八幡達は異世界にて奮闘する。   作:もよぶ

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5/12 平塚先生を入れるの忘れてました。


第二十六話

開店日当日、いつもは冒険者がうろうろしているだけのアダムさんの言う退屈な街が大賑わいになっていた。

なにしろ世にも珍しく美味しい料理を出す店がオープンしたわけだからな。

一応アダムさんや吉原さんに宣伝をしてもらったりギルドにチラシを置かせてもらったりしたおかげか物珍しさに惹かれた冒険者連中がどっと押し寄せてきやがった。

 

おかげで朝から大忙しである、念のため川崎や小町、平塚先生に至るまでフロアや厨房の手伝いをお願いしていて本当に助かった。

孤児院の方もお願いをしてしばらくはこちらの手伝いに専念させてほしいと材木座達を引き揚げさせてもらった。

ほんとスンマセン。

 

店内では平塚先生や小町達が注文をとっては厨房に伝え厨房では料理を作るので大忙し、結衣は会計担当だ、何故か奴は単純計算が異常に早い、消費税が無いので余計にやりやすいのかもしれん。

 

値段は強気に攻めて他の店よりちょっと高めだ、そのぐらいの自信はあるし、そもそも他より手間はかかっている、このぐらいは当然だな。

 

そして俺はというと

「はーい、そこー!列からはみ出ない様にー!」

「ちょっと!まだ食えないのかよー」

「今店内は大変混雑しておりますので、申し訳ないですがお待ちくださーい!」

俺はフロア担当ではなく外で列の整理だ、ちなみに材木座も列の整理担当である。

 

「八幡よ、我らだけなんか扱いが違う気がするのだが?」

「考えるな、これも立派な仕事だ・・・あーすんません、そこ割り込まないでくれますか?」

 

長蛇の列である、こいつらモンスター討伐はいいのかよ、なんか小町達がバイトに行っていたパン屋のオヤジまでいるぞ、自分のとこのパン食ってろよ、ってか街中の人が来てないか?食材間に合うのかこれ?

そう思っていると

 

「あー君、ここは宿泊もやっていると聞いたが?」

なんか結構年食って高級そうな鎧をまとったオッサン連中が話しかけてきた、なんか歴戦の勇士みたいな落ち着いた雰囲気である。

「ハイ!そうですが?」

 

「ふむ、本当に宿泊もできるようにしているとはな、食事も出来て泊まれるとはお得だな」

なんかブツブツ言っているのが俺は忙しい、次の客を中に入れないといけないからな

「今猛烈に混んでいるので宿泊の受付は落ち着いてからでお願いします」

 

開店初日なのでウェルカムなのだがこんなくそ忙しい時に受付までできない、客商売にあるまじきことだが仕方がない、NOと言える客商売も大切なことだと思う。

「ふむ、承知した」

そう言うとオッサン連中はどっかに行ってしまった、なんか見たことある気がしたのだが列の整理に忙殺されオッサン連中のことはすぐ忘れてしまった。

 

昼もすぎるとようやく客足は落ち着いてきた、客足が途絶えた段階で準備中の看板を立てる

「朝から皆お疲れ、悪いな列の整理しか出来なくて」

「ハッチー気にしなくていいよ!でもゆきのんがもうダメみたい・・・」

 

雪乃は完全にグロッキー状態だ、朝から休む暇が無かったからな。

しかしこれから夕食の仕込みもあるのだがこれではダメだろうな

「雪乃ちゃんの分も私が働くから大丈夫よ?」

陽乃さん、そう言ってくれるのはうれしいですが物理的に無理でしょう?

「こんなに忙しくなるとは予想外だったな」

「そうですね、先輩夕方の調理どうしましょう?幸い食材はまだ残ってるのでなんとかなりますが・・・」

半日で予想していた2日分のストックが無くなってしまった、店を開くにあたって冷蔵庫を手当たり次第拾ってきて稼働させているので備蓄は万全と思ってはいたのだがこのペースでは危うい、早急に手配も必要だ。

 

現状厨房に入っているのは雪乃、陽乃さん、一色、めぐり先輩である。

フロア担当は、俺、材木座、本牧、藤沢、小町、大志、川崎、平塚先生、レジ係も兼ねる結衣になる、多い気もするが昼はこれで何とか回せるレベルだった。

何しろ料理が出てくる速度が早い。

どうなってるのか分からないが、某牛丼の店ほどではないにしろ注文してそれ程経たずに料理が出来上がってくる。

陽乃さんは効率的にできるように仕込んでおいたと言ってはいたが

でもこれが夕方となると酒の注文も入るので余計に大変と思われる。

雪乃がいなくなると代わりに小町か藤沢か川崎を入れるしかなくなる

 

「注文に回っていた人を厨房に入れるか、でも夕方は酒も出す予定だから忙しさと厄介さは朝より上だ、正直フロアの人を増やしたいんだが」

「酔っ払いの相手は大変だしね・・・」

川崎は酒場でバイトしてたから面倒な客に絡まれたりとしょっちゅうだったらしい、体を触られたりしたらその度鉄拳を叩きこんでたそうだ。

それはまずいだろと思ったがぶっ飛ばされても店員に手を出した方が悪いと言われるんだそうだ。

こっちの世界はフリーダムすぎるな。

 

「川崎は客の扱いに慣れているのでフロアから外したくはないな」

俺の場合小町が絡まれたら冷静ではいられなくなりそうだが、藤沢が絡まれたら本牧ブチギレるだろうし、見るからに絡んでくる男のあしらい方も下手そうだ、それにその手の対応は小町の方が得意そうだし、だとすると選択肢は無いな

「んじゃ藤沢厨房に入って手伝ってくれ」

「わかりました!頑張ります!」

「みんな!お姉さんもがんばるから雪乃ちゃんが抜けた分フォローおねがいね!」

おお、さすが陽乃さん頼もしい姉っぷりを発揮している。

 

「ごめんなさい八幡、私が体力無いばかりに・・・」

「雪乃は気にせず休んでろ、無理して前みたいに熱出されたら困るからな、こういう時は周りをつかえ、なんでも自分でできると思うな、さっさと休んで回復したら手伝いにこい」

陽乃さんがなにかいいたげだったが無視だ無視、そういうのは元の世界に帰ってからにしましょう?

 

「しかしフロア担当が減るのは痛いな、正直増やしたいレベルなんだが・・・」

と考えてると

「あーお話中すまぬが宿泊をお願いしたいのだが?」

さっきのオッサン連中が現れた、準備中の看板は出したが扉は開けっ放しだったから入ってきてしまったようだ。

しかしこのオッサン連中よく見ると全員中々ダンティーだ、全員大剣やら槍やらのなにかかしらの武器を担いでいて姿勢も良くどことなく規律正しい感じがしてとてもかっこいい

 

「あー今準備中ですが・・・まあいいか、いろは、台帳持ってきてくれ、結衣、受付頼む、陽乃さんは部屋までの案内をお願いします、ところで実はお客さん達ががこの宿の第一号の宿泊客になるんですよ」

 

「私達が第一号か、それは光栄だね、ところで君は列の整理をしていた者だな?この店のオーナーは陽乃殿かと思っていたのだが先程の様子からすると君なのか?君は何者かね?」

 

なんだこのオッサン?なんでそんなこと気にするんだ?まあ陽乃さんは有名人だしと思っていると

「ほむん!ここにおわす方こそ比企谷八幡といい我の相棒にして我らのリーダーである!八幡の八面六臂の活躍により国を救い、仲間を助けこの千葉亭が出来たのだ!」

材木座が紹介してくれたがあまりそういうことを言うなよ?突っ込まれたら面倒なことになるかもしれないだろ、そして大分大げさだな

「ほう、国と仲間を、どこかで聞いた話だな」

やはりこの人の顔見覚えがあるなと思っていたらアダムさんが駆け込んでくる

食い放題にすると言ったから来るかと思ってたのだが今来られても困るな

 

「ここにおられましたか!泊まられるなら私の館に部屋を用意してありますのでどうぞそちらに!」

なんかやけに緊張しているようだ

「どうしたんすか?この人達知り合いですか?」

「知り合いも何も君たち覚えてないのか?顔を合わせてた筈だろ?この方は国王様とそのお付の方であらせられるのだ!君たち無礼は働いてないだろうな!」

え、マジデ?どうりで見覚えが、陽乃さんは今思い出したみたいな顔してぽんと手を叩いている、あんたが一番国王と接点あったでしょうが!

 

「領主殿、わたしも久々に昔のように宿に泊まってみたいと思っていてな、だからこうやって周囲の反対を押し切ってまで少人数でやってきたのだよ、おかげで道中も中々楽しかったぞ?まだ腕は衰えていないらしい」

と背中のやけにゴツい大剣を片手で軽々と振り回す。

まじかよ王様が強いとか軍事国家といってもちょっとやりすぎだろ、しかもお付の人も含めて5人程度でここまで来たのか?

なんかあったら困るんじゃないのか?

 

「若いころ冒険者まがいのことを色々やったことを思い出してな、君たちの店ができたと聞いてこうやって食べに来たのだ、宿も兼ねていると聞いたからせっかくだから宿泊もしたいと思ってね、ところで先ほどの話の続きだが?」

とこちらに向き直る、ヤバいな材木座の話でピンときたみたいな顔してやがる、国王騙して大金せしめたと知られたら死刑じゃないか?

 

「あーそれは・・・」

ヤバイななんも言い訳が出来ない、開店と同時に閉店とか洒落にならんなと考えてると

「比企谷くん、もう仕方ないよ、どうせ後からばれると思っていたし全部話そうか」

陽乃さんが前に出てくる

「おお、陽乃殿、相変わらずお美しい、やはり第二王女の件は考え直しては頂けぬか?」

「それは丁重にお断りさせて頂いたはずですが?」

「手厳しいな、して話の内容とは?察するに東の領地での話であろう?ただ話の内容によっては私の立場上不本意なことをしなくてはならなくなるが」

 

「まず陛下、誤解の無いようお伝えしますが私達は元の世界に帰るのを第一目的としてます、だからといって陛下に反逆したり、国を脅かそうなどとは思っておりません」

そう言うと陽乃さんは本当のことをかいつまんで話し始めた。

ちなみにアダムさんは冷や汗ダラダラだ。

 

「・・・話は分かった、陽乃殿災難だったな、そして比企谷殿すまぬな、知らなかったとはいえ大変失礼した。しかし何故本当の事を話してくれなかったのだ?」

ちょっとムッとする国王

 

「仮に本当の事を話したとして、報酬を隼人と同じぐらいいただけましたか?それにワイバーンを使った輸送経路の拡大、こちらも隼人の為に開いて頂いたパーティーで私達の料理を披露したおかげで実現したのでは?そこの比企谷くんだった場合はパーティーはおろか私達の料理を披露するチャンスすら無かったと思いますが?」

陽乃さんは国王相手でもまるで引かない、おかげで国王も、タジタジだ

「う、うむ・・・確かにそうだな・・・」

 

「でもこの件は国王陛下と私達だけの秘密にしましょう?」

「何故だね?」

「隼人がやったことにしていた方が何かと都合が良いからよね?ね比企谷くん?」

ちょっとこっちに話を振らないでくださいよ、俺なんて言えばいいんですか?

「君が全ての仕掛け人か?若いのにずいぶんと策士だな、まあ詳しい話は後ほど聞くとして口止め料がほしいね」

うわーやばいぞ、陽乃さんを嫁によこせとか言われたら断れんと思っていると

 

「うーん、陛下?もし比企谷くんが私の救出に失敗していたら私のことを館ごと焼き殺そうとしていたとか?しかも救出には消極的だったと聞いてますよ?それはわたしの中で無かったことにしますのでそれでチャラってことでどうですか?」

えーそれって俺が言うのもおかしいけど国王の選択としては仕方ないんじゃないの?

と思っていたが、国王なんか痛いとこ付かれたみたいな顔してる

「う、うむ、でもそれは・・・」

うわこのオッサンどんだけ陽乃さんに弱いんだよ。

 

「それとせっかく来ていただいたので本日陛下にはメニューにないとっておきのお食事をご用意します。夕食楽しみにしていてい下さい」

そう言うと陽乃さんはニコッと笑う、この笑顔何時もの仮面被った笑顔だわ、スーパー駆け引きモードだよこの人

「おお!本当かね!」

あ、これ陽乃さんの勝ちだわ。

というか本当にいいのかこれ?

 

「しかし比企谷殿には本当に悪いことをしたな、名前を間違って呼んだり知らなかったとはいえ報酬に差をつけるようなことをしてしまって・・・しかしそれも含めて全部作戦だったとは恐れ入ったよ、君みたいな面白い人も人材として欲しい所ではあるが・・・」

「いえ・・・俺は・・・」

なんかいつのまにかスカウトされてる流れになってるんですけど?

どうしたらいいんだコレと思っていると。

 

「国王陛下、大変申し訳ありませんが・・・この男は大変扱い辛く・・・私たちが常に一緒にいないと・・・一人で勝手なことをするので・・・お勧めできる人材では・・・ありません・・・」

なんか雪乃が息も絶え絶えに辛辣なこと言ってきたんだけど、おまえホントに休んでろよ

「そ、そうだよ!ハッチーはあたしたちがいないとホントダメなんです!だから上げられません!」

おい!結衣くっつくな、そして俺は物ではない。

「そうですよ!先輩はわたしの責任を取る義務があるんですから!」

いろはよ、いつまで俺は責任取り続けなくてはならないのだ・・・

 

そんな三人に国王は半ばあきれ顔である

「・・・君たちは彼のなんなのかね?」

「一言で言うのは難しいですが、私たちは彼にとって必要な人です、私たちにとっても彼は大切な存在です」

「ほう、なるほど、では諦めるしかないな、いやはや見せつけてくれるな、若いとはいいものだ!」

そう言うと国王は豪快に笑う

 

なんかみんなやれやれみたいな顔してやがる、材木座はサムズアップした親指を下に向けやがった。

こっそりリア充爆発しろと言ったの聞こえたからな?お前もマリアさんと仲いいじゃねぇか

 

「ついでですので陛下、こういうのはいかがでしょう?」

と陽乃さんが提案を出す

「今、うちの雪乃が体力的にこれ以上業務ができない状態な上にこれからまた混雑が予想されます、なので国王陛下、用心棒のアルバイトをやってみませんか?私どもも頑張りますが、何しろこの世界でこういうことをするのは今回が初めてですし、おそらく酔っ払いどもに絡まれる可能性が非常に高いです、その際うちの男連中では少々心もとないのでお手伝いいただければなと、暇つぶしにもなりますよ?」

 

この人なに言ってるの?何国王働かせようとしているの?暇つぶしとかじゃないでしょ?国王もびっくりした顔してるじゃないの

「無論夜間の飲み食いは全部タダにしますよ?」

「よしのった!お前らもいいな?今宵は無礼講でいいぞ!実は昔冒険者まがいのことやった時も似たようなことをやったことがある、懐かしく楽しい夜になりそうだ!」

この国王大分ノリノリである、お付の人も無礼講と言われて苦笑いしているし、客にバレたら厄介だと思うが、まあ写真なんてないしましてや辺境の人なんて国王陛下の顔見たことすらないだろうから大丈夫かな?

 

そして陽乃さんは国王一行を部屋に案内しにいってしまった。

アダムさんは陽乃くんはこれだからと冷や汗を拭っていた。

心中お察しします。

 

「ねぇハッチー、本当に大丈夫なのかな?」

「しらん、もうどうにでもなれだ、とりあえず夕食の仕込みと酒の準備するぞ」

 

俺たちはまた客が押し寄せて忙しくなるであろう夕方へ向けて準備をすることにした。

 




本当はもっと短く終わるはずだったのですが、書いているうちにあれもこれもと量が増えてしまいました。
ちゃんと終わりを考えてますのでもうしばらくお付き合いいただくと嬉しいです。

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