ここは、日本のどこかにある山奥。その山奥に、楽園はあった。
人間と妖怪が共存する楽園、幻想郷。幻想郷は、人間や妖怪、妖精、鬼、天狗、更には神や吸血鬼まで、様々な種族が共存している。
そんな楽園、幻想郷と外の世界を分け隔てる結界…博麗大結界の前に、彼女は居た。
異様に長い白色の髪に、
「久しぶりですね、幻想郷。……ただいま、帰りました」
そう呟いた少女の瞳に光はなく、声色も淡々としていた。表情筋はピクリとも動かず、完全な無表情だ。
——そう、彼女には、『感情』がない。過去の様々な出来事で、感情を失ってしまったのだ。
だから、少女は笑ったり、泣いたり、怒ったり、悲しんだり、楽しんだりする事がない。——否、出来ない。まるで、氷のような人物なのだ。
そんな少女が、真っ直ぐ前に手をかざす。すると、そこの空間が裂け、目玉だらけの空間が奥に見えた。真っ暗なのに見える。そんな『境界』があやふやな空間だ。
少女は、それ————“スキマ”に飛び込んだ。
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金色の長い髪を、先の方で数束にまとめて赤いリボンで束ねた髪型に、ふんわりとした白の帽子。その帽子には赤いリボンがあり、瞳は髪と同じく金色の少女、八雲 紫。妖怪の賢者と呼ばれた大妖怪で、その力の強さは、並みの妖怪では太刀打ち出来ない程だ。
そんな大妖怪である紫は、混乱していた。余程力の強い者でなければ通れない博麗大結界があるにもかかわらず、一人の妖怪が入って来たのだ。しかも、“スキマ”で。
“スキマ”とは、紫の能力である『結界を操る程度の能力』でしか開けないモノだ。その能力を扱える者は、紫自身と、あと一人しか居ない。数百年前に突然姿をくらませた、親代わりの“覚り吸血鬼”だ。その名の通り、吸血鬼と覚り妖怪の混血である彼女は、現代の、歴代最強の“博麗の巫女”とほぼ同等の実力を持っているであろう、“『最強』の覚り吸血鬼”だ。
そんな覚り吸血鬼の気配が、この幻想郷にある。忘れもしない懐かしい気配。紫は、その気配がどこにあるのかを探り、その場所を突き止める。
「あそこは……霧の湖辺りかしら」
そう呟いて“スキマ”を開き、飛び込む紫。そこに居た者は————
「……あら、紫。お久しぶりですね」
「み、ミア…!?」
“『最強』の覚り吸血鬼”、ミア・古明地・スカーレットだった。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!杉野 麗菜と申します!!
初投稿です。東方も小説もまだまだ分からない事だらけですが、趣味としてちょこちょこ書いていきたいと思います!よろしくお願い致します!!