魔源の禁龍を宿し者《リメイク版》 作:ドラ丸2号
そして、アンケートにご協力くださった78名の皆様ありがとうございました!!ラヴィニア一択という意見も多い状況でしたが、どうかこれからも楽しんでいただけたら嬉しいです。
さらに、第二章につきましては、あと3話くらいで終わります。
それではどうぞ!!
暗い森の中。
激しくぶつかり合う金属音とともに、雷でも落ちたかのような爆発音が鳴り響いていく。
鳶雄たちと別れた黎牙は1人、
「舐めるな!!」
『Enchant Trinity!』
筋力強化を三重に
本来なら押し潰されてもおかしくないのだが、黎牙は身体強化の魔法も両脚に施していることもあって、全長5メートル近くあるギルバスが持つ神器の亜種の
「くらいやがれ!禁龍波!!」
『Liberate!』
先程まで吸収させておいた霊体たちの力を刀身へ
斬り裂かれた箇所から血飛沫を撒き散らし、黎牙はその場に倒れてしまう。
「がはっ!?……く、くそ…」
「………おかしい」
明らかに手応えの無さを感じたギルバスは、起き上がった劔の巨人へ倒れ伏した黎牙に対し、3メートルもある刀身をした両腕を振り下ろすように命じる。すると、倒れ伏した筈の黎牙は急に爆発し、その場を黒い霧で支配する。
「やはり、幻覚による偽物」
「気づくのが、遅れたな」
声のする方へ視線を向けると、無傷の黎牙が空中に浮いていたのだ。しかし、それだけではなく黎牙の更に真上に巨大な魔法陣が展開されている。あの時、禁龍波を放った際に黎牙はワザと隙をできた様に見せかけて、斬り掛かってくるであろうポイントに罠として、幻覚魔法を聖剣の雨を掻い潜りつつ足元に描いていた。このため、黎牙はギルバスが攻撃して来たのと同時に高度の幻覚魔法を展開させ、一瞬のもの間ギルバスから本体である自分を隠すしてみせた。
「しまっ!」
「焼き殺せ!クルイオス・ハザードォォォォォ!!」
『Enchant Double!』
そして、
《クルイオス・ハザード》を放つ。魔法陣から展開された黒い獄炎は、まるで龍のように形作られ、標的であるギルバスへ一直線にその牙を剥く。
人間にとって死角とも言える真上からの攻撃によってギルバスは回避することも出来ず、劔の巨人諸共黎牙の獄炎をその身に受ける。劔の巨人と獄炎の衝突によってとてつも無い爆煙が立ち込める。自身の最大魔法を放ったため黎牙は、一旦地上に降り立ち、近くの木に邪剣の刃を突き立てると、
「吸い付くせ」
『Absorb!』
吸収の力を使い、木から生命『力』を奪い取った。
これにより、木は一瞬にして枯れ果てさせ、消費して魔法力を多少回復させていると、
「さ、流石ですね…はぁはぁ………これほどの魔法を創り出した上に、神器で強化させるとは…恐れ入りましたよ」
「ちっ、しぶといな」
右腕と右脚を焼き尽くされても尚、何とか生きているギルバスが現れる。背後には劔の巨人の残骸と思しき、刃が幾つもあり、その全てが黒い獄炎によって焼かれ続けているところを見ると、巨人を身代わりまたは、燃え続ける部分を切り落としたとしか思えない。加えて、少々息は絶え絶えではあるが、彼の顔には、醜悪な笑みが絶やされてはいない。
「そう言わないでくれませんかね。もうじき、アウグスタ殿がそちらの氷を司る姫君を手に入れるところなのですから」
「何っ!?おい!どういうことだ!!」
「おっと、私としたことが口が滑りました」
拙い演技かのようにワザとらしく口元を、細かい小さな魔剣で作った義手で隠すギルバスの意味深の言葉に黎牙は訝しむ。
俺達の中にいる氷使いはラヴィニアただ1人。
だが、彼女が強いことは魔法の修練の際に嫌というほど分かっている。そんな彼女が捕らえられる様な事態はまず起こらないだろう。なら、師匠であるグリンダを人質にしたとしても、ラヴィニアが素直に従うとも考えにくい。加えて、ギルバスは『手に入れる』と言った。
つまり、洗脳ではあくまで操り人形となる。だが、アジ達の様に肉体を乗っ取るということならば。
そして、それほどなまでに精神が弱らせることのできる手札はオズの魔法強いたち————アウグスタは有している。
「まさか!?」
『Enchant!』
「キヒヒヒヒヒ、行っても既に手を遅れですがね。
さて、貴方が私以上の存在であるかどうか確かめさせて貰おうか」
敵であるギルバスに無防備にも背を向け、焦る黎牙は神速の魔法とともに、脚力強化の
もう何を信じていいのかも判らない
『■■■■■』
かつて、大好き母が口にしていた言葉も
凍り付き思い出せない
あの時と同じ今の私は一人ぼっち
氷に閉ざされはじめてゆく“私の世界”
この氷に閉ざされた世界へ
来てくれる人はもう何処にいない
アジ達から教えられたラヴィニアの気配のする方向へ駆け抜けていく黎牙であったが、ギルバスの言葉通り時すでに遅し。
「ラヴィニアァァァァァァァァァァ!!」
呼びかける黎牙の言葉も虚しく、漆黒の魔法陣の上で光となったアウグスタがラヴィニアの中へ入っていってしまった。
「アイツに何があった!?」
「分からないんだ。ラヴィニアさんの師匠さまから通信があって、それを聞いたらラヴィニアさんが……ッ!?」
近くにいた鳶雄達も一部だけを見ていたため、黎牙は鬼気迫る勢いで問いただす。黎牙の様子に困惑しつつも鳶雄はその問いに自分が見たままのことを伝える。
「内容は何だ!?」
「……『あなたと話すことは、無い』って」
「クソッタレがぁ!!」
予想する最悪の事態が起きたことに黎牙はこれ以上ないほどのの怒号をあげる。
周りから拒絶され、ずっと1人であった時に救ってくれた存在であり、ずっと探し続けた恩師からの拒絶の言葉を聞けば、ココロは乱れ、闇に呑まれる。彼女のココロの拠り所であるグリンダによる拒絶の言葉は、どんな魔法や神器の攻撃よりも攻撃力を持っていると断言できる。そして、アウグスタの目的はラヴィニアの肉体を手に入れることである事実に気づくことが出来なかったことに自分の考えの甘さに黎牙はとてつも無い憎悪を抱いていると、
『あっはっはっはっは!!』
今まで下を向いていたラヴィニアが突然不気味な笑い声を上げる。普段の彼女からは考えられない声量での哄笑は悪意が支配されている。
『残念だったね。この娘の体は貰ったよ。さて、どうしてくれようかね?』
ラヴィニアの口調がアウグスタのものになっていることに驚愕する鳶雄達はこの言葉でようやく確信する。紫炎のアウグスタはラヴィニアの恩師であるグリンダを利用し、狡猾な手段を用いて彼女の体を乗っ取ることこそが目的だったことを。
《———汝らに命ずる———》
《———我が肉体を依代とし———》
《———汝らが司りし魔の総てを———》
《——我が身に付加せよ…アジ・ダハーカ——》
激情に染まった形相の黎牙は、邪気と闇を感じさせる一説を唱えると、妖しく輝く左手の痣から出現させた刻印を自らの心臓へと撃ち込んだ。
『
すると、影がその身を包み込んでいく。
やがて、深縹色の光によって包み込んでいた影が打ち消されると、自らの最強形態である『
「お前らは邪魔だ」
「待ってくれ!黎牙!!」
そして、手を伸ばす鳶雄諸共、夏梅、紗枝、鋼生、夏梅、詩求子を離れているヴァーリと雹介の元へと転移させる。
『おやおや、お優しいね。仲間を逃すなんて』
「……バカか?今の俺はブチギレてんだ。巻き込ませない様にできるほど気を回せてやれないだけだ!!」
激昂する黎牙は、3桁とまではいかないが夥しいほどの魔法陣を展開し、魔法をラヴィニアを乗っ取ったアウグスタへ向けて放つ。
しかし、アウグスタはなんと、ラヴィニアの
「な、に!?」
驚愕を露わにする黎牙にアウグスタは不敵に笑みを浮かべる。
『あっはっはっは、どうする気だい?
「うるせぇよ。老害風情が!!」
傍らに氷姫と十字架を背負った紫炎の巨人から繰り出される氷槍の雨と炎の十字架に対し、黎牙は幾つもの防御結界に加え、
「アジ!!」
『『『おう!!』』』
影に
吹き飛ばされ、大木に背中を強打してしまう黎牙は、口内を切ったのか口から血を流し始める。
「…ぐ……ぅ……」
しかし、黎牙は全身を襲う激しい痛みに歯を噛み締めながら耐え、憤怒の炎を宿す瞳のまま立ち上がる。
『言っておくが、ワザと手加減してやったんだよ。坊やに死なれちゃ、サタナエルが煩いだろうから』
「…い、言ってくれるな………寄生虫のぶんざい…で」
『今の言葉は聞き流してやるよ。コレが最後の警告だよ。投降しな、アザゼルの所にいるよりも私らの所にいた方が坊やはもっと強くなれる。それに、この娘が恋しいのなら、私が———』
「それ以上、そいつの…ラヴィニアの声で喋るな!!」
威嚇する様に周囲に吹雪を吹かせ続ける氷姫と、十字架を振り上げる紫炎の巨人を侍らせるアウグスタの言葉を遮り、黎牙は深縹色の光を発し始める邪剣の切っ先を向ける。
『なんだい。本気で、惚れているのかい?』
「そんなんじゃねぇ。俺はラヴィニアに助けて貰った借りを返して無いだけだ!」
『Enchant Trinity!』
『『『(ベタ惚れじゃん)』』』
展開した魔法に対する魔法力に加えて、脚力、動体視力の強化の
「吸いつくせ!」
『Absorb!』
魔法力を吸収させ不発にする。
『ほぅ、やるね』
関心する様なアウグスタの言葉に黎牙は内心舌打ちつつも、決定打に掛ける自分の無力さを痛感する。
「だったら、コレはどうだ!」
『『『くたばれ!アバズレ!!』』』
返答の返しとして、黎牙は左手を掲げると頭上に巨大の魔法陣を展開させ、豪炎に燃え盛る巨大な岩石をアウグスタへ振り下ろす。加えて、影にいるアジ・ダハーカ達は、それぞれの首から呪詛塗れの豪雷を氷姫と紫炎の巨人へ放つ。
『はっ!子供騙しだね』
しかし、アウグスタは黎牙が生み出した巨大な岩石の正体が幻覚であることをすぐに看破し、アジ・ダハーカの攻撃のみを防御障壁を何重にも張り巡らせ防ぐ。アウグスタのせせら笑いに対し、作戦が成功がしたことに確信する。
『『『「それはどうかな?」』』』
『なんだい?』
「『暗天に輝きし12の光よ
我が敵を滅殺する我が矛とし、
この地へ星々の裁きを齎せ』!」
「天体魔法《トゥワイライト・フォース》!」
アウグスタを中心に立ち上がる12もの光の柱たちから齎される様に、アウグスタへ向けて巨大な天体の星光が周りの光の柱を呑み込むように降り注がれる。コレはアジ・ダハーカが自分の知識の中で最も黎牙に合うため教えた魔法。展開時間に難がある上に、この魔法は暗天の星空の下でないと使えないという凄まじくクセの強い魔法でもある。
「はぁ…はぁはぁ、どうだ、クソッタレが」
『いやはや驚いたよ。あんな魔法を放つとはね』
光が止むとそこには、ボロボロの氷姫がアウグスタの身代わりにおり、本体であるアウグスタは黎牙の背後にいた。咄嗟にバックステップで後退するのだが、紫炎の巨人が振り下ろす十字架をモロに受けてしまう。
「ぐあ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『Absorb!』
しかし、何とか邪剣を構えていたこともあって多少とは言え、当初の目的通り紫炎の聖炎を吸収することには成功するのだが、左腕に大火傷を負い、ダラリと力なく下がってしまう。
「(アジ、まだなのか?あの術式の解析は)」
『(今の俺達では、もっと時間がかかる。相手は今のお前より格上の存在だからな)』
『(お前の力不足が問題だぜ☆)』
『(お前が弱すぎる際だ☆)』
『諦めな。今の坊やじゃ、私に勝つことは不可能さ。それにこの娘はもう私のモノだよ』
「…る…ぇ」
何とか、時間を稼ぎつつもアジ・ダハーカたちにラヴィニアを乗っ取っている術の解析を任せているのだが、封印されている上にまだまだ自分とアジ・ダハーカ達のシンクロ率がそこまで高くないので、彼らの魔法力を引き出せないでいる。そんな圧倒的に不利な状況にも関わらず、黎牙は火傷によって全身が痛む身体に鞭打つ様に奮い立たせる。
『なんだい。諦める気になったのかい?』
「うるせぇって言ってんだよ!!さっきから好き勝手に諦めろばっか言いやがって。何が『絶対大丈夫』だ、全然自分が大丈夫じゃないだろーが!簡単に乗っ取られて好き勝手にされている癖によ!それに散々、好き勝手に人の頭ん中掻き乱すクソ天然が!!」
日頃の鬱憤が溜まっていたのか、途中からアウグスタではなくラヴィニアに対しての愚痴が止めどなく出続けていく。
『そんな呼び掛けで、この娘が目醒めるとでも思っているのかい?もういい、サタナエルには仕方なく殺してしまったと伝えておくさね』
失望したと言わんばかりの氷の様な冷淡な顔になったアウグスタに同意するかの様に、いつのまにか完全修復された氷姫は無数の氷槍を、紫炎の巨人は十字架をそれぞれが構え、全力で黎牙をで殺そうとする。
しかし、黎牙は深縹の炎を宿す両眼には一切の恐怖はなく、寧ろ先ほどよりも濃厚な戦意と憤怒が昂らせていく。
「うるせぇよ。悪いがソイツを拠り所にしたのはコッチが先だ。横から掻っ攫ってんじゃねぇよ。だから……ソイツは…ラヴィニアは返してもらうぞ!!」
そして、黎牙の
『ま、まさか!?その輝きは!?』
驚愕のあまりアウグスタは攻撃の準備を停止させてしまう中で、何処か呆れた様に、そして、何処か待っていたかと言わんばかりにアジ・ダハーカたちは黎牙に告げる。
『おいおい、マジで至りやがったぜ』
『マジでおもしれぇーゼ☆』
『やっぱりサイコーだぜ☆』
「アジ…まさか、コレが禁じ手なのか?」
『『『その通りだ!!さぁ、俺達にお前の…その覚悟を見せつけてみせろ!!』』』
こんな時でも邪龍らしく、自分の愉しみを優先するようにしつつも自分の背中を押してくれる様な相棒の言葉に悪そうな笑みを浮かべいく。
「バカか?お前らも一緒に決まってんだろ!!
さっさと準備しやがれ!
『『『ギィヒャハハハハハハハハハハ!!!イイゼ!イイゼ!!とことんまで、付き合ってやるぜ!!だがな、俺達が面白くねぇと感じた時には即見限るからな!せいぜい気をつけるんだな
彼等は自らの
例え、存在を否定されようが、
例え、殺さそうになろうが、
例え、敵が自分より格上であろうが、
ただただ自らのココロに従うのみ
それこそが世界から危険視され続ける邪龍
Balance Breaker!!
《NGシーン》
『『『「卍解!!」』』』
ドラ丸2号「カットォォォォ!!いくら、構えが一緒でもパクんないで!!作品違うから!!」
『『『「後悔も反省しない」』』』
ドラ丸2号「反省して!何回もNG出しているんだから」
ちなみに次回の連想キーワードはラグナロードモンです。
そして、次回は18日の17時00分に投稿します!!