魔源の禁龍を宿し者《リメイク版》   作:ドラ丸2号

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前回に後書きで登場させたラグナロードモンを頭の片隅に置いていただければ、今回の話はそれなりに面白く感じれると思います。多分!!




第9話 禁手化

『『『「禁手化(バランス・ブレイク)!!」』』』

 

 

 

Diabolism Thousand Dragon

Balance Breaker!!

 

 

 

 

 

 

アウグスタは眩い光に対し、目を両手で覆い隠し、自らの(しもべ)と化した氷姫と紫炎の巨人を前方に配置し、奇襲に備える。

 

そして、碧い光が晴れると、そこには1人の邪龍騎士がいた。

 

全身を龍を想起させる様な漆黒の鎧で身を包み、背には3つ首の龍の紋章を施した深縹のマントを羽織っていた。加えて、鎧の至る所には、マントと同じく深縹の宝玉が埋め込まれいる。そして、黎牙が大火傷を負っていた左腕には、鎧だけでなく妖しく瞳を輝かせる龍の頭部の形をした手甲を身につけられ、右腕には、自らの神器————禁龍主の邪剣(プロヒビット・ヘェリィシュ)が握られていた。

 

静かに禁じ手へと至ることができた事を実感していた黎牙は、沈黙のまま左腕の手甲の口を開かせ、アウグスタへと照準を合わせる。

 

「果てろ」

『Liberate!』

「なにっ!?」

 

すると、龍の頭部をした手甲の口から自身の持つ神滅具と同じ聖なる紫炎が放たれてきた。

驚愕するアウグスタは咄嗟に自分が持つ最硬の防御障壁を貼るだけなく、氷姫の氷壁、紫炎の巨人の十字架で迎撃する。

 

しかし、手甲の口から放たれた紫炎は十字架と氷壁を撃ち破り、アウグスタの防御障壁を幾つも破壊し、最後の一枚を崩壊寸前にする程の威力を見せつけた。

 

『何故だ!?何故、坊やが神滅具(ロンギヌス)の聖炎を再現できる!?』

「うるさい、簡単なことだ。さっきまでの戦闘で俺はお前の紫炎を一部とは言え『吸収』させた。そして、今まさに禁手(バランス・ブレイカー)へと至ったことでアジたちとのシンクロ率が限りなく上昇した為、アジたちの魔法力がより一層俺にプラスされた。その恩恵により、取り込んでいた紫炎を解放し、付加(エンチャント)で強化させ、お前の炎と同等いやそれ以上の威力を発揮させただけだ」

 

『だ、だが至ったと言っても、所有者の坊やはボロボロな上に、魔法力はもう殆ど残っていない筈。私の勝利は揺るがないさね!』

「そうだな。今の俺では(・・・・・)…な」

 

 

鎧によって顔が見えていないことを良いことに、黎牙は不敵な笑みを浮かべつつ、氷姫と巨人の修復を待つアウグスタに向けていた邪剣を地面へと突き立てる。

 

 

「行くぞ……アジ(相棒)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dead of Absorb

 

 

 

 

 

 

 

先ほどまでの能力発生音とは明らかに違いすぎるほどに不気味な声とともに、突き立てられた邪剣を中心に闇が広がっていく。

咄嗟に黎牙から噴き出す『闇』に背筋が凍えつく様な寒気を感じたアウグスタは空中へ浮遊魔法を使用し、回避する。

 

『なっ!?』

 

すると、広がり続けていく『闇』は自分達の周りを囲っていた木々が次々と枯れ果て塵と化し、闇に生命力の総てを喰い尽くし始めていく。アウグスタは、目の前に起こっている事象に恐怖感を覚えるほどに黎牙に対する警戒レベルを引き上げる。数秒と待たずに、半径十数メートルにある総ての存在からあらゆる現存するための『力』を喰い尽くされた森は、更地と化してしまった。

 

まさに、災害とも言える黎牙たちの力を目の当たりにしたアウグスタは、ただただ目の前にいる存在が本当に自分と同じ人間であるのか、疑いを隠せなくなっていく。そんなアウグスタを置いて、黎牙は広げた『闇』からあらゆる『力』を吸収し切ると、一気にその力を解放する。

 

その全ては、自分の欲望(やりたいこと)のために。

 

 

『Over The Liberate!!』

「うおォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

回復した力の全てを解き放ったことで黎牙から溢れ出る『闇』はやがて、天へと届き、暗天の夜空を自らの『闇』の空へと変貌させていく。

 

 

 

 

 

* * * * * * * * *

 

 

同時刻。

黎牙によって、ヴァルブルガが率いる『オズの魔法使い』の精鋭たちと交戦していたヴァーリと合流した鳶雄たちは、急いで黎牙が闘っている場所まで駆け抜けていると、鋼生が突然、自分達の真上の異変に気づく。

 

「おいおい、なんかヤベェのが空覆ってないか?」

「何アレ!?」

 

戸惑いの叫びを上げてしまう夏梅をはじめとする全員が、空を覆い隠していく『闇』と前方から来るオーラの波に警戒心を抱いていく。

 

『ハハッ、よりによって初っ端からここまでの力を引き出すのかよ』

 

ヴァーリの肩の乗っているドラゴンデバイスから驚きの声を発するアザゼルも動揺を隠しきれていない。いち早く、空を覆い隠してしまった『闇』を出した者の正体をヴァーリは看破するもアザゼル同様に驚きを隠せないでいる。

 

「まさか、アレをやっているのが、阿道黎牙いや禁龍主だというのか?」

『あぁ。アイツに持たせているはずのデバイスには、監視様のとか色々術式を組み込んでいたが、アジ・ダハーカと協力して早々取っ払っていているから詳しくは分からねぇが。コレは確実に至りやがったのは間違いない』

 

どこまで信用してねぇんだ…と付け加える様に呆れるアザゼルの言葉にいち早く鳶雄は聞き返す。

 

「それってつまり、黎牙は……」

『お前の思っている通りだ。神器(セイクリッド・ギア)は、宿主の想いと身体に劇的な変化が生じた時こそ———禁手(バランス・ブレイカー)へと至る』

 

さっきまで呆れてはいたものの、何処か安心した様に笑い始めるアザゼルに、紗枝は真意を測れずにいるので、その疑問を払うため尋ねる。

 

「阿道君は、大丈夫なんでしょうか?その、暴走とか」

『安心しろ。明らかに、このオーラの波長は暴走状態とは異なるものだ。だが、今でもアイツらがヤバイ状況なのは明白だ。早く行ってやってくれ」

 

黎牙たちの下へ行く様に促すアザゼルの言葉に従い、駆け出そうとすると、

 

「それは困るな。カラス」

 

黎牙に見せていた時の笑みが消えた冷徹な表情をしたギルバスが彼等の行手を阻む。所々、黎牙との戦闘によってボロボロではあるものの焼失した右腕と右脚は、どういうことなのか何事も無かった様に生えていた。しかし、服も元どおりとはいかなかったため、右半身から病的なまでに色白な肌が露出していた。

 

『テメェ、何者だ?アレほどに神器を二つも同時に使いこなせる程の使い手はグリゴリの記録には存在していないぞ』

「貴様の様な下賤なカラスに話すことなど何もない。私はただ、我らが禁龍主の闘いに手を出さないで欲しいだけだ」

「お前達が何を企んでいるのかは、知らない。でも、友達の元へ行くのを邪魔するというのなら、俺達は押し通るだけだ!」

 

全身から刃を出し、唸る(ジン)と共に鎌を構え、戦意を露わにする鳶雄に同意するかの様に、槍を向ける鋼生、銀色のオーラを纏うヴァーリ、グリフォンに攻撃の準備をさせる夏梅たちにギルバスは慌てることなどせず、醜悪奈笑みを浮かべ始める。

 

「申し訳ありませんが、今の状態で貴方方と正面からやり合うほど、私も馬鹿ではないのでね、ヒヒヒッ」

 

飛び出そうとする鳶雄たちよりも早く、印を結び終えたギルバスを中心に緑色の霧が立ち込め、彼の姿を隠していく。

 

「ちっ!どうやら、あの時と同じで結界に阻まれた様だな」

 

苛立ちを露わにするヴァーリは、忌々し気に吐き捨てる。そして、そんなメンバー達の前にギルバスが操る『魔劔の巨人(ディアボロズ・ブレイド・ゴーレム)』が現れる。

 

「コレは、黎牙が言っていたギルバスの禁じ手!?」

「マジかよ!デカすぎんだろ!」

「こんなの闘ってたの黎牙って!!」

 

驚愕する鳶雄、鋼生、夏梅たちをカバーする様に光翼をはためかせるヴァーリは銀色のオーラを纏った手の平からいくつもの光弾を劔の巨人へと放つ。

 

「早く、このデク人形を始末し、2人の元へ急ぐぞ」

「行こう!みんな!!」

 

 

 

 

 

「(待っていてくれ、2人とも。すぐに迎えに行くから)」

 

 

 

* * * * * * * * * * * *

 

 

 

「ソイツを大人しく返すと言うのなら、見逃してやる」

『ふざけるなよ。たかだか、鎧を纏った程度で調子に乗るなよ、ガキが』

 

黎牙の挑発を屈辱の感情に顔を歪ませるアウグスタは、傍らにいる氷姫を数十メートルにまで巨大化させ、黎牙の頭上に氷山とも言える氷塊を出現させる。しかし、頭上に浮かぶ氷塊など眼中にないのか、黎牙は一瞥もすることなく、もう一度手甲の口を開かせる。

 

『二度も同じ手を喰らうと思うな!!』

 

黎牙の攻撃モーションを先読みしたアウグスタは、彼の周りに何十もの魔法陣を展開させ、反撃に出る。そんなワザらしく思うこともなく、黎牙は漆黒のオーラを纏わせた邪剣で全ての魔法陣を斬り捨て、手甲の照準を氷塊へと向ける。そして、侮蔑を含む言葉とともに、先程の紫炎とは違い、手甲の口から黒みをよく含む深縹色のレーザーを放ち、氷塊を粉々に撃ち砕いてみせる。

 

「お前がアイツの氷を使っているのにも、心底うんざりだ」

『なら、死んでくれるかい。坊や?』

 

黎牙が氷塊を粉々にするのを待っていたかと言わんばかりに、アウグスタは氷姫に新たなる命令を与える。すると、更地と化した周囲が突然猛吹雪に包まれていく。吹雪を鬱陶しく思い、手甲の炎で焼き払おうとするのだが下から感じる猛烈な冷気を感じ、視線を下ろすと、

 

『アッハッハッハ!愛しい女の力で凍りつけ!!』

 

下半身が一瞬にして、凍りつかされていた。

勝利を確信しつつも、無理に氷姫の力を引き出したためなのか、肩で息し始めるアウグスタは、黎牙の背後に出現させた紫炎の巨人が持つ十字架に更に聖なる紫炎を纏わせる。前方に氷、後方に聖なる紫炎、動きを封じられた状況にも関わらず、黎牙は特に慌てる素振りを見せることもなく、何処か達観したような仕草をみせる。そんな黎牙に業を煮やしたアウグスタは、冷淡な表情で最後の命令を巨人と氷姫に与える。

 

『やれ』

「我が影を依代とし顕現せよ!アジ・ダハーカ!」

『Enchant Trinity!!』

『『『任せろ!!黎牙(相棒)!!』』』

 

しかし、黎牙の言葉と共に、影の中から以前とは比べ程がないほどのオーラを纏った黒き3つの龍の首が出現し、巨人に絡みつき動きを止める。残った氷姫は動けなくなった巨人に構うことなく、空中に創り出した無数の氷槍を放とうとするのだが、『闇』で支配された空から伸びてきた黒い鎖によって、氷槍は総て破壊された上にその身を封殺される。

 

『ば、馬鹿な!?』

「気を抜きすぎだろ。もう、この空間全てが俺の……いや違うな……」

 

 

『『『「俺達の支配下だ」』』』

 

 

あまりの状況にアウグスタは驚愕し、恐怖のあまりなのか、一歩…無意識とは言え後退りした瞬間、足下から漆黒の魔法陣が展開され、氷姫と同じように黒い鎖で拘束される。それぞれの動きを封じたことを確認した黎牙は、下半身を凍らせていた氷を砕き、空を支配する『闇』と同じ、ドス黒いオーラを邪剣へと纏わせる。そして、今も尚鎖から抜け出ようとする氷姫目掛けて、邪剣を投げつける。投擲された邪剣は見事、氷姫の胸に突き刺さると、宝玉から碧い光を放ち始める。

 

「『主を奪われし氷姫よ

  我が声、我が願いを聴き、

  我が力の一部と成りて、

  自らの怨敵を駆逐する(つるぎ)と化せ』!!」

 

まるで詩の一説を読み解くかの様に、呪文を唱えると、氷姫と邪剣から眩い光が放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Cross Longinus

 

 

 

 

 

眩い光が晴れるとそこには、

 

 

邪剣と氷姫の姿はなく、

 

 

一際(ひときわ)美しい、氷の様な水色をした宝玉が埋め込まれた氷白の十字剣が『闇』に染まりし空を舞っている。

 

 

 

あまりの事態にアウグスタは言葉を失ったに加えて、拘束を解こうことも辞めていた。そんな彼女を現実に引き戻したのは、格下と侮り続けていた黎牙の声であった。

 

「名付けとするならば『氷姫の天剣(ディマイズ・ディグナティ)』って所が無難だな」

『悪くないな。あの姿には邪剣は似合わんからな』

『邪龍要素が一切ねぇーゼ☆』

『付けてたら、殺してたゼ☆』

「あ、ありえない!こんなこと、あり得るわけがない!神滅具(ロンギヌス)が所有者ではない者に従うというのかい!?』

 

「馬鹿か、従わせてはいない。氷姫は自分の意志でお前から叛逆しただけだ。俺はただ、氷姫に対し、きっかけを与えただけだ」

『ま、まさか…霊能力で、氷姫の…神滅具(ロンギヌス)の魂に語りかけたと言うのかい!?』

 

激しく狼狽るアウグスタを心底愉しげに見下ろしつつマントを吹き荒れる冷風に揺らめかせる黎牙は、邪剣と一体化した氷姫に語りかける様に、願いを伝える。そして、言葉を発さない天剣と化した氷姫は、黎牙の行手を阻む敵である紫炎の巨人に、自らを突き立てる。すると、巨人は自らの身体が聖なる炎で構成されているにも関わらず、一瞬に十字架諸共巨大な氷像と化す。

 

『お、お前は一旦何なんだ!?』

 

力を奪わられていく絶望と未知なる力を振るう目の前の存在に対する恐怖に染まりゆく中で、アウグスタは震えるように叫ぶ。

 

そんな魔女に対し、まさに災禍と言える力を鎧として身に纏った黎牙と、彼の影に自らの意志と力の一部を付加(エンチャント)させたアジ・ダハーカは、侮蔑したかように言葉を吐く。

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ!?バカかよ、当たり前なことを聴くなよ。

俺は……いや違うな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『「俺たちは禁龍主だ」』』』

 




と言う訳で、黎牙の鎧はラグナロードモンを左腕以外ベースにしています。
更に、左腕の手甲に関しては同じく合体デジモンであるオメガモンのウォーグレイモンを想起させる手甲です。
正直に言ってオメガモンズワルトにするか、クローズエボルにするのか迷っていた時にラグナロードモンの画像を見つけたので、一発で其方に決めました。でも、手甲も付けたかったのでオメガモンを採用しました。






《NGシーン》
『『『「俺達はヴェノムだ」』』』
「カットォォォォォォォォ!!!!」

「本当に元ネタ出すやめて!!お願いだから!!」
『『『「嫌だ」』』』

「ですよねェェェ!!貴方達邪龍ですものねェェェ!!」
「やりたい放題だね。黎牙……」
「鳶雄、止めてあげなよ。友達になったんでしょ?」

「いや〜黎牙達が生き生きしているかさぁ〜止め辛いんだよ」
「ファング、ドラ丸ちゃんを困らせてはメッ!なのです!!」

「俺達も何か考えようか、アルビオン」
『やめてくれ。アレらと同じになるのは』
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