコレイダーはいきなり現れた。電脳世界だし、この程度ならもう驚かなくなってる。驚かなくなってること自体が驚きだけど。
「今度こそ、ウィルス討伐だ!」
A.D.2018 4/8 9:09 品河区 オフィス街の一角
「おい、テストとかいうやつはどうなったんだよ。」
腕組みをした少年が傍に寝っ転がっている少女に問いかける。この光景は都会のオフィス街にしては明らかに異質だ。
「うん?まぁ、見ときなって。目星はつけたからさ。こいつなんか良さそうだよね。」
そう言って少女は持っていたタブレット端末を弄る。
「人間にあのウィルスを感染させるなんて、そんなこと出来るのか?」
「出来るに決まってるじゃん、この"ゲームメイカー"ちゃんの才能にかかれば。君はそこで見てればいいんだよ、レモンちゃん?」
「俺をその名前で呼ぶな。」
レモンと呼ばれたその少年は呆れたようにベンチに座り込んだ。
「よし、これで準備完了っと。君には私達の理想の犠牲になってもらうんだから、性原
ゲームメイカーと自称する少女は、タブレットを弄る手を止め、オフィスビルを見上げた。
A.D.2018 4/8 9:57 ???
「あれが…ウィルス……。」
目の前に現れたのは、真っ黒い人型の煙みたいなもの。背丈は私より少し大きいくらい。さっきラボで見たウィルスはウニみたいな形をしていたけど、こっちは手足とかが付いている感じだけど、人間型にしては腕がだいぶ太い。
『今まで見たことない形状だな…。』
『うーん。今までのウィルスと違う傾向を持つかもしれないから、気をつけてね。』
今までのウィルスを全く知らないから、どこがどう違うのとかはわからないけど…。そういえば、今までどんな感じでウィルスを除去してたんだろう?
「今までって、どんな風にウィルスを除去してたんですか?」
『自動でウィルスを除去する無人のシステムがあったんだけどね……。実を言うと、今回は君がそこに来る前に無効化されてしまったらしいんだ。』
申し訳なさそうに言う原須さん。このウィルス、実は結構強敵なんじゃない?ちょっと怖いかも…。
『大丈夫大丈夫。君の着ているそれは全然出力が違うからね。』
そんなことを原須さんと話しているうちに、ウィルスはこちらを向いた。向こうも気がついたみたい。
「さぁ、来い!」
殴り合いの喧嘩とかはしたことないけど、映画とかでよく見る様な構えを取る。
ウィルスは無言でこちらに向かって、"走って"来た。
A.D.2018 4/8 9:51 大埼駅前の某ファストフード店
「ちょっと、これ見てよ。」
「今度はなんなんだ。」
レモンと呼ばれる少年はめんどくさそうにゲームメイカーを名乗る少女に尋ねる。
「これ、まさか君の仲間じゃないよね。SNSにとある画像が上がってるんだけど。」
そう言って少女は手中のタブレットを少年に見せる。
「あいつらが俺の代わりを造ったのかもな。何も不思議なことじゃない。」
「まあそうだろうけど。私のやつはまだ未完成だから、なんかあった時はよろしくよ?」
「お前の指図を受けるつもりは無い。」
「またまた〜。ま、信頼してるからね。」
少年はため息をつくと、タブレットの中の赤い戦士をじっと見つめた。
A.D.2018 4/8 9:59 ???
「はぁっ!」
政はギリギリまでウィルスを引きつけ、力を溜め、跳躍した。
「えぇー?!跳びすぎだよこれぇ!」
真横に飛んだ政は、そのまま建物の外壁に衝突した。
『跳びすぎだ。力の調節には十分気をつけるように。また、電脳世界の建物は壊れないから、気にするな。』
「は、はい。」
政に突進したウィルスは向きを変え、外壁の近くにへたり込む政の方向を向いた。
「うぇぇ、また来るの?」
『政、カードを使え。』
そう言われた政は腰のホルダーから棒のイラストが描かれたカードを取り出し、ポリコレチェンジャーにスキャンする。
『ポリコレロッド!』
「おおー、これポリコレロッドって名前なんですね!」
『スキャンして欲しかったのはそっちではないのだが…。まあいい、それで戦え。』
「あ、そうだ!」
ポリコレロッドを構えた政は、ウィルスに向かって、自身も突進を始めた。
『おい、どういうことだ。見たところこいつはパワータイプだ。真っ向勝負は避けた方が良い。』
『そうだよ。隙を見て攻撃した方が安全だよ。』
政の突飛な行動に驚く二人。だが政はある地点で立ち止まると、身を屈めた。
「それ!」
政は脚に力を溜め、斜め上方向に跳躍した。
「電脳世界の建物が壊れないなら、この手で!」
跳躍中に体を半回転し、軌道上にある電灯を足場に、今度は"斜下方向"へ跳躍。
『なるほどね。』
『中々だな。ポリコレ係数の高さは見込んではいたが、やはり彼女を選んで正解だったようだ。』
原須と狩野は納得した様に頷く。
ポリコレ係数。pc.anti virus systemにおける強さの指標である。
ウィルスは政の突然の動きを感知し、停止しようとするが、ウィルスと政の距離は縮まる一方だ。進行方向と真逆に力を加えた事で、ウィルスの突進と同じかそれ以上の速度でウィルスに接近する。
「てやぁぁあ!」
政はウィルスと衝突する寸前、ポリコレロッドをフルスイングし、ウィルスの"胸部"を穿つ。ウィルスは大通りを転がり、青い世界を揺らした。
『政、一気に畳み掛けろ。』
「了解です!」
政はウィルスに接近し、一撃、二撃…とポリコレロッドを叩きつける。ポリコレロッドを振り上げ、ウィルスがリーチの外に出ると、政はポリコレチェンジャーのトリガーを引いた。
『ポリコレイズ!』
次の瞬間、政の正面に紅い障壁が現れた。
『エネルギーを収束させたい部位をその障壁に通すんだ。』
「了解です!」
政がポリコレロッドを障壁に通すと、ポリコレロッドは紅く輝いた。
ポリコレロッドを構え直し、ウィルスに急接近する。
「はぁぁ……っ!」
ポリコレロッドを振るう瞬間、ウィルスの中に人影を見たような気がした。中年男性の、怯えたような表情が政の脳裏に焼き付く。
政がポリコレロッドを振るうことを躊躇ったその時、爆発音が青い世界に轟いた。