蒼炎のレジスタンス   作:シン・ファリド

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このペースでオルブレを何故書けないのか こっちが聞きたい()
夏休みまで待って!!!!お願い!!!!


第6話 傲慢なる魔手

「戻ったぞ」

「アストね。例の人間はどうだったのよ?」

「奴自身はどうにかなるだろう。だが人間を率いている男、中々に手練れだった」

「へぇ...一筋縄ではいかなさそうね」

 

場所は魔界の王城...そのとある場所の暗い部屋。

部屋の中央には机が置いてあり、その周りを取り囲むように椅子が配置されている。

人間界から帰還したアストと、椅子に座っていた1人の魔族が言葉を交わしていた。

 

「おぉ...強い人間もいるのかぁ...!昂ぶるなぁ!なぁスピエル!アスト!次はオレにやらせてくれよ!」

「ガーベラ...でも貴方が出るにはまだ早いわ?獲物をじぃっくり、見定めてからでもいいでしょう?」

「そうだな。お前はザエルと並んで魔族の中でも最強格。それに先程言った人間にしても我々だけで何とか出来る。今の人間の相手などお前にとっては役不足だろう」

「なんだよ、冷めるなぁ...ま、そういうことなら楽しみは後に取っておくよ」

 

机の上に寝転がっていた、ガーベラと呼ばれた魔族が起き上がる。アスト達の言葉に気を落とすも、すぐに気を取り直すと、再び机に寝転がった。

 

「我々だけで、とか言いつつあのイグナとかいう人間逃がしてんじゃねぇか。俺にやらせろ。俺様なら人間1人捕まえるのも他の奴らを皆殺しにするのも余裕だぜ」

「...ベルゼ」

 

アストから見て最も遠い位置の椅子に座っていた、ベルゼという魔族が威張るように言う。

 

「随分自信があるのね。そんなに言うなら、次は貴方に任せようかしら。アストもそれでいい?」

「...いいだろう。だが呉々も油断するな」

「ったく、てめーは俺の親か何かか?ま、忠告どーも。そんじゃ片付けてきてやるよ」

 

そう言うと、ベルゼは窓を開けそこから飛び立って行った。

 

「ふん...相変わらず態度のデカい奴だ...ところで、ザエルはどこに?」

「あー、あの子の初陣についてったぞ?もしものことがあったら困るって」

「エリカか...あんな真似しておいてもしもの事も何も有るものか?」

「そうよね...少し同情しちゃうわ」

 

スピエルの顔が、微かに曇った。

 

「さて、こちらも早めに手を打とうか。それこそもしもあいつが失敗してもいいようにな」

「...えぇ、そうね」

 

彼等の意志は交差し渦巻き、しかしその魔手は確実に、少しずつ、抵抗者達へと迫っていた...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔族だ!あいつらが来たぞ!」

「周りに人がいる場合その救助を優先しろ!行くぞ!」

 

ラクシアさんの指示で、俺達は戦いの場へ身を投じる。

『魔族』から人を、守るために。

 

「俺達も行くぞ!マーズ!」

「ああ。そらよっ」

 

声が聞こえた後、マーズは光の粒子の様になって俺の身体に流れ込んでくる。

俺の身体中に魔力が満ちてゆく。

 

よし、やるぞ。

 

敵を見据えて集中した後、俺は二つの剣を抜き放ち駆け出して行く。

敵影、まずは三つ。その内一つはこちらに攻撃の構え。

振り上げられた腕、その鋭い爪から放たれる一撃を俺は右で持った剣で受け流し、すぐさま左の剣で斬り上げる。

残る二つの敵が攻撃に移る前に素早く懐に飛び込み、連撃。

ロアの使っているような刀程のリーチや威力を持たない双剣という武器で戦う以上、それに合わせた戦い方を選ぶ必要がある。

そして俺が選んだのが、『素早く接近し、連続攻撃を叩き込む』こと。

威力が低いならば回数を重ねて補おう、という目的だったが、マーズの力によりその一撃辺りの威力も大きく増しているようだった。

あの時俺が倒れたのは、多分力を制御しきれなかったんだろう。そのせいでロアを危機に晒した。

もうそんな真似をしないためにも、少しずつ力をつけ、いつかあの力も制御できるようになってみせる。

だから、こんな所で倒れる訳にはいかない。

 

「悪く、思うなよ!」

 

身を捻らせながら回転し、周りを斬り刻む回転斬りで、俺は残りの二人を倒す。

 

「相変わらず多いなぁっ...せいやぁっ!」

「だからって負けるかよ!どぉりゃぁっ!」

 

周りを見渡すと、ロアやレギナも他のレジスタンスの皆と共に戦っている。やっぱり普通の魔族が相手ならどうにかなるってことだな!

だか...そう上手く行くわけもないんだよな、こういうのは。

 

 

 

 

 

「見つけたぜぇ、人間!」

 

辺りに鳴り響く叫び声と共に、空から誰かが降りてくる。鋭い爪に大きな翼。魔族で間違い無さそうだ。

 

「また増えやがったな!そんなに斬られてぇか!」

「はぁ?俺は『ゴエティア』のベルゼだぞ?てめぇら人間如きに負けるかよ!」

「ゴエ...何だって?」

「『ゴエティア』だ!ルシフェル様直属の魔族の部隊だよ!そん中でも俺は特に強ぇんだ、生きて逃げれると思うな!」

 

ロアが刀を向けて怒りの声をあげると、その魔族は自分について丁寧に教えてくれる。

そして、そのベルゼと名乗った魔族は、真っ直ぐ俺の方に突っ込んでくる。

ルシフェル、ってのは確か魔族の王の名前だ。王様直属となると相当強いんだろうけど...

 

「はっ!おらおらぁっ!」

「...!」

 

魔力を拳と共に連続で浴びせてくる。

一発一発が結構な威力で、受けきれるか微妙だけど...

...何か、妙だ。

いや、感じ取れる魔力はかなり大きいんだが...その割には...

 

『あいつ、使い方がなってねぇな』

 

中にいるマーズの声が聞こえる。なってないってどういう...?

 

『魔力の使い方が下手なんだよ。あいつ、多分だが遠距離戦の方が得意だ。さっきからあいつ、でかい魔力を考えなしにぶつけてるだけだからな。仮にも王様直属を名乗るんならもうちょい上手く戦うだろ』

 

確かに...よくよく考えてみれば、似た戦闘スタイルのレギナの方が、魔力は少なくても戦い方は上手い。

常に魔力を纏わせ続けて無駄に消耗するんじゃなくて、攻撃する一瞬に絞って魔力を瞬間的に解放する方が、長い間持つ。

魔力の総量が多いからこそなのかもしれないけど、それなら尚更遠距離から一方的に浴びせ続けた方が強い。

なのに、わざわざ接近戦を?

 

『そういうこった。間違い無くあいつ...お前達を嘗めてるぜ。そこにつけ込め。そして、叩きのめしてやれ』

 

ま、向こうが油断してるなら本気を出す前に倒した方がいいよな...よし!

 

 

 

 

 

 

 

...とは言っても、魔力の差を簡単に覆せる訳じゃない。

ただ、俺は1人じゃない。協力して戦うことが出来る。

だから今の俺が出来ることは、俺達の攻撃を通せる隙を見つけること。

 

「どうしたどうしたぁ?反撃できないかぁ!?」

 

こいつっ...こっちは集中してるってのに!

攻撃を受け、流し、次に備える。それを繰り返し続ける。

あまりにも大振りなその拳は一見隙だらけにも見えるが、下手に反撃すれば恐らく受け止められてしまうだろう。だから...

 

「お?剣二本で受け止めたな?それじゃあ次の一撃は受けれないなぁ!」

 

わざと、隙を晒す。

そして叫ぶ。

 

「今だっ!」

 

合図に気付いたロアとレギナが、左右から攻撃を浴びせようとする。

だがベルゼもそれを黙って受けるほど馬鹿じゃない。すぐさま俺への攻撃を止め、左右からの攻撃に"両手で"対応する。

 

 

それを、待っていた。

 

「お前も腕二本で受け止めたな?」

「しまっ...!」

 

ベルゼが焦りを顔に浮かべるが、もう遅い。

俺は懐に飛び込み、腕を交差させて剣を構える。

 

 

「それじゃあ次の一撃は、受けれないなぁっ!」

 

そして、交差させた両腕を開く。剣には勿論、最大限の魔力を纏わせて。

 

その一撃は、確かに敵の胴を抉り斬り、大きな傷を付けた。

 

 

 

「がぁぁぁっ!てめぇぇぇ!俺様に傷を付けやがったなぁ!?」

 

怒りに満ちた表情、声で、ベルゼが怒鳴り散らす。

流石に、もう油断してくれないだろうし、ここからはもっと厳しくなる...

...と、思ったんだが。

 

「ちぃっ...だが!今日はあくまでてめぇらの強さを量りに来ただけだ!次は本当に殺してやるから、覚悟しとけよ!」

 

物語の小物な悪党みたいな捨て台詞を吐いて、飛び去って行った。まだ倒れてなかった他の魔族の兵達も、それを追いかけて逃げ帰っていった。

そりゃまあ、一番強い奴があんな帰り方したら士気も落ちるし、逃げたくもなるよなぁ...。

 

「...何だったんだろ?特に強いー!とか言ってた割に私達だけで勝てちゃったけど...」

「んー...あ!分かったぜ!あいつあれだろ、バカってやつだろ!」

 

ロア...こいつに言われちゃあもうお終いだな...

少し笑いそうになりながらも、ふと真剣に考える。

 

あいつがもし最初から本気で来ていれば、なすすべなくやられていたであろうことを。

 

それに、あいつがくる前、戦いの中周りを見渡して思っていたが、皆が皆武器を持っている訳じゃない。

慣れない暴力を使わなきゃ行けない人もいるし、魔力を実際に戦いで使うのだって慣れてない筈だ。

そんな状態でも戦えるような...もっと具体的に言えば、簡単に使える武器が欲しいところだった。

それが可能かもしれない人のことも、知っていた。

 

「おっと、もしかしてお前も同じ人のこと考えてたか?」

「ラクシアさん。ラクシアさんは誰のことを?」

「イスト...だな」

「...どうやら考えは同じようですね」

 

イストさん...それは、この国の武器職人の名前だった。

俺やロア、レギナの今使っている武器を作ってくれたのもその人だった。

 

あの人なら、皆の武器も作れるし、作ってくれる筈。

無事に生きていることを願いながら、俺達は一度キャンプ地へと戻った。

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