戦うことを選ばなかった凡人   作:ロック大佐

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 仕事を終えて家路へ向かうエンジェル見習い。
 疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車を一般人に追突させてしまう。
 配下を庇い全ての責任を負った神様に対し、車に引かれた平々凡々人藤原に言い渡された転生の特典とは……。

 あ……ありのまま、今起こったことを話すぜ!
 俺は連載の続きを書こうとしたら新たな短編を書いていた。
 な、何を言ってるのかわからねーと思うが以下略ッ!

 リハビリも兼ねて書きました。やっぱ書きたいと思ったもの書くのが一番楽(ry
 今回のお話は神様転生を見る度に思ったことを書いたって感じですねぇ。
 あ、警告タグにないように神様転生に対するアンチとかではないのでご安心を。
 それにしても原作キャラ一人しか出てないからタグ付け辛いなぁオイ。
 更にサーヴァントじゃない上に原作主人公の藤丸立香なんだ(しかも出番少なめ)
 すまない……生存タグ付けといて生存キャラ未登場ですまない……。
 まあ続けば登場するからいいよね!(続くとは言ってない)


日常編
神も意外な転生特典


「ん……?」

 

 目が覚めたら白い空間で謎の爺さんから謝罪された。

 突然謎の空間に自分は居て、なんとなく偉そうな立場の爺さんに謝られる。

 ……その状況だけで全てを察してしまった。所謂お約束というやつだろう。

 

「神様転生ですか?」

「如何にもだ」

 

 やっぱりか。なんとなく神っぽい爺さんだとは思ったがやっぱりそうなのか。

 流石に開幕土下座とかじゃなかったけど、神様が頭を人間に下げるとか異常事態じゃないか?

 神様と転生が実在したことにも驚いたが、まずその事実に驚いた。

 ……それにしても自分と神様以外に何もないと言えるこの白い空間はなんなんだろう。

 わざわざ用意したのか? それとも空き部屋とかを利用してるだけなのか?

 色々聞いてみたいが、流石にそんなことを悠長に聞いてる状況じゃないか?

 さて、現実逃避をやめて目の前にいる存在がドッキリの仕掛け人かガチの神様か確かめないと。

 

「死んだ記憶がないのですが、何が死因でしょうか?」

「黒い車に轢かれたのだ。その衝撃で死ぬ前後の記憶が飛んだのだろう」

 

 確かに眠った記憶どころか帰宅した記憶すらない。

 いくらテレビ企画でも帰宅中の疲れた人を拉致同然なドッキリを仕掛けたりはしないだろう。

 もしそんな犯罪行為が行われていたのなら流石に訴えるレベルだし。

 そうか、ドッキリじゃないのか……ドッキリならどれだけよかったか。

 ドッキリじゃないということはつまり、もう元の世界には帰れないということ。

 

「君の未来をこちらの不手際で奪ってしまった。本当に申し訳ないと思っている」

「元の世界に戻ることは、やはり?」

「死ぬ前と同じ存在として元の世界に戻ることはできん。別の存在としてならできなくはないがお勧めはできない」

 

 つまり、絶対に俺が俺として元の世界に戻ることはできないということだ。

 もう二度と家族とは会うことができない。もう二度と友達とも会えない。

 まだ親孝行していない。友人から借りた漫画も返せてない。学校を卒業できていないのに。

 その事実を確認し終わった頃には、先程までは少しはあった転生できることへの喜びは俺の中に微塵も残ってはいなかった。

 代わりに存在しているのは怒りだ。もう以前の人達とは会えないことへの怒り。

 

「お詫びとして特典は好きなものを与えよう。だから恨むなら私だけを恨み、他の神や天使は恨まないでほしい」

 

 しかしその言葉を聞いた瞬間、怒りは少しだけ収まってしまった。

 流石にここまで真剣に謝罪されて絶対に許さないなんて言えるほど、俺は無慈悲ではない。

 逆に無理矢理転生させる為に殺したと悪意を持って言われれば、心置きなく恨めたのだが……

 

「……特典はなんでも好きなものを授けてくださるんですね?」

「その言葉に嘘偽りはない」

「世界を滅ぼす力でも? ニコポナデポでも? 神様を道連れとして連れて行くのも?」

「君がそれを心の底から望むのであれば、従おう」

 

 神様は仕方がないと言わんばかりに顔を悲しそうに歪め、許可を出した。

 ……神様が言ってることは嘘か本当か、所詮普通の人間である俺にはわからない。

 少なくともこの神様は転生先で八つ当たり同然に暴れられるのは嫌なようだ。

 でもどんな特典でも授けるという言質は取った。俺が今欲しかったのはそれだ。

 

「最後に一つだけいいですか?」

「かまわない」

「元の世界の皆はどうなりますか?」

「そちらは私達がどうにかしよう。だから特典を元の世界の為に使わなくても大丈夫だ」

 

 心配はいらない……そんな感情が込められた笑みを神様は浮かべる。

 特典を元の世界に使うか悩んでたこともお見通しか。神って凄いわ。

 一番の気掛かりが聞けた以上、もう俺からの質問は残ってはいない。

 それでは遠慮なく与えて貰おう。俺の考えた特典を。

 

「君を勇者にも魔王にもしてあげよう。それで、君の望む特典は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今から行く世界の主人公とその仲間達が最高のハッピーエンドを迎えられるようにしてほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして俺は、藤原裕司(ふじわらひろし)は転生した。

 Fate/Grand Orderの世界で新たな人生を歩み始めたのだ。

 

「いや本当、下手にチート特典とか頼まなくてよかったなぁ」

 

 今の日常があることをこの世界の主人公、藤丸立香に感謝しながら椅子に座って寛ぐ。

 ……既にわかったかもしれないが、現在は2017年。つまり一部ラスボスは立香が倒している。

 そして今俺がいる室内はカルデアの室内ではない。いたって普通の家の室内だ。

 このことからわかるように、俺はカルデアには行かなかった。

 俺は特典を他人の為に使ったんだ。余計な特典を付与されていないか調べる為に一時期自己流で鍛えていたが、特に超人的な力に目覚めることはなく、黒歴史が増えただけだった。

 この分なら魔術の才能も恐らくない……ならレイシフト適性なんてもっとないだろうよ。

 カルデアに行くこと自体多分できなかったんじゃないかな? ただの予想でしかないけど。

 まあこれで封印指定される心配もなくなり、充実した生活がある程度保障された訳だ。

 自分の身長が平均より低いことを省けば特に日常生活に不満な点はないのも素晴らしい。

 やっぱ……至って普通の……日常を、最高やな!

 そう思考に沈んでいると、ピンポーンと来客を告げるインターホンが鳴った。

 俺は椅子から立ち上がって玄関に向かい来客を出迎える。

 

「久しぶり! ……ていうのも変かな?」

「いや、()()()()()()一年もの年月が経過してるから変じゃないと思うぞ?」

 

 そこに立って挨拶をしてきたのはオレンジ色の髪をサイドテールにした活発そうな女子。

 先程まで感謝の念を送っていた相手である藤丸立香だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 藤丸立香と知り合い……いや、友達になったのはかなり昔からだ。

 といってもこちらから友になりに行ったのではなく、あちらからぐいぐい来たのだ。

 いくら小さい頃から隣の席になることが多かったからと言って積極的すぎた気もする。

 最初は神が原作に関わらせようとしているのかとも思ったほどだ。

 後に立香が一人でカルデアに応募した時に俺を無理に連れて行こうとしたりしなかったことから思い過ごしだと判断したが。

 

「──それでね、所長は美女でドクターも美男で……とにかく美人ばっかりなんだよね」

「劣等感やばそうな職場だなぁ」

「でも仕事内容は辛いこともあるけど、皆いい人で凄く楽しい職場なんだ!」

 

 そう言う立香の顔は確かに楽しそうな表情を浮かべている。少し疲れも見える気がするが。

 こうして元気にオルガ所長とドクターロマンを話題に出せるということは二人共多分死んでないな。

 所長は二次創作のお蔭で予想しやすいからともかく、ドクターはどうやって助かったのか? そもそもどうやってラスボスを倒したのか?

 色々疑問はあるけど俺には関係ない話である。重要なのは二人が今も生きているという事実だ。

 

「ところで裕司、一つ提案というかお願いがあるんだけど……いいかな?」

「なんだ? 俺にできることならなんでも言ってみな」

「うん、あのね──」

 

 ……もしも神様に戦闘関連の特典を願っていれば、英霊と絆を結び、魔術を駆使し、立香と共に戦い、世界を救う未来もあったかも知れない。

 それでも英霊と出会えなかったこと、憧れていた魔術を使えないこと、立香と共に戦えなかったこと……もう手に入らないだろうそれらを選ばなかったことを、俺は後悔していない。

 どんな理不尽な戦闘力を持とうと、反則的な超能力を持とうと……精神力はどうしようもない。

 元々一般人でしかない俺が凄い力を会得した所で敵に怯えて役に立てなかっただろう。

 だから俺は戦う力はいらなかったのだ。足を引っ張ることしかできなかっただろうから。

 流石にFateの世界に行くのは予測してなかったが、結果論で言えば俺の選択は大正解だった。

 

 ……立香、お前の幸運は約束されている。だからカルデアの皆と存分に幸せになってほしい。

 この世界の主役は間違いなくぽっと出の異物たる藤原裕司()ではなく、元々いた藤丸立香(原作主人公)だ。

 英霊達は癖のある奴が圧倒的多数だが、特典がちゃんと仕事しているなら危険はないしな。

 ただまあ、折角友人になれたんだからたまには俺に会いに来て欲しい。

 流石に友人と言えどもこちらからカルデアに行くことはできないだろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「職場で皆に裕司のこと話したら連れて来いって言われたんだ! だから面接を受けてみない?」

What's?(はい?)

 

to be continued……???




 原 作 の 魔 の 手 か ら は 絶 対 に 逃 れ ら れ な い !(絶望)

 続くかどうかは未定ですが、もし続くなら次回はゲロを吐くぐらい怖がりながらカルデアの皆々様にご挨拶することになると思います。可哀想に(他人事)

 追記ー。
 連載にはなったけど、せっかくなのでこの下にあるアンケートは残しておきますね。

「でもマスターは小説を連載にしてないよね」「続いて欲しい?」「う、うん。続いて欲しぃ……」「じゃあ、もっと感情を込めて……おねだりしないとなぁ」

  • マスターに使って欲しいよう
  • もう我慢できないよ今すぐ好きに使って!
  • 僕は君を待つ!(理性がない)
  • 続くまで、聖杯はお預けだぁはー!
  • 連載放置及び続き未定短編!? 外道が!

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