蒼炎のレジスタンス   作:シン・ファリド

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第2話 蒼炎の覚醒

俺達は走り続けていた。誰かを助ける為、爆発の起きた方向へと、ただ真っ直ぐに。

そして街の中まで戻ってきたとき...そこには信じたくない光景が広がっていた。

 

「酷い...」

 

建物は倒壊し、辺りに瓦礫が散らばっている。

人々は逃げ惑い、それを追いかけるのは人ならざる者達。

翼や牙や尻尾...人間には無いそれらを備えたその種の名は、魔族。

ただ目に映る生物を襲うだけの魔物とは違い、知性を持ち、種として協力し行動する。俺達人間と何ら変わりはない。

だが、かつて人間と敵対していた記録こそあったが、最近はそんな動きは無かった。ここに来て突然だ。

 

「ああっ...やめろ...やめてくれぇっ!」

「嫌っ...死にたくない...!」

 

襲われる人達の声が聞こえてくる。考えてる場合じゃない。

 

「行くぞロア、レギナ!」

「おう!特訓の成果、あいつらに見せてやる!」

「これ以上...死なせない!」

 

俺達はそれぞれの武器を構え、戦場に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

力の差は、それ程の物では無かった。

だが、敵はいつまでも何処からも現れる。

 

「くっそ!もうだいぶ倒したろ!どれだけ沸いてくるんだよこいつら!」

「落ち着けロア!いくら数が多くても無限じゃ無い筈だ!」

「分かってる!けど、こっちの魔力も無限じゃねぇし...!」

「ああ...。さて、どうするか...」

 

ロアの言う通り、魔力も体力と同じで休憩も無く使い続ければ消耗する。

だが、そんな事を言い訳にするつもりは無い。兎に角今は、敵を倒すだけだ。

 

「...!でかい奴、来るよ!」

 

レギナの声が聞こえ、その方向を向くと、他よりも巨大な魔族が近付いてきていた。

 

「あいつがここらの隊のボスか...?」

「おいおい...勘弁してくれよ」

「どうした?怖じ気付いたか?」

「なっ!んなわけねぇだろ兄さん!」

「知ってるよ...行くぞ!」

 

言葉を掛け合う内に、覚悟を決める。

残り僅かな魔力を振り絞り、俺達は立ち向かった。

 

「はぁっ!」

「おらぁっ!」

 

炎の剣と雷の刀が、ほぼ同時に振り下ろされる。

"それら"は確かにあいつの身体を斬った。だが、それだけだった。

 

「...嘘だろ」

 

俺達はその一撃じゃ、傷一つ付けられなかった。

俺達が呆然としている間に、敵は反撃の構えを取っていた。

 

「あ────」

 

気づいた時には、俺の身体はあいつの爪に抉られていた。

 

「がっ...」

「兄さ...っく、離せっての!」

「ロ...ア...!」

 

俺が吹っ飛ばされ、こっちに気を取られたロアが抑えつけられる。

 

「イグナ!ロア!待ってて、今行...うわっ!?」

「レギナ...ッ!」

 

周りの敵を相手にしていたレギナも、攻撃の手を止めてこっちを助けに来たその瞬間に、捕まってしまう。

すぐにでも立ち上がって助け出したいのに、身体は動いてくれない。

 

このまま時間が過ぎていけば、皆も俺も殺されるだろう。

だけど、そうさせるわけにはいかない。

もし俺の命一つで...あいつらを救えるのなら...俺は...俺は...!

だが俺の意志とは反対に、意識は薄れ、視界は黒く染まっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...ここは...?」

 

目が覚めると、全く知らない場所に俺は立っていた。

何だ、この場所は...この世界の物とは思えないような、綺麗な場所...これが死後の世界、という物なのか?

って、冗談じゃない。こんな所で死んでたまるか...!

あいつらを置いて逝けるか...俺があいつらを守るんだ...!

 

「願い持つ人の子よ...」

「...誰だ?」

 

何処からか声が聞こえてくる。一体何がどうなって...?

 

「我は...龍」

「龍...」

 

龍。俺の知る限り、その名が意味する存在は一つ。

強い願いを持つ人間の前に現れ、その魂を喰らうという。

 

「人の子よ、力が欲しいか」

 

龍が問いかけてくる。

 

「当たり前だ」

 

そして、俺も答える。

 

「ならば...お前の望みを言うがいい」

 

姿も見えぬと言うのに、威圧感を放つような声で告げる龍。

...力を欲するならば、望みを言えという龍。

そして、龍は人の魂を喰らうという伝承。

もし、伝承が本当ならば。もし、俺の想像した通りならば。

きっと龍は、人に力を与えるその代価に人の魂を求めるのだろう。

ここで力を手に入れたとしても、やがて俺は魂を喰われて死ぬのかもしれない。

けど、そんなのどうだっていい。

今はただ...皆を守りたい。

そして、その為に...

 

 

 

「そんなの決まってる...あいつらを倒すことだ!」

「良いだろう...その望み、聞き入れた。契約の時だ」

 

龍の声が聞こえると、視界が光で白く染まっていく。

その光が晴れると...

 

 

 

 

 

 

 

「離してよっ!離しなさいよ!」

「くっそぉ...こんな所で...!」

 

あの不思議な場所から、元いた所へと戻ってきた。

夢、だったのだろうか?

...いや、ほとんど使い切っていた筈の魔力が回復するどころか増している。

そうか...俺は力を得たんだ。

なら、この力で皆を守ってみせる!

 

「2人から、離れろ!」

 

俺は剣を振るい、炎を放って攻撃する。

これ自体は元々出来た技だが、威力が明らかに上がっている。

炎は的確に敵だけを襲い、2人はその隙に逃げ出す。

 

「ありがと、イグナ!」

「すっげぇ兄さん、今のどうやったんだ!?」

「話は後だ、今は残りの敵を片づけるぞ!」

「...そうだな!よーし、行くぞー!」

 

 

「さぁ、反撃開始だ!」

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