魔源の禁龍を宿し者《リメイク版》 作:ドラ丸2号
それでは第5話どうぞ!!
『GYAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!』
耳を塞ぎたくなる程の獣いやーーー龍の咆哮が部屋中に鳴り響いた。
時を同じくして、黎牙と土人形のいた場所に、血の様赤色を含んだ黒い焔が立ち込め、黎牙の姿を確認する事が出来ない。
「おいおい!?」
「れ、黎牙なのか?」
鋼生と鳶雄は目の前に起きている現実に驚愕を隠せなかった。
彼等は、自分達のチームメイトーーー阿道黎牙が土人形に殺されるのを阻止しようと抵抗するも虚しく黎牙は殺されるーーーーそう思ってしまった。
しかし、現実は2人が喜ぶ様な結果ではなかった。
黎牙がいた場所には、既に焔は消えており、土人形の姿は跡形もなく、黎牙もいない。
そこにいる影は1つ………
その影は確かに人の形をしているが、全身を強固な黒い鱗と見るだけで寒気がする程の恐ろしい邪悪なオーラに身を包み、右腕は二の腕から先はなく、左腕には先ほどまで鳶雄の近くにあったはずの黎牙の禍々しい剣の
異形の姿をした人いやーーー邪悪なる龍
その言葉しか言い現れせれなかった。
部屋中が静まり帰る中、童門は黒い龍人と化した黎牙を興味深そうに見ていた。
「あの土人形を一瞬にして消し飛ばす程のチカラが彼に残っているとは思えんがーーーー例え急激なパワーアップをしたところで付け焼き刃も良いところだ。やれ」
童門の言葉で背後で待機していたウツセミ達が一斉に黒い龍人へ襲いかかろうとするが、剣の切っ先を斬り落とされ黎牙の右腕へと向けーーーー怪しい光を放った。
放たれた光は斬り落とされた黎牙の右腕を双頭の龍へと変えた。
そして、心を持たない虚ろなる龍が産まれた。
『GYAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!』
「ば、バカな!自分の腕を龍へと変えるなど聴いたこともない!!なんなんだ!お前は!!」
動揺する童門を置き去りにし、
黎牙の右腕ーーーーいや双頭の龍は耳を塞ぎたくなる様な咆哮を上げ、主人たる黒い龍人の敵ーーーウツセミの軍団へ向かっていく。
しかし、何十匹ものウツセミの軍団の内の数匹は双頭の龍の猛攻を避け、黒い龍人と化した黎牙へとその牙を抜いた。
鳶雄と鋼生は土人形からの拘束を抜け出そうと試みるが物体的質量差でビクともせず、拘束されたままとなっている。
「黎牙! 本当に黎牙なら、逃げてくれ!!」
鳶雄は必死になって叫ぶが、黒い龍人は全く動こうとしなかった。
鋭い顎をもつクワガタのウツセミが他のウツセミを置いて先に黒い龍人へ襲いかかるとーーー黒い龍人は手に持った剣を勢いよく振り下ろした。黒い龍人の剣から放たれた斬撃は目の前にいたクワガタのウツセミを左右に真っ二つに斬り裂き生命活動を停止させたーーーが、背後から来るオオカミ型のウツセミに左肩を噛み付いてきた。しかし、龍人は全く怯む事なく、四方から来る植物型、蝙蝠型、大蛇型、蜥蜴型のウツセミ……四体から迫り来る攻撃を最低限の動きで躱す。
そして、左肩にオオカミ型のウツセミが噛み付いている状態のまま横に一直線上の回転斬りで四方のウツセミを斬り捨てた。
そして一瞬の内に残ったのは肩に噛みついてるオオカミ型のウツセミだけとなった。龍人は、剣を地面に剣を突き立て、空いた左腕でウツセミの頭を掴みーーーー握りつぶした。
数十匹のウツセミと戦っている双頭の龍の元へ跳び、二の腕の先から無い右腕を双頭の龍の身体に押し当てた。
すると、双頭の龍はそのまま黒い龍人の右腕へと巻き付く様に身を寄せ、自分を新たなる姿へ変貌させた。
双頭の龍の新たなる姿ーーーーそれは黒い龍の顔をした手甲。
黒い龍人は、双頭の龍だった龍の手甲の口をそのままウツセミの軍団へ向け、黒い焔を放った。
しかし、放たれた焔はウツセミの軍団へ到達する前に、突然展開された魔法陣へと吸い込まれ消えた。
童門、鳶雄、鋼生は突然の事に全く反応出来ていなかった。そんな固まった3人を置き去りにし、いつのまにかウツセミ……一体一体の頭上に魔法陣が現れていた。そして、現れた魔法陣から、先ほど消えた焔が出現した。頭上からの攻撃にウツセミ達は反応する間もなく一瞬のうちに跡形も残さず、焼き尽くし、絶滅させた。
童門は驚愕と恐怖を抱いた。
たった1人のーーーついこの間まで裏の世界など全く知らなかったはずの子供に自身の操るウツセミの軍団を絶滅させられた。
「ばっ、馬鹿な! あり得ない! こんな事がっ!?」
敵を全て絶滅させた事を確認した黒い龍人は、次の標的を童門へと定めた。濃厚な殺意が自分に向けられた童門は、尻餅をつき、這うように逃げ出す。そこにさきほどの余裕は微塵もなかった。
「ひっ。くるなっ! こっちにくるなっ!」
まるで怪物を見るかのような目。
龍人は童門との距離を詰める為に剣を構えた状態で走りだそうとした所で異変が起きた。
黒い龍人の身体の至る所から血が吹き出し始めたのだ。
しかし、それでも黒い龍人の進みは止まらない。
“目に移るもの全てを殺す”
そう見えた鳶雄は決死に黒い龍人ーーーいや黎牙に叫ぶ。
「もういい!もういいんだ!!黎牙!このままだとお前の身体が持たないぞ!!」
「ハハハハハ!!やはり異常なパワーアップは身体に負荷がかかりすぎた様だね!!私の勝ちだ!!死ね!!」
童門の指示を受けた土人形は苦しみだしいる龍人と化した黎牙を殴り飛ばした。殴り飛ばされた龍人は、ボールの様に地面をバウンドしながら飛んで行きーーーー壁に激突する事で漸く止まった。しかし、黒い龍人は立ち上がり、童門を狩るために歩を進める。
ボロボロとなってもなお戦おうとする黒い龍人ーーーいや黎牙を止める力が無い事に無力感を感じる。
「黎牙……」
意見を衝突してばかりだったが、自分達の身を案じての言動であった事は鳶雄にも分かっていた。
黎牙は本当に優しい奴だということもわかっていた。
鳶雄は薄々気付いていた。
黎牙だけならこの場から切り抜けられたかもしれないということに。
自分には黎牙の
それなのに、残った力を自分の為に使ってくれた。
裏切ってはいないということを教えてくれた。
後先考えず、突っ込んで黎牙を苦しませた。
そして、あんな姿で身体に無理をさせながら他のウツセミを全滅させてくれた黎牙が今、自分の目の前で殺されてかけているのに、自分がどれほど無力なのかを痛感させられた。
しかし、童門は鋭い視線を黎牙に向けながら、懐から札を取り出し、新たなる土人形を召喚した。
「くくくっ、あんなにボロボロな上に理性が無いなら後は自滅しか無いな。いい様だよ、まったく。早く死に給え。」
新たに召喚された土人形は龍人状態の黎牙に拳を振り下ろした。しかし、ボロボロの龍人状態の黎牙は何とか二体の土人形の迫り来る攻撃の雨を避けているが、先ほどよりスピードが遅くなっていた。このままでは、黎牙が殺されるのは時間の問題となっている事に鳶雄は更に自分には力が無い事を思い知らされた。
苛まれる鳶雄を見た童門は、何かを思い出したかの愉快そうに醜悪の笑みを浮かべた。
「君は確か幾瀬……だったか。ああ、そういえば、キミは確か東条紗枝と懇意にしていたというデータがあったね。いいだろう、会わせてあげよう。彼女もいいウツセミとなっているよ。思い出した!」
そして童門は更に醜悪に笑んで続ける。
「彼女は、実験中にこう何度も呼んでいたね。『とびお、とびお』ーーーーとね。そうか、彼女はキミを呼んでいたんだね。納得したよ」
言葉もない鳶雄はーーーー奥歯を激しく噛み、怒りと悔しさのあまり、涙を止めなく流した。殺意に満ちた瞳で童門を睨むが、せせら笑うだけ。
「てめえええええええええええええ!!!!」
憤怒の形相で鋼生は叫ぶ。
しかし、抑えられている鋼生を嘲笑うかのように、童門はより醜悪の笑みで顔を歪める。
ーーーーー許せないーーーーー
こんな奴らを許せるはずがない……ッ!
俺を、佐々木を、紗枝を、そして黎牙を、己の欲――――悪意で満たそうとしている。
視線を黒い子犬に向ける。
子犬の双眸は赤く、赤く輝かせる。
ドクン、と自分のなかで静かに脈動する何か。自分と犬が繋がっているという感覚を、昨夜よりも強く感じさせる。
なら、俺のために、《刃》となれ―――
今も力に苦しんでいる
鳶雄のなかで何かが、
勢いよく弾けようとするーーーー
「俺に力を貸せェェェェェェェェェェェッ! おまえは《刃》なんだろうォォォォォォォォッ!」
オオオオオオオォォォォォォォォォ‼︎‼︎
鳶雄の絶叫に呼応して、子犬はフロア全体に響き渡るほどの咆哮を上げる。
刹那ーーー子犬の体から黒いもやのようなものが生じて、広がっていく。
それは鳶雄の体にも現れて、ついには土人形すらも包み込む。
鳶雄はゆっくりと起き上がろうとしていた。
強力なまでに押さえられていた土人形の腕力を、徐々に徐々に解いていき、ついにはその巨椀を破壊して解き放たれる。
鼓動はさらに高まる。
呼応するように黒い子犬も全身から無数の刃を生やして土人形の腕を破壊した。
童門の前に立つと、鳶雄は手を前に突き出して一言つぶやく。
「―――全部、刺せ!」
次の瞬間、童門の後方に防衛として待機していた土人形と黎牙と交戦している土人形は影より生じた無数の刃で串刺しになる。
「………な、なんだ、これは!? 影から刃!? 無数の剣だと!? どうしたというんだ!?」
あまりの光景に童門は激しく狼狽して、視線を後方と前方と配り、混乱の様子を見せていた。
「…………思い付いたよ、おまえの名前」
横に構える子犬に言った。
「―――――《
そう、それが自分より生じた分身の名前。
鳶雄は子犬―――刃に命ずる。
「刃、
神速の速度で前方に飛び出して、残っていた土人形を一刀両断していく。
逃げようにも五階のフロアは、数え切れないほどの歪な形の刃が生える異様な空間と化していて、その刃によって成す術もなく、貫かれ、切り刻まれる。
突然の逆転劇に童門は狼狽え、首を横に振って顔をひきつかせる。
「バカな!? 私の土人形を、しかも10体も一瞬で始末したというのか!? なんだ! なんだ! その神器は!? 四凶ではないのか!? 影から刃だと!? 知らないぞ!? そんな能力はッ!」
童門に詰め寄る鳶雄。容赦するつもりはない。
人の命を弄んでいる男なのだから。
「あとはあんただけだ」
眼前に立つ鳶雄を見て、童門は先程同様に無様に尻餅をついて、這うように逃げ出す。
「ひっ。くるなっ! こっちにくるなっ!」
まるで異物を見るかのような目。
手を出しかける鳶雄だったが、その横でまぶゆい輝きが生じる。見れば、魔法陣らしきものが出現して、そこから人影が現れた。
四十代ほどの男性が、魔法陣の中央から登場して童門に向かって叫ぶ。
「計久っ! ここは退け!」
「姫島室長!」
その名前に鳶雄は反応してしまう。
一瞬、気を取られた隙に童門はポケットから筒の様な物を取り出すと、こちらに放った。刹那、閃光がフロアに広がり、鳶雄たちの視界を遮断させる。
目がくらむなか、魔法陣から現れた男の声だけが聞こえる。
「ーーーおもしろい。いずれ、相見えれよう。《狗》よ」
目が回復したときには、すでに男たちも絶命しているウツセミの姿は消えていた。
「……おい!いい加減に止まれ!もう敵はいねぇんだ!!」
鋼生の叫びでまだ今の黎牙が元の黎牙に戻っていない事に再確認した。
そして、鳶雄は黒いオーラを纏いながら自分の分身たる刃と共に、自らの浅はかさによりチカラに呑まれた
「俺が必ずお前を連れ戻すよ!黎牙!!」
しかし、暴走を続ける黎牙は右腕の手甲を鳶雄へ向け、黒い焔を放ったーーーが、焔は鳶雄と刃へ届く前に魔法陣へと吸収される様に消えた。コレは先ほどのウツセミの軍団を絶滅させた時と同じ技。
鳶雄はすぐに頭を上げると、頭上には魔法陣が浮かび、黒い焔が迫ってきた。
「上だ!!幾瀬!逃げろ!!」
「刃、
鳶雄の指示を受けた刃は、影から刃を召喚し焔を魔法陣諸共斬り裂いた。鳶雄達が焔の対処に気を取られた瞬間を狙って、ボロボロになっても尚暴走を続ける黎牙は鳶雄に左手に持った剣を振り下ろしたーーーーが、鳶雄に剣が触れる前にランスを持った鋼生が割って入った。
ガキーーーーンッ!!!
激しい金属音が部屋中に鳴り響いた。
ボロボロの状態でも凄まじいチカラを持っていたためランスから伝わって来た衝撃によって鳶雄を巻き込む形で後ろへ吹き飛ばされた。
吹き飛ばされた鳶雄と鋼生を護る為に、ドクドクと血を流しながら戻れない黎牙に百砂と刃は立ちはだかる。どちらも毛を逆立て威嚇する。そんな二匹をまるで恐れなど全く感じておらず、手甲から焔を貯め放とうしたーーーーが、
「行って!グリフォン!!」
新たなる乱入者が手甲に激突した事で、焔はあらぬ方向へと向かい、目標を失った焔は壁に激突した。
「トビー!シャーク!大丈夫なのですか?」
「2人とも無事?」
「助かったよ2人とも!」
「ったく、余計な事しやがって」
ラヴィニア、夏梅の救援に喜ぶ鳶雄、2人が無事な事に内心ホッとしているが表面ではツンケンする鋼生。
「2人とも……あの剣って事は…」
顔を多少青くさせながら夏梅は視線を暴走する黎牙から外す事なく、2人に自分が考えている疑問を問いかけた。
「あぁ、アレは……黎牙なんだ」
「……そうなんだね。やっぱり」
顔をしかめながら鳶雄は夏梅の問いに答えた。
「それで、どうやってアイツを戻す。おとぎ話みたいにお姫様のアレで戻るなら、鳥頭やれよ」
「ちょっ!ちょっと!こんな時に何を言ってるのよ!バカヤンキー!!」
こんな時でも、冗談か本気なのかは分からないがこんな危機的状況にもかかわらず、とんでもない事を口走る鋼生と顔を真っ赤にしながら怒鳴る夏梅に何故か笑みを出てしまう鳶雄。
そして、今まで沈黙していたラヴィニアが等々口を開いた。
「そんな事をしなくても私が止めてみせますので絶対大丈夫なのです」
鳶雄、夏梅、鋼生は何処にそんな自信があるのか全く分からないのか、3人とも揃ってポカーンと口を開け、固まってしまった。
そんな3人に暖かい笑みを送り、スティックを懐にしまい、無防備の状態で変わらぬ笑みを浮かべ、黎牙を迎え入れる様に両手を広げた。
「ファング……ファングは私達……チームを傷つける人ではないのです。ファングは、優しくて、強くて、凄い子なのです」
「……Gu……Gu………AAAAAAAAaaaaaaaaaaa
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」
まるでワガママを言う子供をあやすかのような母性を感じさせるラヴィニアの言葉を目障りと感じたのか、ラヴィニアに剣を振り下ろした。
「やめて!!黎牙ァ!!」
「止まってくれ!!黎牙!!」
「いい加減に止まれ!!」
咄嗟だった為、2人に割って入ることが出来ず、決死に黎牙のココロに訴える。
そして、振り下ろされた剣はラヴィニアの眼前で止まった。
いや、止まらせたのだ。
「…Gu……guuuuuuuuuuu!!!!」
右腕の龍の顔をした手甲の口を噛み付かせるかように左腕を止めたのだ。
それを見て鳶雄は漸く気付いた。
黎牙はずっと戦っていたのだ。
自分達を殺そうとする自分と必死に止めようとしていたのだ。
あの黎牙が本気になれば自分などあっと言う間に殺されていた。
でも、自分は生きている。
黎牙が自分の命を危険に晒しながら戦ってくれていた事に。
そんな黎牙に暖かな笑みでラヴィニアは歩み寄り、龍人となっている黎牙の頰に両手で包み込んで語り掛ける。
「大丈夫…もう大丈夫なのです……私達を傷つけに来る敵はもういないのです………ファング…もう大丈夫なのです」
「……Gu……Gu………AAAAAAAAaaaaaaaaaaa
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」
ラヴィニアの言葉が届いたのか、黎牙は剣をこぼり落とし、両手で頭を抱え苦しみ出した。苦しみの声を上げながら、邪悪な黒いオーラは消え、鱗の鎧は次々とヒビが入り、ボロボロと崩れ始めた。
鱗の鎧の中から右腕が綺麗に繋がった黎牙が出てきた。
漸くチカラに呑み込まれていた黎牙は解放されたのだ。
血まみれの黎牙にはもう立てる力も残っておらず、前のめり倒れようとした。鳶雄、鋼生、夏梅は倒れる黎牙を受け止める為走り出した。
しかし、そんな3人よりも黎牙の1番近くにいたラヴィニアがそっと黎牙を自分の胸の中に受け止めた。自分の服に黎牙の血が付く事は全く気にしていないラヴィニアは、黎牙を横にするためゆっくりと黎牙を下ろし、膝枕をし、黎牙の意識がある事を確認していた。
いつのまにか黒いオーラが消え伏せた鳶雄は急にドッと体に疲れが出たため黎牙の側へ駆け寄るのが少し遅れた。
先に駆け寄った鋼生と夏梅は黎牙が息をしている事を確認できたので、ホッとしながら、肩を優しく揺すり、今意識があるのかを確認する。
「おい、聴こえてるか?」
「ねぇ大丈夫!生きてるよね!?」
「ファング……聴こえますか?」
「大丈夫か黎牙?」
4人が黎牙を心配していると、
「……う、うるせぇ………あ、頭の上で…………叫ぶな……キズに…ひ………びくだろ……」
相変わらずの黎牙の毒に4人はポカーンとする。
4人が固まっている間に黎牙は再び意識を失い、穏やかな寝息を立て始めた。最後の最後まで威張る黎牙に、鋼生、鳶雄、ラヴィニア、夏梅はお互いに顔を見合わせた。すると4人の顔には笑顔が浮かんでいた。
「ったく、最後まで威張りやがって」
「ははは、確かに。でも黎牙らしいけど」
「ホント、こっちがどれだけ心配したかも知らないでね」
「ファングは意地っ張りなのです」
「………(( _ _ ))..zzzZZ」
「それにしてもさっきまで暴れ回っていた奴とは思えねぇ寝顔だな?」
「寝ている時が一番、人は無防備だからね」
「ファングの寝顔はとってもカワイイのです」
「それ、黎牙が聴いたら絶対キレるわね」
しばしの休息を取ってから4人は、隠れ家のマンションへ戻っていった。
こうして、
鳶雄の中にいる《狗》と黎牙の中にいる《邪龍》は目醒めた
異端は異端を呼び、
深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいている
前回にキーワードにあった《アナザーリュウガ》とは、黎牙の暴走状態の事です。見た目もそのままアナザーリュウガにしていますので、改めて、読み直してみると結構戦闘描写がイメージしやすいかな〜と思い、後書きとして書きました。前書きに詳細を書くとネタバレ感があるかな〜と思いました。
次回も近い内に更新しますので、暇があれば読んでみて下さい。
第6話もよろしくお願いします。