「それは俺の台詞だ、小町、なぜお前がここにいる?」
「んーバイト?」
いやそうじゃなくてなんでここで働いているのかってことなんだが・・・
「小町さん!パン焼きがあがったっす!ってあ!お兄さんじゃないっすか!久しぶりっす!」
奥から大志が顔を出す。
「なんで奴がここにいる?お兄ちゃん許しませんよ?」
「大志くんもここでバイトしてるんだけど?」
いやそうじゃなくてなんでなんで奴もここにるのかということなんだが
アワアワやっている俺を見かねてか由比ヶ浜が前に出る。
「やっはろー小町ちゃん!」
「あ!結衣さんやはっろーです!」
「小町ちゃん、小町ちゃんのとこはモンスターをやっつけるとかしないの?」
「んーそれがですねぇ」
小町のチームは訓練終了後も平塚先生が訓練所に入り浸るようになり、戦力が揃わなくなった為川崎沙希のブラコンが発動、大志は討伐に出ることが許されず、ギルドで討伐以外の依頼を受けている状態。結局人手不足の店のバイトをすることになったそうだ。
川崎はというとと俺たちが何時も行っている食堂とは別の結構離れたところの食堂でウェイトレスをやっているとのこと、バーテンの経験もあるから重宝されてるとか、そして小町達はそこで夕食をとっているそうだ。
どうりで最近全く会わなかったわけだ。
「まあ俺としても小町が怪我するのは嫌だしな」
大志と一緒なのは気に食わんが背に腹は代えられん、それに小町一人だと何かあったら大変だしな
「大志!貴様は小町のことを命に変えても守ることを命令する!」
「当然っす!小町さんのことは任せてくださいっす!」
もし小町に何かあったらこいつを八つ裂きにしてやる、あれ?でもそうするとブラコンの姉に俺が八つ裂きにされるのでは?
「いやーお兄ちゃんのブラコンが少し無くなったみたいで小町的にポイント少しだけ高くなったかな?」
「そのポイントはどこで使えればってのはまあおいといてだ、本牧はどうしてるんだ?」
「本牧さんですか?・・・鍛冶屋にバイトに行ってますが・・・」
「どうしたの小町ちゃん?」
「いけばわかると思いますよ・・・」
鍛冶屋の場所を聞いた俺たちは本牧達の様子を見に行くことにする。
雪ノ下は釜の状態や材料を詳しく見たいとのことでパン屋に残り、戸塚も手伝うとのことで一緒に残ってもらった。
物陰からこっそり鍛冶屋を覗くと本牧が店主と話をしているようだった。
しばらくすると店主は奥に引っ込み藤沢が出てきたのだが
「なんかやけに近いなあの二人」
「書記ちゃん副会長と楽しそうに話してますね」
「このまま見ててもらちが明かん、話を聞きに行くか」
物陰から店の方に向かう
「あれ、比企谷じゃんかどうした?」
「あ、ああ近くを通りかかったらお前が見えたんでな、ここでバイトしてるのか?」
「ああ、藤沢とここで働かせてもらっている。筋がいいって誉められたよ」
そう言って藤沢の肩を抱く本牧、え?なにやっぱそういう関係なの?
「副会長は書記ちゃんと付き合ってるんですか?」
俺が何を言おうか迷っていると一色が聞きやがった。
そういうデリケートなことはもっとオブラートに包んで聞きましょうよ。
「ああ、そうだよ、秘密にしていたんだがこっちの世界では隠す必要がなくなったんでな」
「隠す必要ってどういう意味だ?別に生徒会は恋愛禁止ではないだろ?」
「そうですよ!知ってたら応援しましたよ!」
「実はな・・・」
と本牧が話す内容は少々えぐいものだった。
何でも藤沢はストーカーされてたそうだ、しかも同学年のやつにだ。
本牧は誰がストーカーか気がついて先生や藤沢の両親に話したそうだが、そいつは藤沢の両親の知り合いの息子だったそうで、全く問題視されず、逆になぜ人の息子をストーカー呼ばわりするのかと逆に怒られたらしい。
そのうちそのストーカーは藤沢の家に堂々と上がり込むようになり藤沢も限界に来てたそうだ。
本牧と付き合ってるのを大っぴらにされると厄介なことになりそうだったので生徒会活動を隠れ蓑に付き合ってたということらしい。
「ここにいる間は少なくともストーカーに悩まされることもないしな」
そういう本牧はスッキリした顔をしていた。
「本牧くんお客さんかねぇ?」
奥から店主が出てきた。
「いえ、こいつらは俺達と一緒にこの世界に来た連中でして」
本牧が俺たちのことを店主に紹介している。
「ほぅ君たちは本牧くんのお知り合いかね?ちょっとお願いがあるんだけどねぇ」
と店主が俺たちへ向き直ると
「俺には跡継ぎがいなくてねぇ、このまま閉めるより本牧くんに跡を継いでもらたいんだよねぇ、彼は頭もいいし覚えも早いし、何より賢い嫁もセットで付いている、こんないい条件の弟子はいないよ、君たちからもお願いしてもらえんかねぇ?」
店主はやけに真剣だ。
本牧も藤沢も照れたり苦笑いしているが・・・
「いや、その、そういうのは当人の問題なので・・・すみませんが急いでいるので失礼します」
俺はそういうとその場から立ち去る。
ちょっとまってとか聞こえたが早歩きで立ち去った。
「ちょっと先輩!何逃げてるんですか!」
「そうだよヒッキー!」
「あいつ、この世界に残るつもりだ」
だから小町は言いにくそうだったのか
「・・・そうですね、副会長も書記ちゃんもなんだか幸せそうでしたし」
「ヒッキーどうする?」
あんな理由だったらやはり戻りたくは無いのかもしれない。
「まあいいんじゃね?本当に帰れるかどうかわからんのだ、手に職つけるのも一つの手だろ」
俺達はパン屋まで戻るがその間皆終始無言状態だった。