「火事が酷いってもう聖杯戦争は始まってるの?クー!」
「いや、術者は死んでいる!」
はーい新人魔術師になった華凛霧香です。絶賛火の中をクーにお姫様抱っこされながら移動しています。
今の状況は人類滅びたらしいです。ついさっきまで魔法の暴走で宇宙に行ってしまった私が戻るとこの有様でした。ん?なんでって?転移魔法をやったら宇宙まで行ってました。(クーも一緒に)
もう冬木市は火の海で焼身死体が沢山ある。可笑しいのは術者も死んでいることぐらいだ。
「なんでさ。私の家は無事なのさ。」
「知らねえが。まあいいんじゃねえか?」
「そうなんだけどさ。とりあえず聖杯戦争は私の勝ちでいいのかな?」
「いや。サーヴァントは生きてるぞ。」
謎に自分の家は無事だったので家で会議を開いていた。術者は死んだのにサーヴァントは生きてるというクーのサーヴァントレーダー(名付け親は私)察知し非常事態が発生したことが判明。普通は術者が死ぬとサーヴァントも消えるのだが今回はどうやら消えてないらしい。とりあえず表面上は停戦状態である。
少し時間が経つと火は自然に消え何故か家は誰もいない状態で元通りになっていた。
「は?元通りになってるんだけど。」
「チッ!これは聖杯の力だ。やばいぞこいつぁ聖杯戦争の幕開けだ!」
「嘘!私足手まといじゃん!術者いないのに!」
「俺がちゃーんと守ってやるから。霧香は何もしなくていい。」
「あ、クーが言うんなら分かったよ。」
ぎゅっと私を抱きしめる。それは懇願にも近く長い髪がサラサラと私を閉じ込めるようにかかる。私も抱きしめて頭を撫でる。
こんな時に言うのもなんだが私はクー・フーリンが好きだ。もちろん恋愛的な意味で、でも私の本能が結ばれないと叫んでいる。だから無言の恋を貫こうではないかと思うほどに好きだ。
そんな気持ちを振り払ってクーを引き剥がし、家を出た。けど本当に家以外は何も無い人もいない。何故か焼身死体もない。あ、ごめんサーヴァント発見したわ。
「ねえ、サーヴァントじゃない?」
「ほんとじゃねえかってセイバーってあんな感じか?」
「あ、セイバーなのね。ってセイバーが勝ってって何泥を飲ませてるの?あれ?聖杯じゃん。」
セイバーは聖杯の泥を負けたサーヴァントに飲ませている。するとたちまち負けサーヴァントは起き上がり黒くなった。いわゆるブラックサーヴァントである。セイバーは黒いけどあの全身真っ黒ブラックサーヴァントほどでは無かった。少し様子を見ているとどんどんサーヴァントがセイバーに立ち向かっていくがセイバーの圧勝であった。そしてセイバーは次々とブラックサーヴァントを作っていきやがった。つまり今の状況は私+クー・フーリンVSセイバー+ブラックサーヴァント軍団という非常にやばすぎる状況でした。
「やばい、やばいよ!ど、どうしよう!」
「とにかく全員相手じゃ無理だ。一つずつ対処して行かねえと。」
「クー申し訳ないんだけど見つかったよ私たち!」
「霧香指示を出せ!」
「OK!とりあえずとにかく離れて!一つずつ対処する!」
「ああ!任せとけ!」
とにかくこの場を離れなければと思い支持を出す。お姫様抱っこされながら家の屋根を使い移動する。走って走って走ってとにかく走ってもらった。追っての質は落ちたが数は増えた。通常の聖杯戦争では絶対いない骸骨兵がお出迎えしてきやがった。全く嬉しくない!戦えないクーの代わりに私がルーン魔法で片付けながら橋のところでなんとか追っ手を巻くという予想外の状況となった。
「まさかセイバーが聖杯戦争を始めるとわな。」
「セイバーって誰なの?」
「聞いて驚け!アーサー王だ。」
「女の人じゃんってああ、アーサー王は実は女でしたよってのはマジだったのね。ってマジか…」
「よくマイナーなこと知ってるな。」
「まぁ歴史は小さい頃から好きで特にケルト神話が一番好きでよく調べてたからクーが私のサーヴァントで本当に嬉しい。」
「嬉しいこと言うなぁ!霧香!俺、霧香のそういうところが好きだぜ。」
「ありがと。私も好きだよってきた!あれはアーチャーじゃん!」
アーチャーはブラックサーヴァント化はしていなかったが左目が黒かった。そして弓を放つので私の魔法で対処するが剣を持って近距離戦にしようとする。近距離だとクーはキャスターだから危ない!でもこいつアーチャーなのになんで剣を持ってるのよさ!
[クー!私がこいつを引きつけるから強い一撃をぶつけて!]
[ダメだそんなことしたら霧香が!]
「余所見している暇はあるのかね?異端のマスターとクランの猛犬よ。」
「は、やくキャスター!下がって!」
脳内会話でしていたが、アーチャーの一撃が重く悔しいが余所見の暇は無いクーがなんとかしている状態だ。彼の宝具は少し時間がかかる私が相手をできればいいんだがこの勝負を見ていると私では無理だ。30秒持って奇跡の範囲内だ。クーは私を守りながら戦っているので余計に不利な状態が続く。そして気づいた。まさかのセイバーまでいることにセイバーは少しずつ近づいているよく見ると不意打ちをしようとするらしい。アーチャーは気づき、クーは気づかない。
いやだ。私の頭の中はそれに占める。クーがセイバーの言いなりになって欲しくなかった私のサーヴァントのままでいてほしい。私が生きているうちは…。だからタイミングよくセイバーが剣を振るった瞬間彼を庇った。背中に熱い痛みが走るうまく立っていられなくなり、くーに体を預けた。
「ほお。まさか庇うとは。そのまま逃げればよかったものの。」
「私はマスターだからいや、違う嫌だったんだ。かれがいいなりになるのが。」
「キャスターおまえに異端のマスターとの別れの時間をやろう。アーチャー戻るぞ。」
セイバーはアーチャーを引き連れてきた道を戻っていった。キャスターはルーン魔法で背中の傷を治すが自分の身体のことだよくわかる。血が流れすぎて治しても意識は戻らない。死んだも同然だ。うつ伏せから仰向けに自力で直す。クーに抱えられながら私は口を開いた。
「クー多分私の身体もたないや…心臓は動いてもいしきは戻らない。」
「なんで前に出たんだ!俺は、サーヴァントは使い捨てだ。霧香もわかってたんだろ。なぁ!」
「あまりしゃべれないからこれだけは言っておく花言葉でクチナシとツキミソウだよ。」
そこで私の視界はブラックアウトになった。走馬灯ぐらい見たかった。ああ、クー・フーリン私はあなたのこと愛してる。
私の20年人生はここで終わった。好きな人を守れて幸せだ。
ここで終りなんてさせないよ。思い出してきてよお姉さんの記憶。
「『私はとても幸せです』『無言の恋』」
俺は呟く。まだ心臓は動いているが起きる気配は全くない。霧香は実質死んだ。俺を庇って生きてるけど死んでいる。
「つくづくいい女には縁がない。」
本当に?だって小さい頃からの初恋じゃないか、なんで守れなかったんだ?あんなに誓ったのに、ああ、もういいや閉じ込めてしまおう。復讐もして聖杯も手に入れて二人だけで一緒に暮らす。そう考えるとニタリと口が歪むのがわかる。
「待ってろよ霧香。起きたときにはなにもかもぜーんぶ終わっているからな。」
霧香を彼女の自宅のベットに寝かせてガチャリと扉を閉める。
なあ、覚えてないかもしれねえが霧香と俺はもっと前からあってたんだぜ。
彼が藤丸立香と出会う数日前の話であった。