ある飲食店にて、
「有り難う御座いました、またお越し下さい。」
一人の少年が接客をしていた。
「では先に上がります...お疲れ様でした。」
どうやら彼はアルバイトとしてこの店で働いていたようだ。
そして制服から私服に着替え、店を出ると、
「お疲れ。」
一人の少女が店の入り口近くで彼が出てくるのを待っていた。
「....先に帰ってくれて良かったのに。」
「そんな訳にはいかない、私と貴方は"一心同体"なんだから。」
少女はなにやら意味深なことを口にし、彼に近寄る。
「....分かった、....ならせめて店の中で待っててくれ、お前に何かあれば....俺は━━━」
少年の目に灯されていた光がどんどん消えていく。
「大丈夫、私は貴方の生きる意味、貴方は私の生きる意味...そう約束したでしょ....."前世"で。」
少女は自分の胸に少年を抱き寄せてそう呟いた。
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その後二人はあるアパートへと移動し、その一室に姿を消す。どうやら少年と少女はこの部屋で同棲生活を行っているらしい。
二人は部屋に入るとそのまま玄関で立ち止まり、そのまま立ち尽くしていたが、
「.....此処なら誰の邪魔も入らないよ....."
少女は少年をそう呼んだ。
すると輝留は少女に背後から抱き締めキスをする。
「
輝留も少女を吹雪と呼び互いに体を寄せ合ったまま、部屋のベッドに向かう。
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「はぁ、はぁ....」
「あっ......んぅ///」
二人は生まれたままの姿で結合し、抱き締め合いながら互いの愛を確かめる。
「もう....限界....!」
「良いよ......来て///」
そのまま果てるとぐったりとしながらもキスをし、深い眠りに落ちていく。
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翌朝、
「お早う、輝留。」
「お早う、凪流。」
二人は昨日から繋がったまま朝を迎え、またキスをする。
これが二人にとっては何時もの光景。彼らにとって互いの存在は深く、まるでもう一人の自分を写している鏡のようである。
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「んっ////.....もう、輝留っ....!!!」
「良いじゃないか吹雪。」
流した汗や匂いを消すためシャワーを浴びる輝留と凪流。
互いの身体を洗うつもりで入ったのだが、見るからに輝留が凪流を洗っているように見える。
「なぁ凪流.....もうこのまま休まないか?」
「ダメ.....だよぉ///.....出席日数、足りなくなるよ。」
凪流はそれだけは譲れないとばかりに輝留を静止させ、洗面器に張ってあったお湯を掛けて冷静にさせる。
「あ....」
「ほら、何時までも突っ立ってないで支度するよ。」
輝留に有無を言わさず、身体に付いた泡を洗い流しそのまま浴室を後にする凪流。それに対して輝留は、
「......了解。」
と何故か嬉しそうにそう答えるのだった。
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その後、遅刻することなく学校に到着しいつも通り二人は授業を受けた。そしてその放課後、
「輝留、今日もバイト?」
「いや、ここ一週間はずっと休みだ。」
二人は仲良く手を繋ぎ、帰路に着こうとする。
そして学校から離れた所で、
「「.....!!」」
二人は何か異質な者の気配を察知し、反応があった場所へと向かう。
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「此処か.....。」
輝留が周りを警戒しながら慎重に歩を進める。
「......」
凪流は輝留の後に続いて反応のある場所へと向かう。
「「......」」
そして二人は光が刺さない暗い茂みに入り、立ち止まる。
すると突然二人の頭上から何かが降ってくる。
二人はバックステップで回避...すると二人が身に付けていた"指輪"が光り輝き出す。
「喰らえ。」
輝留は武器を手に取ると、目も眩むような速度で"それ"に刃を突き立てる。
すると"それ"は音を立てて崩れていった。
「やはり
ハイライトの消えた目で呟く輝留。
その直後ドン、ドン、と銃声が響いた。
「何故か増えてきたね。」
両手にまるで氷の様に透き通った色の銃を握りながら話す凪流。
「.....例え人間であろうと俺達の邪魔をするものは許さない....!!」
光り輝く刀を携えながら輝留が口にする。
それから数分後、二人の攻撃によって全ての悪魔が姿を消した。
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「さて、と.....悪魔が出てきたってことは、」
「"奴"が目覚めた可能性が高い。」
二人は近くの公園のベンチに座りながら悪魔が出てきた原因を考える。
「その通りです。」
「「!?」」
何者かが二人の意見に賛同する。
辺りを見回すといつの間にか目の前にスーツ姿の女性が立っていた。
「始めまして、私は"高城"様の秘書を勤めている
("祇王"の関係者.....もう嗅ぎ付けて来やがったか。)
輝留は忌々しそうに為吹を睨む。
「....用件は何だ、手短に話せ。」
吹雪を下がらせ、為吹の前に立ちはだかる輝留。
「では...単刀直入に言いましょう...高城様からの召集命令です...「東京に集まるように」とのこと。」
(やはりか.....)
想像通りだと輝留はため息を吐きたくなったが、その衝動を押さえながら為吹に伝える。
「なら高城に伝えろ......."断る"。俺を連れていきたくばユキに来させろ、若しくは"アイツら"の情報を寄越せとな。」
輝留は凪流を連れてその場を後にする。残された為吹は、
「やはり....ユキのことを....まだ"信じている"のね。」
感慨深そうにつぶやくのだった。
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次の日の朝、その日は休日だったので何をしようか考え、久々に出掛けようと凪流が提案した。
「なら何処に行きたい?」
「ん~そうねぇ.....どうせなら少し遠くに行ってみたいかな。」
「なら、そうしようか。」
輝留の提案で隣町へと行くことにした吹雪。
しかし、ふたりはまだ気付かない。
この"選択"が後に二人の運命を大きく変えることになろうとは...
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電車に乗り、隣町へと来た二人。
「さて、何をしようか...。」
「取り敢えず、何処か入らない?.....もう私お腹すいたよ。」
来て早々、色気の欠片もないことを言う。
「全く、女子の言うことではないな。」
「あ~!輝留が差別的な事言った!」
ポカポカと輝留を殴る凪流、その顔は何処か嬉しそうにも感じられる。
「わ、分かった分かった。俺が悪かったって.....って何か嬉しそうだな...。」
「ん?だって....こうして輝留とお出掛け出来るんだから。」
頬を赤く染めながらそう呟く。
輝留はそんな凪流を愛しく感じ、つい抱き締めてしまう。
「きゃ!ちょっと輝留!?」
「.....」
輝留は黙ったまま吹雪を抱き締める。
「...悪い、でも今だけは...こうさせてくれ。」
「.....うん///。」
再び頬を赤く染め、抱き締め返す吹雪。
こんな甘い空間、一般の人が見たら砂糖が止まらなくなりそうである。
二人の抱擁はその後暫く続いた。
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「......どうしよう。」
その後ファミレスで昼食を頂き、店を後にした二人であったが何か困っている様子の二人。その理由とは...
「完璧に迷った。」
道に迷ってしまったらしい。
「はぁ....どうしてこうなったんだっけ。」
輝留が愚痴を溢す。
事の発端は数時間前、吹雪が「折角此処まで来たんだし裏路地とか行ってみない?」と輝留に提案し、それを輝留が了承。
そして裏路地に入ったはいいものの、二人とも来た道をわすれるというこの始末....完全に自業自得である。
「仕方ない...誰かに道を尋ねるとしよう。」
輝留が嘆息しながら裏路地を進んでいく。
すると、
「.....?子供の声?」
何処かから子供の笑い声らしきものが聞こえる。
二人が声のした方角へと歩みを進めるとそこには孤児院があり、どうやら子供達が遊んでいるらしい。
「ちょうどいい....誰か大人がいるだろうし、道を訪ねてみよう.....か。」
突如、輝留が動きを止めた。
「どうしたの輝留?.....急に立ち止まっ.........て。」
輝留に続いて、吹雪も足を止めた。
二人の目には孤児院の子供達と仲良く遊ぶ高校生位の少年が映っており、その人物こそ二人が探していた人物の一人であった。
「ユキ.......!!!」
輝留が駆け寄ろうとしたが、
「待って。」
吹雪に止められる。
「なんだよ吹...雪....!!!」
吹雪が指差した方角に目を向けると其処にはかつての仲間である二人の男女の姿があった。
「....あいつら...まさかユキを迎えに?」
「...恐らくは。」
「....そっとしておいてやればいいのに。」
「...でも、
「.....分かってる....その為に俺達は強くなるってあの時決めたんだろ?」
「....うん。」
輝留に頭を撫でてもらい、嬉しそうに答える吹雪。
「あっ....」
孤児院の庭で遊んでいた子供の一人が、サッカーボールを外に転がしてしまい、それが輝留の足元に転がってきた。
「....はい。」
輝留は子供にボールを返し、踵を換えそうとする。
「ま、待って下さい!」
不意に呼び止められ、振り替える輝留。呼び止めたのはユキであった。
「.....何か?」
「いえ....あの、有り難う御座います。」
どうやらお礼の言葉を言う為に輝留を呼び止めただけのようだ。
「....気にしないでくれ、道に迷って此処まで来てしまっただけだ。」
「あの...もし良かったら道案内しましょうか?」
突然の提案に少し固まる輝留。
「....いいのか?子供達の面倒を見なくても。」
「ええ、大丈夫です....職員の方が居ますから。」
「....そうか。」
輝留は吹雪の方に顔を向ける。すると吹雪もユキの前に姿を現す。
「悪いがこいつもなんだ....道案内の方、頼む。」
「分かりました....それで、何処へ向かうつもりだったんですか?」
「....駅を探してたんだ。」
「私達、別の街から此処に遠出して来たの。」
ニコニコしながらユキに話し掛ける吹雪。
「そうなんですか....取り敢えず付いてきて下さい。」
ユキの後を追いかける二人、その表情は影が差し込み、伺い知ることは出来なかった。
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「...この道を真っ直ぐ行くと駅です。」
「そうか....有り難うユキ。」
親切に教えてくれたユキに対して感謝の言葉を述べる輝留。
「あれ?僕、自分の名前...名乗りましたっけ?」
「あー....それは」
しまったという表情でどう誤魔化そうか考えていると、
「さっき孤児院でユキ君って呼ばれてたからそういう名前なんじゃないかなって思ったの。」
此処で吹雪が助け舟を出して輝留をフォローする。
「聞いてた....いや、聞こえたんですね。」
「....子供の声は遠くまで聞こえるからな。」
「そうですか...。」
ユキは少し黙った後、輝留達に向かって口を開いた。
「僕、櫻井夕月です....名前は夕陽の夕に月って漢字で夕月です。」
「...輝留だ....五月雨輝留。」
「凪流吹雪だよ、名前は風が吹くの吹くって漢字に雪って漢字だよ。」
輝留は淡々と、吹雪は天真爛漫にユキに名乗る。
「それで輝留は...輝くと留めるって漢字で輝留だよ。」
宜しく、とユキに握手を求める吹雪。
「こ...此方こそ?」
「あー...悪いなユキ、握手してやってくれ。」
バツが悪そうにする輝留。
「よ、宜しく。」
「もー固い固い...ね、試しに吹雪ちゃんって呼んでみて。」
「え...何で?」
ユキは疑問符を浮かべながら吹雪に聞いた。
「いいから...さんはい。」
「ふ、吹雪...ちゃん?」
ユキは顔を真っ赤にしながら吹雪をちゃん付けして呼んだ。
「キャー、やっぱり可愛い!」
「うわぁ...///」
突然吹雪に抱き付かれ、夕月は顔を真っ赤にしてしまう。
「オイ吹雪...その辺にしとけユキが困ってるだろ。」
此処でようやく輝留がユキに助け船を出して吹雪を夕姫から引き剥がす。
「もぉー何するのよ輝留、折角夕月ちゃんとハグしてたのに。」
「もぉーじゃないだろもぉーじゃ、夕月が困ってただろ。」
ハァ、とため息を漏らす輝留。
「それじゃあ俺達は此処で....夕月、また何処かで。」
吹雪を引き摺りながらそそくさと駅に向かう輝留。
「ちょっと輝留!?...いくら何でも女性に対しての扱いが酷すぎると思うんだけど!?」
「煩い、こうでもしないとあのままハグしつづけるつもりだっただろお前。」
「そ、そそそんなこと....ないよ。」
「明らかに目ぇ泳いでるしそっぽ向いてるから間違いないじゃねぇか!!」
「うぇーん、だってぇ.....」
「だっても何もない!ほら、さっさと歩け....じゃないとこのまま引き摺り続けるぞ。」
「わぁー!!!それだけはご勘弁を!!!....分かった、歩くちゃんと歩くから....だから引き摺らないでぇ.....!!!」
夕月から遠ざかっていく輝留たちは駅に到着するまでこんなやり取りを繰り返し行っていた。それを見ていた夕月は一言、
「あの二人.....仲良いなぁ。」
とだけ呟いた。
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「さて、さっさと帰るぞ...."祇王"の関係者に見つかる前に。」
「分かってる....私達は、彼らとは袂を別ってるから。」
そう言って今来た電車に乗ろうとした時、
「待って!!」
後ろからふたりを引き留める声がした。
「誰....だ。」
後ろを振り返るとそこには、先程夕姫を監視していた一人で少女が息を切らしながら近付いてきた。
「十....瑚」
「お出まし...か。」
会いたくなかったのに....と呟く輝留。
「何処.....行くのよ。」
「決まってるだろ.....帰るんだよ。」
「帰るって....何処に。」
「私達の家....祇王ではない私達
「....!!!」
十瑚は二人を見て悲しそうな顔をする。
「まだ...怒ってるの?....あの事《・》を....」
「.....ああ。」
十瑚の問いかけに輝留はそう答えた。
「俺達を仲間にしたいなら
「何で......何でそんな事言うの....私達、仲間だったじゃない!!!」
「それは
「そん.....な。」
「十瑚.....。」
「行くぞ、吹雪。」
「.....うん。」
輝留は何か言いたげな様子の吹雪を連れて電車に乗る。
「待って二人とも!」
後を追いかけるように十瑚が二人を追いかける...だが、非情ひも電車の扉は十瑚が後一歩という所で閉まってしまう。
「もう俺達には関わるな。」
最後に輝留は扉越しにそう十瑚に言い放った。
言い終わると同時に電車は発進し、直ぐに見えなくなるまで十瑚から遠ざかっていった。
「輝留........吹雪.........!!!」
十瑚はその様子を、ただ見送る事しか出来なかった。