八幡達は異世界にて奮闘する。   作:もよぶ

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第三十六話

「新型魔法ってなんだよ」

こいつどっかの勇者王かよ!ちょっと見ないうちにいったいどうなってるんだ?

 

「まあ、吸い取ると言っても一時的な物だから安心せい!我らの魔力は簡単に復活するのでな、秘密はこの化け物じみた握力よ、これで防御魔法を極限までに圧縮し解放すると魔法を展開した方向の魔力を一気に吸い取りながら膨張するのよ!アレだ、冷蔵庫を拾って使えるようにした時に吉原殿らに色々聞いたのだ、本来冷蔵庫はガスを圧縮、膨張させて熱を吸い取る仕組みだがこの世界では魔力でも似たようなことができる言われたのを思い出してな、ただあんまり持続できないのが難点だが」

 

「そんなに秘密をペラペラしゃべっていいのかしら?持続できないなら連撃を繰り返すだけよ!」

雪乃が剣を構えなおす

「ふん、ならばくればよかろう?」

さっきの防御魔法は握力を使ってやるといっていたが右腕は違うはずだ。

右腕にも手甲をはめているがこっちにも何か仕掛けがあるのだろうか?

考えても仕方がない

 

「雪乃、あいつの右側を攻めるぞ」

「言われなくても!」

 

雪乃が飛び出すが材木座は右腕を後ろに引くと空中を殴るように前に突き出す

 

「ブロウクンマグナム!!!」

 

手甲が腕から打ち出されて飛び出してきた。

なんだあれ、マジでどっかの勇者王の技じゃねぇか、すんでの所で雪乃はかわしたがそのまま手甲は結衣の方へ飛んでいく

 

「結衣!」

俺は結衣にタックルをして吹き飛ばすが手甲の一撃を食らってしまう

「グハァ!」

 

「おっと、八幡に当たってしまったか、由比ヶ浜殿に当てるつもりだったのだが」

どういう仕組みかわからないが手甲はそのまま材木座の右腕に戻っていく

 

「この手甲の中には魔法を押し込む空間があってだな、そこに反射の魔法を詰めるだけ詰め込み打ち出すエネルギーにしているのよ、まあ簡単に言うと鉄砲の火薬の代わりみたいなものだな、由比ヶ浜殿の魔法は強力なのでこれで早めに始末しておきたかったのだが」

 

「あなた今始末って言ったわね?自分が何言ってるかわかってるのかしら?」

「この世界は弱肉強食だぞ?守りたいものがあるなら強くなれと国王陛下もおっしゃられていたであろう、忘れたのか?」

「おまえ、正気なのか?」

「ああ、我はフェミニストではないので女だろうが容赦はしない!それにもし顔に傷でも入ったら戦いに巻き込んだということでお主が責任とるのであろう?良かったではないか、自動的に結婚できるぞ?」

 

「お前言ってることが無茶苦茶だぞ!」

「だったら止めて見せろ!八幡!」

 

そう言うと材木座が手甲で殴ってくる、背中からブースターのように魔力を放出し突撃してくるのだ。

剣で受けきれるものではないので避けるしかない。

「ファイヤーボール!!!!」

結衣が隙を見て魔法を打つが

「プロテクトシェード!!!!」

魔法はあっさり無効化されてしまう

 

「どうした!威勢がいいのは口だけか!」

隙を見て剣を打ち込むが手甲に簡単に防がれ即座に構えた材木座からまた手甲が飛んでくる

 

「はぁぁぁ!!!ブロウクンマグナム!!!」

 

「隙あり!」

雪乃が手甲を打ち出した直後の一瞬の隙をついてとびかかるが

 

「プロテクトシェード!!!!」

またも防御壁が展開される

「きゃあ!」

「ゆきのん大丈夫?!中二!やりすぎだよ!」

力や能力が元のただの高校生レベルまで落とされてしまうのだ、防御壁の魔力に接触するだけで吹き飛ばされてしまう。

 

「やりすぎ?違うな、こやつらは我を見下しておるから思い知らせているのよ!」

「俺は別に見下してなんか・・・」

「黙れ八幡!貴様は我が片腕が使えない程度で話もしてくれなくなりあまつさえ我を戦う事が出来なくなったと決めつけておるではないか!雪ノ下殿もだ!対等な立場であればそのようなことはせぬわ!」

 

「違う・・・俺は別に・・・」

 

「ふん!貴様は前から勝手に思い込むふしがあったからのう!貴様には体に教えてやる必要があるようだな!受けてみよ我の必殺技を!」

材木座は両手を広げると

 

「ヘル!アンドヘブン!」

両手から防御の魔法と反射の魔法が最大出力で放たれているのが分かる

 

「二つの魔法を無理やり同化させることにより強力なエネルギーが発生するのだ!」

材木座が両手を組むと膨大なエネルギーが発生しているのが分かる

 

「八幡、これはまずくないかしら」

「ハッチーやばいよこれ!」

 

「・・・二人とも逃げろよ、俺も逃げたいがここは受けなくてはならんだろ」

「その理屈でいくと私も受けなくてはならないわ」

「二人だけなんかずるい!あたしも受けるからね!どうなっても一緒って言ったじゃん!」

「あいつ本気だぞ?・・・もうしらん好きにしろ」

 

「覚悟は良いか!八幡!」

「こい!材木座ぁ!」

 

「おおおおおおお!!!」

材木座は背中からブースターのように魔力を放出しながらエネルギーの塊を纏って突撃してくる。

避ける気は無いがすさまじい速度と威圧感だ、結衣がカウンターで攻撃魔法を唱え雪乃が防御壁を展開するがそれを全部突き抜け材木座が突撃してくる、そして拳が俺の腹に思いっきりめり込むとそのまま雪乃と結衣と一緒に吹っ飛ばされた。

 

「きゃぁ!」

「ぐはぁ」

 

吹っ飛ばされた俺たちは地面に叩きつけられ悶絶する。

 

「見たか!我の必殺技を!」

 

「・・・殺してないから必殺ではないだろ・・・」

「直前で手加減したのよ!そのぐらい分かれ!」

 

「にしても強すぎだろ、わかった、俺の負けだ・・・雪乃も結衣もいいな?」

「そうね・・・私たちの負けよ・・・好きにするといいわ・・・」

「中二、強すぎだよ・・・」

 

「好きにしろとか、そうじゃなくてだな・・・ほら八幡達より我強いってことが証明されたわけだ」

「ああ、俺たちの完敗だ」

 

「ならばもうヌシらが負い目を感じる必要はないということだな!我はパワーアップしたのよ!他にもまだ見せてない必殺技があるのだぞ!」

「・・・」

 

「なぁ八幡、雪ノ下殿、我は腕を一回失ったことにより強くなった、お主にお礼を言わないといけないと思っていたのだ、ありがとう八幡」

そう言って材木座は倒れている俺に右手を差し出す

 

「さあ立て、そして元通り我とお主はいつもの関係、すなわち盟友にして相棒に戻るのだ!」

俺は材木座の手を取ると

「いつお前と相棒になったんだ?体育の時に一緒に組んだだけだろう?」

「そうね・・・今度こそあなたはその妙なしゃべり方と中二病?というのを直す必要があるわね、そこの男は卒業したと自称しているのだけれど」

 

「二人とも辛辣だのう!それでよい!それでこそ八幡と雪ノ下殿よ!モハハハ!」

腕を組んで材木座は高笑いをしている、ライバルは河原で殴り合いをして友情を深めるらしいがこいつの場合はなんか違ったような気がする。

だが気分はいい、全力で向かい合ったからかもしれない。

 

「なぁ材木座、ついでに誤解を解いておきたいのだが」

「分かっておるわ、先ほどの抱き付いたとか言う話であろう、あの小川は無理やり水を引いてきたせいか周囲がぬかるみやすくて滑りやすい、八幡は率先して水汲みしておるからのう、滑って誰かにぶつかりそうになるなんてそりゃ起きるわ、あんまり酷かったから砂利敷くように雪ノ下姉上殿「陽乃」・・・陽乃殿に進言したのが我よ」

 

「知ってたのかよ・・・」

「ああでも言って無理やり挑発せんとかかってこなかったであろう」

 

「いやー君たち青春だねぇ~、比企谷くん?だから私言ったじゃん、君たちは勘違いしてるって、彼は凄いよ、なんかそこそこ大きいモンスターを一人で倒してたもの」

ずっと静観を決め込んでいた陽乃さんが割り込んでくる

 

「マジかよどうやって・・・?」

 

「ほむん、それは我が説明しよう!先ほどのヘルアンドヘブンは原作だとゾンダー核を抜き取る為によく使われておったのは知っておるだろう、さっきは手加減して殴るのに使ったが本来は心臓を抜き取るの使うのだよ」

 

心臓?まじかよえぐすぎんぞ

 

「ここには護くんはいないのでな、抜き取った後はこうブチュッと」

と握りつぶす動作をする

 

「そうそう、彼が隼人たちと一緒に森の中に入っていくの見たから気になって後つけてみたら見つけちゃってね、驚いちゃった、あとなんか別の技でゴブリンチャンピオンも一人で倒してたよね?」

 

え?マジデ?こいつ強すぎないか?

 

「全部見られておったか、フム、我は魔法の才能が無いとはっきり言われたのでな、攻撃魔法も一応使えるが一般のメイジに比べるとしょぼいレベルだ」

そう言うと材木座はファイアーボールやアイスブラストやらの攻撃魔法を見せてくれるが明らかにしょぼい

「こんなレベルだからモンスターに当てても大した効果は無い、『外側』から当てるとな」

 

「どういう意味だ?」

 

「先ほどのプロテクトシェードを接近して使うとモンスターの外皮硬度が削れるのよ!恐らく魔力を一時的に吸い取るからだとおもうがな、そして削ったところで右腕をモンスターの腹にぶち込んでな、体の内側に反射の魔法をかけて、攻撃魔法をありったけ打ち込むのよ!我の弱い攻撃魔法でも体内で乱反射するから内蔵はズタズタになってモンスターは絶命する!いくら体が硬くても内蔵は柔らかいからな!たまにモンスターの体が爆散するのが困り者だが、これを我は『ダイダロスアタック』と名前を付けた!」

 

「またパクリかよ・・・でもそれってほとんどそのまんまだな・・・」

マクロス戦艦の必殺技、ピンポイントバリアで敵戦艦に自分の戦艦の一部を突撃させたあと防衛用のデストロイドの一斉射撃で内部から破壊する技だ、こいつの場合それを一人で実現してるわけだ。

ゴブリンチャンピオンに対峙した時俺たちは死ぬ覚悟だったのだがこいつはそこから遥かに高いレベルになってしまったようだ。

 

「我がその手の大型の奴を倒して報酬をもらいに行くと騒ぎになるのでな、葉山殿が倒したことにして金だけもらっていたのよ、お主のマネだな」

 

とサムズアップをする材木座

 

「だから食材の分を払っても生活する分には問題なくあるのでな!ちゃんと金は受け取れよ!八幡!」

「・・・わーったよ、雪乃もいいな?」

「わかったわ、あなたがツケと言った分全部いただくわ」

 

「ウム!これにて一件落着!諸君!よからぬ悪霊どもは八幡達から去っていきおった!我らの勝利だ!」

材木座が子供たちに向かって勝利を宣言すると歓声が沸き上がる。

 

「なんかまた奴の株があがってるなぁ」

「あら?そういう比企谷くんだってさっき彼と戦った時、何気に雪乃ちゃんやガハマちゃんをかばいながら戦ってたでしょ?そういうのってお姉さん的に結構ポイントたかいわよ~?」

陽乃さんが抱き着いてくる

「ちょっと姉さん?ナニをしているのかしら?八幡もその気持ちの悪い目を余計に気持ち悪くしてないでさっさと仕事に戻るわよ!」

 

「ちょっと雪乃耳を引っ張るな!イデデデ」

なんだかまたいつもの調子に戻ったようである、これにて一件落着と思いきや、さらなるトラブルが俺たち待ち構えているのであった。

 




材木座の強さは圧倒的です。
手甲を作ったのは本牧なので今後彼はドラえもん的ポジションになるかもです。
そのうちドライバーやハンマーもだそうかな?

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