八幡達は異世界にて奮闘する。   作:もよぶ

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第三十三話

片づけも終わり落ち着いたあたりで葉山が話しかけてくる

「比企谷、色々あって大変だがあの白い鳥居のような物について詳しい話をする、他の人も聞いてくれ」

 

「俺達が国王の命令でモンスターが大量に発生している北の領地に向かったと言うことは皆知っているだろ」

 

葉山達は国王から部隊を預けられ北の領地へと進軍していったが到着時、すでに大量のモンスターが領地に攻め入ろうとしているところだった、その為すぐモンスター共の掃討を開始したがこれが中々終わらない、倒しても倒してもまるで引き寄せられるようにモンスターがやって来る、初めは優勢だったが数で押され兵士も何人かモンスターに倒され始める、そして門を突破されてしまい街中までモンスターが入り込み住民に被害が出始めた辺りでモンスターの数が減り始めたとか。

 

「お陰で掃討が捗ったが、掃討後に現場を調査していたら骨で作った意味ありげな物が街を囲むように設置されていたんだ、何と呼んでいいかわからなかったから便宜上それを俺たちは『トーテム』と呼ぶことにした、そして殺されてしまった住民や兵士の所持品にあのアクセサリーがあったんだよ」

 

殺された人全員が持っていることに疑問を感じたため、葉山が部隊の魔法使い達ににアクセサリーとトーテムについて調べてもらったところ、因果関係が発覚、アクセサリー持っている人がトーテムに近づくとに能力が発動、モンスターがアクセサリーに引き寄せられるように集まってくるので必然的に所持している人は潰されるか食われて死んでしまう、その為トーテムは全て破壊、他に能力発動前のアクセサリーを持っている住人を数名発見、いずれも北の領地と王都の間の村から来たという男からお守りだと言われて買ったということがわかった。

 

「あのアクセサリー自体は壊れるか時間が経つと効果が無くなるものらしいが、兵士たちが戦闘中にトーテムに近づいてしまい能力が発動ということが次々と起きていたんだろう、殺された俺たちの部隊の奴も持っていた、野営の為に村に立ち寄ったからその時に手に入れたのかもしれない」

 

やばいアイテムを秘密裏に量産してばらまいてる村は放置しておけない、すぐさま葉山達はその村へと進軍していったのだが

「ここで俺は失敗した、部隊長は村人を問い詰めるだけだと高をくくっていた、俺は止めるべきだったんだ、兵士たちも騙されたと憤慨するものが結構いたので、休憩もそこそこに動ける者たちだけで動いてしまったんだ、だが俺たちがアクセサリーについて調べたことも、出所も突き止めたことも奴に知られていた、だから俺たちがすぐやってくることはあいつらはわかっていたんだ」

 

「あいつらって誰だ?またなんかの呪いとかで操られているとか、テロリスト的な連中か?」

「それならまだいいさ、あいつらとはゴブリン共だ」

 

「ゴブリンって・・・あいつらにそんなアイテムを作る能力とか罠をしかけるとか複雑な作戦立てるとかできるわけないだろ?それに街の人は男から買ったとか言ってるんだろ?」

あいつらは本能のままに生きている、集団で襲ってくることはあるが統率力があるようには見えない、ただ欲望のままに食って犯して燃やす連中だ。

 

「いや、あいつらの中にはそういったのもまれに出てくる、ゴブリンロードという奴だ、こいつは統率力が優れているし他のゴブリンよりも知能が高い、しかも人語を話せる、こいつが村を占領していてそこからアイテムを北の領地にばらまいていたんだ、モンスターに蹂躙させた後に自分たちが領地を乗っ取ろうという計画だったそうだ、人間に協力者がいてばらまくのはそいつの担当だったらしい、見返りとしてゴブリンから金と女をあてがわれていたそうだ」

 

「んなまさか・・・でも村人はどうしてたんだ?一回お前たちは立ち寄ったんだろ?」

「ああ、ここからが問題だ、箝口令が出て詳しいことは話すなと言われているんだが・・・」

 

と葉山は三浦の方を振り向く、三浦は黙ってうなずく

 

「・・・村人は全員寄生タイプの虫型のモンスターにやられていたんだよ、そいつは頭に取りついて体の自由を奪う、その虫の女王を持っていれば好きな時に体を意のままに操ることが可能だ、ただし操られる当人の意識は正常なままでだ、はじめ立ち寄った時は俺たちの装備も充実していたから攻めるのは悪手と判断したんだろう、下手に俺たちに接触しない様に人質も取っていたそうだ、だから気が付かなかった、俺たちが引き返した時村人が武器を持って襲ってきたのでそこで初めて気が付いたが後の祭りだ、襲っては来るが口では助けてくれと言っているので部隊の連中も攻撃できないし、抑え込んでも意識が無くならない限り怪我をしようが骨が折れようが無理やりこちらに武器を向けて来る、そうこうしているうちに同じく体を操られた村人がアクセサリーの能力を発動させモンスターを引き連れてやってきたんだ」

 

「・・・どうなったんだ・・・」

 

「部隊の人数もそれほど多くなかったから思わぬ反撃にめちゃめちゃになった、さらにゴブリンも側面から強襲してきたからあっというまに壊滅寸前まで追い込まれた、部隊長の判断で無差別に強力な魔法で村を吹っ飛ばし、兵士たちも襲ってくる村人を切り殺してなんとか俺たちは逃げられたんだ。さっきまで話した詳しい事情は気絶させることに成功した村人を何人か逃げるときに担いで連れてきてな、落ち着いた先で色々聞き出した。意識を取り戻すと首から下は言うことを聞かない状態だから拘束しながらだったが」

 

「・・・切り殺したって・・・お前・・・」

「・・・ああ、俺達は操らているだけの罪もない人を殺しながら逃げてきた・・・」

 

「で、でもそうしないと逃げられなかったんでしょ?し、仕方ないかったんじゃないかな・・・?」

そんな中めぐり先輩が励ますように言うが

「結論として俺が人を殺したという事実には変わりはないよ・・・ただこれだけははっきりさせておくが、優美子や戸部たちには手を出させてはいない、俺たちのパーティを襲ってきた村人は俺が全部対処した、その辺は誤解しないでくれよな」

葉山はうつむく

 

「で、でもですよ葉山先輩、言い方変ですけど東の領地でも同じようなことあったじゃないですか!めぐり先輩が言うように仕方なかったと思いますよ・・・」

いろはも葉山を励ますように言ってくれたが

 

「東の領地で襲ってきたのは兵士たちだ、彼らは訓練を受けているし装備もちゃんとしていたから怪我を負っても致命傷にはなりにくい、そして魅了状態ということもあったのか、ある程度ダメージを与えれば痛みや何やらですぐ戦意喪失して襲ってこなくなっていた、俺たちも加減する余裕があったしな、だが今回のは違う、ただの平和に暮らしていた村人だ、それが押さえつけても自分の骨が折れるぐらい力を入れて無理やり脱出して襲ってくる、足を抑えても足の骨が折れたり千切ったりして無理やり抜け出して這ってでもこちらに武器を向けてくる、しかも当の本人は涙を流し助けを求めて叫びながらだ、体の自由がきかない助けてくれと、殺す以外止め方が分からなかった・・・」

皆絶句していた

 

「・・・気絶させた村人はどうなったんだ?」

 

「・・・助けられなかった・・・頭の中に寄生するというのも避難した先で調べてわかったんだ、ただ取り出しようがない、なんとか助けようと頑張ったが、殺してくれと懇願してきてね・・・部隊長がやってくれた、俺は何もできなかった・・・結果を王都へ報告したらそんなモンスター聞いたことも無いと帰ってきてね、それに事情があるとはいえ正規の部隊が村一つ消滅させたんだ、国中が騒ぎになるとまずいということで箝口令が敷かれたんだよ・・・」

 

「ちょっとまって、隼人、なんか話し終わりそうだけど協力者の男ってどうなったの?あとゴブリンロードってのもどうなったかわからないし、そもそも比企谷くんがもらったアクセサリーの出所もよくわかんないんだけど?」

陽乃さんが声を上げる

 

「アイテムの出所は俺もわからない、出所を調べようにも村は跡形もなくなくなってしまった、ただゴブリン達が作った物ではないらしい、大きな箱から取り出していたそうだし、作ってる様子も全くなかったそうだ、そしてゴブリンロードだが死体は見当たらなかった。たぶん自分が逃げる為に村人を犠牲にしたんだろう、他のゴブリン共の死体も極端に少なかったしな、完全に逃げるための時間稼ぎだったみたいだ。

それと協力者の男はアクセサリー補充の為に戻ってきて散々楽しんだ後また旅立つことを繰り返してたそうだ、王都にもばらまきに行ってたらしい、でも王都の方は防衛が完璧だから失敗したんだろう、俺たちがこの世界に来たときまではモンスター押し寄せてきてたらしいがその時は全部殲滅できてたそうだ、そのうちぱったりと来なくなったと国王陛下が言ってたからな、諦めたんだろ、そうやってばらまいて、秘密裏にトーテムを設置、そのうちモンスターが押し寄せてきて街や村を襲う、自分たちは巻き込まれないよう高みの見物をしてそれを待っていればいい、そして相手は何がどうなってるかわからないうちに壊滅状態に陥る、くやしいがゴブリンにしてはうまいやり方だ」

 

「だと僕たちもその策略にはまったってこと?んじゃこの間来た男がゴブリンの手下ってことだよね!だとするとまずいよ!襲ってきたモンスターにゴブリンもたくさんいたよ!」

戸塚が焦っているか大声を上げる

 

「そうなるな、だからまず領主様へ報告して臨戦態勢を取ってもらう、あとはその比企谷にアクセサリーを渡した男を探しだす、今回は状況がちょっと違うようだしな、どういった計画なのかまだこの街に居れば捕まえて色々聞かないとな・・・」

「・・・すまん・・・俺が軽率だった・・・」

 

「それは材木座君に言ってくれ、じゃあ今回のこと領主様と国王陛下に報告しないといけないから失礼するよ、ああそれとせっかく宿を作ってくれたみたいだけど今日は前の所に泊まるから、荷物は明日にでも運び込むよ」

葉山はそう言うと三浦と海老名さんを連れて店から出て行った。

 

「先輩・・・」

「八幡・・・」

戸塚といろはが不安そうな目でこちらを見てくる。

平塚先生や川崎たちも何も言えないようだった。

 

ゲームのように一つ前のセーブデータに戻って選択肢を選びなおしたとしても人生は変わるかと前に考えたことがある。

最終的にそれは否であり、受け入れて進むという結論に達した。

だがあいつの腕が動かなかったら、俺はどうすればいいんだろうか、これは簡単に受け入れていいものではない、仮に治ったとしても罪悪感は消えないだろうし、材木座は俺を信用してくれないかもしれないし、俺を恨み続けるのかもしれない。

もう二度と前のような関係にはもどれないだろう。

 

異世界に来てあまりに上手く行きすぎていた、自分の作戦もことごとく上手く行ってた、陽乃さん達を救出するときも酒場を建てる為の金策も、だから自分の考えに浮かれていたのだろう、ここは元の世界とは違うのだ、よく知らない相手の言葉を鵜呑みにしてホイホイと信じて酷い目にあったというのは騙された方が悪い世界なのだ、やった方よりやられる前に自衛の手段を取らない奴は間抜け呼ばわりされてしまう、そもそもこうならないための選択肢はあったはずだ、何故それを選べなかったのか。

悔やんでも悔やみきれない。

 

「お店しばらく休みにしよっか?」

「うん、そうした方がいいかな・・・この状態じゃお店まわせないよね・・・」

不安そうな顔で陽乃さんとめぐり先輩が提案してきた。

 

「そうだね、少なくとも明日は休もうよ、それと八幡はもう休んで!あとは僕たちがやっておくからさ」

戸塚が微笑みながら俺を部屋まで引っ張ってくれる、いつもなら飛び上がらんばかりに嬉しいが今はとてもそんな気になれない

「・・・本当にすまん・・・」

俺は一人で部屋に入るとそのまま倒れるように寝てしまった。

 




この話に出てくるゴブリンロードはゴブリンスレーヤーに出てくる奴よりもっと賢く狡猾な設定です。
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