魔源の禁龍を宿し者《リメイク版》 作:ドラ丸2号
何があった!!2月22日!?
UA数とお気に入り登録者数に思わず悲鳴を上げてしまいました。
本気でびっくりしました。
でも、ありがとうございましたぁぁぁ!!嬉しすぎます!
さて、気を取り直して次回で二章は終わりますので。
第12話お楽しみください!
自滅した筈のギルバスによって創り出された剣によって、黎牙は倒れてしまう。そして、いつのまにか突き刺さっていた剣は全て消え去っており、黎牙の身体から湧き出る血は勢いよく流れ続け、血だまりを作り始める。駆け寄った鳶雄達はヴァーリと共に黎牙の治療を施そうとするが、血の勢いは止まらず、焦り始めていると、
「……………………」
自らの意志で現れた氷姫が黎牙の傷を全て凍り付かせる。
「あ、阿道くんの……傷口が…全部凍ってくれた!」
涙を流しながら、必死に血を止めようとしていた詩求子は、突然黎牙の傷口が氷結されたと言え、止血されたことに驚愕と安堵が入れ乱れた表情となる。
「どうして、ラヴィニアさんの神器が……?」
「セイクリッド・ギアは…所有者にしか動かせない筈だよね!?」
「そういうと、さっきの十字剣も色々と辻褄が合わねぇーぞ」
「だが、コレで阿道黎牙の止血は完了したことには変わりはない」
鋼生に背中で眠っているラヴィニアに疑念を鳶雄たちは抱くのだが、誰よりも冷静に黎牙の容態を念入りに診断しているヴァーリは、最悪の事態を避けることができた事実を述べる。
「………やはり、他者の
『——————っ!?』
聴きたく声がする方向へ全員が視線を向けると、
そこには、
「だが、まだ
口元に手を当てて興味深そうに止血された黎牙を眺める無傷のギルバスがいた。
「貴様ぁ!!」
黎牙を傷つけられたことに加えて、またしても彼に何もしてやらなかったことに対する無力感による怒りがふつふつと湧き上がっていく鳶雄は、影から妖しい光を発する鎌を取り出す。
「ふふふっ、心地よい殺気だ。やはり、君も素晴らしい逸材だ」
「鳶雄達に手出しはさせないわ」
まるで与えられたおもちゃではしゃぐ様な顔つきへとなっていくギルバスに向けて、神々しい炎が放たれた。放った術師————姫島朱雀は、鳶雄達の前へ降り立ち、彼等を守る様にして炎を構える。
「やれやれ、これだから五大宗家の当主は嫌いなんだよ。無駄に頭が硬いし、自分達が絶対的正義であることを疑わない所が」
朱雀の炎が払われると、そこには無傷のギルバスと漆黒の天馬がいた。加えて、黎牙と話していた時と違い、明らかに口調が変わっていることに鳶雄達は疑念を抱く。
「言ってくれるわね。狂剣士」
埃でも払うかなの様な仕草に加えて、露骨に侮辱した表情をするギルバスに内心苛つきながらも冷静に切り替え、彼の行動一つを見流さない様に警戒レベルを高める。
そして、新たに現れたギルバスの3個目の神器に鋼生はうんざりしたかの様に全員が思っていたことを代弁して叫ぶ。
「アイツ……幾つ
「アレは『
鳶雄と並ぶ様に神器である光翼を顕現させ、自らを好敵手として認めくれた事に加えて、自身に超えたいと思わせてくれた黎牙を護るべく自身のオーラを限界以上に高めさせいく。
「やめておいた方がいい。もう闘うことのできない禁龍主や氷姫を庇いながら、私と殺し合うのは得策ではない。それに、魂に干渉する霊能力を持たない貴方達では私を殺し切ることは不可能だ」
『…魂…霊能力…………そうか!貴様は自らの霊能力を駆使して、肉体を何度も取り換えているか!だからこそ、貴様はそこまで肉体の欠損をすべて無かったことにしているのか!』
ギルバスの言動の中に含まれる僅かなワードから導き出したアルビオンの推察を心底愉快で仕方がないかのよう身体を震わせる。
「ふふふハハハハハハハハハハハ!!僅かな言葉で、私の憑依術を見破るとは。封印されていても、神々が恐れしドラゴンなだけはあるな。正解さ、私は自らの身体を自我を持たないクローンで何度も取り換えているのさ。おかげで、霊能力を持たない貴方達の攻撃を受けても大事には至らないのさ。と言っても、万物を斬ることができる狗神の幾瀬鳶雄は別だけどね」
今にでも怒りによって飛びかかってくるのでは…と思える程の戦意を露わにする鳶雄達にギルバスは、まさに狂ったように嗤い続ける。
「さて、私の事を知りたければ、五大宗家の老害達に聞くといい。私の正体には辿り着けなくても、私や阿道黎牙のように強力な霊能力者たちだけが持つことを許された
“狂気の波動”は、魂を持つ者にとっては有毒なのだから」
「待てぇ!!」
転移魔法で離脱しようとするギルバスを逃がさないため鳶雄は朱雀たちの静止を振り切り刃とともに鎌で斬りかかるのだが、その行く手を漆黒の天馬が阻む。その天馬は剣を咥えてた刃の攻撃も、その名の通り常闇を想起させるほどの不気味なオーラを纏う翼で防いでみせる。そして、所有者であるギルバスは向かってくる鳶雄に左手の指先をまるで銃を形造るように構える。
「『ディエス・エル・グレス』」
呪詛を呟くようにギルバスは指先から高出力の魔法力の塊を放つ。
「(避けれない!ならば、斬る!)」
自分が避けてしまえば、紗枝達に向かっていくことを察知した鳶雄はすぐさま、自身のオーラを鎌へ集約させ迎撃にでる。
「もうこれ以上、仲間を傷つけさせはしない!」
と鳶雄は、自らの神器の力の一端である鎌で見事ギルバスの攻撃を断ち斬ることに成功する。しかし、鳶雄が迎撃に出ることを予想していたのか、ギルバスはこの場から退散していた。加えて、刃と対峙していた天馬も、時間稼ぎの役目を終えたため所有者であるギルバスの中へと戻るためにその場から消え去る。
かくして、アウグスタ率いる『オズの魔法使い』とサタナエル率いる『アビス・チーム』との激戦は辛くも勝利とは言えない結果となった。
しかし、この闘いによって四凶の内の1人である詩求子の保護には成功し、鳶雄は自らの
暗い森の中での死闘から早10日の時間が過ぎた。
そんな中で黎牙は、6日間眠り続けていたが、6日目の昼に目を覚ました。そして、禁じ手の影響で身体が万全とは程遠い状態であるので鳶雄に飯を作ることを要求した。目を覚ましたばかりであるのにもかかわらず、相変わらずの黎牙に鳶雄と紗枝は何処か安心してしまう。
しかし、腹ペコの黎牙によって冷蔵庫の食材を全て食い尽くされてしまうことには、口元を引くつかせてしまった。また、その時黎牙の傍らには何故かポッくんまでおり、黎牙に出した料理の三割を食べてもいた。所有者である詩求子は黎牙が目覚めたことに感涙の果てに眠ってしまったのは余談である。
そして、数日が過ぎて黎牙は病室で大火傷を負った左腕以外の包帯を全て取り払い、魔導書とともにヴァーリから渡された『術の書』を空中に浮遊させながら読んでいたいた。そんな様子の黎牙を呆れと諦めととも言える溜め息をつくのは、ベッドの近くに用意された椅子に腰掛けているのは、アザゼルである。
「で、何のようだ?」
「いやなに、お前まで『愛』って奴で至るとはな。半分冗談とは言え、マジで至るとは思わなかったよ。しかも、
「お前のそのニヤニヤ顔を整形させてやりたいが、やはりか。アジ達は、俺が霊能力を駆使して氷姫の力を使ったことに不満だったらしくて、神器の中でへそ曲げているから詳しくは知らないがな」
「くくく、あのイカれた邪龍がスネるって。随分と丸くなったな、アイツらも」
「さぁな。だが、アジ達は神器の融合にはテンション上げていた癖に、この手のひら返しだ。邪龍としての根っこは変わってはいないだろ」
「確かにな。だが、ここまでアジ・ダハーカと同調している所有者はまずいない。恐らく、ヴァーリ同様にお前も過去未来において最強の禁龍主になるのかもな」
笑うアザゼルに黎牙は一瞥することもなく、次なる魔導書を読むため浮遊させている本の位置を操作しながら話を進めていく。
「話を戻すが、お前の禁じ手は明らかに異常だ。一部とは言え、
「知るか、俺は邪龍として自分の
「まぁーな。明らかにお前は歴代の奴らとは違う道を進んでいるのは確かだ。よし、あの亜種の名前なんだが——」
「災禍だ」
面倒な仕事をシェムハザに押しつけて考えた黎牙の亜種の
「アレの名前は『
「………なるほど。確かに災禍の名前は、お前達にピッタリかもな。だが、気を付けろ。お前の力を以前よりも強くなったが、同時にアジ・ダハーカ達の支配力も強くなっている。コレは、誰よりもアジ・ダハーカを警戒するゾロアスターの善神たちも察知している筈だ。恐らく、近い内に刺客が送られてくる筈だ」
「その前にオレに消えろ…と?」
漸く本から視線を外したかと思えば、以前よりも鋭い殺気をアザゼルへ向ける。しかし、アザゼルはその殺気をそよ風のように受け流し、黎牙に向き合う。
「いや、もうお前はヴァーリにとって兄貴と呼べる存在だ。そんな奴を益々追放なんてしねぇーよ。それにヴァーリだけじゃねぇ、アイツらはもうお前を本当に信頼しているんだ。だから、アイツらは何があってもお前を助けるさ」
真剣な表情で話すアザゼルの視線を受けていたが、黎牙は聴こえるように舌打ちをして、又もや本へ視線を戻してしまう。
「しっかりいてくれよ。お前はもうヴァーリにとって“超えるべき存在”なんだがらな」
「………………………」
自分がヴァーリに放った言葉は自分にも当てはまることでもあるためアザゼルの言葉に黙って頷くように応答する。
「黎牙いるよね!?」
そんな病室の扉が勢いよく開けられた。病室へ大声を上げて入って来たのは、夏梅であった。加えて、その後ろには紗枝、鳶雄、鋼生までもいる。
「吉報だぜ。ツンギレ邪龍」
「ラヴィニアさんが目を覚ましたんだ!」
「意識もハッキリしているよ」
アザゼル同様にニヤニヤ顔をする鋼生に青筋を立てかけるのだが、鳶雄と紗枝が知らせた内容によって、黎牙は内心ホッと安堵の息を撫で下ろしつつも表面上は「あっそ」と素っ気無く答える。
「さぁ!男子達、黎牙を連行して!!」
「はぁ!?」
黎牙の言動には慣れ始めているため夏梅も掴みかかることは全くせず、悪そうな笑みを浮かべ鳶雄と鋼生へ指示を出す。
「という訳だ。お姫様が、お呼びだぜぇ〜」
「ラヴィニアさんが呼んでいるから我慢してくれ」
困惑する黎牙を差し置いて、鳶雄と鋼生は黎牙を背中から持ち上げ病室から連れ出していく。
「おい!ふざけんなよ、どういうつもりだ鮫島!幾瀬!!
降ろせェェェェェェェェェェェェ!!!!」
自分たちの真上で、ひっくり返った亀の様にジタバタさせる黎牙の叫びを無視して、鳶雄と鋼生は脱兎のごとく廊下駆け抜けていく。その前方を駆ける紗枝と夏梅に対し、アザゼルは苦笑いを浮かべながらも面白そうなことになると予期し、ついて行くのであった。
ちなみに、アジ・ダハーカの意識が出入りするデバイスは紗枝が預かるのであった。