八幡達は異世界にて奮闘する。   作:もよぶ

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第三十五話

材木座が出ていってから俺はあまり外で戦わないことにした。

これ以上誰かの犠牲を出したくは無かったからだ、元々その為に千葉亭を作ったわけだしな。

 

一方陽乃さんはたまに誰かを連れてふらっと出かけては狩りをしてくることが増えたようだった。

大丈夫ですか?と聞いたことがあるが

「んー?このままだとなまっちゃうしね、必ず誰かと行っているしそれに今はこの間の一件もあって冒険者とかが必ずうろついてるし1人にならないから大丈夫だよ」

葉山がアダムさんへアクセサリーやトーテムの話をした為、冒険者たちに臨時のクエストが出されて今や常に冒険者が街の外で不審な物が無いか探しており、しかもゴブリンを倒すと報奨が多めに出るようになった為見つけ次第ガンガン葬られている状態だった。

 

葉山達も俺たちの所へ引っ越してきて毎日どこかへ行っている。

チャラ男の行方も探しているようだがなかなか見つからないとか、俺も店に来た客に話を聞いてみたが街で見かけたという人が複数いたのでどこかに潜伏しているのは間違いないようだ。

 

しばらく経ったある日のこと陽乃さんから呼び出される

「ねえ、比企谷くん、材木座くんのことで話があるんだけど」

あれから材木座とは殆ど顔を合わせていない、食材を受け取りに来る時はあるのだが合わせる顔がない。

「比企谷くん、いい加減に彼から逃げるのはやめたら?仲良しこよしになる必要もないけどこれじゃちょっとやりにくいかな」

 

「この世界に来てあいつが一番喜んでました、戦闘も一番喜んでやっていました、それを俺が・・・」

「君ねぇ・・・」

そんな俺を陽乃さんが呆れたように見る

 

その時だ

「だから金は払うと言っておるだろう!」

「だめよ!受け取れないわ!」

 

材木座が食材を受け取りに来た、当初は買うという話だったが、責任を感じた雪乃はお金の受け取りを拒否、おかげで毎回こんな感じだ。

ちなみに左腕はマリアさんの編んでくれたカバーをはめていて使えるのは右手だけの状態だ。

 

「だからお主らが責任を感じる必要はないと!」

「あなたを戦えなくしたのは私の責任よ」

「いやそれは・・・わかった、今回の分の支払いもツケだ!絶対受け取ってもらうからな!」

材木座は食材を受け取ると出ていった。

 

「君たちは勘違いしているんだよ、この間森の奥で彼を見つけたんだけど・・・まあいっか、一緒に来なさい」

俺たちは陽乃さんに無理やり材木座のとこへ連れていかれることになった。

 

「この間こっそり様子見に来たら面白い話をしていたんだよね、今日もしているかもね」

と俺たちは物陰から材木座の様子を伺う、どうやら外で子供たちに話をしているらしい

 

「八幡と雪ノ下殿は今日もよからぬ悪霊に取りつかれておって大変困っておる、おかげで奴らは我とまともに会話をしてくれなくてのう、困ったものだ」

「けんごーがその悪霊をぶちのめしてやればいいじゃん!」

「そう簡単に行けばよいのだが・・・」

 

「けんごー、これつけていつものアレをやれば悪霊なんていっぱつだよ!」

と子供達がやたらとごつい黒い金属の塊のような手甲を引きずりながら持ってくる

「これこれ、むやみと出す物ではない、しかしそうだな・・・我が戦えるということを示せばあるいは・・・」

 

「君たちは悪霊にとりつかれてるんだってさ、それにあれなにかわかる?」

陽乃さんが聞いてくるがさっぱりわからない

「本牧君が作ったんだってさ、あれつけると握力の制御ができるみたいよ?右腕用もあってそっちはまた別みたいだけどね」

「なんでそんなこと知ってるんですか」

「んー使ってるの実際見たからかな?」

 

と陽乃さんは物陰から飛び出しずいずいと材木座の方へ

「ひゃっはろー元気かなー?」

「ああ、これは珍しい雪ノ下姉上殿ではないか、どうされた?」

「うーん、いつも思うんだけど別に『陽乃殿』でもいいよ、なんか回りくどすぎだよ君の場合」

と陽乃さんが名前を口に出すと

「陽乃?魔女だ!」

「しょーぐんが改心させたから大丈夫だよね?」

子供たちが一気にざわめきたてる、そういや前にそんな話してたよなと思いだす

 

「ふふふ、そうよ!私は魔女!復讐しに来たのよ!手始めにそこの男の友人を私の下僕にしてもらったわ!」

と陽乃さんはこっちを向くと

「いでよ!わが下僕達!」

魔女とか言われて平然としてるってことは材木座がでっち上げた話聞いたのか?

それよりもなんか呼ばれてるんですけどってか下僕ってどういうこと?

渋々材木座の前に姿を現す

 

「さあ君たち!材木座くんと戦いなさい!」

「何言ってるんですか、片手がまともに使えない奴と戦えるわけないでしょう」

奴は左手の制御が聞かない、かなりのハンデになる

 

「ふむ・・・良いアイディアであるな・・・諸君!下がっておれ!魔女は相棒達をたぶらかし下僕にしてしまったようだ!我の強さを思い知らさせ正気にもどさなくてならぬな!」

子供たちを建物の中に下げると巨大な手甲を付けた材木座が木刀を手に出てきた。

手の部分はさながら金属の手袋と言った感じでひじの部分は円筒形をしており黒と赤でペイントされていてどっかで見たような形をしている。

アレってなんかのアニメのロボットの腕にそっくりなのだが、なんだっけ?

 

「そんなんでやれるのかよ」

「貴様が心配することではない、戦い方のスタイルを変えたのでな、では立ち会おうか?」

こちらに木刀を投げてくる、つい受け取ってしまうが戦う気なんぞ全く起きない

 

「お前と戦う理由が無い」

当然だ、なんで戦わないといけないんだ。

「またそのようなことを・・・雪ノ下殿も同じ意見か?」

「そうね・・・」

木刀を受け取りはしたが構えることなんて当然できない

 

「理由・・・なるほど八幡はそうやって御託を並べまた逃げる気か?」

「なんのことだよ」

 

「そこの二人のことよ!我が知らぬと?元の世界でそこの二人がどういった気持ちでヌシのそばにいたのか、その二人が勇気を出した結果貴様は逃げ出して今に至るわけであろう?」

なんだこいつ?いきなり関係ない話で煽ってきやがって

 

「それで挑発しているつもりかよ、大体お前には関係のない話だろうが」

「そうね、それはここで論じることではないわ、私たちの問題よ」

「そうだよ中二!中二は関係ないじゃん!」

さすがに二人はムッとしたのか声が多少大きくなっている

 

「ほむん、自分らの気持ちを伝えたのにうやむやにされて尚こやつのそばに居たいと思う貴女らの神経がよくわからんな、それにこの八幡がしでかしていたこと貴女らは知らぬであろうから教えてやろう、千葉亭が出来て間もないころ、我は店の裏手の木陰でよく休憩をしていてな、うまい具合に隠れる形になるからよくサボっていたのだが面白い物が見れてのう」

 

店の裏手は小川が流れている、わざわざ水を引いて作った人口の川だ、大量の食器を洗ったり、洗濯したりと中々重宝している

 

「八幡よ、そこで洗濯中の雪ノ下殿を後ろから抱き締めてなにをしようとしていたのかな~?」

ニヤニヤしながら煽ってくる材木座

 

「いやそれ「抱きしめたのは事実であろう?」それはそうだがそれは「顔と顔が近づきすぎて我にはとても直視できなかったわい、雪ノ下殿は美人だからのう、ムラムラするのはわかるが昼間っから発情するのはいかがなものか?」」

「本当ですか?先輩・・・?」

いろはが不安げな表情になっている、結衣も表情が暗い

「は!その様子だと知らなかった見えるな!由比ヶ浜殿!お主に至っては八幡が正面から抱き付いて押し倒しておったであろう!そのままどうする気だったのかな?」

「ちょっと中二!その言い方!それにあれは!」

「そして一色殿だけ蚊帳の外だものなぁ、ああひょっとして我が見てない時になんかやってたのか?八幡も罪深き男よのう」

「ちょっと材木先輩!」

いろはもイラついている、何しろ材木座の表情が下卑た笑いに満ち溢れているように見えるからだ

 

「八幡は誰かを選ぶとかほざきながら現実はこうだ、うやむやにして3股か?こんな性欲丸出しの不誠実な男に好意を寄せているお主らも大概であるなぁ」

 

こいつ、なんてこと言いやがる

「学校にいた時から思っていたのだよ、貴様はなんやかんや言うておったが、このような美女等とお主等は放課後の人がめったに訪れない特別棟の教室で毎日ナニをしておったのやら、まあ我でなくとも簡単に想像はできるわ、よかったのう、この世界では大ぴらにやっても止める者はいないぞ?」

挑発しているのだろうがさすがに言いすぎだ

 

「おい、おまえそんなこと考えてたのか?」

「は!当然であろう!美女を連れまわして何も無いなんてあるわけないであろう!お主ら別な意味で有名人なのを知らんと見えるな?我も冒険者仲間から良く聞かれれて辟易するレベルだ、違うというなら止めて見せればいいだろ?エロ谷くん?」

材木座の表情は今までに見たことが無いニヤニヤとしたいやらしい笑い顔になっている。

 

さすがにこれにはブチンときた、挑発のつもりなのかもしれないが、なんでこいつにここまで言われなきゃならんのだ

「八幡、さすがに彼の暴言を許すわけにはいかないわね」

「ハッチー中二をちょっと黙らせようか」

「先輩、私も手伝います!」

「材木座くん、言いすぎだよ!」

 

皆材木座に怒り心頭だ、こいつには確かに負い目があるが少しお灸をすえなくてなるまい

「戸塚、いろははすまんが待機だ、俺と雪乃と結衣でラッシュをかけてあいつをぶちのめす、多分加減できないからぶちのめした後回復治療をたのむわ」

戸塚は回復担当だし、いろはは弓矢での援護担当だ、二人とも杖やショートソードでの近距離戦もできなくもないが速効で相手を沈める対人戦には不向ということもある。

 

「分かったよ八幡」

「先輩!私の分もお願いしますね!」

「雪乃!結衣!速効で片づけるぞ!」

俺と雪乃で材木座を思いっきりぶっ叩いて結衣の魔法で吹っ飛ばす、シンプルな作戦だ。

無論雪乃の強化魔法で速度を上げ速効で終わらせるつもりだったが陽乃さんが話しかけてくる

 

「ねぇ比企谷くん、彼を甘く見すぎてないかな、油断しない方がいいとおもうな」

「何言ってるんですか!」

「まぁいいけどね、悔いの無いようにやればいいと思うよ」

この人はまた引っ掻き回すようなことを・・・もう今はそんなことどうでもいい

 

俺と雪乃ははニヤニヤしている材木座にとびかかる

「材木座ぁ!」

「ふん!ヌシのような腑抜けの攻撃何ぞ軽くいなしてくれるわ」

 

ガキィン!

 

手甲によって簡単に攻撃は防がれてしまったが、これは囮だ

「結衣!」

「二人ともどいて!ウィンドショット!!!」

結衣から魔法が放たれる

強力な風の塊が飛んでい行く、これは避けられないはずだ、陽乃さんですら避けられなかったわけだしなと思っていたが甘かった。

 

材木座は左腕を上げると

 

「プロテクトシェード!!!!」

材木座の左手が開かれると大きめの防御魔法が展開されるが何かが違う、

 

シュン

 

風の塊が材木座の左手の部分で渦巻くとそのまま消滅してしまった。

 

「んなバカな!雪乃!もう一度行くぞ!」

と二人で再度とびかかるが

 

カキン

 

全く力が入らず俺と雪乃の攻撃はあっさりと防御魔法に止められる、強化魔法で速度も上げたはずなのにそれすらも無効化されてしまう。

力が吸い取られていく感じがする

 

「一体何が起きたんだ?」

「説明しよう!八幡!、これぞ我が開発した新型魔法プロテクトシェードだ!この防御魔法は展開と同時に周囲の魔力を一気に吸い取るのよ!、故に襲ってきた対象の魔力を吸収してしまうのだ!この魔法の前では魔力の恩恵にあずかってる貴様らはただの高校生程度の力しか出ないのだ!」




材木座の中の人は勇者王ですからね。
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