戦うことを選ばなかった凡人   作:ロック大佐

2 / 20
 一週間かけて書いた続きです、なんなりとご覧ください。

 馬鹿な……感想数、しおり数、お気に入り数、平均評価が連載を完全に超えている……。
 流石にこれは書くしかないなと思って頑張りました。褒めて?

 ちなみに前回とは違って今回はちゃんと生存組が出るけど、ちょい役です。悲しいなぁ。


どうしてこうなった

 前世のご両親へ。元気にしてますか? 俺は一応元気です。

 神様が元の世界の皆のことは心配いらないと言ってましたが、やはり少し不安になってます。

 

 さて、不幸な事故で死んだ俺は……なんと二次元の世界へ転生することになりました。

 その時にお詫びとして神様に何でも特典を与えると言われました。

 しかしどんな能力を得ても使いこなせる気がしなかったのでハッピーエンドを求めました。

 神様は大変驚いたみたいで、しつこく様々な特典を押し付けようとしましたが全却下。

 その時の神様の顔は凄く何か言いたげでしたが、知ったこっちゃありません。

 どこに転生するかもわからないのに戦闘関連の特典を貰って迫害されたらどうすんねん、と。

 

 その結果、なんの力も持ってない状態でFGOの世界を生きねばならなくなりました。

 まさか神様はこうなることを事前に察知していた? だから特典を沢山勧めたのか?

 でも下手にチート特典とか頼んでたら封印指定される可能性が高かったので結果オーライ。

 ……避けていたはずの立香といつの間にか親友になってた時は少しは戦い関連の特典を貰った方が良かったかなと後悔したけど、カルデアに連行されずに済んだことで考えを改めました。

 やっぱり俺に戦闘関連の転生特典なんていらんかったんや! と心の底から思いましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カルデアへようこそ。私達は貴方を歓迎します」

「採用決定おめでとう裕司! 一緒にお仕事、頑張っていこー!」

 

 やっぱり胃痛耐性ぐらいは貰った方がよかったかなぁ?

 そんな感じで俺の思いはコロコロと変わるのでありました。まる。

 さて、原作に関わりたくない俺が何故カルデアに就職することになったのか?

 その説明には少し前の過去を振り返る必要がある……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「職場で皆に裕司のこと話したら連れて来いって言われたんだ! だから面接を受けてみない?」

What's?(はい?)

 

 立香は何かを決意したかのような、強い覚悟を決めたかのような、そんな真剣な表情で言った。

 ちょい待て。俺にできることならなんでも言えとは言ったよ? 確かに言ったけどさ。

 なんでそこで俺の就職の話になるんだよゴラァ! 余計なお世話だボケェ!

 ……そう考えた俺は絶対に悪くない。なんでもやると言ったら面接受けろって酷いだろ絶対。

 しかもカルデアでのお仕事をやれと? 立香は俺に遠回しに死ねと仰っているのか?

 その何がなんでも連れて行くという表情をやめなされ。そんなに俺と仕事したいん?

 ふざけるな! 死亡フラグの畑と言っても言いすぎではないカルデアになぞ、俺は絶対行かん!

 よし、断る。例え皆の中に英霊が入ってても絶対行かない。あっちからは来れないだろうし。

 一部ここへ来れそうな人物に心当たりがあるが、まあそこまで暇じゃないでしょう。決定。

 俺はお断りの返答を口にしようとした──その瞬間、ある疑問が頭の中に思い浮かぶ。

 

 あれ? カルデアが危ない場所なのは流石にわかるよな? なんでそこで俺を働かせたい?

 

 冷静に考えれば奇妙である。藤丸立香という人間は自ら友人を危険に巻き込む真似はしない。

 しかし目の前の立香の表情からは、まるで決戦に赴く勇者のような意志を感じる気がする。

 正直俺と一緒に働きたいだけでこうはならんよな。じゃあ理由は他にある? その理由とは?

 皆とやらに連れて来いと言われたから? いや、それだけじゃこんな表情はしないだろう。

 ならどんな理由で? 他にそれらしい理由なんてあっただろうか……。

 俺は脳をフル回転させて考えに考え抜いた結果、ある一つの仮説に辿り着いた。

 

 もしかして、立香の友人という立場ってだけで危ないのかしら。

 

 カチリとパズルのピースが揃ったような音が聞こえた……気がする。

 よく考えれば第二部の連中が俺を人質にする可能性とかあるんじゃね?

 他にも藤丸立香の友人だから同じように優秀かもという理由で誰かに狙われるんじゃね?

 あれ? これ冷静に考えなくても詰んでね?

 

「……よしわかった。受けるだけ受けよう」

「了解! じゃあ案内するよ!」

 

 立香は椅子から立ち上がり、そのまま外へ出ようとする。

 幼少期から立香と友人だったのはやはりフラグか……今出発する? 私も同行する。

 カルデアへのご招待は心底嫌であるが、流石に身の安全と天秤にかけたら行かざるを得ない。

 ただ、原作に関わっても足を引っ張るだけだと思うからね。あくまでも凡人として行こう。

 俺は何も知らない一般人! 魔術も英霊も何も知らない平々凡々の人間である!

 それならきっと身の安全も知ってる側よりは保障されるはず! されてほしい! される!

 自分自身にそうやって自己暗示をかけながら、俺はカルデアへ面接しに行くことになった……。

 

 そんなこんなで俺はカルデアの面接室っぽい室内へほいほいとやって来てしまいました。

 ちなみに面接官担当はオルガマリー所長様である。やっぱり生きてたんやなって(感動)

 所長の生存確認もしたことだし、今からでも全力拒否して帰っちゃ駄目かな? かな?

 でも帰ったら狙われるかも知れんのよね。駄目だどうあがいても人生強制ハードモードや。

 ……で、今マリーさんからめっちゃ見られてる。目の形からして多分睨んではないはず。

 所長さん美人だからそんなに見られたら恥ずかしくなってくるんですがそれは……。

 こちらをずっと見続けるのはやっぱり素質とかを見極めてるのかしら。

 だとしたらやっぱり不合格? 不合格にされたら俺はどうすりゃ……待てよ?

 むしろ不合格にされた方が皆も藤原裕司は無能なんだなって思うんじゃね?

 我ながらグッドアイディア! そうと決まれば不合格だ! 所長さん遠慮なく落としちゃって!

 

「合格です」

 

 なんでさ。

 

「カルデアへようこそ。私達は貴方を歓迎します」

「採用決定おめでとう裕司! 一緒にお仕事、頑張っていこー!」

 

 やっぱり胃痛耐性ぐらいは貰った方がよかったかなぁ?

 ──とまあここで冒頭に戻るって感じでございます。

 面接が終わった後、立香に案内された部屋……自室にて待機命令が出された。

 なんでもカルデアはかなり広いから挨拶周りに行かせるより、職員全員を一部屋に集めて一度に挨拶させる方が早く済むから待ってろ! とのこと。

 おめでとう俺。これで俺もカルデアの一員だ! 嬉しいやら怖いやら。

 ぶっちゃけると恐怖の感情が大部分を占めるけど、やっぱり嬉しい思いだってある。

 英霊達や職員達との出会いや会話は誰だって憧れるでしょう。俺だって憧れてる。

 怖いもんは怖いけどな! どう接すればいいかわかんない奴とか結構いるし!

 まあ俺は一般人と認識されているはずだし、英霊達とは出会えるか不明だが。

 

「裕司ー!」

 

 ふと、俺の名前を呼ばれた気がした。その直後にドアが開いたので幻聴ではなかったのだろう。

 ドアの向こう側に立っていたのはやはりというべきか立香だった。

 その表情がどことなく嬉しそうなのは気のせいではないと思う。

 これからは小さい頃から過ごしてた友人といつでも会えるようになったんだから当然と言えば当然か。

 

「どうしたんだ立香。もう職員が集まったのか?」

「ううん、皆が待ちきれないって言うから職員よりも先にサー……業員と挨拶させようと思って」

 

 おい誰だよ英霊達と会えるか不明とか言った奴。強制遭遇イベントじゃねーか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は、初めまして~。自分の名は藤原裕司と言います……よろ、しく!」

 

 い、胃が! IGAAAA! 体が震える! 気分も悪い! ……あ、吐き気もしてきた気がする。

 立香をちらりと見てみるも、ニコニコしてるだけで特に俺の状態には気が付いてない様子。

 俺の演技力が高いのか、立香の鈍感さが想像以上なのか……。

 なんで俺がこんな状態になっているかと言うと、皆様の前で挨拶をしているからです。

 勿論ただの挨拶如きでこんなんになるほど俺は弱くない。

 初対面の相手なら少しは緊張するが、こんな酷い状態にはならない。

 

「…………」

「しゅ、趣味はゲームや漫画、ネットサーフィンです……よ?」

 

 でも清姫と頼光に半目で見られながら挨拶するなんて拷問だと思うんだ。

 睨んでるのかただ眠いのか、判断し辛いのが俺の中にある不安を更に加速させる。

 更にこちらを見ているのはその二人だけではない。食堂という人が集まりやすい場所なのもあってか、かなりの数の英霊に見つめられている。胃袋が更に追い詰められる。

 多くの英霊さんが席に座ってて自然と見下ろす形になっているのも怖い。吐きそう。

 唯一の救いは英雄王や花の魔術師、山の翁(じいじ)の姿は見えないことですね。

 ここに英雄王がいなくて本当に良かった。最悪殺されていたかもしれない。

 召喚できてないのか、たまたまいないのかは不明だが……あ、静謐のハサンもいない。

 溶岩水泳部員で彼女だけいないのが逆に不安になってくる気がするのは俺だけだろうか。

 ちなみにエミヤさんとタマモキャットの存在を確認できました。

 ということはエミヤ(おかん)のご飯が食べれるのか! これは楽しみだな!

 ……食べる前にデッドエンドとかないですよね?

 

「そうか、マスターが言ってた友人ってのはアンタか」

「た、多分そうです」

 

 そんな勇ましい声と共に姿を現したのは、クー・フーリンだった。

 ただ、槍ではなく杖を持っているのでキャスニキの方だと思われる。

 まさか溶岩水泳部よりも先に話しかけてくるとは、流石に予想外。

 でもちょっと救われた気分だ。クーの兄貴は頼れる人だからな。

 

「……坊主、ちょいと付き合っちゃくれねぇか? 確かめたいことがある」

「確かめたいこと? わかりました!」

「よし、付いて来い」

 

 キャスニキは俺に背を向けると歩き出した。

 当然ここで追いかけない選択肢はなく、キャスニキに付いて行く。

 挨拶は既に終えたも同然だし、もう食堂から離れてもいいよね!

 あのほぼ無言無音な状態だと質問も特になさそうだしな。尚更問題ないだろ。

 なーに、仮に質問があったとしても後でたっぷりと聞けばいいさ!(現実逃避)

 ……何より俺自身があの重苦しく感じる空気をこれ以上吸いたくない。

 

 そうこう考えている内にキャスニキは目的地に到着したようだ。

 キャスニキが扉を開くと、そこはかなりの広さの部屋だった。

 ん? 広い部屋? はて、何故か嫌な予感がする。

 カルデアで無駄に広い部屋。どんな用途で使われてるんだ?

 間違いなくキャスニキの自室ではないだろうことはわかるが、はて?

 すると突然足元に棒状の何かが転がってきた。

 なんだと思ってそれを拾い、よく見ると……それは()()だった。

 ……え?

 

「さあ構えな、一勝負と行こうぜ!」

 

 視線をキャスニキの方へ向けると、そこには杖を槍のように構えたキャスニキの姿が!

 ……え?




 やめて! サーヴァントの一撃で主人公を薙ぎ払われたら、身体能力最低クラスでなんの特殊能力も持っていない藤原裕司は絶望で真っ白に燃え尽きちゃう!
 お願い死なないで裕司! 主役が今ここで倒れたら、生存組や英霊や立香との物語はどうなっちゃうの?
 希望はまだ残ってる。ここを耐えれば、きっと秘められた転生特典に目覚めるんだから!

 次回『藤原死す』

 デュエル(公開処刑)スタンバイ!

皆さん主人公のこと神性を筆頭に色々考えてて草ァ! そこで質問。もし主人公の藤原裕司が強化されるとしたらどんな感じに強化してほしい?(このアンケートの投票数はキャスニキ戦の勝敗には一切関係ありません)

  • 一切戦えないヒロイン状態を貫け!
  • 今後に備えて少しの毒耐性程度ならOK
  • 英霊から武器借りるまでなら大丈夫
  • なんか凄い設定さえあればなんでも
  • 秘められた転生特典が覚醒する!(非推奨)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。