機密戦隊ポリコレンジャー(不定期更新中です)   作:あばばばばsho

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実在の場所が出てきますが、この作品はフィクションです。
また、差別的な用語が含まれておりますので、不快に思われる方は戻るボタンを押して頂きますよう、お願い致します。


第6話

 A.D.2018 4/13 9:30 品川区 大崎警察署

 

「佐藤さん、この事件なんですけど」

 

  デスクに座り、コーヒーを飲みながら書類に目を通していた佐藤に、彼の部下である鈴木が話し掛ける。

 

「うーん、なんとも奇妙だな。胸部に蹴られた様な跡があるとは…。」

「被害者の男性の勤務先で調査をしたのですが、彼の元の部下の何人かは辞めてしまっていますね。ですが、彼らの内の全員にアリバイがあります。」

「この事件、なんか嫌な予感がするよなぁ…。」

 

 

 A.D.2018 5/15 15:14 ???

 

「てやぁぁああ!」

 

  ポリコレロッドを振るうと、ウィルスの塊は消失した。

 

「これで完了ですかね。」

「ああ、よくやった。」

 

  最近は、人に感染していないウィルスが出現するだけで、私も心置きなく戦える。でも、前よりかは頻度が上がってるらしいんだけど。

 

『電脳転移システム、起動』

 

 

 A.D.2018 5/15 15:15 阿立区 東絢瀬公園

 

  ポリコレチェンジャー横のボタンを押すと、元々いた公園が目の前に現れた。青だけの世界じゃない、ホンモノの世界。

 

『ポリコレイダー!』

 

  ポリコレイダーのカードをスキャンし、現れたポリコレイダーに跨る。発進しようとした時、女の子が急に現れた。

 

「バイクを運転するときは、ちゃんと周りを見ないとダメだよ?勿論、バイクを運転するとき以外にもね。」

「あ、ありがとうございます。」

 

  私と同じくらいの、青と黒の可愛らしい服を着た女の子は、私とすれ違って、歩いて行ってしまった。

  あれ、なんで私のこと見えていたんだろ。ステルス機能が付いているはずなんだけど。

  そう思って振り返ったんだけど、もう女の子はどっかに行っちゃった。

  こわ…。

 

 

 A.D.2018 5/15 16:11 都内某所

 

「これが君の新しいポリコレメモリ。」

 

  そういって少女は少年に檸檬色のメモリを手渡す。

 

「これで奴等に変身の妨害をされる事もないし、更にいろいろ改造したから、試してみてよ。」

「そうか。」

「何よ。感謝の一つや二つ、言ってもいいんじゃない?」

 

  少年は腕組みをして、黙りこんでいる。

 

「まぁ、良いけど。ところで、今度また人に感染させようと思ってるんだ。まあ、楽しみにしといて。君にも、今度はちゃんと働いてもらうから。」

「勝手にしろ。」

「まあ、私のやつもそろそろお披露目と行こうかね。」

 

  少女はアンチチェンジャーを机の引き出しから取り出した。

 

 

 A.D.2018 5/16 11:15 洗川区 街屋付近

 

「ったく、どこもかしこも外人はうっせぇなぁ。こっちの文化に従えって感じだよなぁ。」

 

  20代ほどの青年は、スマートフォンを懐から取り出し、白い鳩が描かれたアプリを起動する。

 

『クソ外人ども、まじでうるせぇ。移民とかなんとか知らないけど、日本のこと知らねぇならとっとと失せろ。』

 

  上記の様に簡単にSNSに投稿すると、青年の携帯のブザーが鳴った。

 

「おおー、早速"いいね"がついた!やっぱりそう思ってる人、居るよなぁ。」

 

  青年が携帯を見ながら歩いていると、何かがぶつかった感触があった。見ると、少女が自分にぶつかったらしかった。

 

「おい、少しは周りを見て歩けよ。最近のガキどもは調子乗ってるからな。甘やかされて。」

「お兄さんこそ、周りを少しは見なきゃダメでしょ?まあ、もう手遅れみたいだけど。」

 

  次の瞬間、青年の意識は途切れた。

 

 

 A.D.2018 5/16 11:16 隅田区 隅田区立隅田第三中学校

 

「おい、政。ちょっといいか。」

 

  体育でサッカーをしていると、私のクラスの担任の先生が話しかけてきた。

 

「何かあったんですか?」

「例の事務所からの連絡だ…政、本当にあそこ、大丈夫な所なのか?」

 

  先生はいつも私のことを心配してくれるけど、私はポリコレンジャーを辞めることは出来ない。だって、私にしか出来ないんだから。

 

「あはは、大丈夫ですよ。皆、優しい人ばかりですし。では、失礼します。」

 

  急いで教室に戻り、狩野さんに電話をかけた。

 

「もしもし、政です。」

『緊急事態だ。再び、人に感染したと思われるウィルスが発生した。しかも今度は複数体いる上、何故か電波障害が起こらない新タイプのものだ。政、今のお前の近くにもいる。』

 

  え?私の近く?

 

『何故このタイミングで同時に発生したかはわからないが、今回はとても厄介そうだ。気をつけろ。』

「了解です!」

 

  カバンからポリコレチェンジャーとポリコレメモリを取り出す。

 

『ポリコレチェンジャー!』

『レッド!』

 

「ポリコレチェンジ!」

 

『ポリコレッド!』

 

  だいぶ、変身の時の衝撃と痛みにも慣れてきた。

 

「先生、大丈夫ですか?」

 

  階下から、誰かがとある先生にに声をかけるのが聞こえたけど、今はウィルスを人から分離するのが先決だよね。

 

『電脳転移システム、起動』

 

 

 A.D.2018 5/16 11:18 洗川区 街屋付近

 

「さて、今回のウィルスは一味も二味も違うよ?あいつらはどうしてくるかなぁ?」

 

  倒れている青年に背を向けて道を歩いていたところ、少女の携帯に着信が来た。

 

「ウィルスがだんだん増え続けているらしいが、どういうことだ。」

「まだまだ増えるよ?これが成体にならないうちは。」

「これってなんだよ。」

「君が頑張って赤いのを止めてくれたら教えてあげる。今、赤いのは隅田区にいるっぽいよ。」

「別にお前に教えてもらわなくたっていい。」

「ふうん?まあ、後悔しても知らないよ?」

 

  そう言って少女は通話を切ると、手元のとある装置を見つめる。

 

「まだまだ足りないな。もうちょっと頑張ってくれよ、馬鹿ども。」

 

 

 A.D.2018 5/16 11:22 ???

 

  目の前に、さっきまでいた教室が青く染まった世界が広がる。

  ヘルメット内部のモニターを見ると、さっきサッカーをしていた校庭にウィルスの反応があった。

 

「狩野さん、あれ、人が入っているですか?」

『ああ、恐らくな。だが、今回はウィルスのタイプが違うから、もしもし労働相談は使えない。そうなると、やはりウィルスを力で倒すしか無いな。』

 

  もしもし労働相談、使えないのかぁ…。わざと攻撃を食らって、それを使おうとしていたのに。

 

『とりあえず、ウィルスの方に行って様子を見てくれ。』

「了解です。」

 

  教室の窓を開けて、窓から校庭に飛び降りると、ウィルスは"正面"をこちらに向けた。

 

「副校長先生?!」

 

  ウィルスがこちらに向いた時に、ウィルス内部に、この学校の副校長先生が見えた。でも、副校長先生は心なしか楽しそうな顔をしている。

 

「君がポリコレッドだな?」

 

  ウィルスは、副校長先生の声で喋った、というよりは、ウィルスの中に見える先生が喋ったようだった。

 

「君を排除しよう。」

 

  え?排除ってなに?どういうこと?ていうか、そもそもウィルスに意思があるの、今回が初めてかも?

  そんなことを考えているうち、ウィルスが飛びかかってきた。

 

「副校長先生!なんでそんなこと言うんですか!そのウィルスは危険なんです!」

「副校長先生だと?お前、ここの生徒だな?お前の正体を炙り出して、殺してやる。」

 

  一瞬、背筋が凍りついたような感じ。私はその場で動けなくなってしまった。

  なんで?

  私はみんなを助けたいだけなのに。

  そんな理想は、人型のウィルスの拳に強打され、打ち砕かれた。

  力が入らない。立ち上がれない。

  今度は腹部を蹴られる。校庭を転がり、花壇や校舎の外壁に衝突してやっと身体は停止した。ヘルメット内部には、抗ウィルス低下の文字と、耐久度の低下の文字がポップする。

 

『おい、政、速やかに離脱しろ!ウィルスに感染していないうちに、速く!』

「りょう…かい…です…。」

 

  痛む腕を手繰り寄せ、やっとポリコレチェンジャーの横のボタンを押すことができた。

 

『電脳転移システム、起動』

 

 

 A.D.2018 5/16 11:26 隅田区 隅田区立隅田第三中学校

 

  さっきいた教室に戻り、ポリコレチェンジャーからポリコレメモリを抜き取ると、私の着ていた鎧は消えた。

  とりあえず、この学校から逃げないと…。副校長先生に正体がバレたら、殺されちゃう…!

  カバンを取りに行くと、携帯に着信があった。

 

『政、大丈夫か?!』

「はい、一応は…。」

『今、原須が車でそちらに急行している。今すぐ校門を出るんだ。』

「了解です。」

 

  急いで教室を出ると、階段を上がってくるクラスメイトの声が聞こえてきた。でも、もう会うこともないかもしれない。この学校にはもう戻れないし…。

  適当な隙間を探して、みんなが通り過ぎるのを、その隙間でやり過ごし、出てきたところ、担任の先生と鉢合わせてしまった。

 

「あ、さっきはすいません。今、学校を出発します。」

「そうか。仕事、頑張れよ。あと、副校長先生がいきなり倒れてしまったらしいんだ。今は病院に運ばれたらしい。」

「そうなんですね、病気ですかね。大丈夫かなぁ…。」

 

  もちろん、副校長先生が電脳世界で襲ってきた、なんてことは言えるはずもないけど。

 

「政、最近なんか無理してないか?周りに無理に気を使ったりして。まだ中学生なんだし、自分のやりたいこと、自分の正しいと思うことをやりなよ?」

「はい…。」

 

  そんなこと、何回だって言われたことあるし、わかってる。でも、先生は私が一人で戦ってることなんか知ってる訳もないし、私にしか私の仕事は出来ないってことも知ってる訳もない。

  先生と別れて階下に降り、校門を出ると、原須さんの車はもうすでに止まっていた。

 

「政さん、急いで狩野さんのところに行こう。なんか、緊急の話があるみたいなんだ。」

「わざわざありがとうございます。」

 

  原須さんの車に乗ると、車は急発進した。かなり原須さんも焦っている様子。

 

「今回のウィルスは今までにないパターンで、今も増殖中だ。一つ一つのウィルスは、こないだの品河区のウィルスに比べると強くはないが、その増殖能力、そして中の人間の意識の一部を肥大化させる能力において厄介だ。」

「やっぱりあれは副校長先生の意識で喋ってたんですか…。」

「いや、普段の彼ならあんな行動には出ないだろう。だが、このウィルスには、どうやら人間を感情的にさせ、選民意識や差別意識を高める作用があるそうなんだ。それに、ポリコレッドに対する敵意もインプットされている。」

「選民意識とか、差別意識って、なんですか?」

 

  原須さんは、深くため息をついた。いつものパターンだ。

 

「選民意識とは、自分の所属している国民とか、民族とか、宗教とかが、特別だと考える意識。差別意識は、他の国民とか、民族とか、宗教とかを、自分のものとは別だと考えて、それが他のものへの見下しとかに繋がるんだ。差別意識の方は、みんなが少なからず持っている。僕だって、君だってきっと持ってるさ。」

「本当ですか?」

「ああ。例えば、君は僕たちの思想と、ほかのアンチポリコレ派の人たちの思想は別物だと思ってるでしょ?」

「まあ、そうですよね?」

「そう。そして、僕たちは、僕たちの思想が正しいと思って行動している。」

「うーん、まあ、そうです。」

「まあ、そういう事。」

「まだ、よくわからないです。」

「まあ、そのうち分かることがあるかもね。」

 

  なんか、少し馬鹿にされてるみたいで、ちょっとイラっとしてしまった。

  そのあと、私達は会話もなく、ポリコレンジャーの事務所のあるビルに着いた。

  事務所の扉を開けると、狩野さんが奥のデスクに座っていた。

 

「政、申し訳ないが、今日でお前を解雇にする。ポリコレチェンジャーとポリコレメモリを返却してくれ。」

 




やっと6話投稿できました。5話分くらいで一区切りとかにしたいのですが、多分収まらなさそうです。
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