八幡達は異世界にて奮闘する。   作:もよぶ

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第四十話

さて夕食である、雨降りなのをこれ幸いに店は早々に閉店している。

店の中には異世界に来た俺たち総武高校のメンバー全員がいる状態だがアダムさんが何故かいる、まあこの人は一応いてくれた方はいいんだが材木座の隣にはマリアさんが座っているのはどういうわけだ?

「あのーマリアさん?なんでいるんです?」

 

「義輝様は戦いに赴くのでしょう?なら今度は私も行かなくてはなりません!」

「マリアは一回言いだしたら聞かないからなぁ・・・」

諦め顔のアダムさんであるが俺は声を大にして言いたい、おいおっさん、娘なら説得しろよ!

 

ちなみにアダムさんは結婚はしているが諸事情により子供がいない、なので養子のマリアさんが跡継ぎなわけだが、アレこれって必然的に材木座が次期領主になるんじゃね?

「八幡、マリア殿のことは我に任せられよ、それより早く話を進めていただけぬか?」

 

「あ、ああうん・・・」

なんかこいつどんどん貫禄が増してくるな、こいつも非童貞だからなぁ

 

「んじゃ葉山説明頼む」

「・・・君がやるんじゃないのか・・・まあいいけど」

色々動いた人が話した方が早いだろう、というのは建前で単にめんどくさいので葉山に丸投げだ。

 

「・・・というわけだ、異世界から来た人をかき集めて東の国境の森を攻める予定だ、何か質問は?」

 

「森のどこにゴブリンのアジトがあるかはまだ分からないのね?」

陽乃さんから質問だが、これは俺も思ったことだ、やみくもに森に入っても遭難したり下手したらゴブリンに囲まれBadEndになりかねん

「むろん現地に付いたら偵察隊を出す、大岡と比企谷は決定だな」

「え?俺?」

 

「おにいちゃん頑張って!」

あれー小町さんあなたもシーフでしたよね?

 

「八幡?小町さんにどこにゴブリンが潜んでいるかわからないところに行かせるつもりじゃないでしょうね?」

「先輩サイテーですね」

 

なんか女性陣からの視線が異様に冷たいのだが・・・

「何も言ってないだろうが・・・」

なんでこいつらに心の声がダダ漏れなんだろうか?

 

「ゴブリン達はどのくらいの規模なんだ?商人たちはゴブリンの一団を見たのだろう?戦力分析をしないとな!」

平塚先生はこっちの世界に来てから前にも増して脳筋っぽくなってるから一人で突っ込みそうで怖いんだよな。

 

「結構な規模らしい」

そう言うと葉山は商人たちに聞いた話を元に何が何匹いる可能性があるという絵を見せてくれた。

「うーむ確かにこれは多いな、よし!かめはめ波で吹っとばそう!」

出た脳筋発言

「先生、国境付近ということを忘れないでくださいね?」

葉山が珍しく怖い顔をしている、確かに派手に大技をぶちかまして相手国に被害が出た場合、それが原因で開戦とか洒落にならんからな

「う、うむ、自重する」

「東の領地の城門破壊した件は大目にみて頂いてもらってますが隣国がらみですとフォロー出来ませんからね!」

さらなる追い討ちでショボーンとなる平塚先生、これだけ釘を刺せば下手に暴れないでしょう。

好き勝手暴れる決戦兵器みたいな扱いだから大変だ。

 

「先生のことはもういいでしょう、結果論だけど、先生の技で姉さんは正気を取り戻したようなものですもの、それよりこれだけの規模を収容できる建物か洞窟のようなものがあるってことかしら?それならばワイバーンで上空から探すのはどうかしら?」

 

「それも考えたんだが、国境付近を周回させると、スパイ活動と思われて大騒ぎになる可能性がある、ワイバーンの輸送経路計画の際、国を跨いだ計画になるからと各国で軍事目的には使わないという条約を交わしているそうだからな、管理も国際運輸ギルドとか言うのを作って共同管理してるとかで、国内だけなら領主や国王の権限で緊急要件に限り少しは使えるが、基本的に自由に使ってはいけないことになってるそうだ」

 

「なんだか色々メンドクサイのう、隣国にもヤバいゴブリンの群れがいるとか言えばよかろう?何故言わぬのだ?」

「自国のことだし、ゴブリン程度に大苦戦してるというのを知られたくないのかもしれんね、最悪隙をついて攻められるかもしれんし」

千葉亭に来る客の話を聞くと先代の王の時代までは周囲の国と派手にドンパチやっていたらしいからな、今の王の時代になってようやく休戦協定が結ばれたとか、今のところ平穏だがあくまで休戦だからいつ再戦するかわかったものではない

 

「ともかく隣国には開拓されてない森を冒険者が調査するという報告をあげてもらおう、領主様もそれでよろしいですね」

 

「フム、わかった、それと良ければ私も行っていいかね?あの辺に私の故郷があったのだよ、私が小さい頃戦争で村ごと無くなってしまってね、たまには墓参りぐらいしないとな」

 

「別にかまいませんが・・・森に入るのは厳しいですし、そもそも領主様は戦えるのですか?」

葉山にしてはちょっときつい言い方だが当然だろう、権力者が物見湯山気分で来られても邪魔なだけだ

 

「比企谷君達には言ったが私も元は冒険者でね、メイジとしてはそこそこの活躍をしてきたのだよ?魔力だけは高いからな、まあ由比ヶ浜君や三浦君には負けるが」

 

そういやそんなことをちらっと行ってたような気もするが本音は娘が行くから心配なんだろう、まったく娘には甘いオッサンだ

 

次の日から、吉原さん達に話を持って行き協力してもらうよう頼み込むことになった。

「交通費、滞在費は全額支給でそれプラス成功報酬も結構出るなんて結構美味しいね、まあそれはともかくとして、そもそも僕たちとしても君たちばかりが活躍してるのは異世界から来た者の年長者としてのプライドが許さないからね、無論協力させてもらうよ」

プライドが許さないと言ってる割にニコニコ顔である、この人何気に親戚のお兄さんみたいな立ち位置なんだよな

 

吉原さんにも協力してもらい他の人にも声をかけて辺境の地にいる異世界組のほとんどが集結させることに成功した。

さらにアダムさんは他の土地に行っている人たちにも順次連絡がいくように手配、冒険者ではなく俺たちのように店を経営している人もいたが、そう言う人は野営地の設営と補給物資の管理役にするとか、集まった人数は俺たちを除いて約40人ほどだ

 

「結構いるんだな」

「ああ、でもよ、逆に言うとこれだけの人が日本から消えてるのになんで騒ぎにならなかったんだ?おかしくねぇか?」

「吉原さん達は親兄弟が死別していたり、元は施設の子供だったりして家族がいない人ばかりだそうだ、もしかすると他の人もそうなのかもな、いなくなっても誰も探そうとしないから騒ぎならない・・・考えすぎか」

 

「でもそうなると俺たちがここに連れてこられた意味が分からん、俺たちは普通に両親いるしな」

「そういう考察は後からにしましょう?今は全員でゴブリン共を叩き潰す、それだけよ」

雪乃が珍しく鼻息を荒くして熱弁してる、奴らはある意味女の敵でもあるからな、ともかく準備を進め数日後俺たちは馬車に乗り東の領地へと出発すことになった。


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