街へやって来た京馬。
ゴロツキたちにからまれるもあっさり返り討ち。
そこへ孫堅と名乗る女性が現れ京馬を気に入りスカウトしてきたのだった。
京馬「お断りです」
いきなり孫堅からスカウトされた京馬。
しかしきっぱりと誘いを断った。
孫堅「何だぁ?オレの誘いを断るってのか?」
孫堅は京馬が断ったことに睨みをきかせながら威圧をかけていった。
周りの見ている人たちも孫堅が放つ威圧に身震いしてしまう。
京馬は一瞬威圧に呑まれるも冷静になり孫堅と向き合った。
京馬「じゃあ逆に聞きますけど、あんたはいきなり目の前に現れた奴にいきなり『仕えろ!』って言われたらどうします?」
孫堅「あぁ?んなもんそいつをぶん殴るにきまってんだろ」
京馬「・・・つまりそういうことです」
いきなり現れた見ず知らずの相手に従う程、京馬は尻の軽い男ではない。
何度か怒李威武奈威斗から京馬を出し抜こうと他のチームから誘われたが、京馬は自身のチームを裏切らず返り討ちにしてきた。
いくら目の前にいる人物が江東の虎だろうとそう易々と配下につくわけにはいかない。
京馬「それに俺は誰かの下につくなんざまっぴらごめんなんで・・・そんじゃ俺はこれで」
京馬はこの場を離れるために孫堅の横を通りすぎようとするが、即座に孫堅が道を塞いで通さないようにした。
孫堅「んなことなんざぁ知るか。お前は大人しくこのオレに仕えときゃあいいんだよ」
孫堅のあまりにも自己中心的で上から目線な態度に京馬の怒りがグツグツと煮えたぎってきた。
京馬「・・・袁術なんかよりも孫堅の方がワガママ暴君じゃねぇか」
京馬は孫堅に睨みをきかして担いでいた袋をドサッと地面に置いた。
孫堅は京馬が自分に殴りかかってくると思いニヤリと笑い身構えた。
周りの人たちも京馬と孫堅がここで喧嘩をおっぱじめるのではないかとザワザワと騒ぎ始めた。
両者が睨み合う中、京馬は、
京馬「こうなったら仕方ねぇ・・・・・
逃げるが勝ち戦法だぁーーー!!!!!」
(ダダダッ!!
なんと孫堅に背を向けて逃げ出した。
孫堅はおろか、周りの人たちも京馬の行動に唖然となってしまった。
不良の番長としてなんとも情けないことかもしれないが、こっちが圧倒的に不利に陥った状況では不良の世界でも必ずある作戦である。
京馬(江東の虎と呼ばれた武将なんかとやり合ったら命の保証なんざねぇ!!このまま逃げ切ってやらぁ!!)
京馬は走りながら後ろから孫堅が追いかけて来ていないかと首だけ後ろへ向けると、
孫堅「逃がすかぁーーーーーーーー!!!!」
(ドドドドッ!!
なんと孫堅が好戦的な笑みを顔に出しながら京馬のあとを追いかけて来ていた。
京馬「マジかよッ!?」
京馬はある程度距離が離れて孫堅は自分を見失ったかと思っていたが、まさか振り切れていなかったことに驚いたと同時に孫堅の顔を見てまさに鬼が追いかけて来ていると連想してしまいとてつもない恐怖に呑まれかけていた。
捕まったら何をされるか分からないと。
京馬「チキショーーーーー!!ゼッテー逃げ切ってやらぁ!!」(ダダダダダダッ!!
孫堅「ははははははっ!!このオレから逃げられると思うんじゃねぇぞぉ!!」(ドドドドドドッ!!
京馬と孫堅は住人たちを巻き込みながら鬼ごっこを繰り広げた。
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あれから日が落ち始め辺りも暗くなっている中、
京馬「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・」
人目につかない路地裏で京馬が壁にもたれながら座り込んで息を整えていた。
顔は明らかに疲労の表情でびっしりと汗を掻いていた。
孫堅から休まず逃げ続け先程やっと振り切ることができたため体を休めていた。
京馬「何なんだよ、あの人・・・!?しつけぇったりゃありゃしねぇ・・・!」
京馬は孫堅の執念強さに恐れいるもののなんとか撒くことができたため取り敢えずひと安心していた。
しかし財宝を落としてしまったためこれでは宿で休むことができずにいた。
京馬「仕方ねぇ、こうなったら野宿するしかねぇな・・・」
特効コートを脱いで毛布のように掛けて京馬は疲労に呑まれて深い眠りについた。
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チュンチュン、チュン・・・
京馬「んん・・・?」
翌朝、鳥の鳴き声と日の光で京馬は目を覚ました。
立ち上がって思いっきり背伸びをして特効コートを羽織った。
路地裏から顔を出して大通りに孫堅がいないかとキョロキョロと見渡すも何処にも孫堅の姿が見えず安心して大通りへ出た。
京馬「この街に滞在するのは危険だ・・・孫堅に見つかる前に出ねぇと」
また追われるのはごめんのため、京馬は一刻も早くこの街を出ようと門の方へ歩き出した。
人混みに紛れながら簡単に孫堅に見つからないように歩いていた。
そしてようやく門が見えた時だった。
京馬「!・・・」(ピタッ
京馬は急に歩みを辞めて立ち止まった。
何故なら京馬の5メートル先に女性が立っていたからだ。
女性の見た目は京馬より年上。
薄い青色の長い髪に赤い紐の髪止めをつけているのが特徴で孫堅と同じように赤を基準とした服を着こなしていた。
どこかおしとやかで年上のお姉さんの雰囲気が漂っていた。
女性はまるで京馬を待っていたかのように立っていたため、京馬の危機能力が働き立ち止まったのである。
???「・・・ちょっといいかな?」
女性は京馬の前へ歩いてフレンドリーに話しかけた。
京馬は昨日のことがあるため女性に対して警戒を高めてしまう。
京馬「・・・俺に何か用ッスか?」
???「少し確認で聞くけど、雪村京馬くん、だよね・・・?」
女性が自分の名前を知っていることに京馬はあることを確信してしまった。
この人は孫堅の配下の人だと。
京馬「あんた、孫堅さんのとこの人か・・・?」
程普「そっ、程普よ。字は徳謀。この街の警備隊の統括を任されてるわ」
女性、程普は笑顔で京馬に自身の名前を名乗った。
またしても三國志の武将が女であることに京馬は驚いてしまうが、それはもう通り越してしまい呆れながら程普に自分に何か用があるのかと尋ねた。
京馬「それで?その程普さんが俺に何かご用で?」
程普「とぼけちゃって。本当は分かってるくせに」
程普は興味深く京馬をジロジロと見てからかうかのように笑っていた。
京馬「・・・孫堅さんの命令で、俺を捕まえに来たのか?」
京馬は警戒を高めながら程普を睨みやるなら出るとこ出るぞと言わんばかりだった。
しかし程普は、
程普「違う違う、別にそんなつもりじゃないよ」
手を胸元辺りで降って敵対の意思はないことを示した。
京馬は程普の様子を見て取り敢えず信用して警戒を解いた。
京馬「じゃあもう孫堅さんは俺のこと諦めてくれたのか・・・?」
程普「ううん、全然諦めてないよ」
微かな期待をしていたが程普はサクッと否定をした。
分かりきっていたことだが、京馬はガクッと肩を落としてしまう。
程普「私は大殿からある命を受けてるの。『金髪で紫の羽織を着た小僧をこの街から絶対に出すな』ってね」
京馬「・・・警備隊って暇なのか?」
程普「暇じゃないよ。街の警羅とか色々やらなきゃいけないんだけどねぇ~」
京馬「だったら俺なんかに構ってねぇでそっちを優先しろよ・・・」
自分を捕まえるために警備隊を動員させるなんて孫堅は何を考えているのだろうと京馬は頭を抱えてしまう。
程普「ある程度の話は聞いてるよ・・・もう諦めたら?大殿に目をつけられたら例え地獄の果てだろうとどこまでも追いかけてくるよ」
京馬「・・・孫堅さんにも言ったが、俺は誰かの下につくなんざまっぴらごめんだ。とことんまで逃げ切ってやる」
程普「ふ~ん?じゃあ今の内に逃げた方がいいんじゃない?」(スッ
そう言いながら程普は京馬の後ろの方を指さした。
京馬はまさか!?と思い後ろを振り向くと、
孫堅「見つけたぞぉーーーー!!!!」(ドドドドッ!!
向こうから孫堅が土埃を上げながら京馬の方へ向かって来ていた。
京馬「来やがった!!あの人も暇なのか!?」
程普「まぁ頑張れるところまで頑張ってみたら?」
程普はこの状況を楽しむかのように笑っており京馬は早く逃げなければと即座に行動を起こした。
バッ!!
家の方へ駆け出して飛び上がり屋根へと上がっていった。
そしてカラカラと音を立てながら屋根の上を走って行った。
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数時間後、
京馬「はぁ~・・・また無駄な体力使っちまった・・・」
再び孫堅を撒くことができた京馬はヨロヨロと大通りを歩いていた。
今朝から何も口にしていない京馬は腹ペコで何でもいいから胃袋に入れたい気分だった。
そんな時、
???「あっ!すいません!少しよろしいでしょうか?」
京馬「んぁ・・・?」
声をかけられて京馬が振り向くと、そこには茶髪のツインテールに青い服を着た少女が心配そうな表情で京馬の様子を見ていた。
京馬はその少女に見覚えがあった。
何故なら、
京馬「あんたは・・・確か店にいた・・・」
そう、昨日京馬が昼食を取った店にいた店員だったからだ。
店員「やっぱり!昨日お店に来て下さったお客様ですよね?・・・どうしたのですか?随分お疲れのようですが・・・」
京馬「あ、あぁ・・・まぁ色々あってな」
京馬は疲れを隠しきれずとも店員と笑顔で話をした。
何かを察した店員は、
店員「お疲れのようですしお店でお休み下さい。さっ、こちらへ」
京馬の手を取り店へと連れて行った。
店へ入ると昨日同様に客が来ており、店員は京馬を空いている席へと座らせた。
店員「様子を見た限りだど、朝から何も召し上がってませんよね?駄目ですよ?ちゃんと食べないと」
京馬「・・・金落としちまったんだから何も買えねぇんだよ」
京馬は金欠の文無しのため食べ物を買うことができずの状態だった。
それを聞いた店員は、
店員「・・・少し待ってて下さい」
厨房の方へと入って行った。
しばらくすると、
店員「お待たせしましたー」
厨房から出てきた店員が笑顔で担々麺を持って京馬の机に置いた。
京馬は店員が担々麺を持ってきたことに呆然となってしまう。
京馬「・・・俺、金持ってねぇぞ?」
店員「これは昨日のお礼です。代金は結構ですので気にしないで下さい」
京馬「お礼・・・?」
昨日は何か彼女にメリットがあることをしただろうか?と京馬は考えるもまったく心当たりがなかった。
店員「・・・ガラの悪い方たちを倒したではありませんか」
京馬「え?・・・あぁー・・・」
店員の言う通り、確かに昨日自分はゴロツキたちを倒したがそれと何の関係があるのか分からなかった。
店員「あの人たちには本当に困ってたんです・・・いつも私に日々絡んでいた時にあなたが現れて、それ以来、店に来ることもなくなりましたので」
京馬「・・・本当にいいのか?」
店員「はいっ!」
店員の気持ちを無駄にするわけにもいかず、京馬は担々麺に食らいついた。
ズルズルと大きな音を立てながら担々麺を啜っていき京馬の胃袋は満たされていった。
店員「昨日もそうでしたけどいい食べっぷりですねぇ。それにしてもどうして孫堅様から追われているのですか・・・?」
京馬「・・・仕えろ仕えろってしつこくてな。いい迷惑だ」
店員「あはは・・・なんとなく分かりますよ。孫堅様は一度言ったら必ず成し遂げるお方ですから」
京馬の話を聞いて店員も思わず苦笑いを浮かべてしまう。
京馬「とにかく、俺はこんなところで道草食ってるわけにはいかねぇんだ・・・俺には、帰らなきゃならねぇ場所がある・・・」
孫堅から追われようとも京馬は絶対に元の世界へ帰らなければならない。
家族に友人、何より怒李威武奈威斗のチームのみんなが京馬の帰りを待っているのだから。
店員「で、ですけど、どうなさるおつもりですか?このままだと、孫堅様に捕まるのは、時間の問題ですよ・・・?」
京馬「・・・もう逃げるのはやめだ」
店員「えっ・・・?」
ということは大人しく孫堅に捕まることを決めたのかと店員は目を丸くしてしまうが、京馬が易々と捕まるとも思えなかった。
京馬は担々麺を食べ終えて椅子から立ち上がり、
京馬「ありがとな、俺のために作ってくれて。金は必ず払う。じゃ・・・」
そう言い残し店を出ていった。
店員は京馬の背中をただ見送ることしかできなかった。