八幡達は異世界にて奮闘する。   作:もよぶ

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第五十三話

しばらく通路を走っていると通路の反対側から吉原さん達がやってくる

 

「あ!比企谷君達、無事だったんだね!」

 

「それはこっちのセリフですよ、こちらはゴブリンがわらわらいて大変なんですがそちらにはいなかったんですか?」

「そっか、んじゃあそっちには行かない方がいいね、それじゃちょっと来てもらえるかな?」

 

と吉原さん達は先ほど来た道を引き返し始める。

後をついて行ってみると

「なんすかこれ・・・」

 

大きな部屋にでる、そこには巨大な穴がいくつも空いており、中をのぞくと干からびたモンスターの死骸の山、かなりの数がいる。

 

「僕たちが入ってきた裏口は搬入路みたいなところだったんだよ」

確かにその部屋から外に通じている通路は大きい、何かを出し入れしてたのだろうか?

 

「裏口にはモンスターの足跡がたくさんあったから多分この森のモンスターをここにおびき寄せ、穴に落として魔力を根こそぎ吸い取ったみたいだね」

おびきよせる?どうやって?と思ったら

「八幡、これを見て・・・」

「これは!」

見覚えがるものがそこにあった、骨で作ったトーテムと呼んでいる代物とそこにかかっている鳥居のようなアクセサリー、それが穴のそばにいくつも設置してあるのだ。

 

「これでおびき寄せたのか?」

葉山はだいぶ渋い顔をしてる。

「いったい何のためにこんなことをしたんだ?」

穴に落ちているモンスターの死骸からはまったく魔力を感じない、強制的に魔力を吸い取られた模様。

 

「うん、それなんだけど多分こっちの設備を動かす為なのかも」

と吉原さん達、いや今設備って言ったか?

今度はさっき来た通路とは別の大きい扉の前に来た。

「僕たちも見て驚いたよ・・・」

扉を開けると

 

「なんだこれ・・・」

「嘘だろ、なんでこんなものが?」

 

そこにはどう見ても近代的な科学施設が広がっていた。

培養液のようなもので満たされたガラスのカプセルのようなものが大量に並んでおり、中には様々な成長過程のゴブリンが入っていた。

 

小さい装置には芋虫状の生物が入っているのもある

葉山はそれを見つけるとまたも渋い顔をする。

「これは頭に入って人を操る虫だな」

「頭に入っていたのによく形がわかったな」

俺の言葉に暗い顔をする葉山

「まあね、死んだあと頭を割って形を確認したからさ」

「マジか、えぐいな」

 

「それよりなんかこの箱からやたらと強力な魔力を感じるな」

装置からは太い管が伸びており妙な形をした箱に直結されている

不思議に思った葉山とめぐり先輩や雪ノ下が箱を調べる

「・・・これは吉原さんの言う通りモンスターから吸い取った魔力を何らかの方法で圧縮してこの箱に封じ込めてゴブリンを成長させる養分にしているみたいだな」

 

「これってあの妖刀と同じ感じがするわね・・・」

「まじかよ・・・そんなことが出来んのかよ・・・」

あっけにとられる比企谷達

「もしかして自分たちを安全に増やす手段を見つけたから女をさらわなかったのかもな、こうやって十分に増やした後街を襲うつもりだったのかも」

そういえば近隣の村や町は襲われてないとか言ってたな、でもこんな施設がゴブリンに作れるとは思えない。

 

「ここはちょっとヤバイ感じがしたから僕たちは詳しく見てないんだけど、一応奥にいく通路はある」

と吉原さん達は通路の方へ案内してくれる。

 

「・・・行ってみるか?」

俺達は通路を奥へと進んでいくと突き当りに扉が見えた。

ちなみにこの部屋に入ってからはカプセルの中以外にゴブリンは現れてない。

 

「開けるぞ・・・」

と葉山がそっと扉を開けるとそこは少し広い部屋になっており一番奥に服を着たゴブリンがいる、こちらには気がついていないようだ。

 

「間違いなく戦闘になるので吉原さん達は部屋の外で待っていてください」

葉山はそう言いい俺達だけで部屋に入るよう促す。

 

「アレがゴブリンロードって奴か?」

他のゴブリンと違い、メイジのような恰好をしているようだ、後ろを向いて何かをやっている。

 

「葉山、さっさとやっちまったほうがいいんじゃねぇか?結衣の魔法なら一撃だ」

ラスボスがこちらに気が付いてないのだ、不意打ちでさっさとやった方が手っ取り早い。

 

「いやちょっとまて、なんか様子が変だ」

葉山が制止にかかってきたが悠長なことを言ってられない

「いいからやっちまおう、結衣!でかいの頼む!」

「わかった!いくよ!ファイアーボール!」

巨大な火球はまっすぐゴブリンロードの所へ飛んでいった。

 

バチィ!

 

しかし激しい音とともに魔法が跳ね返される。

「なんだよこれ!」

「全員避けろ!」

 

寸での所で回避する比企谷達

「なんで魔法が反射されるんだ?」

 

うろたえている比企谷達にゴブリンロードはこちらを振り返りニヤっと笑う

「笑っているわ・・・」

「うー怖いよー」

「みんな気をつけろ!両側からもくるぞ!」

葉山が言うが早いか部屋の両側の扉からゴブリンが数匹出てきた。

 

「クソッ!まだいたか!」

「ちょっとまって八幡!あのゴブリン達、なんか変だわ」

 

「なんかゴブリンに頭にヒモがついてる!ハッチーアレ何?」

「なんだアレ・・・?」

確かにゴブリンにチューブのようなものがつながれている

様子を見ようと思っていたら

 

「〇××◇〇!」

ゴブリンが叫ぶと手から火炎が飛び出す。

どうみてもファイヤーボールの類の様だ。

 

「おい!葉山!なんでゴブリンが魔法を使えるんだよ!」

「俺が知るか!めぐり先輩!障壁を!」

「うん!」

 

めぐり先輩が間一髪で魔法障壁を展開した。

「これでとりあえずはしのげるな」

しかし障壁展開後もゴブリン達はひたすらこちらに魔法を撃ってくる

 

「さっきのも反射の魔法を使ったのかしら?いったいどうなっているのかしら?」

「俺の方が聞きたいよ」

魔法を使えるゴブリンなんて聞いたことがない、皆混乱気味だ。

 

「ハッチーどうしよう・・・」

「ゴブリンの使う魔法は威力が結構強くて障壁も長くはもたないよ・・・いい知恵なんかないかな?」

 

「んな無茶ぶりされてもな・・・」

とゴブリン達を見ると魔法を撃つたびに頭に刺さっているチューブのようなものが脈動しているように見える

 

「・・・すまん聞いてくれ、ちょっとみんなにお願いがあるんだが・・・」

「八幡?またろくでもないことを考えたのかしら?」

「まあな、すまんが障壁を解いて派手にやり合ってくれないか?」

「君はみんなに死ねといってるのか?」

さすがの葉山もこの意見には懐疑的である。

 

「お前の盾はなんでも弾くんだろ?、めぐり先輩も雪乃も小さい障壁は張れるからな、結衣は陰に隠れてあいつらに魔法をぶちかまして気をそらしてくれ」

「君はどうするんだ?」

 

「俺はシーフのスキルがあるから・・・考えがある」

「信じていいんだな?」

「どのみちこのままじゃなんもできんだろ」

全員やれやれといった顔

「よし!結衣は障壁を解いたらゴブリン共に魔法を撃ってくれ、全員囲まれないようあんまり離れるな!」

「んじゃ頼むわ」

 

めぐり先輩が障壁を解くと俺はステルス能力を発揮してこっそりその場を離れる、自慢であるが俺のステルススキルは折り紙付きである。

ただでさえ薄い存在感が全くなくなるという悲劇の能力、しかし今回はそれを最大限に活用させてもらおう、目的はゴブリンの頭から生えてるチューブだ。

「どう見てもこれが魔力の供給源にしか見えんからな」

そっとゴブリン達の後ろに回り込むとチューブを切断する。

 

「ギャー!!」

 

切断と同時にゴブリン達は攻撃をやめ叫び苦しみだす。

チューブからは黒い霧のようなものが吹きだした。

「やっぱり魔力の供給源だったか」

 

ゴブリン達は暴れてのたうち回っている。

「葉山!やっちまえ!」

今がチャンスと俺は叫んだ。

葉山と雪乃は切りかかり結衣も魔法でゴブリンを焼き払う。

あっという間にゴブリン共は始末された。

 

「あとはあいつだけだな」

奥の方でずっと何かをやっているゴブリンロードだけが残った

 

「観念してもらおうか」

葉山が剣を構えると

 

「ニンゲン・・・シネ・・・アイスニードル・・・」

無数のつららが出現しこちらに襲い掛かってくる、前に三浦と戦った女メイジ兵とはくらべものにならないぐらいの数と太さである。

「やべぇ!」

「私に任せて!」

めぐり先輩がまたも障壁を張りこちらに飛んでくる無数のつららをなんとか防ぐことに成功したが、葉山は盾で攻撃を弾きつつ一人で突っ込んでいく。

 

「くたばれ!」

葉山ゴブリンロードに一撃を与えようと剣を振り上げたが体がピタリと止まってしまった。

「っく!体が動かない!麻痺の魔法か?」

 

「グヒャヒャヒャ!ソノママシネ・・・サンダーフレア・・・」

「ぐぁああああ!!!」

 

電撃を撃たれ倒れる葉山

 

「おい葉山!」

「八幡!彼をこちらに引きずってでも連れてきて!めぐり先輩!回復を!結衣さん!弾かれてもいいように最小の魔力の魔法であいつの気をそらして!」

「わかった!」

雪乃が叫ぶと結衣は攻撃魔法を唱えまくってゴブリンロードの気をそらす。

 

この隙に俺は葉山を引きずって障壁内へ引っ張り込んだ。

「めぐり先輩!お願いします!」

回復をお願いするわけだがこっからどうすればいいんだ?

 

「比企谷・・・」

少し回復したのか葉山が話しかけてくる

「おい、しゃべって大丈夫なのか?」

「・・・まあな、一応俺が着ている鎧も特注だからな、それより比企谷、さっきあいつの近くにいってわかった、あいつにもチューブのようなものが付いているみたいだ」

 

「んじゃまたやるか、ステルスヒッキーの力なめんなよ」

「俺も全力でいく、雪ノ下さんとめぐり先輩は俺に素早さ向上の魔法を頼む、俺がまず奴が魔法を撃つ前に突っ込んで魔法障壁を切り裂くから結衣はそのに魔法を叩きこんでくれ!魔法の合間に俺と雪ノ下さんで波状攻撃だ、めぐり先輩はサポートお願いします」

 

そして俺達は作戦を開始する。

相変わらずゴブリンロードはこちらを舐めているのかニヤニヤしているようだ。

「行くぞ!」

素早さを上げた葉山が魔法障壁を切り裂き作戦は開始される、

 

「ニンゲンガアアアア!!」

ゴブリンロードは魔法で応戦しようとしているが波状攻撃をされているのでなかなかうまくいかないようだ。

完全にこちらには気が付いていない

「さーてっと・・・これか?これで終われるか?」

俺はチューブに剣を突き立て叩き切った。

チューブから黒い霧のようなものが吹き出す。

 

「グギャアアアアアア!!!」

ゴブリンロードは叫びその場でのたうち回った。

「とどめだ」

葉山はのたうち回るゴブリンロードの首を跳ね飛ばす。

 

「終わったのかしら?」

「よくわからんがもうこの部屋には他にゴブリンはいないようだが」

部屋は一気に静かになる。

「なんだか意外とあっさり終わったな、もしかして第二形態とかあるんじゃないのか?」

「流石にそれはないな・・・首を跳ねてるし、でも結衣、念の為こいつを焼き払ってくれ」

ゴブリンロードはあっという間に灰になった。

他にモンスターがいないか探索していると

 

「ねーハッチーこれなーにー?」

結衣がさきほどゴブリンロードが立っていた辺りで何かを見つけたようだ。

「なんかコンピューター?みたいに見えるね」

めぐり先輩も一緒にそれを見ている。

 

「おい葉山これってなんかのコンソールじゃないか?」

レバーやらボリュームやら、音響設備のように色々スイッチのようなものがたくさんついているパネルがあった。

「信じたくはないけどどうやらそうみたいだな・・・」

 

「映像切替と書いてあるボタンがあるわね・・・」

と雪乃が指を刺したあたりには部屋の名前が書いてあるボタン

「これって監視カメラの映像なのか?」

ボタンを押すたびに画面が切り替わる、そこには三浦たちや戸部、材木座達が戦っている様子が正面のパネルに投影された。

 

「いったいこれなんなんだ?」

「多分これはここの制御装置みたいなものなんじゃないのか?もしかしたら外で暴れている石像とかをこれで止められるんじゃ?」

葉山はそう言いい停止ボタンを探すとあっさりと見つかった。

「防衛システム解除とあるな・・・」

葉山がそれを押すと今まで三浦たちを襲っていた石像は攻撃を止めた。

それどころか戸部や材木座が戦っているゴブリンの群れも攻撃を中止し、ギャーギャー言いながら散り散りに逃げ出し始めた。

 

「石像はわかるがゴブリンの意思もこれで制御できんのかよ・・・」

「ともかくみんなを読んでこよう」

俺達はこのファンタジー世界に似つかわしくない近代的な設備の前でこれからのことについて相談することにした。

 

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