薄い本もいきなりおっぱじめる方がいいでしょ?
今日も今日とて悪の宇宙人を倒すべく活動を続けるジョニー田中である。
では俺という存在は、果たしてテレビで見た仮面ライダーなる正義の味方と同じであるのか?
ふわっとした語り口ですまないが、いや語り口ってより語り愚痴なんだがな。
思わず皆がくすりと微笑む小粋なギャグを噛ましたところで本題に入る。
答えを言えば正義の味方などでは無い。
結果的に誰かを救うとしても、これはビジネスである。
具体的には銀河警察からの委託任務であり、その報酬は20億ゴールドだ。
一般的共和国サラリーマンの平均生涯年収のおよそ7倍弱。
ではこれが高額かと言えばそうでも無い。
委託契約の条項には”該当惑星における対象宇宙犯罪者による被害が介入以前の2割以下になった事を確認した場合、依頼達成とする”というのがある。
つまりだ、相手が凶悪犯ならこっちの命の危険があるのに、依頼達成条件は犯人逮捕は前提条件であり、さらに犯人が行った事で生じた現地への被害もどうにかしなさいって事も含まれるんだ。
なので報酬金額こそ高額だが、その苦労に見合っているかと言えば微妙なラインだろう。
まあそこは、俺たちは賞金稼ぎという名の通り、迅速に達成し、賞金に対する必要経費の割合を減らせば儲かるって寸法だ。
なのでいっぱしの賞金稼ぎとして生計を立てる為には、まず前提として長距離星間移動の出来る宇宙船を個人で保有している必要があるだろう。
併せて、実際に犯人を追いつめる際に有効な道具、或いは戦闘能力がいる。
なので駆け出しは宇宙船の保有自体が難しいので、大概は名の売れた賞金稼ぎのアシスタントをしながらノウハウを学ぶってのが常識だな。
そこでおこぼれを貰ってコネやカネを蓄え、やがて独り立ちできる。
俺の場合は例外で、発明と個人での生産能力を持つと言う、賞金稼ぎ以外の資金源があるから色々すっ飛ばしているが。
ただこっちの場合、嫁をついでに見つけるってのと、俺の母星は退屈だから色々旅をしたいって理由が大きいだろうな。
異星の文化は刺激も多いし、本業である発明家に役立つ未知の知識が手に入る可能性もある。
「つまりはだ、そう言う事なのだよ。ミスほむら」
「そんなキリっとしてカッコつけても無駄よ。貧乏舌の変態宇宙人さん」
「解せぬ。君はそんな事思わないよね、ミスまどか」
「あ、えっと、その、はいっ! ジョニーさんはマミさんやほむらちゃんを助けてくれてるし。それって何も出来ない私には羨ましいなって……ティヒヒ」
「ジョニーやめなさい。貴方がまどかに話しかけたら妊娠してしまうわ」
「やかましい。妊娠するには受精をさせるために互いの生殖器を利用して粘膜接触を行い、その上で射精された精子を子宮内にある卵子に受精を行う必要があるだろ。さらに言えば、それが正しく着床して初めて妊娠が確認出来る。……ったく、これだから実地経験の無い小娘は困る」
「じゅ、じゅせ……えっと、ティヒヒ、それって凄く、その、大人だなって……ティヒヒ」
「よしなさい! 何突然真顔で保健体育の授業をしているの!? まどかを汚さないで!」
「でもなんかこう、ミスまどかは楽しそうだが? ちょっと言語化し辛い笑い方してるし」
「あの、あのあの、ど、どうかしら? ここは私が焼いたケーキでも食べて落ち着きましょう? ね?」
結局のところ、ほむらが襲来した翌日から、何故かほむらもここに入り浸る事になった。
何故だ。マミもまともな友人が家に遊びに来てくれるというシチュエーションにご満悦だし。
それで和やかに過ごすならいいのだ。
だがしかしだ、ほむらの奴は何かにつけて俺へ攻撃的なのだ。
曰く、あの憎きワルプルギスの夜を越えられ、あまつさえ親友であるまどかを救えるなら、こんなに嬉しい事は無いわ。
貴方のお蔭でこの私も心がほっとして張り詰めたままのストレスから解放されているのが実感できているわね。
けれど、それと人間の感情は別よ。事態が好転する事と、それが私の貴方への好感度が増す事とイコールになるとは思わない事ね。
え? 何故そこで崩れ落ちるのかしら。
あらあら、これはこれは。犬の遺体が捨てられていると思っ────
それ以上いけない。ミスほむら。
流石の僕もそれは看過できないよ。
とは言え僕にCVがいるとするならば、KAMIYAではなく、どちらかと言えばBANJO寄りだと自負しているんだ。
それに安易なメタは誰も得をしないし、中の人ネタは作者もあまり好きじゃない筈だ。
何より運営から調子に乗りすぎると怒られる。
やれクロスオーバーのタグが無いとかそう言うのだよ。
では一人称を俺に戻し続けようか。
まあ矮小な地球人の小娘の事はさておき、ほむらはさらに新しいのを連れて来た。
それが噂の鹿目まどかである。
地球人の癖にDNAの色素を司る部位の情報が一般的な地球人のパターンと違い、あろうことか中間色のピンク色をした毛髪を持っている。これは驚きだ、是非研究したい。
最近よく見ているネットの情報によると、地球人視点ではピンク色の髪を持つ女性は、往々にして性に対し貪欲であるという統計が見られる。彼女もそうなのだろうか? 実に興味深い。
ついでにオレンジ・ウオッチに搭載されている機能を使い、密かに鹿目まどかの因果を確認してみた。
やったねほむらちゃん。君、偶然にも程があるけど、そのまどか、君の知っているまどかだったわ。
教えてやらないけどね。つまんないし。ウェヒヒ。
なのでまあ、ついでに彼女の身体機能全般の全てをスキャンしてみたのだが、ほむらから聞いた、彼女がやがて地球人の枠を超えた超自然的存在になるという眉唾な話も頷けたわ。
そもそもだ、こっちで言う魔法少女になる為の素質は何かと言えば、ぶっちゃけてしまえばキチガイの素養があるって事だ。
まあこれだけじゃ語弊があるが、要は一般的な人間よりも感情の振れ幅が大きいって事だ。
喜怒哀楽の全てでは無く、どれか一つでもタガが外れる可能性があるなら、それが白い悪魔たちが求める負のエネルギーを大量に発する可能性に繋がる。つまりこれが彼らが言う才能なわけだ。
単純に言えば割合とか、効率の問題なんだなこれは。
例えばだ、地球の素晴らしい文化に競馬という競技スポーツがある。
限られた品種の中で、長年かけあわせて来た血統は、強い部分を未来に継承させつつ、時には突然変異の様な爆発を願い造られるサラブレット。
それを厳粛なルールの中で競い合わせる崇高な競技だ。
日本では競馬を公営ギャンブルの対象としており、金持ちから庶民まで誰もが賭け事を愉しめるという側面も持っている。
さて一般的な魔法少女ことエネルギー増幅者は、1.2倍の本命馬券だ。
じゃ貧乏人がその馬券を1000円買ったなら、当選後の配当金は200円の利益が付く。
しかし大金持ちが100万円投じたなら? 20万円の利益になる。
つまりはそう言う事だ。この財布の中の金の多さが魔法少女の素質である。
つまり鹿目まどかは確実に当たるだろう馬券に大金を投じられる資産家、そう増幅器の稼働効率が他の少女の非じゃないのだ。
100万どころか数百億も投じられると言っても言い過ぎではないレベルである。
けれどこれはポジティブな才能では決してない。
彼女の本質は、誰よりも温厚で優しいという性質がある。
なるほど、それだけを聞けば理想的な少女だろう。
だが彼女自身はそれを良しとせず、強い承認欲求と自己顕示欲にまみれているのだ。
故に他人と自分を比べ、結果一方的に絶望し、内罰的になる。
それでも本質では優しい部分もある訳で、そちら視点だと、他人を不快にするのは良くないと判断され、したくもない微笑みを選ぶ。
こちらの言葉で言う外面を保つ訳だ。
でもそれは真意では無く、己の中に抑圧し続けた真意を解放したいと願っている。
そこに大きなギャップがあり、延々とストレスを蓄え続けているのだ。
そのストレスが馬券に投じる賭け金の部分で、彼女の財布は底知らずであり、いくらでも貯めこめるのだ。
人間の心のメカニズムは、実は宇宙世界では既に解明されているが、それでも証明は出来ても見える物じゃあ無い。
そこで数値化をする訳だが、鹿目まどかの心は、リミッターがついていない。
例えばマミの場合は哀の感情の上限が高いが、それでも限界値は存在する。
しかしまどかはその全てに限界値が無いのだ。
心は感情エネルギーのコンデンサーでもある。
強く発露した感情を、ある程度蓄積しておくのだ。
故に人間は、個人個人で喜びを感じるポイントが別々なのもこれに由来する。
しかしリミッターが無いまどかの場合、この蓄積されるエネルギーも延々と蓄積し続けるのだ。
これが何かのきっかけで外に漏れたならどうなるのか、つまりほむらから聞いた話で判断するに、白い悪魔がまどかに執着する理由は、ここにあるって事だ。
故に彼らは、ほむらの証言を聞く限り、まどかの周囲で悲劇的な出来事が起こるように誘導している。
要は、まどかの周囲に集まる人間は、彼女がやがて爆発するためのトリガー、或いは終局を確定させる為の伏線でしかないって事だ。
そもそも彼らが集めるエネルギーなのだが……彼らが勧誘を行う際のお題目である”宇宙の存続に必要なエネルギー”というのはそもそも嘘っぱちである。
結局のところ集めたエネルギーが利用される部分は、単純に並列化した群体である彼らが、自分たちそのものを維持する為に消費されているのである。
なので生きる為に飯を喰らうってだけであり、その為に他の惑星を侵略しているだけに過ぎない。
まあこれは生命体としての生存本能に根差した行動であり、単純に責める事は出来ないけどな。
ただ広大な銀河共和国の中には、同族食いが文化な惑星もある。
けれど共和国の傘下に入り、高度な文化を享受する為に、彼らはその生き方を改革した。
同族喰いで得られるエネルギーの代用品を、共和国の技術で開発したのだ。
なので、己が知的生命体であり、他者と交流して生きるのなら、これが本能だから仕方がないは通用しないのである。
彼らは共和国の目から逃れる様に、数々の銀河の辺境地域を移動してきた。
地球もそういう意味で選ばれたのだろう。
彼は常に同期し続ける関係で、本当の意味での世代交代は無い。
精神は進化せず、停滞したまま生存活動を維持し続けるのみだ。
なので明け透けに言えば、地球や少女達はただのとばっちりである。
まあ何を言いたいかと言えば、こっちの人にとっては大迷惑極まりない連中であるが、タネの割れた手品ほど退屈な物は無いって事。
つまり俺が追っていた獲物が連中と判明した今ならば、この仕事はとても楽だって事になる。
実際もう、毎日確実にラブラブパワーが溜まっているしな。
まあ何があるかは解らないし、予備の弾倉も充たす必要はあるかもしれないが……。
「そ、それよりもジョニーさん、マミさんを助けてくれて本当にありがとうございました」
「それはアレかい? あの時自分で何も出来なかった事に罪悪感が酷いからかい?」
「ちょっとジョニー、何を言うのかしら」
「ジョニー? 鹿目さんを責めてはいけないわ。私が未熟だっただけなの……」
「いやうん、麗しい友情とか正義感とかはいらないよ。これは大事な事だ。まどか、君は聞いたんだよね? 魔法少女や魔女の事、そしてこの怖い顔して俺を睨んでいるこの娘の事情を」
「は、はい、マミさんの事が心配でほむらちゃんに詰め寄ったんです……そして聞きました」
全く、本当に全く不本意ながら、少しばかりシリアスでビターなテイストで進ませて貰おう。
そもそもほむらがここへまどかを連れて来たのは、本人がマミに直接会いたいって事と、マミを救った俺に礼を言いたいからって理由らしい。
まあそれだけならなんて優しい子なんだで済むんだが、彼女の本質をスキャンした今の俺にはその心の葛藤等が透けて見えてしまう。
もう一人の娘が来ていないのは、何らかの理由でほむらが事情を話すのをまどかのみに限定したからだろう。
そんなまどかの目に浮かんで消えるのは、炎である。
ゆらりと燃える炎は、轟々と燃え上がり、時に消えそうな程に弱る。
それこそが彼女の本質だろう。
強弱があれど、炎は炎。一気に燃え上がれば周囲を焼き尽くす。
ほむらは俺と言う未来に渡って安心できる鍵を手に入れた。
実際数十回の時間ループを繰り返す彼女の精神は摩耗しているのだ。
故に筋の通る俺の言葉は、彼女に心からの安心を与えた。
インキュベーターがどれだけ脅威だろうと、こっちのテクノロジーでは濁ったソウルジェムという名の本体をリスクなしで浄化できるし、あまつさえ魔法少女を元の肉体に戻す事も出来る。
そしてほむらが毎度の如くやられまくったワルプルギスの夜こと、負のエネルギーの集積体を殺す手段も持っている事を開示している。
そうなるとほむらに不安要素はなくなる。
まずこの年齢の少女が数十回のループを、それも短い時間経過を延々と繰り返す事の恐ろしさを他人は理解できないだろうな。
精神がすり減り、どんどん本来の自分が持つカタチを思い出せなくなる。
目的を達成する為の気力は失われ、いつしか手段と目的が裏返る。
問題は生命体の精神って言うのは、積み重ねた時間があるから成長出来る訳じゃない。
ほむらの場合、10回繰り返そうが、1000回繰り返そうが、人生のとても短い期間を延々と繰り返している訳だ。
その経験で培うのは何なのかと言えば、せいぜいワルプルギスの夜への戦い方の試行錯誤程度でしかない。
後はその過程で、ほむらが言う魔法少女の関係者をどう動かすか、その点への立ち回り方くらいだ。
これで人間が或いは人格が成長出来る訳が無い。
簡単に言えば、ある植物の果実を食べたいとする。
できればとても糖度が高く舌触りのいい物がいい。
その手段はどうするか。
1つは品種改良だろう。
しかし品種改良とは、延々と交配を繰り返し世代重ねが必要になるのでとても時間がかかる。
いま自分が持っているたった一つの苗、それを開花させ、実をつけても不味ければそれでゲームオーバーである。
2つ目はそうだな、育て方の過程を工夫する。
与える水の分量を試行錯誤したり、追肥してみたりと。
そうすれば闇雲に育てるよりも、結果は多少美味い果実がとれるだろう。
とは言えそれは、もっと高いレベルの味を可能にするって事を放棄した妥協案に過ぎないが。
さてほむらの現実にこれをあてはめた場合は後者に当たるだろう。
苗を成長させ茎が伸び、葉が増え、やがて果実が実るという過程の、せいぜい実がなる寸前辺りを何度もやり直しているだけだろうな。
これでは進歩は無い。
まあほむらの場合、大した時間を与えられないまま、毎度の如くワルプルギスが現れて全てをご破算にするのだから彼女を責められないが。
そして前回のループでまどかは超越者となり、それを受け入れられないほむらは打ちひしがれここにいる。
まどかが超越者になった理由が、自身が良かれと思って繰り返した時間の積み重ねが全てまどかにリンクしていた為、まどかの負のエネルギーの蓄積を加速し、そしてはじけたからだろう。
つまりは自身が助けたいと願う親友を、最終的に追い込んだのが自分と言う笑えない喜劇の主人公だったと。
それゆえ、あっさりその盤上を引っ繰り返せるぞと言い放つ俺へ怒りが沸いたのだね。
ごめんね☆ミ
結局、現在のまどかはほむらが最初にであったまどかで合っている。
けれど、無数に展開する分岐した時間軸のまどかも、そしてほむらもリンクしているんだな。
これは面白い事象であるが、そこに詳しく関わる気はない。
さっさと終わらせ報酬を貰い、俺は暫くはマミとのんびり地球で暮らすのだ。
故に薔薇色のリア充生活の邪魔である連中は悉く排除するだけである。
俺はマミに冷めてしまった紅茶を淹れなおして欲しいと頼み、ほむらに暫く黙っていろと言い含む。
そして唇を噛んで俯くまどかの前に座り、頭を撫でた。
「ふえっ!?」
不安な女の子を安心させるには頭を撫でる。
マニュアルにはそう書いてあった。
共和国ではベストセラーになった加藤一族の長、イーグル加藤の著書、「イーグル加藤の恋愛奥義」にな。彼は女を身も心も落とすカリスマだが、女性に対しては常に紳士的である。
共和国では理想の男性像として人気なのだ。
ありがとうイーグル、貴方の手管、借りるよ。
「いいから、身体の力を抜いて。ほら、こんなに可愛い顔が台無しじゃあないか。綺麗な眉が下がっているよ?」
「ふええっ!? あ、あの、ジョニーさん??」
深刻な表情から一転、まどかは頬に紅を散らし目を泳がせた。
いくよイーグル、これから畳みかける。
俺はそんなまどかを抱き上げ、横抱きに膝の上に座らせた。
そして額と額をくっつけ、優しくまどかのおとがいを持ち上げる。
「いいんだ、全部僕に任せて。ほら背中の力を抜くといい。いいよ、そうだ。僕は君の椅子だよ」
「あの、その、ジョニーさんはマミさんの恋人だからこれはいけない事って言うか、あの、でも嫌って訳じゃ無くて、ティヒヒ、あっ、ジョニーさんの唇って綺麗だなって」
「ふふふっ、君の方が綺麗さ。ルージュも引いていないのに、こんなに瑞々しい。ほら、ほら、僕の指で撫でると押し返してくるほどに弾力がある。その若さに嫉妬してしまうよ」
「はわっ、だめですぅ……これはいけない事なんだよ……でも、うん、好きかも」
上気した虚ろな瞳で俺に身体を預けるまどか。
くくく、他愛も無い。
100年も生きていない小娘などこんなもんよ。
後はこのまま、心をドロドロに溶かし、彼女の奥底にある本音をさらけ出してしまえば良い。
ありがとうイーグル。貴方の言葉は正しかった。
後は神の指でまどかの隠された場所に────――――
瞬間、俺の意識が途切れた。
薄れゆく意識の中、どこかでティロフィナーレとかハイパーアルティメットほむビームとか聞こえたが多分幻聴だろう。
結局全然話が進まなくて、本当に申し訳ない。
そう思う俺であった。
Tips!
ジョニーの声は銀河〇丈っぽいらしい。宇宙人だからね、仕方ないね