私はそれに憤っている
「これは地球人が云々とかは関係なく、貴方の、いや貴方たちの常識こそが非常識だったと言わざるを得ないわね」
「…………そうね。それは暁美さんの言う通りだと思うわ」
イケメン宇宙人ことジョニー田中、ミレニアムを数回過ぎて漸く衝撃の事実を知る。
今日の俺の中の機関紙のタイトルはこれである。
経緯を話そう。
陸運支局で用事を済ませ、帰り道に至高のギュウドンを食べるべくSUKIYAに入り、食後の駐車場で俺とマミは晴れて恋人となった。
それ以前に彼女の裸とか見てるんだけどさ、その当時はナノマシンのフィルターを最大にしているからさ、それで異性への興味が抑えられてたことに気が付いたのね。
そこでだ、俺が何故ミレニアム単位で童貞を通していたかだが、これもしかして実はチャンスこそあったのに、フィルター切るの忘れてたからじゃね? と思ったんだよね。
ああ、ラブラブパワー収集の為に恋人を見つける必要がある→ならフィルターを切ろう→マミって可愛いやん! なぁスケベしようや。この三段オチである。
俺、ちょろすぎにも程があるでしょう。
まあマミは可愛いので構わないが、ちょっと精神が幼過ぎて困る。
まあそれはいい。ラブラブパワーはその後順調にチャージされているからな。
あと2週間もあれば、全弾が使用可能になるだろう。
それまではマミには苦労を掛けるが、毎晩ラブラブ運動を手伝ってもらう。
これもあの白い悪魔を撲滅するためだ、俺も辛いが涙をのんで頑張ろうぜ。
でだ、冒頭の様に、若干俺へのヘイトを醸しつつ会話をするのは愛しの巴マミ。
そして数日前に怒鳴り込んできた電波娘の暁美ほむらだ。
ほむらもまた、増幅器にされた、いやこっちでは魔法少女か。つまりは連中の被害者だ。
だからまあこっちは友好的に接するつもりだったんだが、貴方は誰? まどかに何をするつもりとえらい剣幕で詰め寄ってきたのだ。
マミが死にそうになったあの一件からマミは不登校になっちまった。
どうやら開校記念日も嘘だったようで、単純に恋人が出来て舞い上がり、片時も離れずに一緒にいたいわ! 的なアレらしい。その後きちんと行かせてるけど。
まあこっちにしてみりゃ時間なんてもんはゴミみたいなもんだし、寿命の短い地球人の我儘に付き合うのも苦にはならんしな。
ただね、ほむらが怒鳴り込んできたのは、マミがあの場から姿を消した後に音沙汰がないから心配になったらしい。
そう言えば地球人もいたよね、2人程。
そら心配してるだろうさ。駄目だよマミ、連絡くらいしないとって怒ると涙目でごめんなさい嫌いにならないで何でもするからみたいな事を何度もループして言い始めたからこれはイカンと思う俺であった。
まあ宥めるのに膝の上に抱き上げ、赤ん坊の様にあやしながらマミの頬にキスの雨を降らせていると、ほむらが真っ赤な顔でキレた。これだから若い者は常識が無いと言わざるを得ないな。
ネットで見た、キレる若者って奴だな。
そしたらほむらは突然拳銃を抜いてお前を殺すと大暴れ。
キレるにしても限度ってものがあるでしょう?
そしたらマミがいくら貴方でもそれは許さないわ! とかキレてさ。
俺の工場の事務所でマミとお茶してた時に乱入されてるもんで、そこで魔法少女2人が暴れ出したらどうなるか分かるよね。
そらもう大騒ぎさ。書類の束とか色々空に舞ったさ。
で、まあ。
君たちそれはイカンぞと俺は、大昔にジャングルしかない星の探索の際に、猛獣を静かにさせる為に作った武器、その名も「少し頭を冷やそうか? ビリビリ君EX」を取りだした。
説明しよう。
少し頭を冷やそうか? ビリビリ君EXは、20センチほどのグリップの先に、特殊な振動による衝撃波を出す丸い玉を付けた武器である。
効果範囲は半径5メートルと狭いが、その効果は絶大だ。
なんと対象の肉体、その五感に働きかけ、その感度を3000倍にするのだ。
そこに瞬間1万回のソフトタッチ振動を加える事で、どんな鈍い感覚の持ち主でも、たちどころに天国にイけるのだ。
ただし注意点が一つある。それは使用後の反応によっては、体液を自分の意志とは関係なく噴出する可能性があるため、用法・用量は計画的に。
因みにこの最初に付けたキャッチコピーは、銀河共和国の辺境にあるミッドチルダ地区で名をあげた女ながら魔王の称号を持つ女傑の口癖からとってみた。
それ程に効果は強力なのである。
そのビリビリ君をキャットファイトを続ける二人に照射。
最近使ってないから加減を間違ってなぁ……。
ちょっと描写出来ない感じになってしまった。
なので仕方ないから2人の服を剥いて、風呂で洗い流したさ。
俺は心もイケメンだからね。
そしたら身綺麗になって「ジョニーありがとう! あなたって紳士ね!」みたいな称賛を受けるかと思ったのに、何故か二人に説教をされたのである。
ごめんなさいね、前置きが長くて。
あ、安易に謝ると口調がおかしいだろとかで炎上するらしいから気を付けねば。
で、話を戻すとだ。
俺のというか、田中一族の常識は、多分変態寄りなんじゃなかろうかとマミとほむらに突っ込まれたのだ。
鈴木一族をあれだけ変態呼ばわりしていたが、実は自分たちもそうだったなんて衝撃的過ぎるぞ。
どうもね、イケメンの集まりである俺たちは、恋人が出来たリア充は、まだ出来てない同族にマウントを取って煽るって文化がある。
イケメンの癖にまだ童貞の奴おりゅwwwwwwwwおりゃんよねwwwwwwwみたいな。
おりゅんだけどね、ここに。つい先日まで童貞だったし。
ヌルヌル♡も我慢する筋金入りやぞ。
まあでも、異性との絡みの具体的なやり取りとか割と普段から明け透けにやってるのも事実。
その結果、公園で手つなぎデートとか、人目のある喫茶店でジュースにストロー2本刺してカップルでチューチューするとかの方がエロく感じるんだよなぁ。
だもんで俺ら的にはどれだけプラトニックなデートをしたかってやつの内容の濃さでさらにマウントを取り合うみたいな流れがあるんだ。
だからまあ、マミと恋人になった一連の流れで、彼女のおっぱいを褒めたのは、俺的には最上級の殺し文句のつもりだったんだけどね。
どうも違ったみたい。地球人って照れ屋さんなんだなあ。
で、マミだけならいざ知らず、現状見ず知らずの他人状態だったほむらまで一緒に描写の出来ない姿にしたのはイカンってのが結論らしい。
そこで散々言い訳をしてみると、どうも俺の常識は全部おかしいぞって流れになったんだわ。
さてそっちはまあいい。
問題はこのほむらである。
彼女がキレてた内容を詳しく聞いたんだが、そのまどか? とか言う親友がいて、そいつが魔女に殺され死んだと。
あまつさえ白いのに騙されて魔法少女になった挙句に、百パー勝てない強い魔女がやってきてボロゾーキンの様に死んだ訳だ。
で、そのまどか? が最後の力を振り絞ってほむらに託し、過去に戻ってどうにか最悪の未来を改善しようと何十回も1か月に満たない期間をループしているとさ。
それ聞いてマミも俺もポカーンやぞ。
マミは壮絶さにドン引きした感じだが、俺からするとだ、どうしてお前が戻った過去が、そのまどか? が死んだ時間と地続きの過去か判断出来る訳って所だよ。
あのね、俺たちみたいな宇宙で生活している知的生命体はね、とっくに時間遡行と遡上、つまりタイムスリップの概念は解明してるんだよ。
だからね、その結果起きる出来事で過去に大事件や遭難事故が多発してたんだ。
なんで銀河共和国では時間移動は禁止になっている。
勿論例外もあって、きちんとした手順を踏めば出来るけどさ。
ただね、時間移動の際には、相当高度な設備を準備して、きちんと現在と移動先の時間をリンクさせる為にアンカーを打つんだわ。
それさえすればどんな事故が起ころうが回収や帰還が容易になるんだわ。
なんで、彼女の魔法少女の力で戻っているのは、たしかに過去なんだけど、そのまどか? を救えたとしても、お前が看取ったまどかかは分からんのだよなぁ……。
って言うと、怒ったり泣いたり大変だったわ。
何も知らないくせに! 私が今までどんなに苦しんでいたかとか騒いでさー。
いや知らんよ俺他人だし、君の事知ったの今やんって冷静に返したら、ほむら、その場でorzの体勢で号泣さあ。
まあ心は若干痛んだけど。
でもその辺の会話の中でマミは冷静だったね。
だってもう魔法少女が騙されただけの欠陥品だって教えてるもの。
その内準備が整えば、地球から連中を追い出すから心配なしって知ってるんだな。
まあ実際、彼女が心の底から信用できるように、地下に隠してある宇宙船の小型機で月に連れてってやったら信じるしか無いわな。
片道10分のお手軽月旅行だもの。
ワープ技術も結局は時間移動の応用でもあるからね。
うーん、例えば紙に線を引いて、その両端をそれぞれA地点とB地点とするじゃない。
じゃAからBに行くには、基本的にはそのライン上を移動する訳だ。
それが正規の時間の流れでさ。もちろんそれは相対的な意味ではあるけれど。
後はそのライン上を歩いて移動するか、何か乗り物で移動するかで実際の経過時間は変わるわな当然。
そこでだ、その概念を突き詰めていくとだよ。
別に馬鹿正直にライン上を移動しなくても、その紙を手に持って谷折りにすれば、AとBがダイレクトに接触するでしょう?
それを技術的に可能にしたのがワープ航法なんだよね。
まあそこに至るには一足飛びには出来無くて、谷折りの回数を増やす事で最初は縮めていたというが。
で、現在は宇宙船の心臓部であるリアクターの出力レベルで充分運用可能な、銀河共和国ではもう使い古した技術なんだよ。
問題は正しい座標を特定出来るか否かで、闇雲にジャンプは出来ないってだけ。
座標情報は銀河共和国に加盟している全惑星が、ワープを使わない星間移動のログを全て共和国のデータベースに提供したおかげで、基本的に観測可能な星域全てをワープ座標で網羅出来ているけどな。
これはまあ数億年前から情報を蓄積し続けた先人の功績だわな。
どこの世界でも、こつこつとした積み重ねは絶対に無駄にならんって証明だよこれ。
そんな訳で、マミからすればもう、きゅうべえとか言う白い悪魔は完全に敵であるって認識さ。
まあ増幅器の真実を知って錯乱してたけどな。
どうも彼女、魔法少女になるきっかけの時も死にかかってたらしい。
事故に巻き込まれたらしいが、両親はその時死んで、自分は魔法少女になって生きながらえたと。
死にかかってる所にタイミング良くきゅうべえことインキュベーターが通りかかったと言うが、あいつらステルスでいつでも不可視になれるから、元々目を付けられていたんだろう。
明らかにマッチポンプだわ。
だもんで、ほむらとマミに認識の齟齬があった訳だ。
で、ほむらの剣幕もいい加減うざいもんで、少し黙ってろっと脅して、洗いざらいぶちまけてやった。
そしたらさらに崩れ落ちて、私の苦労ガーとかやってた。
と言ってもまあ、そのまどかとやらを救いたいなら、S級宇宙犯罪者こと、インキュベーター皆殺し作戦に協力しなよと持ち掛けた訳。
ほむらは時間移動だけじゃなく、時間停止も使えるっていうからさ、便利だしね。
で、全部終わったら、お前の親友を助けてやるからさってね。
まあ犯罪者の直接的被害者だし? 銀河警察に言えば動いてくれる案件だものコレ。
そんな訳で、俺はほむらとは友好的な関係を築き、マミはぼっちをこじらせているから友人が出来て嬉しいと互いに満足したのだ。
そうすると後顧の憂いの無くなったほむらと、最近恋人と友人が出来てご満悦のマミが事務所でガールズトークを始めたのだ。
その結果が俺の変態扱いって流れ。やかましいわ。変態ちゃうわ。お前らがネンネすぎるだけだわ。
まあ、そんな事よりもだ。
「ヨシノヤ行こうぜ? 腹減ったわ」
その後、性癖だけじゃなく、ほむらから貴方の舌は貧乏過ぎるとの指摘を受け、崩れ落ちる俺であった。
そしてマミよ、その微笑ましい雰囲気は逆に傷つくからやめろや。
Tips!
アレは決して電マではない。いいね?