八幡達は異世界にて奮闘する。   作:もよぶ

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この辺からだんだんとダークファンタジー寄りになっていきます。
でも誰も死なず最後はハッピーエンドにする予定です。


第二十八話

またも忙しい一日が始まる、朝食といえばご飯に味噌汁、あと納豆やらサケの切り身やら卵やらなにやらと俺たちの世界の定番メニューを色々考えた、サケ自体はもちろんいなかったのでいろんな魚を試しようやく似たようなのを発見、それを使う事にしていた、朝食に米が食べられるというのはやはり素晴らしいことであると言わざるを得ない、しかし雪乃や陽乃さんが米を炊くと他の人よりおいしくなるのは何故なんだろうか?

 

朝食メニューは国王一行にも大好評だった、流石に納豆には初め難色を示していたが、材木座が旨そうに食べてるのを見て真似して食べてみたところ本当に旨いと大好評だった。

 

レシピを教えてほしいと言っていたので伝えたが魚の丸焼きを宮廷料理にするレベルのコックが果たして味噌汁を作ったりできるのか不安ではある。

納豆は腐った豆だし味噌だって発酵食品だ、一応城にも置いてあったが人によってはこれは食い物じゃないと激怒するやもしれん、大丈夫なんだろうか?

 

宿泊客の朝食時間は特に決めていなかったので国王一行の方々と一緒に取ることにしたのだが、朝食後国王一行は俺たちが開店準備をしている間に早々に出発していった。

アダムさんに挨拶していくからと出て行ったが、あの人起きるのがいつも遅い、大丈夫なんだろうか?

 

開店後暫くすると客がどんどん入ってくる、ちょっと遅めの朝食だがそれでも人は入ってくる。

一仕事終えてきたなんて気が早い連中もいた、お勤めご苦労様です。

またも外に列ができるので列の整理にとりかかっていると

 

「君たち!国王様が館に来るんだったら先に言ってくれよ!」

なんかアダムさんがプンプンとお怒りになりながらやってきた。

どうやら国王の顔を見たことが無い館の使用人が冒険者の人が挨拶に来たと思ったらしく、寝ていたアダムさんに冒険者の人が挨拶に来ました、と言ってしまったらしい。

またなにか厄介ごとかと思ったアダムさんは寝間着のまま出てしまったらしく、おかげで国王に『もう日が上ってずいぶんと経つぞ!その恰好は何だ!』と怒られたとか、やはり怒られたか、そういった規律のようなところは厳しい感じだったしな。

 

「しりませんよ、そういうのは仮にも領主の館なんだから周知させておくべきでしょう?それにいつも遅くまで寝ている方が悪いんじゃないですか?」

「それはそうだけど・・・君はいつも辛辣だよね!まったく!開店直後は混んでて大変だと思ってこなかったけど今日食い放題の権利を行使させてもらうからな!沢山食べるぞ!」

そういいつつちゃんと並んでくれる領主様偉いです。

 

雪乃は倒れる前に休んでもらい夕方に備えてもらうことにした。

そうやって夕方を迎え、先日の教訓に従いたちの悪い客には一撃食らわせることにしたのだがどうも慣れない、結衣はというと昨日みたいにしつこく絡まれたら相手のテーブルの上の物を一瞬で凍らせビビらせることにしたらしい、昨日のことを思いだすと自然と怒りがこみ上げて我慢できなくなるとか、食い物が凍るのでついでにおかわりも要求させて一石二鳥だとか。

それってヤクザみたいな気もするが、この世界ならそれも許される模様、力こそ正義、いい時代になった物だ。

 

「やっぱり慣れんな」

先日国王に言われたのにどうしても相手に手を出すというのがやりにくい、注文を伝えに厨房まで行くとぽろっと漏らしてしまう。

「知ってる、ハッチーやさしいし」

そういうことをさらっと言うな、恥ずかしいだろうが

「八幡よ、そういう時は我を呼ぶがよい、我の力で何とかしてやろうぞ!」

「あんた、どうしてもって時はあたしを呼んで?」

材木座と川崎が申し出てくれる、正直情けないが頼るしかないのが現状だな

 

「八幡、僕も頼っていいからね!」

戸塚、嬉しいがお前に迷惑をかけるわけにはいかない、ただでさえお客は戸塚を見るとずいぶんと微妙な顔つきになってるからお前に申し訳なく思っているんだ、そのケがある野郎に絡まれたらどうしようと思ってるぐらいだしな、でも女性客からは大うけだ、戸塚を指名するお客もいてアイドル扱いである、戸塚が行くたびに大騒ぎしている。

看板娘にしてもいいのではないだろうか?

この場合看板男の娘であるが

 

そうやってその日も乗り切り次の日へ、毎日お客が押し寄せてくるのでマジで大変ではある、死ぬほど忙しく毎日があっという間に過ぎていく、宿屋の方も好調である、住居も兼ねる都合上敷地を広く取る必要があったので、街中に店を構えることは無理だった、その為街から若干離れた外に近い場所に構えているので外から来る人のアクセスが非常にいい、さらにワイバーンの発着場が近くにあり、物珍しさもあって泊まる客が多いのだ、宿の値段も他よりも高めだが旨い飯と美人の店員ということで人気はかなり高くなっているようだ。

 

たまに厨房のメンバーも接客に回ってもらうことがある、雪乃と陽乃さんあたりだとまた絡まれるんじゃないかと心配したが美人すぎてビビってしまい逆に何もできなくなるらしい、ごつい男でさえ雪乃や陽乃さんの顔を見ると顔を真っ赤にして固まってしまうので注文が取りにくいとぼやかれる始末。

いろはは元よりめぐり先輩も何故かお客のあしらい方がうまく、絡まれてもうまいことかわしている模様、藤沢はなにかというと本牧がすっとんできて対処してたのでこれも問題なしだ。

 

そうして日を追うごとに少しずつ混乱も減り客足も安定してきた、そもそも値段は他の所より高めに設定してある、毎日これる冒険者は限られてくるのだ。

そうなると客は必然的に稼ぎがいい冒険者や葉山のように名前が売れている冒険者等に絞られていく、そうして客足が安定してくると今度は絡んでくるような客は激減していった。

 

どうやら国王も他の偉いさん達に旅行に行くなら千葉亭がいいと言ってくれているらしくたまに偉いさんも来る、わざわざ反対側の領地から泊まりに来たという人までいるようだ。

 

そういった人たちはモラルが高い、偉いさんには軍人が多い為規律にはうるさいということもあるのだろう。

有名どころの冒険者も下らない問題起こして名前に傷がつくのが嫌らしく、そういうのは控えてるようにしているようだ。

無論アダムさんもよく来店する、頻繁に来てくれて場合によっては朝昼夜と一日中顔を出す様な状態だ。

 

結果としてマナーが悪かったり酒癖が悪いような客層がくることは他の酒場より圧倒的に低くなり、安心して食事や酒が飲めるということでまたも評判があがることになった。

 

余裕が出てくると孤児院の手伝いを毎日ではないが再開することにした、材木座は大喜びで孤児院へいく、ついでにパワーアップをしたいからといくつかの補助魔法を覚えるため訓練所の人の所に相談に言ったりもしてるらしい、アクティブすぎるだろあいつ、防御や反射の魔法を中心に習得するとか、アクセラレータでも目指すのか?

本牧たちも鍛冶屋に復帰、こいつらは鍛冶屋の店主に気に入られまくったので引っ越しするといったらぜひ家に住んでくれと言われ半ば強引に住み込みで働くことになったそうだ。

そして小町と川崎姉弟は正式にバイトから引き揚げさせてもらい、うちで働いてもらうことにした。

平塚先生は訓練所通い、たまに訓練生を連れ来るので儲けさせてもらってる。

 

あと食材確保の為の討伐も再開することにした。

食材自体は仕入れることは出来るが、討伐もしておかないと体が戦い方を忘れてしまうというのもある、この世界は今後何が起きるかわからん状態だし、いざという時戦えないと困ることが起きるかもしれん、もちろん食材確保が目的なので遠出はせず近場でやることにしていた。

 

開店から3ヶ月ほど経ち、すべて順調にまわっていった為当初の目的であった情報の収集にかかる、収集と言っても、なんとなくお客に話しかけたり、最近どう?とか話題を振るのだけなのだが、雪乃をはじめとするうちの女性陣は皆美人ばかりなので男性客は大喜びでいらん事まで話してくれる、お陰で非常に情報収集がはかどった。

 

俺たち男性陣はというと、戸塚は女受けするので問題なし、材木座は冒険者に顔が効くので何もしなくても話しかけられるし、大志もバイト先に来た客と知り合いになってたらしくちょくちょく話しかけられている。

 

あれ?俺だけ人脈なくね?異世界に来てもボッチかよ・・・

 

ただ今の国内の情勢やモンスターの動向等は色々聞けるのだが、肝心の異世界に帰る情報や以前葉山から聞いた転送魔法の話等の情報はまるでなかった。

 

そして葉山達は未だ戻ってきていない、情報によればあまり状況が良くないらしい。

北方面にモンスター討伐に行ったが相当苦戦しているらしいとのこと、なんでもモンスターが次々と押し寄せてきていくら倒してもきりがないとか、ゴブリンが村一つ丸ごと占領して罠を仕掛けたとか、同行してる国王軍の部隊がその罠にはまって危険な状態になっているとか大分物騒なことになっているそうだ。

なんとかその村の罠を突破したそうだが部隊もほぼ壊滅、その上箝口令が敷かれたらしく、どういった罠だったのか、何故そこまで追い詰められたのか、葉山達はそもそも無事なのかが一切わからない。

 

客層が有名どころの冒険者や稼ぎが良かったり、身分が高い人だったりするので、必然的に得られる情報の信頼度も高く、怪しい情報というのは少なかったのだが、そういう人たちですら何が起きてるのか皆目見当がつかないそうだ。

 

「あいつら死んだりしねぇだろうな」

ある日の夜、客足も落ち着いたので休憩がてら皆で食事をとっている時ふと口に出てしまった。

学校にいるときはリア充なんて死んでしまえばいいなんて思っていたが、さすがに本当に死んでしまうのはアウトである。

「隼人はバカだけどバカじゃないから大丈夫よ、比企谷くんはおバカさんだけどね」

「そうね、あの男はあなたと違って自分を犠牲にしたりしないから大丈夫ではないかしら?」

あんたら姉妹なんか辛辣ですよ?

そして雪乃さん痛いところ付かないでください。

 

「葉山先輩は先輩よりしっかりしているから大丈夫ですよ、きっと」

「隼人君は大丈夫!それよりハッチーの方が心配だよ、また変なことしたら許さないんだから!」

いろはは何気に酷い、そして何故か結衣から怒られてしまう。

 

「なんでお前ら葉山の信頼度がそんなに高いんだよ・・・そしてなんでついでみたいに俺をディスるんだ?」

「あなたの信頼度が低いからあの男の評価が相対的に上がってるだけよ犠牲谷君」

雪乃は笑っておらず真剣にこちらを見つめている、他の連中もこちらをじっと見ている始末だ

「わーったよ、大丈夫だから、もう二度としませんって」

また雪乃の口撃が始まってしまうな、そう思っているとどっかで見たことがあるチャラ男が俺たちのテーブルに近づいてきた。

 

「あのーすみません」

 

「あーすんません今飯食ってるんで、注文っすか?」

飯食ってるのになぁ、でも客商売だからこういうのは仕方がないかと思っていると

「いえ、そうではなくて比企谷さん、あなたに用事があってきました。私は以前ここが開店した時結衣さんに絡んであなたに酷いことをしてしまった者です」

あーそういうことあったな、と周りにいる連中の気配が変わる

「話は聞いてるわ、今更何をしに来たのかしら?」

「ハッチーちょっと下がって、この人絶対許せない」

「八幡、ここは任せてもらおうか」

いきなり雪乃達が武器を手に取り臨戦態勢である、戸塚までもが無言で杖を持って殴ろうとしている、めぐり先輩なんて見たことないような怖い顔をしている、陽乃さんに至っては完全に無表情だ。

ちょっとあんたら待ちなさいよ、まだこの人話し終わってないでしょうが

「ちょっとお前ら待て、戸塚も武器を下ろせ、何しようとしてるんだ」

 

「大丈夫、殺しはしないわ、ただ死んだ方がマシだったと思わせるだけだから大丈夫よ」

「火傷してもすぐヒールをかければ大丈夫だよ?」

「某剣心は言っていた、逆刃刀だから大丈夫だと」

「お前ら全然大丈夫じゃねぇよ、ちょっと落ち着け、んであんたは今更なにしに来たんだ?復讐ってわけでもなさそうだが?」

 

その男はお詫びをしにわざわざ来たらしい、ずっと平謝りの様子に皆武器を下ろしてくれた。

なんかみんな血の気が上がってませんかね?

特に戸塚も小町も天使じゃなくなっている気がするんだが、アレ?でも天使って剣持ってたり天罰くらわしたりするからいいのか?

などとどうでもいいことを考えてると

「本当に今更で申し訳ありません、このお詫びの品を探すのに手間取ってしまって、討伐や外部に出かける際に使うととても便利な物です」

と小さい白い鳥居のようなアクセサリーをくれた、身に着けてるとゴブリンが攻撃してこなくなるそうだ。

「そういう事なら有難く頂戴します」

ゴブリンは気をつけていないと奇襲をしかけてくるから食材目的の討伐だと大変厄介な存在だ、それに食えるものではないし、今や換金目的で討伐する必要もないしな。

 

「みなさん最近討伐を再開されたと伺いました、ちなみにいつもどの辺で討伐をしてらっしゃるのですか?」

チャラ男が聞いてくる、まあ秘密にするようなことでもなし、仮に出先でこいつに襲われてもこちらも一人二人でいるわけじゃないし武器を持ってたらこいつ程度には勝てるだろと思い普通に答える

「んーいつもは近場なんだが最近はちょっと足を延ばして丘の向こうあたりまでだな、森を抜けるとちょっとした広場があってそこをベースにしてやってるな」

「ああ、あの辺ですか、確かに少し遠いですね、気をつけてくださいね」

 

そう言うとチャラ男はその場からすぐに姿を消してしまった。

「あれ?もういなくなった、んもーなんだし!」

「結衣さん、こういう場合は塩をまくといいのよ?」

「物を渡せばいいと言うものではあるまい、しかも今更来おってからに!誠意が全く見えん!」

みんな不機嫌気味だ

 

「ま、まあもう絡んでくることも無いだろ、それより早速次の討伐の時に使ってみるか、転ばぬ先のなんとやらだ」

 

陽乃さんを救出してからここまで順調に行きすぎていた。

そして偶然にもいい人に恵まれていたこともあって俺は気が緩んでいたのかもしれない、ここは平和な日本ではなく、力こそ正義であり隙を見せたら食われてしまう食うか食われるかの過酷な世界、俺はそういう世界に身を置いているということを忘れていたのだ。

 

それを身をもって知ることとなる。

 

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