UA36万超え、普通だな!(現実逃避)
一体誰がこんな伸びると思うのよ。いつの間にか40万超えてるし。
もう感謝感激雨霰。ここまでのご愛読、本当にありがとうございます。
あ、それと一つ報告。
もしかしたら次回の更新は遅れるかもしれません。
確定ではないですが、確率は高めです。すいません……。
初対面の人に会ったことないか聞かれたらどうするか?
多くの人はこの問い掛けに無視するか、人違いですと回答するだろう。
そういう人達は大体面倒な人が多いからだ。触らぬ神に祟りなし。
もしどこかで見たことある感じがするなら別だろうが、そうじゃないならそれが普通だ。
「う~ん、会ってると思うけどなぁ」
でもこの状況で同じ手は使えませんよね。本当にどうすればいいんだ……。
今、俺の目の前には理性蒸発でお馴染みのアストルフォくんが難しい表情で立っている。
胸の前で腕を組んで首を傾げる姿は目の保養になるレベルで可愛らしい立ち姿だ。
ただ立っているだけならリアルアストルフォくん可愛いやったーで済ませられたのだが、なんとそのアストルフォくんが突如として今まで会ったことはないかと聞いてきた。
最初の挨拶を省いたら間違いなく会ってないはずなんだけど。実はどこかで会っていた?
しかしアストルフォと出会うタイミングってどんなタイミングだろうか。
普通に出会ったのなら俺に記憶があるはず。つまり記憶に残らない感じで出会ったことになる。
記憶に残らない感じで出会う状況って言ったら、やっぱり最初の挨拶の時だろうか。
それ以外に可能性があるとすれば……静謐ちゃんの毒で倒れている最中とか?
「んんん……まあいいか!」
組んでいた腕を解くと同時に、アストルフォは深く考えるのをやめた。
どうやら真相は迷宮入りしそうだ。明かされないのは良かったのか悪かったのか……。
まあ本当に出会ったことがあるのならその内判明するでしょ。多分?
少しだけ謎が気になっていると、今度は立香がアストルフォに質問をした。
「それで、どうしたの? 今日はいつもよりテンション高くない?」
あ、いつもよりテンション高いの? だから出会った瞬間にハイタッチしたのね。
心の中で納得していると、アストルフォはテンションが高い理由を話す。
「裕司は昨日マスターとジャックをマイルームに連れて行って遊んでたよね? だからボクも一緒に参加して遊ぼうと思ってさ! いいでしょ!?」
遊びに回ってるわけじゃなくて、職場案内っていう立派なお仕事なんだよなぁ。
でもやっぱり周りから見たら遊び回ってるようにしか見えないのかな。
まあ確かに食堂でご飯食べた後は幼女を連れて自室に帰った後はずっとゲームやってたしな。
あれ? ほぼほぼ案内できてなくね? いやでもジャックと遭遇したらそれどころじゃないし!
というか二連続ですっぽかすと所長が怒りそうだからな。そろそろ完遂したいところ。
「まだ職場案内が残ってるから──」
「わかった! じゃあボクが案内するから付いて来て!」
言い終わらない内にアストルフォは俺の腕を掴みながら案内すると言い出した。
いや、立香がいるから大丈夫だよ? という言葉を発する前に俺の体は宙に浮いた。
「ヤッホー!」
全身に風を感じる。どこからかアストルフォの声が聞こえる。
気分はまるでこいのぼりで使われる鯉。風が気持ちいいねぇぁははははは。
……うん。アストルフォが俺の手を掴んで走ってるせいで、俺は凧揚げ状態で移動してますわ。
「ぎゃあああああああああ!!」
何これ怖い! 滅茶苦茶怖いんだけど!? これはギャグ漫画でやれ! 俺でやるなぁ!!
床に足も何も接触していない状態がこれほど恐ろしいとは思わなかった。
幸い廊下は広いので壁や天井には今の所当たってないが、曲がる時とか当たりそうで怖ひ。
やめてね? 俺はギャグ補正とか持ってないからね? ぶつかったら痛いよ? 打撲よ?
「アストルフォオオ! 早く優しく降ろしてくれえええええええ!」
「大丈夫! 壁とかにぶつけたりは絶対にしないから安心して!」
相変わらず元気そうな声を返してくる。ぶつけないのは安心だけど怖いんだよぉ!
というか俺をこいのぼり状態にするとか筋力と敏捷どんだけ高いの? 君そんな凄かった?*1
これで英霊の中では弱いとか言われてるんだからマジで英霊の座は地獄だぜ!
時々意識が真っ白になりそうになりながら、俺はどこかへ運搬されてった……。
「お、置いて行かれた……」
「ぜぇ……ぜぇ……死ぬかと思ったわ」
なんとかどこにもぶつからずに済み、床に降ろされた俺は両手を床に付けて息を整える。
そんな自分をどこか心配そうな眼差しでこちらの顔をアストルフォは覗き込んでくる。
「だ、大丈夫? そんなに辛かった?」
当たり前だよなぁ? 自分は訓練した逸般人じゃないんで、この状態になるのは当然と言える。
そして俺の全身は走ったわけじゃないのに汗がビッショリ。十中八九冷や汗でしょこれ。
お蔭で全身がベタベタの状態で結構気持ち悪いっすね。今すぐにでも湯船に浸かりたい。
「凄い汗! ごめん!」
「いや、いいよ別に……それよりお風呂に入りたいんだけど、どこかわかる?」
流石にこの状態で職場を回るのは勘弁願いたい。
臭いもキツくなってくるだろうし、初対面が汗だく状態とか第一印象最悪だし。
さっさとシャワーを頭から浴びてサッパリしたい。職場見学はまた一旦お預けだ。
「オッケー! それじゃあ……」
「待て待て! もう凧揚げ状態は勘弁して!」
もう一度あの状態になるのはマジで許してください!
「丁度そこが男用のお風呂場だから大丈夫だよ!」
アストルフォはこちらを安心させるように言い聞かせてきた。
なるほど、それなら確かにもう大丈夫だな。
「教えてくれてありがとうアストルフォ! それじゃあ行ってくる!」
安心した俺はアストルフォが指を刺した扉に入った。
ほうほう……タオルと着替えを常備か。これはわざわざ持って来る必要がなくて楽だな。
俺はいそいそと服を脱ぎ始めようとした、その瞬間扉が開いた。
誰かが入ろうとしてるのかと思って扉の方へ振り向くと、そこにいたのはアストルフォだった。
「……何してるの?」
「走ったからボクも入るよ!」
ファッ!?
可愛い子とお風呂で二人っきり。何も起きないはずがなく……。