二日ほどの準備期間を置いて試合は開始されることとなった。
ちなみに開始までの間観光してたら皆道行く人に絡まれまくる事となる。その為一人で出歩かないようにと言ったら、俺の場合常に雪乃と結衣といろはと沙希がくっついてくるので、見せつけんじゃねぇと余計に絡まれることになってた。
一体どうすればよかったんだろう・・・
何はともあれ試合開始である。
試合は単純なトーナメント戦、全員腕自慢の兵士と組み合わされていた。
俺たちはというとエキビジョンマッチとして大型のモンスターと戦うことになってしまっている。
本当に大怪我したり死んだりしないのかとアダムさんに念押ししたら
「こういう闘技場は致命傷になりそうなものを自動的に検知してギリでダメージを吸収するようあちこちに強力な魔力が仕込まれているから大丈夫」
なんだそうだ、ただし致命傷の場合痛みだけは与えるようにしてるので猛烈に痛いんだそうだ。
ステージの中央に立つとものすごい歓声である、もうマジ無理、なんでこんな人目にさらされなきゃならんのだ?
「八幡?雰囲気にのまれてはだめよ?」
と腕組みをして仁王立ちの雪乃
「ほぇーすごいなぁー」
結衣は相変わらずである。
「みなさーん!わたしーがんばっちゃいますからねー!」
いろはもいつもの調子
「さあやってまいりました!辺境の地よりやってきた勇者御一行と我ら精鋭との一騎打ちの時間です!」
アナウンスが流れてくる
「勇者御一行って葉山のことか?俺はあいつのおまけか?まあしょうがないけどよ・・・」
と不満顔の比企谷
「あら?あなた勇者様と呼ばれたかったの?名もなき神のくせに?」
雪乃さんなんでまだ俺の黒歴史覚えてるんですかね・・・
「へ?名もなき神ってなに?ハッチー神なの?」
「結衣先輩、そこは先輩のデリケートなところなので触れないでおきましょう・・・」
と一色は憐れんだ顔で比企谷を見る
「もうやめてくれよ・・・穴があったら入りたい」
しゃがみ込む比企谷に雪乃が活を入れる
「八幡?一応あなたは千葉亭の店主で私たちの旦那様よ?もっとシャキッとしなさい!」
「現在あそこで女性たちの尻に敷かれている男が辺境の地で今一大ブームを巻き起こしている千葉亭の店長比企谷八幡!そしてそれを囲むようにいる美少女は全員彼の婚約者とのこと!いやーリア充爆発しろとはよく言ったものですね!」
またもアナウンスが流れる、周りからはブーイング
なにそれリア充爆発とかこの世界でも流行ってるの?
ってか周囲の視線が痛い、もうおうち帰りたい
「まずは前座として彼らにはモンスターと戦ってもらいます!さあモンスターの登場だ!」
と反対側のゲートからモンスターが現れた。
「なんだあれ?オーク?」
「それにしては大きいわね・・・」
4mぐらいはあろうか。
腹はかなり出て醜悪な面をしている。
そして獣の臭いがすごい。
片手には棍棒を持っている。
「今回の為に特別に捕らえてきたオークの変異体です!さて彼らの実力はいかに?!」
「なるほどな・・・んじゃ適当に負けて帰ろうぜ?怪我しないようになってるらしいからよ?」
とはじめっからやる気のない比企谷
「八幡?あなた本気で言ってるの?」
「ハッチー?」
「先輩?」
「い、いや冗談に決まってるだろうが・・・」
「冗談に聞こえないから困るのよ?」
三人にすごまれてタジタジとなる比企谷
「まずは様子見だ、いろは!」
「任せてください!」
一色が矢を放つが以外に素早く棍棒で防がれてしまう。
「いろは!速射してやつの気を引け!結衣はあいつを拘束しろ!俺と雪乃はあいつを側面から攻める!」
と比企谷達はバラける
一色が矢を連射しているところへ結衣の魔法が放たれる
「アースバインド!」
地面を割って無数の木の根が現れオークの体を拘束する。
「よし!一気に攻める!」
「八幡!待って!」
雪乃が叫ぶと、オークはブヒーと叫びながら体を拘束していた木の根を一気に引きちぎった。
「おいマジかよ、結衣の魔法は普通より強いはずなんだが」
唖然とする比企谷へオークが棍棒を振り下ろす。
「一旦立て直すか、しかしあいつの腹出すぎだろ、材木座でもああはなってなかったぞ・・・ん?そうか、いいこと思いついた」
オークの攻撃を避けつつ一度集合することに。
「いろは!これを矢にくくりつけてあいつの顔面に打て!相談の時間を稼ぐ」
比企谷から渡された卵のような物を矢にくくりつけると一色はオークの顔面に向かって矢を放つ、当然オークはあっさりと矢を受け止めてしまうのだか
「グェッホ!ギヤッホ!」
突然咳き込み攻撃どころではなくなる、棍棒を振り回してその場で暴れてる模様
「アレなんだったんですか?」
「厨房にあったコショウやカラシなんかを卵のからに詰め込んだもののだ、うちが食堂だから出来る芸当だな」
「貴方は本当に・・・」
雪乃はまたもや呆れ顔、そんな雪乃をほっといて話を続ける。
「ちょっといい考えが思い付いた、結衣、落とし穴掘れるか?鋭角の円錐形の奴だ」
「とんがりコーンみたいな感じ?ウーン土木工事した時色んな穴掘ったからできると思うけど・・・」
「よし、あいつの胴回りより少し広い感じで出来るだけ深い奴頼むわ、落とし穴にしてあいつを嵌め込む、内側には氷張って滑らせるようにしてくれ」
「八幡?どんな作戦かしら?」
比企谷は作戦の概要を話す。
「またあなたは・・・」
「ハッチーらしいや」
「今回はダメージ食らっても致命傷にはならんそうだからな、ルールの穴をついた作戦だ」
「先輩!奴が復活したみたいです!」
見るとオークは鼻をならし目を真っ赤にし吠えている、怒り狂ってるようだ。
「この作戦、俺にかける魔法のスピードといろはの射撃の正確さが命だ、頼むわ」
全員その場からバッと離れる。
「ウーンあのおなかより少しだけ大きいってこんぐらいかなぁ?」
由比ヶ浜は走りながら念じるとはオークの前に光る円が描かれる
「んで深さは 深く、鋭角に・・・」
ズンと音がして砂ぼこりが舞う、周りからは見えないが地面の皮一枚残して下には深い穴が出来た模様
「んで氷を張ってと・・・」
またも由比ヶ浜が念じると冷気が地面から立ち上がる、どうやら完成したようだ。
「ハッチー出来たよ!」
「よし!結衣は所定の位置に移動だ!あとはいろは!頼んだ!」
落とし穴を挟んでオークと対峙する一色
「鬼さーんこちら!」
と言いながらオークに矢を放つとそのまま逃げようとするのだが転んでしまう
「きゃっ」
それを好機と見たのかオークはブヒーと叫びながらいろはに襲い掛かるが
ズン
という音とともに穴にはまり込んでしまった。
「よし!いろは成功だ!」
一色が転んだと見せかけ襲い掛かってきたオークを落とし穴に落とす作戦である。
落とし穴は内側に氷が張っているため足が滑って抜け出せない、しかも円錐状になっているためオークの出っ張った腹がはまり込み暴れれば暴れるほど中に潜り込んでしまう状態だ。
「あとは奴の武器を封じる、雪乃、結衣、頼む」
と比企谷は暴れるオークの目の前に走り出す。
ブヒーと叫び上半身だけで暴れていたオークはすぐそばに来た比企谷を見つけると頭上に棍棒を振り下ろす。
「雪乃!」
「八幡!耐えて!」
雪乃は比企谷へ筋力強化魔法を使い比企谷の腕力を飛躍的にアップさせる。
ゴン!と鈍い音がした、比企谷の頭に棍棒が振り下ろされた音のように聞こえる。
しかし
「っくーいってー」
棍棒が当たりそうになった直後、比企谷はさらに奥へと走りオークの右手首のところまで走りこんでいた、おかげでオークの拳が頭に当たってしまったが、ダガーとショートソードで手首を挟み込むように突き刺した為威力は大分殺されたようである。
筋力強化をしているためダガーとショートソードは手首に完全に突き刺さっており全く抜けるような状態では無くなっていた。
「試合じゃなかったら即死してたな、でも確かに猛烈に痛い!結衣!頼む!」
「ハッチー!ごめんね!アースバインド!」
無数の木の根が比企谷とオークの右手にまとわりつく、オークはなんとか振り払おうとするが既に大地にがっちり固定されいる比企谷によって手首が突き刺されているので全く右腕を動かすことが出来ない。
「とどめだ!雪乃!結衣!いろは!」
「「「はい!!」」」
一色はオークの両目にピンポイントで矢を弓なりになるよう複数本放つ、やや上方から目を狙って飛んでくるので当然オークは、矢を確認するため一瞬少し上を向き残った左手で目を覆う。
おかげで喉元はがら空きだ。
「結衣さんお願い!」
「ゆきのん!ウィンドショット!」
妖刀を叩き折ったあの作戦と同じである。
複数の補助魔法で強化された雪乃は高速で射出される
「はぁ!」
まさに鎧袖一触、掛け声とズバッという音とともにオークの首は宙を舞う
ズサッと雪乃が地面に降り立ち剣についたオークのどす黒い血を振り払うと観客席から一気に歓声が沸く
「すげー!!さすが千葉亭!」
「雪乃さんかっこいい!」
「結衣さんナイスアシスト!」
「いろはさん素敵です!」
女性陣をほめたたえる歓声でいっぱいである。
一方比企谷はと言うと・・・
「おーい、ちょっと終わったんなら拘束切ってくんない?なんか全然ほどけないんですけど?あとダガーも剣も全く抜けねぇ、誰か手伝ってー」
誰の目にも触れることがないまま、モンスターの残骸を片付ける係の人に一緒に持っていかれる始末であった。