機密戦隊ポリコレンジャー(不定期更新中です)   作:あばばばばsho

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お久しぶりです。
新生活でいろいろ忙しく、執筆に時間がかかってしまいました。
今後ともよろしくお願いします。



第7話

 A.D.2018 5/15 17:15 隅田区 隅田区立隅田第三中学校付近

 

「じゃあねー!」

「また明日!」

 

 二人の少女がたわいない会話をし、別れたその時、狩野は一人の少女に声をかけた。

 

「やあ。君が唯野 英子(ただの えいこ)さんだね。」

「ええと、どちら様……ですか?」

 

 唯野英子と呼ばれた少女は、明らかに不審そうな目で狩野を見据える。

 

「私は狩野言葉だ。君を、我らがポリコレンジャーにスカウトしたい。」

「すいません、今日は用事があるので……。」

 

 そう言って唯野は狩野に背を向け用とした時。

 

「君には拒否権はないんだけどね。」

 

 振り向いた先には狩野が電柱に寄りかかっていた。

 恐怖を感じた唯野だったが、その刹那、何かが自分の中で切り替わったような感触がした。

 唯野は、自分がなにに対して恐怖を抱いていたのか、そして恐怖を抱いていたこと自体、考えることは出来なくなっていた。

 

「改めて、君をポリコレンジャーに招待しよう。」

「はい、狩野さん。よろしくお願いします。」

 

 

 A.D.2018 5/16 11:42 湊区 代場シティーセンタービル

 

「政、申し訳ないが、今日でお前を解雇にする。ポリコレチェンジャーとポリコレメモリを返却してくれ。」

 

 一瞬、何を言われたのか分からなかった。だって、昨日まで私は普通に仕事をしていたし、前の感染したおじさんだって助けることが出来た。しかも、ポリコレッドは私にしか出来ないし。

 

「いきなりなんでですか? 政さんは今まで特に問題を起こしたことはないですよね?」

「いや、問題だらけだよ。」

 

 狩野さんは、原須さんから目線を私に移した。狩野さんは私の目を真っ直ぐ見た。その目線がなんだかとても冷たく感じて、私は思わず目をそらしてしまった。

 

「まあ、政とポリコレッドの相性がいいことは認めるが、ポリコレッドを操る奴が、ウィルスに操られている人間の心配をして戦わないようでは、全く意味がない。」

「じゃあ、ウィルスに取り込まれてしまった人達を私が倒さなきゃいけないんですかっ?! 中に取り込まれた人が可哀想だとは思わないんですか?!」

「あぁ、倒すのはお前の仕事だ。大きな戦争を未然に防ぐには、徹底的に相手を叩きのめすしかない。そう約束したじゃないか。」

「戦う前にもやれることはあるはずです!」

 

 そう。戦うんじゃなく、話し合いで解決できたら、誰も傷つかなくて済む。

 

「いいや、ない。我々は主義主張の全く異なる集団だ。遅かれ早かれ、国、いや、世界中を巻き込んだ争いは起きるだろうし、今も起きつつある。この争いを止めるためには、相手を制圧し、この世界を平等にするための制度を作らなければならない。」

「やってみなきゃわからないじゃないですか!」

「じゃあ、君がやってみようとしたその結果を見せてやろう。」

 

 そう言って、狩野さんは机上のモニターを私の方に向ける。そこには、赤い斑点のついた東京都が映っていた。

 

「今回のウィルスは、何らかの原因で増殖している。そして、ウィルスの発生箇所をプロットしたのがこの地図だ。」

「こんなに多くの人が……。」

「そう。既に百人単位でウィルスに感染した人は増えている。君が攻撃するかしないか迷っている間に、どんどん感染者が増えていくんだ。」

「……。」

 

 私は何も言葉を返すことが出来ない。こんなに多くの人を、私が迷っているせいで、苦しめてるんだから……。

 

「こうして話している時間ももったいない。もう、君の代役も用意している。」

 

 え……? 私の、代役? 

 呆然としている私の手中から、ポリコレチェンジャーとポリコレメモリが奪われた。

 

「これまでの君の助力に感謝する。ウィルスに気をつけて帰ってくれ。」

 

 狩野さんはラボに入ってしまった。

 

「狩野さん……!」

 

 原須さんも狩野さんの後を追ってラボに入ってしまった。

 私は、甘かったのかな……。誰も傷つけなくて、争いを止めるなんて、無理に決まってる。昔から、人間同士の傷つけあい、殺し合いなんか幾らでもある。その時、誰もが、誰も傷つけなくて争いを解決する方法を探しただろうけど、今までそんな事はない。中学生の私なんかには、何も出来ないに決まってる。

 ポリコレンジャーに選ばれて、期待されて、自分なりに戦ってきたけど、こんなにも簡単に代わりがいるなんて、思いもしなかった。馬鹿だなぁ……私……。

 

「なに、これ……。」

 

 床には、私の学校の、私のクラスのワッペンが落ちていた。昨日先生からホームルームの時間に貰って、昨日私の制服に縫い付けたんだけど、何でここに落ちてるんだろう……。

 私は、拾ったワッペンをポケットに入れ、ポリコレンジャーの事務所を後にした。

 

 

 A.D.2018 5/19 13:26 隅田区 隅田区立隅田第三中学校

 

「先生、トイレに行ってきます。」

「はいよー。」

 

 そう先生に断りを入れ、私はトイレに向かう。

 ポリコレンジャーを辞めてから、途中で授業から抜け出すことも無くなったし、前の生活と同じようになってきた。授業中に疲れて寝る、なんてことも少なくなってきたし。

 ポリコレンジャー、大丈夫なのかなぁ……。こないだのウィルスは電波障害が起こらないタイプだから、今どこでウィルスが発生しているのか私にはわからない。

 

「あ、ごめんなさい!」

 

 私がよそ見しながらボーっと歩いていたら、女の子にぶつかってしまった。

 振り向くと、その人は電話をしていた。携帯は持ち込み禁止なんだけど.

 あ、そういえば、あの後ろ姿はどこかで.まあ、いっか。

 

 A.D.2018 5/19 14:35 都内某所

 

「そろそろこんな茶番、終わりにしないか? こんなことをしても、無駄に時間を食っているだけだ。」

「茶番ねえ.これが何の狙いもないと思ってるわけ?」

「いいから説明しろ。」

 

 佐別に詰め寄られた少女は、面倒そうな顔つきで肩をすくめた。

 

「まあ、君に教えるまでもないさ。」

「舐めてるのか?」

 

 佐別が、ポケットの中のポリコレメモリに手を伸ばそうとした時、少女の持つデバイスの音が鳴った。

 

「お、例の赤い奴のお出ましだ。このウィルスの説明は、君が帰ってきてからにしよう。場所は.隅田区の新川の沿岸だね。詳しい場所は後で送るよ。」

 

 佐別は黙って部屋を出て行った。

 

「そろそろこれも完成に近いか。」

 

 少女はあらゆるケーブルにつながれたウィルスアブゾーバーを眺める。

 

「あらゆる人間の頭脳を、ウィルスを媒介にして組み合わせ、人間の秘めたる可能性を引き出す。そしてそれを私の力にできれば.」

 

 少女はニヤッと笑い、佐別と連絡を取るために、携帯電話へと手を伸ばした。

 

 

 A.D.2018 5/19 14:40 隅田区 矢広付近

 

「今回はここら辺ですか? 狩野さん。」

『そうだ。そこから電脳世界に入ってくれ。』

「分かりました。」

 

 唯野の変身したポリコレッドはポリコレチェンジャーの側面のボタンを押した。

 

『電脳転移システム、起動』

 

「ウィルス、視認しました。」

『いつものように頼む。』

「はい。」

 

 唯野は腰のホルダーからカードを取り出し、ポリコレチェンジャーの溝にスキャンさせた。

 

『ポリコレロッド!』

 

 召喚されたポリコレロッドを構え、ポリコレッドはウィルスに向かって突進をする。

 

「はぁっ!」

 

 ウィルスの"腹部"を目掛け、ポリコレロッドを振るう。その一撃は阻まれるも、ポリコレッドは既に次の行動を取っていた。

 

『ポリコレイズ!』

 

 ポリコレチェンジャーのトリガーを引いてポリコレッドの前に現れた障壁は、ウィルスを弾いた。

 

「お前、俺を殺す気か?!」

 

 意思を持ったウィルスはポリコレッドに向かって吠える。

 

「はい。貴方は世界の平和の為には犠牲になって頂きます。」

 

 ポリコレッドは冷たく言い放つ。

 目の前の障壁にポリコレロッドを通し、ポリコレロッドにエネルギーを収束させた。

 ポリコレッドとウィルスは同時に走り出す。

 ウィルスが突き出した"拳"を躱し、ポリコレッドはウィルスの"喉元"にポリコレロッドを突き立てる。

 声の出なくなったウィルスは、もがき苦しみ、地に倒れた。

 

「狩野さん、ウィルス、除去できました。」

『よくやった。念のため、消滅する瞬間を確認してくれ。』

「はい。」

 

 ウィルスは、過度のエネルギーを注入され、その"身体"を最早維持出来なくなっていた。

 ポリコレッドを喉元から抜き取ると、ウィルスは爆散した。

 

『おい、唯野! 今すぐ離脱しろ!』

「え?」

 

「させるかっ!」

 

 ポリコレッドがポリコレチェンジャーに手を伸ばした時、青い雷鳴がポリコレッドを包み込んだ。

 

「がっ……」

「おい、大丈夫かっ?!」

 

 唯野の視界に映るのは、檸檬色のボディに、青黒い稲妻の意匠がある、自身と同じような姿をしたものだった。

 

「今日こそ決着をつけてやる……!」

「決……着……?」

「惚けるな! 俺は狩野をぶっ殺す為に生きている。まずはお前からだ!」

 

 そう言うと、ポリコレモンは腰のホルダーからカードを取り出し、ポリコレチェンジャーにスキャンさせた。

 

『デュエル!』

 

 ポリコレモンのポリコレチェンジャーから音声が流れた直後、唯野の視界は白く染まった。

 

「ここは……?」

 

 目を開けた唯野の目の前には、今までの青い街ではなく、白い街が広がっていた。

 

「ここは俺ら以外の誰も立ち入る事の出来ない空間。ここから半径150mの空間から外に出る為には、最後の一人になるまで戦うしかない。」

 

 唯野はポリコレチェンジャーの側面のボタンを押したが、何も反応しなかった。

 

「狩野さんを守る為なら、貴方を倒すしかない。」

「何故あの女にそこまで拘る?」

 

 一瞬戸惑いを感じた唯野だったが、考えてもその理由は分からなかった。

 

『ポリコレイダー!』

『ポリコレロッド!』

 

「それがお前の答えか……。」

 

 ポリコレモンは腰のホルダーからカードを2枚取り出す。

 

『ポリコレイダー!』

『ツイートバード!』

 

 黄色いポリコレイダーに跨り、召喚された機械仕掛けの青い鳥の背中にポリコレイダーで飛び乗ると、ポリコレイダーと青い鳥は合体し、起動した。

 ポリコレッドはポリコレイダーに跨り、ポリコレロッドを構える。

 ポリコレモンは腕の文春キャノンをポリコレッドに向ける。

 

「「はぁあああっ!」」

 

 両者の決闘(duel)の火蓋は切られた。




次の話がいつ投稿になるか未定ですが、次回はだいぶ話が動くかと思われます。よろしくお願いします。
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