戦うことを選ばなかった凡人   作:ロック大佐

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 無事セイバーアストルフォをお迎えできたので初投稿です。
 がわいいなぁアズドルブォぐん。
 できればもっと沢山登場させたいけど、一人だけ特別扱いは許されないんDA。
 後に再登場するけど。

 今回ネロちゃまが歌いますが、載せる歌詞が思い付かないので「~~♪」で表現します。
 実際にどんな歌を歌っているのかはご想像にお任せしますというやつです。
 流石にボエ~で表現するとギャグになりすぎるし。エリちゃんと被るし。

 ぐだ子がマシュと並んで立っている一枚絵を見て気が付いた。
 身長158のマシュよりでかくない? ぐだ子の身長158じゃなくない? もっと大きくない?
 そう思って調べてみたらキャリーバッグのサイズ感を測るための目安だそうな。
 つまり一枚絵を信じるならぐだ子の身長は158以上あるってことになるんよね。
 何が言いたいかって言うと、ボツシーン集にあるプロフィールでマシュと同じく身長158と書かれた裕司はぐだ子より小さいことになってしまうのだ。ついでにザビ子より小さい。
 ぐだ子と同じ身長にしたかったのに……自分ブチギレいいっすか?


贈り物(良い物とは言ってない)

「ふふんふふん~」

 

 目の前ではネロが鼻歌を歌いながら歩いている。可愛い。

 それに重い足取りで俺はついて行っている。辛い。

 足取りが重い理由はいたってシンプル、これからネロの部屋でコンサートが開かれるのである。

 俺はその特等席に強制参加させられることになったのだ。至近距離直撃待ったなし。

 今からでも逃げ出したい気持ちが溢れそうだ。事実さっきまでどう断ろうか悩んでいた。というか既に一度遠慮の言葉を投げている(遠慮するなって言われて押し切られたが)

 英霊でさえ悶絶する歌を凡人が聞いて無事でいられるはずがない。

 

 しかし冷静に考えて、断り続けた後のリスクがあまりにも高すぎることに気が付いた。

 ネロちゃまが悲しんだり泣いたりするのはまだマシな方で、まるで余の歌がどんなものか知っているかのような口振りだな? とか言われた場合、それで終わりである。

 流石にネロなら他の王様達とは違って即処刑とはならないと思うが、まだ隠しておきたい。

 勿論、俺だっていつまでも隠し通せるとは思ってない。そもそも一目で見抜いてくる英霊がいる時点でずっと隠し通すなんて無理だろ。

 だけどできる限り隠し通したい。できればもっと英霊と職員の味方が増えてからが望ましい。

 具体的には英雄王や酒呑童子、メッフィー等の危険な英霊を抑えられる人と絆を結べてから正体を明かせれば最高だ。

 だからまだ仲良くなった人が少ない今の段階でバレる訳にはいかないのだ。

 

「ふんふんふ~ん」

 

 ネロの歌を聞いて気絶した人はともかく、死んだ人はマスターを含めてもいなかったはず。

 なら凡人である自分が歌を聞いてしまったとしても、気絶するだけで生き残れる可能性はある。

 断って疑われ、味方が少ない今の状況で正体バレして殺されるよりはマシなんじゃないかな?

 せめて善意100%じゃなければもう少し断り様があったんだけど。

 

「ふふふんふ~ん」

 

 色々と考えている間もまだ楽しそうに鼻歌を歌い続けるネロ。俺の来訪がそんなに嬉しいの?

 心なしか足取りもスキップ交じりな気がしてくる。楽しそうで何よりです。

 ……しかし、こうして鼻歌を聞いている限りだと全然音痴には感じない。

 転生特典が都合良くネロの頭痛と音痴を直してます! とかなら最高すぎて惚れるんじゃが。

 

「余の部屋の前に着いたぞ」

 

 突然ネロが立ち止まり、こちらへ振り向いた。どうやら目的地へ到着したらしい。

 ということは今ネロの横にある扉がネロが歌を披露する劇場(地獄)への入口か。

 遂にここまで来ちゃったよ……もうちょっと心の準備をさせて欲しかった。

 いつまで経っても心の準備なんて完了しそうにはなかったけどな!

 湧き上がってくる恐怖心を抑え込みながら部屋の中へお邪魔する。

 部屋の中は……なんというか、豪華だ。上手く言えないけど豪華である。

 まあ内装のことは一旦置いといて、部屋の真ん中にある椅子に座ればいいのかな?

 念のためネロに確認を取ってみるとその通りだった。それじゃあ早速座りましょっと。

 椅子に俺が腰を下ろすのとネロが俺の前に陣取るのはほぼ同時だった。

 

「さて裕司、準備は良いな? 余はもう止まらぬぞ!」

「ははは……」

 

 準備? できてる訳ないです。多分どれだけ時間かけても無理です。

 しかし無情にも音楽が鳴り始めた。歌への恐怖からか、体が反射的にビクッと痙攣する。

 覚悟は決まってないけどここまで来たんだ。せめて苦しむ時間が短いことを願う!

 

「~~~~♪」

 

 遂にネロが歌い始める。美しい声をしている……が、歌い方は上手くはない。

 残念ながら音痴は直ってなかったようだ。誰だよ特典が直してるとか言ったのは。

 ネロの音痴による音波攻撃を前に、俺は成す術もなく失神する……かと思いきや。

 

「~~~~♪」

「……あり?」

 

 なんともない。失神どころか苦しんだりもしない。

 確かにネロの歌は酷い音痴だが、その歌自体はうるさくなく、音波兵器でもなく。

 ただただ音痴な人が歌っている……という印象でしかない。

 どうして俺は苦しまないんだ? 英霊ですら悶絶するはずでは?

 俺はネロをよくよく観察して原因を探る。

 緊張で声が小さくなっているのでもない。俺に特殊な耐性があるとも思えない……あ!

 

 今目の前で歌っているネロちゃま、マイクを持っていないじゃあないか!

 

 そういえばエクストラでエリちゃんも戦闘前にはくのんの前で歌ったことがあるけど、音痴が酷かっただけで実害はなかった。

 エクステラの方でもネロが超至近距離で子守唄とか歌ってたけど、命に別状はなかった。

 以上の事実を踏まえると、マイクとアンプさえなければ兵器にはならなかったりするんじゃ?

 でなければ俺が無事でいられる理由が説明できない。ほぼ間違いないだろう。

 つまり俺はネロの可愛い音痴な歌を安全に聞ける立場というわけだぁ!

 人によっては音痴なんて聞いちゃいられないって理由で地獄かもしれない。

 しかしこの俺は時々ネロの歌を動画サイトで聞くぐらいには彼女の音痴な歌が好きだった。

 そんなわけで完全にご褒美です。本当にありがとうございました。

 

「最高だぁ……」

「なん……だと……」

「え?」

 

 ふと正気に戻ると、ネロが驚愕の表情でこちらを見ていた。

 歌を中断でもしたのかとも思ったが、音楽が鳴っていないので歌い終わった後……かな?

 終わったことにも気が付かなかったなんて、どれだけ聞き入ってたんだ俺。

 

「そうかそうか最高か! そこまで感動したとは! 余も嬉しい!」

 

 凄く嬉しそうにネロは顔を綻ばせている。天使か。

 まあ普通音痴を褒める人は少ないだろうからな、そう考えると嬉しさも倍の倍だろう。

 無意識の内に最善の一手を取れたようだ。これはもう仲良くなれたと言ってもいいのでは?

 美少女の無邪気に喜ぶ姿に俺も思わず微笑んだ。

 

「よし! 一曲で終わらせる予定だったが気が変わった! もっと聞かせてやろうぞ!」

「あ、ありがとうネロ」

「今の時間と余の仕事時間から……そうだな、四時間程歌い続けよう!」

「え?」

 

 悲報。朝食抜き決定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、時間ももうない。今回はここまでだな」

「あ、そっかぁ……」

 

 まさかのガチで四時間ぶっ通しである。もうお腹ペコペコで結構辛いです。

 俺は椅子から立ち上がると、部屋の外へ向かいながらネロに話かける。

 

「それじゃあ俺はここいらで。良ければまた歌を聞かせてね」

「うむ、ではまたな。ライブの公演には必ず呼ぶ故、安心してよいぞ」

 

 別れの挨拶を交わしあってネロの部屋から退室した。

 ……ネロちゃまは王様の中では仲良くなりやすいとはいえ、こんなとんとん拍子でとはね。

 はっきり言ってもっと難しいかと思ってたんだけど、予想をかなり上回る早さだった。

 マスターである立香と友人という肩書きがかなり効いているのだろうか?

 この調子なら近い内にコミュ力高い鯖全員と仲良くなるなんてこともできるかもしれない。

 俺は希望で胸を膨らませ、ちょっとスキップ気味な足取りで廊下を歩く。

 

「ちょっと君! そこの楽しそうな君!」

「ん?」

 

 誰かに声を掛けられた。声の高さからして恐らく女性だ。

 俺の前方には誰もいないし、スキップ気味なので楽しそうな部分も当て嵌まるから勘違いではないはず。

 ふっふっふ。声だけじゃ誰かはわからないけど、今の俺は無敵よ!

 例え誰であろうと面倒臭い奴でなければ絆をちょちょいのちょいと結んでくれるわ!

 まず話しかけてきたのが誰かを知る為、俺は声がした後方へ振り向いた。

 

「すまないがちょっとこれを預かっててくれないかい? 勿論お礼は必ずするとも!」

「え、あ、ちょ」

 

 外見は白くてふわふわしてる長髪にゆったりとした服を着たゆるふわな雰囲気の女性だった。

 女性は手に持っていた布で包まれた何かを俺に渡した後、ドタドタとどこかへ走り去った。

 ……誰だ今の? パッと見では全然わからなかったぞ。まさかのオリキャラ?

 一瞬アルテミスかとも思ったけどこんな喋り方じゃないし、そもそも俺に興味持つ?

 彼女の正体について考えていると、突然渡された包みがモゾモゾと動いた。

 

「生きてるもん渡された……?」

 

 両手に持っている包みは結構な重さとそこそこの大きさだ。一体何が入っているんだ?

 もしも虫が大量とかなら投げ捨てる。小動物とかなら……どうしよう?

 俺は包みを丁重に開いて中身を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中身はまさかの赤ちゃんだった。

 

「んん~、まぅ」

えがおのえがおのべびーちゃあん!?

 

 ひろしは こんらん している!!




 裕司はまだ気付かない。ネロの歌によって裕司を監視していた人物が気絶したことに。
 裕司はまだ気付かない。監視していた人物には護衛の役割もあったことに。
 裕司はまだ気付かない。今の自分はかなり無防備な状態であることに。
 裕司はまだ気付かない。これを好機と動く者がいることに。
 要はトラブルメーカー達との遭遇率が上がります。
 わかりやすく言うと今がチャンスと動き出す人もいるようです。大変そう(他人事)


 今回登場した白髪の女性と赤ん坊はオリキャラではありません。
 ちゃんと原作に登場するキャラですのでご安心ください。

 ネロの歌は音痴な上で長時間逃げ場なしで聞かされるから気絶するという設定にしました。
 正直本当にそれで大丈夫なのか? と微かに疑問を抱いてますが、特典もあるし多少はね?

 前回の日常編が終わったらのアンケですが、アンケで言ってた二部は原作の二部のことじゃないです。アンケの二部は異聞帯とは一切関係ありません。
 言い方的には一章から二章に移るって言った方が伝わったかも。すまない。
 そして原作の第二部編は少なくとも原作の方が完結するまで書きません。本当にすまない。

 さて、今回裕司くんの意外な趣味が発覚しました。実際ネロの歌って音痴なのが可愛いよね?
 あんな感じで彼にはちょっと変わった趣味がちょくちょくあります。
 例えばネコアルクとかもキモいとは思わずに可愛いと思うタイプなのです。
 ちなみに裕司が今一番好きなデフォルメキャラはリヨぐだ子。他意はない。

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