帰ろうとするところを材木座に呼び止められる
「八幡よ、先ほど挑発する為とはいえ失礼な物言いをしてすまなかった」
「終わった事だろ、わかってるから気にすんな」
「スマヌ、ただこれだけは覚えておいてほしい、貴殿らが周りからどういう目で見られているかということだ」
「ああ、お前が冒険者仲間からよく聞かれるとかってやつか」
「左様、実のところそれは本当によく聞かれる、お主らはどういう関係なのだとな、我もどう答えていいかわからないので家族のようなものだと適当に答えておる、それで大概納得してくれているようだが、そういった奇異の目で見られていることゆめゆめ忘れるでないぞ」
「いやそれお前がそんなこと言っているせいじゃね?」
「他に形容しようがないだろう・・・雪ノ下殿どうされた?」
「八幡の家族、八幡と家族・・・」
「あたしが、ハッチーの家族・・・えへへへ」
「先輩の・・・・」
「・・・はー、ほら!もう帰るよ!じゃあ材木座くん!またねー」
惚けてる女子三人を引っ張って陽乃さんがさっさと帰って行った。
「我が言えた台詞じゃないが、まあ頑張れ」
「おまえもな」
「材木座くん、また手伝いに来るからね!」
「うむ、戸塚殿待っておるぞ」
女性陣のあとを追いながら帰りの道を急ぐことにした。
千葉亭の近くまでくると何やら騒がしい
「アレって葉山か?」
「隼人またなにかしちゃったのかなぁ」
陽乃さんがまたため息をつく、実際葉山達の前に誰かがいて揉めているようだ
「だから俺は関係ないって!知らないつうの!」
「とぼけてもらっても困るな、ネタは上がっているんだ、ここの店主が帰ってくれば分かることだ」
「知らないってば!俺は忙しいんだから帰らせろ!」
「ちょっと待つし!」
「おめーちょっとまつべ、なぁ?」
三浦と戸部に回り込まれて凄まれているようだ
「おい葉山、店の前で騒ぐな何やってんだ」
「比企谷、こいつだろお前にアクセサリー渡したのって」
そういい男を指差す
「あーこの人!この人だよ!ハッチーに酷いことした人!」
結衣が騒ぎ立てるのでよく見ると確かに見覚えがあるあの時のチャラ男だ
「よく見つけたな、確かにこいつだ、んで葉山はこいつをどうするんだ?尋問でもするのか?」
「その必要は無い、大岡に身辺調査させたからな、こいつから情報は取れるだけ取ったしもうアクセサリーも持ってない」
「んじゃあなにを・・・」
と葉山としゃべっていると背後からパチパチと何かが弾けるような音がする
「先輩、結衣先輩が・・・」
いろはが困った顔で話しかけてきたので後ろを振り返ると
「許せない・・・こいつのせいでハッチーは死にかけたし、中二も腕を無くしちゃったし、ゆきのんもいろはちゃんも彩ちゃんもみんな酷い目にあって・・・絶対に許さない!」
結衣の体から電撃が時折放電している、パチパチという音はこれだったようだ、非常にヤバい
「結衣さん、落ち着いて?」
雪乃がなだめようとするが
「ゆきのんは怒らないの?あいつが全部悪いんだよ!あいつ殺さないとまたみんながひどい目にあう、私が殺さなきゃ」
放電はさらに激しさを増し結衣はチャラ男へ近づく
「ヒッ!ヒー!た、助けてくれ!」
チャラ男は腰が抜けているのか立てない、周りを囲んでいる人たちも距離を取って離れて見守っている
「死んじゃえ!」
結衣が右手を挙げ魔法を発動させようとした矢先
「そこまでだ!」
葉山が盾で結衣を吹き飛ばした
「きゃ!ちょっと隼人君!なにする・・・の・・・」
倒れた結衣はそのまま寝てしまった。
海老名さんが葉山の突進と同時に睡眠の魔法をかけたようだ
「姫菜ありがとう、比企谷すまんが結衣を頼む、それとこれから起きることを見ていてくれないか?」
そういうと葉山はチャラ男の前に立つと
「これではっきりしたな、君は彼を罠にかけた、いったい何故だ?」
「わ、わかったよ、言うよ・・・本当はこの辺境をゴブリン達が襲撃する予定だったんだ、その前にアクセサリーの力でどういうモンスターが集まるか調べろとゴブリンの親玉に命令されて仕方なくだ!」
「仕方なく?仕方なくでなんで比企谷達なんだ?ちゃんと本当のことを言え、言わないと・・・優美子、こいつの腕を燃やしていいぞ」
「わかったし」
三浦はそう言うと無表情で男の上でを掴む
「何を・・・熱い!熱い!ギャー!!!」
男の腕を掴んでいた三浦の手が光ると肉の焦げるにおいがする
「話す!話す!、だから腕をどけてくれ!」
「優美子離してやれ」
「腕が・・・これどうしてくれるんだ!」
「・・・後で助けてやる、何もかも正直に話せ」
「わ、わかった、本当だな?ゴブリンの親玉は自分が占領していた村が無くなったからって今度は辺境のここを襲撃しようとしたんだ、それでさっきも言ったようにアクセサリーの力で集まるモンスターを調べろと言われてその実験台を選ぶときこいつらのことを思い出したんだ、ゴブリンの親玉は女は好きにしていいと言ってた、この店主のヒキガヤとかいう奴はいろいろ気に食わなかったから、モンスターに襲撃させて女どもを手に入れるつもりだったんだ!でも全部失敗したからゴブリンの親玉も逃げてしまってもう連絡のとりようがない、だから二度とこんなことはしないしできないからもう勘弁してくれ!、正直に話したんだからもういいだろ!」
「葉山先輩、そこどいて下さい」
「葉山くん?ちょっと離れてくれるかしら?」
「八幡、僕、プリースト辞めるよ・・・」
いろはと雪乃から殺気を感じる、戸塚も武器を構えて目が座っていた。
「三人とも武器を下ろせ、一応この世界でも殺人は犯罪だし君たちには人殺しをさせたくない、ここは俺に任せてくれ、比企谷頼んだ」
「お、おう、葉山がああいってるんだ、ちょっと落ち着け?戸塚も杖を構えるな、気持ちは俺も同じだ」
三人をなんとかなだめる、ぶっちゃけ俺もこいつを殴り飛ばしたい、材木座を連れてきてヘルアンドヘブンの餌食にでもさせたいが、とりあえず事の推移を見守ることにした。
葉山はチャラ男に近づく
「なあ、君は本心でそれをやったのかい?もしかして不本意だけど本当に仕方なくやったんじゃないのかな?」
「え?ええ!そう!そうです!不本意だったんですよ!ほんと!」
「そうか、やっぱり」
こいつ何を言ってるんだ?
さすがにいくらみんなの葉山とはいえこいつのことを仕方ないで済ますのか?
「おい葉山、おれが言えたことじゃないかもしれんが・・・」
そう言って葉山を止めようと近づいたとき葉山が周りに聞こえない様にぼそっと男にしゃべった言葉を聞いた
「君は虫に操られていたんだろ?実は助ける方法があってね、簡単な方法で体の中の虫は消滅するんだ、それをすれば君は操られていたってことで無罪放免になれるんだがどうだい?」
おい、助ける方法は無かったんじゃないのか?
「虫・・・あれに乗っ取られたら助からないってゴブリンの親玉が・・・」
「ああ、あの後簡単に消滅させる方法が見つかってね」
この案に乗らない手は無いだろう、操られているかどうかなんて主観でしかないのだから当人にしかわからん、状況から見るにどう見ても操られているようには見えないが当然チャラ男は乗ってくる
「おねがいします!やってください!」
「んじゃ始めるからそこに立って」
「おい!葉山!おま「君は黙っててくれないか!」」
葉山に一喝されてしまった。
周りの人は遠巻きに何が始まるのかと興味深く見ている
葉山はチャラ男の正面に立ち、ニコッと笑うと
「そんな方法あるわけないだろ」
そう言うと居合のように一気に剣を抜きチャラ男の首を跳ねる、周りで見ていた人は皆固まってしまった。
「皆聞いてくれ!さっきの話の通りこいつはあろうことかゴブリンの手先としてこの辺境の襲撃計画に加担した上、俺たちの仲間みんなに危害を加えた!殺そうとした!俺はそういう奴を容赦はしない!」
そういうと葉山は地面に転がっていた首を剣で刺す。
「優美子!」
「あいよ」
転がった首と胴体は三浦の魔法で一瞬にして灰になった。
「比企谷、前に言っただろ、俺は皆で帰るのを目標としている、本当に帰るかどうかは自由だが俺たちが帰るのを妨害だけはするなとね、この世界である程度の信頼と権力は手に入れた、それをフルに使ってでも俺は俺たちのことを邪魔する奴を容赦せず排除する、今灰になった奴はそのことを周りに伝える為の生贄だ、結衣の本気も見れただろ?これで下手なちょっかいをかけるような奴もいなくなるだろ、比企谷、今度は俺が手を汚す番だ」
「今度はっておまえ・・・」
「君がどう思おうと関係ない、これは俺なりのけじめだ、んじゃ俺達は領主様へ報告してくる、件の男は寄生虫に操られていたから殺したとね、いいか?何度も言うがこういう仕事は俺の役目だ、君たちが手を汚す必要は無い」
「でもこれじゃお前悪者扱いだろうが」
「悪者?違うな、俺が言ったのは『俺たちの仲間みんな』と言ったんだ、つまり受け取り方によってには召喚されてきた俺たちに限定されてない、さっき奴はここを襲おうとしたと言った、だから『みんな』には辺境の人全員が入っていると取られてもおかしくない、いくらでも言い訳が聞く便利な言葉だ、ここは故郷のようなところだから辺境の人はみんな仲間とかそういう言い方しても成立する」
葉山はそう言うと最後に
「なにしろ俺はみんなの葉山隼人だからな」
そう言って三浦たちと領主の館方へと去って行った。