八幡達は異世界にて奮闘する。   作:もよぶ

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第二十三話

辺境へと帰ったら真っ先に領主のアダムさんの館へ行く

「おお、お帰り!君たちのことはニュースになってるよ!」

どうやら魔女を倒したという話は国内あちこちにすさまじい早さで広がってたようだ。

さらにこちらの世界に印刷技術があるため、かわら版が発行さればらまかれらしく実際にそれを見せてもらうと

「なになに・・・聖騎士葉山様大勝利!希望の未来にレディゴー!!・・・なんだこのタイトル・・・」

これ絶対召喚された人が考えたよな?なんか平塚先生が喜びそうなタイトルなんだけど。

内容はタイトル通り、半分は葉山を讃える物でもう半分は陽乃さんを讃えるものだった。

 

「ハッチーのこと一言も書いてないじゃん!」

結衣がご立腹である

「やっぱりあなたは賞金首以外で目立つことは未来永劫無さそうね」

お前ら国王にそう話したんだからこうなるのは当然だろうが、そんな不満そうな目で見ないでくださいよ。

 

「しかしうちのとこから異世界の人達とはいえこんなに凄い活躍をする人が出るとは私も鼻が高いよ!比企谷くんもここに書いてないけど何かやったのかい?」

とアダムさんは興味深々だ。

「いえ大したことは何も」

知っていてくれる人なんて周りにいる人たちだけで十分だ。

俺が黙っていれば上手く回る、目立ってもいいことはない

「この男は嘘が上手なんです、領主様、実はそこに書いてあることはでたらめです」

雪乃がとうとう言いやがった。

 

結果的に解決してるけど色々知られたら不味いだろ、国王も騙してることになるんだぞ?

「おい、もうその辺で止めろ、陽乃さんも止めてください」

と助けを求めるが

「比企谷くん、心配なのは分かるけどアダムさんはそういう人じゃないから安心して?このおじさまは出世とか考えてないから多少のやんちゃには大目に見てくれるから大丈夫、ですよね?」

とニコニコの陽乃さん

「う、うむ、陽乃くんは確かに優秀だったが、扱いに困ることが多くてな・・・君のフォローには苦労させられたよ・・・」

え?この人何やったの?

「ですよね!陽乃は私の教え子でしたがもう本当に手に負えないというかなんというか」

平塚先生が同調し始めた。

 

「あの、話を進めたいのですが・・・」

と雪乃が話に割って入る。

「お、おう、すまぬな、では話を聞こうか?」

そして雪乃や結衣、その場にいる全員で話を始めた。

 

「・・・なるほど、欲望を増大させる妖刀絡みの事件だったわけか、人の欲望とは限りないものだな、確かに東の領主はここ数年おかしな感じになっていた、下手したら私がそうなっていたかもな」

とアダムさんは感慨深そうに感想を述べた。

 

「それより国王様に正直に言えばよかったのに、今の国王様は実力主義だから冒険者だろうとなんだろうと実力があればどんどん召し抱えてるし出世も出来る、実は私も元冒険者なのだよ、ここの元領主は跡継ぎがいないからと抜擢されてね」

 

「いいんですよ、そういうのは葉山の仕事ですからね、まあそんな感じで金が集まったんすよ、これで足りますか?」

と金貨が入った袋を見せる。

「ああ、酒場の件か・・・こんなにいっぱい!すごいな!うん、大丈夫だ十分だ、腕のいい大工をたくさん雇うし土地は良さそうなとこを紹介しよう」

「ありがとうございます」

 

それから俺たちは建物の打ち合わせやら何やらであちこち走り回ることになった。

陽乃さんは元より雪乃も家が建設業という事もあってか現場のことにも詳しくすぐに現場監督状態となりすべてを仕切り始めた、その手腕は本職の大工も舌を巻くレベル、さらに結衣の有り余る魔力を重機代わりに使い穴掘ったり埋めたりと色々させている模様。

いろはやめぐりさんもそのコミュ力で現場の大工やら土方の人と仲良くなった上にお茶を入れたりマッサージをする等のサービスをした為、現場の人たちは士気も妙に高くなり、作業はものすごく順調に進むことになった。

 

反面男の俺たちは打ち合わせや手配が済んでしまうと数日でする事が無くなってしまう、材木座はやっぱり一人でどっかにいってしまい、俺も戸塚もすることが無いので毎日街をぶらついている状態、あれこれヒモって奴じゃ?

平塚先生たちはバイト生活に戻った模様

 

現場の手伝いでもするかと見に行くと、現場は雪ノ下姉妹によって完全に仕切られ工程管理票やら安全指標やら例の黄色と黒のストライプの模様があちこちにあって微妙に近代的な建築現場になっている状態で一部の隙もない、俺達も手伝おうかと聞いたところ

「こういうところは職人さんに任せるのが一番なのだからあなた方は休んでて結構よ」

そんな感じで追い出されてしまった。

 

工期は1か月ほどかかるとか、長いのか短いのかわからんが、宿屋も住居も兼任するから結構広くなるので建物の規模からすると素晴らしく早いらしい、雪乃曰く結衣一人で重機4台分の働きはするとか、なにやら冒険者が使う魔法とは別に職人独自の魔法があるらしく、結衣レベルとなると簡単に仕えるとか、確かに職人は魔法を使えるのが標準のようで丸太があっという間に柱に加工されていた、のこぎりとかいらんジャン、魔法超便利だな。

 

「することないね」

戸塚が大変暇そうだ、現場は見てて楽しいがいかんせんすることが無いのですぐ飽きてしまった。

今は二人で街をぶらついている状態。

遊ぶにしてもここにはゲームも無ければカラオケなども無い、かといって二人で討伐はリスクが高すぎてやりたくはないしアルバイトも正直メンドクサイのが本音ではある。

そもそも報酬がまだまだたくさんあるので無理して稼ぐ必要がない

「そういえば材木座くんはどこにいったんだろ?」

あいつのことだからまた一人でギルドにでも行ったのか?

 

「さてな、また一人で仕事請け負ってんじゃねぇの?」

と何気なく周りを見渡したところ見覚えのある巨体が山のように食材を担いで歩いているのを見つける

「あれ材木座くんじゃないかな?」

「あいつ何やってんだ?ストックはあるからあんなに買う必要は・・・あれ誰だ?」

 

材木座の横には金髪の美少女が一緒になって歩いている、年は俺たちと同じぐらいだろうか?

すごく親しげな感じだ。

「なんかすごく仲好さそうだね」

「・・・つけてみるか・・・」

「ええ!八幡!それはダメだよ!」

と戸塚は口では言うものの興味津々の模様、結局後をつけることになった。

 

二人は親しげに話しながら街外れの教会へと入っていった。

「あいついつの間に入信したんだ?」

建物に近づくと裏手から子供の歓声が聞こえる、裏手に回ってみると教会に隣接している建物の大きな部屋の中に子供がたくさんいるのが窓から見えた。

そのまま建物の扉の方まで行ってみると看板には孤児院と書いてある。

俺たちは窓からこっそり中の様子を見ることにした。

 

「しょーぐんだ!」

「けんごーがきてくれた!」

 

「みなさんがいい子にしていたので今日は久しぶりに義輝様が遊びに来てくれました!」

金髪の美少女が子供達に向かって言うと歓声がさらに上がる

「けぷこんけぷこん、皆の衆、息災であったか?」

「「「「そくさいでしたー!」」」」

 

「おい戸塚、何だアレ?」

「僕に聞かれても・・・もしかして材木座くんが一人でいなくなってる時ってここに来てたのかな?」

それにしてもこの人気っぷりは異様だ。

「では義輝様、今回の冒険譚を是非子供たちにお聞かせいただけませんか?」

金髪の美少女がうやうやしく材木座にお辞儀をする。

 

「うむ、よかろう!皆静かに聞くのだぞ!」

「「「「はーい」」」」

材木座はどかっと椅子に座ると話し始めた

 

「ほむん、貴殿ら今回東の領地で起きた事件はご存知かな?」

「うん、悪い魔女が聖騎士葉山様と陽乃様に倒されたって話でしょ?マリアママに読んでもらったから知ってる!」

と子供の一人が号外の紙をぶんぶんと振っている。

マリアママとは金髪の美少女のことらしい、あの子が皆のお世話をしているようだ。

 

「ふむ、実はその内容はでたらめなのだよ!聖騎士殿に我が手柄を譲るためわざと嘘の報告を国王にしたのだ!」

「「「「えーうそだー!」」」」

 

「嘘ではない、証拠に魔女を倒したお話を詳細にしてやろう!」

と材木座が話した内容は俺と材木座の立場を脚色を加えて入れ替えたものだが話は大きく変更されていた。

まず陽乃さんが正真正銘の極悪な魔女になっていた。

そして激しい戦いの末勝利を収めた材木座が陽乃さんを改心させ、二度と悪さをしませんと誓わせたと言うことのようだ。

それを身振り手振りを交え時には剣を抜き寸劇を披露しながら話した為、その度に子供たちは笑ったり歓声を上げたりと大盛り上がりだった。

 

しかも雪乃や結衣やいろは自分に陰ながら惚れているとか戸塚は普通に友人扱いだったが俺のことになると生きていた時は相棒にして下僕、しかし一回死んだので復活の儀式をして甦らせた目が腐ったゾンビとか言いやがった。

相棒にして下僕って矛盾してるだろ!

 

「そういうわけで陽乃殿は我の大いなる活躍で改心し二度と悪さはしないと誓ったのよ!葉山殿が到着した時には既にすべてが終わっていてな、このままではせっかく改心した陽乃殿が悪者になってしまう、そこで我はかわら版のような話をでっち上げて手柄を譲ってやったのだ!」

 

「えーなんでてがらをゆずったんですか?」

子供の一人が聞いてくる

「我の手柄になると有名になって忙しくなってしまう、そうすると貴殿らとこうして遊ぶことも出来ぬであろう?そのほうがよかったか?」

「よくない!しょうぐんさまありがとう!」

「しょうぐんさまかっこいい!」

「さすがけんごー!」

 

なんだこれ?材木座って猛烈に子供からのポイント高いぞ?下手したら俺の小町ポイントより高くないか?

「すごい・・・材木座くん、こんなに子供たちに慕われて・・・」

戸塚が感激しているが、この調子だと今までやった討伐の話も脚色加えて話しまくった可能性は大だぞ?

戸塚のこともあまり良く言ってなかった可能性もあるんだが。

 

「よし!お話はこのぐらいにして外で遊ぼうかのう!また剣豪将軍直々に稽古をつけてやろう!」

 

うわーいと言う歓声が上がり材木座は文字通り子供に囲まれながら外に出ようとした。

このままでは見つかってしまうので俺たちも撤収するかと思っていたら。

 

「・・・あ」

 

目が合ってしまった。

途端に挙動不審になる材木座

「あ、あああ!すまぬ!大事なギルドからのクエストがあったのを忘れておった!」

「義輝様、今日は久しぶりに皆と一緒に食事をしていただけるのではなかったのですか?」

金髪の美少女はすごく悲しそうな表情だ。

 

「すすすまぬ!この埋め合わせはいずれ!」

と材木座は部屋飛出すとまっすぐ俺達の方へ走ってきて腕を掴む

「八幡、戸塚殿ちょっときて、ちよっと」

引きずるように教会から少し離れた建物の陰に連れ込まれる

「どどどどこから見ておられた?」

「お前があの女子とデレデレしながら買い物していたあたりからだな、おまえと彼女はどういった関係だ?なんでさっきみたいなことになってるんだ?」

「な、なんと初めからか・・・実はだな・・・」

 

前に俺たちが食材調査をした際材木座だけ一人でギルドに行ったわけだがその時、ちょうど一人の募集があったそうだ、それが孤児院の子供の遠足の荷物持ち。

一人で受けるギルドの依頼は初めてということもあり、練習も兼ねて物は試しとやってみたところ、そこで彼女出会ったそうだ。

「なぁ八幡よ、一目ぼれってあるもんだな・・・」

遠い目をして語る材木座、ものすごく似合わん

「あの方はマリア殿と言ってな、領主殿の娘だそうだ」

 

「は?あのアダムさんの娘?」

まるで似てない、遺伝子がまるで仕事してない、ちなみにアダムさんはハゲ散らかしているうえにダルマ髭のおっさんだ

「まあそう思うのも無理はない、正確に言うと義理の娘だ、もっと正確に言うと我らと同じ召喚されし者であるな」

 

「マジで?でも今まで召喚された人たちって何故かわからんが日本人だけだったような?あの子は変な言い方だが外人だろ?」

吉原さんもそうだが、何故か召喚されてくる人たちは皆日本、それも千葉県周辺に集中しているのだ。

 

「いや、れっきとした日本人なのだよ」

材木座の話からすると、彼女はいわゆるハーフとのことで、日本で生まれて育ったとか、しかし彼女が小学生の時に両親が不慮の事故で亡くなり、身寄りもなく施設に入れらたが、見た目のこともあり施設や学校では友達はできずあまりいいとは言えない生活だったらしい、小学校から帰宅途中、突然こちらの世界に召喚されたとのこと。

 

「召喚されると領主殿の所に報告が上がるようになっているらしく、すぐ発見されたのはいいがずっと泣いておったそうだ、子共が召喚されたのは初めてということもあって領主殿が扱いに困り自分で引き取ることにしたのだ、マリア殿は施設で生活してたのでな、同じ境遇の孤児院の子供達を放っておけなかったのであろう、毎日来ては子供たちのお世話をしているのだよ」

 

「んで、あの人に惚れたんでことあるごとに孤児院に押しかけては作り話をしていたと、そういうわけか」

 

「そ、そうなのだよ!スマヌ!あの子らには我らの子供の頃のようにテレビもゲームも無い、本すら高くて買えぬのだ!だから我が討伐の話とかに脚色付けて話すと皆喜ぶのだ!だからそのうち調子に乗ってしまって・・・本当にスマヌ!」

全くこいつは、架空の話ならわざわざ自分が活躍したって話にせんでもいいだろうが、ほんとどうしてやろうか・・・と考えていたが戸塚が目をうるうるさせがなら訴えてきた

「八幡!許してやろうよ、子供たちもあんなに喜んでたよ!材木座くんも悪いことしてるわけじゃないんだから」

 

うん戸塚がいうなら仕方ないかな・・・って雪乃や陽乃さんが知ったら面倒なことになるだろこれ

「もしかして弁当の宅配とか前言ってたのもここのことだったのか?」

「左様、あそこは年老いた神父殿とシスター殿とマリア殿の三人で切り盛りしておるでな、家事がとても大変なのだよ、洗濯も掃除も料理も十数人分以上を同時にこなさないといけなくてな、掃除や買い出しの手伝いは我も出来るが食事は出来ぬから・・・」

 

「全く、そういうことはちゃんと皆に相談しろ、弁当作るったって簡単じゃねぇんだ、ともかく雪乃達に相談する、子供たちにいつも何を話しているかは黙っておいてやる」

 

「恩に着るぜよ八幡!」

「もうわかったからお前戻れ、一緒に昼飯食うんだろ?夕方には戻ってこいよ?」

「あいわかった、ではこれにて失礼するなりー」

やはりこいつはうざったい、でもまあそこが子供には人気でるのかもしれん。

材木座が教会に戻ってしばらくすると歓声が聞こえてきた。

 

楽しいのは結構だが、あいつはやっぱり元の世界には戻らないだろうな。

そう思いながら夕方まで戸塚と暇つぶしをしにまた街をぶらつくことにしたのだった。

 




今更ですがこういう異世界の話初めて書きますが書いてて楽しいですね。
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