京馬「はぁ~、やっと着いたぁ~」
髭が教えてくれた方角を歩いて2時間、京馬はやっと街にたどり着くことができた。
あれから休むことなく歩き続けたため京馬はかなり疲れていた。
京馬が着いた街の様子は通りは人で溢れており、商売をしている店も多くある。
街の住人の衣服も昔の中国人が着ているような服装をしていた。
そして街を見下ろすかのように大きな屋敷が建っていた。
京馬「ひと休みしたいところだが、取り敢えず聞き込みが先だな。もしかしたら元の時代へ帰る方法もあるかもしれねぇし」
京馬はこの時代の現状を把握するために街の人たちから情報収集を始めた。
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数十分後、一通り聞き込みを終えた京馬は大通りを歩きながら集めた情報を整理していた。
今の時系列は184年、つまり後漢末期。
そしてこの国は荊州。
現在は袁術が治めているが噂ではとんでもないワガママ暴君だとか。
孫堅は袁術の配下につき日々戦に駆り出されている。
最近では黄巾党と呼ばれている連中が暴れて各地で多くの血が流れている。
京馬「つまり今は黄巾の乱の真っ最中ってわけか・・・」
京馬がこれからこの時代で自分はどうやって生きていこうかと悩んでいると、
ぐぅぅぅぅ~・・・
京馬の腹から空腹の音が鳴ってしまった。
京馬「・・・今は腹ごしらえだな」
先程からなにも口にしていない京馬はキョロキョロと見渡すといかにも飲食店のような店を見つけて中へ入って行った。
中へ入ると京馬と同じように空腹の客たちが席について餃子や炒飯、青椒肉絲などの中華料理を頬張っていた。
それを見て京馬の空腹がさらに増してきた。
空いている席に京馬が座ると、
店員「いらっしゃいませ~!お決まりでしょうか~?」
可愛らしい女性店員が笑顔で京馬に話しかけてきた。
京馬は何を食べようかと考えるがとにかく腹ペコのためたくさん食べたいと思い、
京馬「じゃあこの店の全品を一品ずつ持って来てくれ」
店の全メニューを注文した。
京馬の注文に店員は固まり周りの客も京馬の方を振り向いてしまった。
店員「・・・えぇ~っと、失礼ですけど・・・お金持ってますか・・・?」
店員は京馬が店の料理全品分の代金があるのかと伺った。
店員の半信半疑の目を見て京馬は盗賊たちが落としていった袋を机の上にドン!と置き中を見せた。
中にはたくさんの財宝が入っており黄金の輝きを発していた。
店員は唖然となり周りの客たちも箸を止めて財宝に見とれてしまった。
京馬「これで足りるか?」
店員「は、はいっ!少々お待ち下さいっ!」
店員は慌てた素振りで厨房へ駆け込んで行き京馬は料理が来るのを静かに待つことにした。
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ガツガツガツガツバクバクバクバク!!
しばらくして料理が次々と京馬の机の上に置かれていった。
焼売を始め、回鍋肉に担々麺、鶏の丸焼きなどの料理で机が埋めつくされた。
とにかく腹ペコだった京馬は一心不乱に料理を胃袋の中へ入れていった。
そして瞬く間に空の皿が積み重なっていった。
料理がきては皿が空になり、またきては空になりとその繰り返しだった。
もはや厨房は火の車の大忙しの状況だった。
客たちも京馬の底なしの食欲に唖然となってしまう。
そして京馬は最後の一品を口に運び、
京馬「ふぅ~!食った食ったぁ~!」
店の全品の料理を完食して少し膨れた腹をさすった。
京馬の机は空の皿が積み重なり天井まで届きそうなくらいになっていた。
店員「すごい食べっぷりでしたね・・・!」
店員も積み重なった皿を見て京馬の食欲に感心してしまった。
京馬「じゃあ勘定を頼む・・・」
店員「は、はいっ。では失礼します」
店員は袋の中に手を伸ばして財宝を篭の中へ移していった。
ジャラジャラと財宝の音が店内に響き渡っていた。
店員「では確かに、代金分はいただきました」
しばらくして、店員が代金分だけ財宝を入れ終えた。
袋に入っていた財宝はまだ半分以上もあり京馬の所持金にはまだまだ余裕があった。
これなら宿で何泊かはできるだろうと思った。
京馬「んじゃあ、次は宿を取るか・・・」
椅子から立ち上がり店の出入口へと歩いて行った。
店員「ありがとうございましたー!」
店員に見送られながら京馬は振り向かず右腕を上げて返答をした。
京馬が店から大通りへ出ると、
「おい、ちょっといいか?」
突然男数人が京馬を取り囲み逃がさないようにした。
京馬は少し驚いてしまい、周りの人たちも京馬と男たちから距離を置き出した。
男たちは見るからにごろつきでニヤニヤと笑いながら京馬に話しかけた。
「さっきの見てたぜ?あんた随分財宝を持ってるそうじゃねぇか。そんなにたくさん使い切れねぇだろ?勿体ねぇから俺らに全部寄越しな」
おそらく頭であろう男は京馬が担いでいる袋を見ながら財宝を全てくれと恐喝しだした。
京馬はため息をついて呆れた視線をごろつきたちに向けた。
この時代は結構治安が悪いなぁ~と思った。
京馬「お前らに渡すものなんざねぇよ。渡すくらいなら豚の餌にでも混ぜた方がマシだ」
京馬は頬を上げながらゴロツキたちに挑発をかました。
喧嘩が日常茶飯事の京馬にとってはこの程度の恐喝など大したものではない。
ゴロツキの頭は京馬の挑発に乗ってしまい、
「・・・つべこべ言ってねぇでさっさと寄越せ!」
京馬の顔目掛けて拳を繰り出した。
きゃぁぁ!と周りの人たちが悲鳴を上げたと同時に、
パシッ!!
京馬はいとも簡単にゴロツキの拳を左手で受け止めた。
ゴロツキ「なっ・・・!?このっ・・・!?」
ゴロツキは拳を引こうとするも力が強すぎるためピクリとも動かなかった。
そして京馬は右拳をつくり、
京馬「おらぁっ!!」
ドンッ!!
ゴロツキの脇腹に思いっきりねじ込んだ。
ゴロツキ「がぁっ・・・!?あ、あぁ・・・!?」
ゴロツキの鳩尾に拳が当たったためそのままバタリとうつ伏せに倒れてしまった。
仲間たちも頭がやられたことに激しく動揺してしまう。
京馬「まだやるか・・・?」
京馬は他の連中を鋭く睨み今すぐ全員殴ってやろうかという圧力が掛かっていた。
「すっ、すいませんでしたー!!」
「俺たちが悪かったー!!」
京馬に対して恐怖が沸き上がってきたゴロツキたちは気絶している頭を担いで逃げていった。
京馬「・・・はぁ、だらしねぇ連中だなぁ」
ゴロツキたちの情けなさに京馬は呆れてしまい周りの人たちの視線を気にせず宿を探そうとした。
???「中々やるじゃねぇかお前!!」
すると後ろから女性の大きな声が聞こえてきて京馬は振り向いた。
そこには周りの人たちを押し退けながら1人の女性が京馬の元へ歩いて来ていた。
女性は京馬よりも背が高く褐色の肌で背中まで伸ばした桃色の髪を持ち合わせ頭には高い地位の人が被りそうな帽子を乗せていた。
服装は赤を基準とした服を着こなしその下から豊満な胸が押し上げていた。
さらに腰には鮮やかな装飾が施されている剣を下げていた。
京馬は女性の様子を見て冷や汗を掻いていた。
京馬(何だあの人・・・!?言葉に表せねぇくらいの威圧じゃねぇか・・・!?今まで喧嘩してきた連中とは比べものになんねぇ・・・!!)
女性がギラギラと放つ視線はまさに獲物を狙い定めた獣の目だった。
京馬が呆気に取られていると、
「孫堅様だ!」
「孫文台様よ!」
周りの人たちは女性を見てワイワイと騒いでいた。
京馬「・・・は?孫、堅?」
京馬は周りの人たちの声を聞いてポカンとなってしまう。
人たちは女性のことを孫堅と呼んでいた。
確かに孫堅と聞こえた。
京馬(まさか・・・この人・・・!!)
そして女性は京馬の目の前まで来て見下ろした。
???「何だか騒がしいかと思って来てみりゃあいい面構えの若造がいるじゃねぇか・・・!」
女性はニヤリと笑いながら京馬を視界から外さないように見ていた。
京馬はまさかと思い恐る恐る女性に話しかけた。
京馬「えっと・・・もしかしてですけど・・・あ、あんたまさか・・・『江東の虎』の孫堅、ですか・・・?」
孫堅「おう!オレが孫文台だ!」
京馬の質問に女性、孫堅は堂々と答えた。
京馬の思考は止まってしまい次の瞬間、
京馬「・・・はぁぁぁぁぁ!!??孫堅が女ぁぁぁぁぁ!!??」
今日一番の驚きの声を上げた。
起きたら荒野にいたこと盗賊に襲われたことよりも三國志の名高い武将が女であることが信じられなかった。
孫堅「なんだ?オレが女じゃわりぃのかぁ?」
自分が女だと驚いている京馬に、孫堅の眉間にはシワができていた。
京馬は自分がとてつもなく失礼なことを言ってしまったと焦ってしまい慌てて孫堅に謝った。
京馬「あっ・・・!すっ、すんませんっ!江東の虎って風の噂で聞いてたもんですから!てっきり勇ましい男かと・・・!」
自分の素性を明かさないように上手く誤魔化してこの場を乗りきろうとした。
孫堅「・・・まぁいいさ」
孫堅は軽く笑って京馬の失言を許した。
京馬は孫堅の顔を見てホッと安心した。
京馬(にしても孫堅が女って一体どういうことなんだ?タイムスリップして過去に飛ばされたかと思ったんだが・・・やっぱここは異世界・・・?)
京馬は自分がタイムスリップしたのか異世界へ飛ばされたのかまったく分からなかった。
そんな京馬をよそに孫堅は話しを進めた。
孫堅「さっきの見てたぜ。拳一発で仕留めるたぁやるじゃねぇか」
京馬「・・・あの程度の連中に嘗められたら終わりなんで」
孫堅「・・・ハッハッハッ!確かにそうだな!」
京馬の返答に孫堅は豪快に高笑いをした。
女の身でありながら男のように豪快な人だと思った。
孫堅「おい、名前は何て言うんだ?」
京馬「俺は、雪村京馬って言います」
孫堅「そうか、京馬って言うのか・・・」
京馬の名前を聞いて孫堅の目がさらにギラギラとなり何かを決めたような顔になっていた。
孫堅「よぉし京馬!気に入ったぞ!今日からこのオレに仕えろ!!」
京馬「・・・・・はい?」
孫堅の上から目線の発言に京馬は再びポカンとなってしまった。
これが別の世界から来た番長と江東の虎の出会った瞬間だった。