ジオン転生記   作:清水蜂弥

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最近急に暑くなりましたね?

久し振りに友人とBBQをしたら軽く引かれました。

お腹が減りすぎていて生焼けでも平気でパクパク食べていたからです。

勿論夜に少し腹痛になりましたがそれだけです。少し生焼け肉の方が断然美味しいですよね?


ニーズヘッグ隊2

黒い3機のMSが荒野を駆け抜ける。

 

この黒いMSはザクとは姿形が異なっていた。

 

頭部にはセンサーが増設され、両肩に大きなスパイクが一つ、相手を威圧するかのように生えていた。

胸部装甲は増設され厚く頑強になり、背部のバックパックと脚部のスラスターが一新され、新型の推進エンジンを搭載されていた。

 

この3機のMSが新型の推進エンジンを試そうと前方の切り立った崖の上を目指しスロットルを深く踏み込む。

 

新型の推進エンジンが唸りを上げザクに使われていたスラスター以上の推進力を生み出す。

 

重量55トンの鋼の怪物が崖の上を目指し飛び上がる。

 

崖の上まであと少し、と言うところで1機のMSから異常を知らせるアラートが鳴り響く。それと同時に脚部のスラスターの一つから黒い煙が出る。

 

不具合の出たMSのパイロットは慌てて脚部のスラスターに燃料を送るのを停止させ、残りわずかとなった崖の上に何とか辿り着く。

 

急いで機体に膝を突かせるとモニターを操作し全体の燃料の供給を止め安全装置を起動させる。

 

念の為に今までのデータを取り出し外に出るためにコクピットを開けると別の黒いMSが巨大な手を差し出していた。

 

そのまま手のひらに移るとゆっくりと離れもう1機MSの下まで向かう。

 

すると黒いMSの外部スピーカーから声が流れる。

 

「大丈夫か?まさか故障するとはな。いや、欠陥があったのか?」

 

「はは、何とか大丈夫だよ。楽なテストだと思ってたけど気を引き締めないとね。」

 

「ああ、そうだな。…早速機体を回収してデータを取るそうだ。回収用の部隊も直ぐに来るらしい」

 

「それは助かるね、アレで帰って来いって言われたらどうしようかと思ってたよ」

 

「ふ、確かにな。よし、降ろすぞ捕まっておけ」

 

そう言うとMSに膝を突かせ手を地面につける。

 

二人がMSから降りると既に待っていた最後のパイロットが明るく言った。

 

「いやー、運が良かったな。燃料系のトラブルって下手したら大爆発するかも知れないからな」

 

「確かに、運が良かったよ」

 

3人のパイロットは迎えが来るまで雑談をし時間を潰した。

 

その後、直ぐに来た回収部隊と共に基地へと戻るのだった。

 

 

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バイコヌール宇宙基地MSドック

 

えー、皆さんどーも、現場のヒカルです。私は今バイコヌール宇宙基地にありますMSドックにおります。何とこのドック私達の部隊の貸切でございます!

 

何と私達の部隊が特務部隊『ニーズヘッグ』の部隊員に選ばれたのです。ですがこの部隊、実際はジオンが誇る大企業ツィマッド社の使いっ走りの様な部隊です。

 

ドックに横たわるのはツィマッド社の試作機

 

YMSー08A高機動型試作機

と言う機体です。

 

この機体はツィマッド社がザクⅡJ型の後継機を目指した機体。どうやら同時期に開発されたジオニック社のプロトタイプグフとの競作で作られたらしい。

 

高機動陸戦MSをコンセプトにされ、重力下での機動性の強化の為に新型の推進エンジンを搭載し、短距離ならジャンプ飛行も可能なのだが…。

 

プラン上ではプロトタイプグフを超える機動性を出せるのだが肝心の推進系に不具合が出てしまっている。

 

 

え?何これ、こんなMSあったのか。初めて知ったよ。

というかツィマッド社製で推進系の不具合って怖すぎるんだが。頼むからヅダの悲劇から学んで欲しいものだ。

 

だけど正史ではこんな機体全く出てこないしグフが採用され活躍していたから結局この機体は採用されないのだろう。

 

このMSのデータを解析しているツィマッド社の技術者や、機体の整備をしている整備員を眺めていると後方から若い女性の声がかかる。

 

「ヒカルさーん、こんな所で何をしてるんですか?」

 

声を掛けてきたのはシーナ・ハルト特務大尉

外見は非常に可愛らしく美少女と言っていいのだが所属がギレン・ザビ直属の総帥府、別名『ペーネミュンデ機関』に所属している。

 

総帥府直属の特務士官は表記の階級よりも2階級上の扱いを受ける特別待遇が許されており、派遣された先の一般部隊を強制的にその指揮下に置くことさえ可能なほどの強い権限を有している。

 

つまりはこの部隊の監視員だ。一体何を監視するのかはさっぱわからないのだが。

 

「どうしました?私の顔に何か付いてますか?」

 

首を少し傾げながら自分の顔をペタペタと触る姿はとても可愛く見える。

 

赤毛の髪がとても可愛い。

 

だが、生粋のジオニストだ。

 

気軽にボディタッチしてくる。

 

だが、ザビ家信者だ。

 

笑顔がとても可愛い、惚れそう。

 

だが、『優性人類生存説』の本を持ち歩く奴だ。

 

ふう、落ち着け。この女は地雷だ。見かけに惑わされるな。俺は、そう優しくて美人なお姉さん系の人がいいんだ。こんなアースノイド絶対殺すウーマンなんかお呼びでは無い。

 

「もう、何で無視するんですか?おーい、返事して下さーい。もしかして風邪ですか!お医者さんの所に行きましょう!」

 

そう言うと腕を抱える様に挟み連れて行こうとする。

そうすると必然的に小さな、けれど決して無いとは言えないくらいにはある小ぶりな胸に腕が当たる。

 

……小動物系貧乳年下活発キャラ、ええやんけ。もう、ゴールしちゃおうかな?

 

ヒカルがそんなアホな事を考えていると野太く低い男性の声がヒカルを現実に引き戻す。

 

「ヒカル中尉、トーマスが機体の事で呼んでいた」

 

声がした方向に視線を向けるとそこには大柄な人物がMSに使うだろう巨大な部品を肩に担ぎながら此方を見ていた。

 

この人物は我がニーズヘッグ隊の整備主任である。

 

名前はライン・ゴーウェン

 

作業着の上からでも分かるムキムキの体をしていて少し怖く感じるが顔つきがどこか優しげで性格もとても穏やかで優しい人物だ。

 

「ご、ゴーウェンさん。分かりました、直ぐに向かいます」

 

それを聞くとのっしのっしと去って行った。ちょっとクマ見たいと思ったのは秘密だ。

 

「うわー、凄ーい。あんなに重そうな物を担ぐなんて」

 

「確かに。あれ100キロくらいあるんじゃ無いのか?」

 

「あっ!やっと反応してくれましたね。全く意地悪しないで下さいよ〜」

 

頰を膨らませながら如何にも怒ってますアピールをしてくる。可愛い。

これが天然なのかわざと狙ってやってるのか分からない。

 

「すいません、少しぼーっとしていました。ご用件は?」

 

「ふふん、いいでしょう許して上げます!そうそう忘れてました!あとでキッド大尉が集まる様にと言っていました。どうやら『ニーズヘッグ隊』の人員が揃う様ですよ!」

 

ニーズヘッグ隊で後足りない物と言えば目的地に行くまでの足とそれを動かす人員、あとはオペレーターぐらいか?

 

「分かりました。トーマス技術大尉の用事の後、向かいます」

 

「確かに伝えましたからね〜。忘れないでくださいよー」

 

そう言うと彼女は去って行った。

 

 

ゴーウェン整備主任の言葉を思い出し、トーマス技術大尉を探していると俺の機体からデータを抜き解析をしている最中であった。

 

「トーマス技術大尉、自分を探していたと聞きましたが、ご用件は何でしょうか?」

 

自分がそう尋ねると目の下に深いクマを刻ませた肌白い男が此方を向いた。

 

名前はエディ・トーマス

髪はボサボサでメガネをかけている。体つきはヒョロヒョロで肌が白い。これぞ科学者のお手本のような格好をしている。ツィマッド社の技術者だ。

 

「ああ、君のMS操縦技術はとても高いようだね。だがその分機体の負荷が通常よりも強く掛かってるようだ。

データ的にはとても有難いがこの機体は試作機、未だに完成度は低く、少しの不具合で何が起こるか分からない。その事を頭に入れといて欲しい。」

 

「ハッ!了解しました。ですが戦闘の時だけは保証できません」

 

「勿論、戦闘の時は別だよ。本来、試作機といっても実用に耐えるレベルで無くてはならない。まあ、それでもYMSー08Aに不具合が起きてしまうのは我々技術者の問題でね。本当に済まなく思っているよ」

 

その後も少しだけツィマッド社や他の企業の事を教えてもらい別れ、キッドの所に向かう。

 

その道すがらこの先の事を思う。

特務部隊ニーズヘッグ隊。その規模は決して小さく無く支援も充実している。

もしこのまま行けば歴史をいい方に修正出来るのでは無いか?

その希望を胸に強く宿しながらキッドの元に歩き続けた。




次回、繰り返される悲劇、さらばヒカル推進器の暴走!(嘘)

次回はニーズヘッグ隊が完成されます。

ちなみに神話上のニーズヘッグは北欧神話に出てくるヘビ、またはドラゴンです。このヘビはラグナロクさえ生き延びるとされています。その為にこのような部隊になりました。

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