その、最後の時間
iPhoneを触り、アプリを開く。
そして、いつも通りの言葉が耳に入る
「フリュー!」
「モン娘ハーレム!」
起動して、推し娘を変えた。
始めた自分が、一番好きになったキャラ。メダカさん。
ホワイトウルフ族と自称するモン娘である。
巫女のような格好をしているが、現代俗物(アニメなど)が大好きで、神の事などほっぽり出している。
本当は、神の使いそのものなのだが・・・まあ、楽しそうにしているだけ良いと思う。
「やっぱり現代俗物は最高じゃのう!
長生きしておるが、今の時代が一番楽しいわ
可動絵巻⋯電子遊具⋯飽くに事欠かんのう」
タップすると声が流れた。
この声を聞くのも最後なのだと思うと、余計に愛しく感じる。そして、とても寂しくも感じる。
「なに? お祓いがしたいじゃと?
すまんがもうすぐ可動絵巻の最終話が始まるので
また来年以降に来てくれんかのう」
ストーリーでは、イベントの正月によく会った。中には、お祓いでやられていったやつもいた。モン娘の世界ってなんでもありだなと思った出来事だった。
「最近、わらわが本物の狼だった頃を思い出すことが
多くなってきておるのう⋯この世界の
居心地が良くて気を抜いてしまうのかのう⋯」
本当に、色々あった。
途中でログインだけになったりもした。スキルのレベルを上げるためにデートをし続けた。イベントの魔界級で地獄を見て、辞めかけた事だったあった。ゴーゴーカレーを手に入れるため、必死で頑張った事もあった。
ずっと一緒に楽しんできた。
フリューの製作者側の遊び心には驚いた。
最近のネタを取り入れ、更に、コラボで別の作品のキャラが入ってきても、こちらの世界の雰囲気に取り込んでしまったり。
クトゥルフネタもやってくれて、メタ発言をしまくるナイアルラトホテップのモン娘なんてのもいた。アザトースは、流石にやり過ぎだろと笑ったりした。
「ここまで頻繁に触ってくるのは
伝え聞く ぼでーらんげーじ、というやつか?」
デートの時には、タップと擦り、この2つで反応が違う事を理解してからは、色んなモン娘に対してやり、シェーナの声で思わず息子が反応し、無理矢理ねじ伏せなければいけない事態にもなった。
「さて、もう15時か⋯⋯今まで、ありがとうな。メダカさん」
「なんじゃ魔王か、わらわは退屈しておる
どこか面白いところに連れてってくれたもう
この時代の現代俗物に触れたいのじゃ」
最後にメダカさんが言ったセリフがこれ⋯か。
泣きそうになりながら、
「無理なんだよなぁ。これで、本当におしまいだ。ありが⋯とう...!!」
ロードを入れ、終わらせるためにホームボタンを
「魔王も泣き虫よな。なに、これで終わりというわけでもなかろう。いつかまた会える日まで、楽しみに待っておるぞ」
「えっ」
ロードが挟まれ、エラー状態になり、最初の画面に戻った。
最後のは、自分の幻聴か、それとも・・・
けど、心の中の黒い部分が無くなったような気がした。
祓ってくれたのだろう。
「来年以降って、今更かよ」
小さく突っ込み
「今まで、本当にありがとう...!!」
そうして、モン娘は〜れむという一つのアプリが、終わりを迎えた