結城友奈は勇者である セガサターン、シロ!の章   作:うりぼーノック

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銀ちゃんがたましいを燃やすシーンを何度も見返しているうちに、精神がマヒでもしたのか、Fateのエミヤを思い出しました。
 
赤いロングコート風の衣装と、二刀流の斧がエミヤっぽい気がする。シチュエーションもバーサーカーの足止めをする名シーンと似てないこともないような……。
DEEN版はもうちょっと評価されてほしい。あの回のEDへの流れ、最高だったじゃない……。
 
本編とは関係のない話でした。それでは第二話、お付き合いいただけると嬉しいです。
 


わすゆ編 (2)

 

 

 

 

 

 

数々の訓練をこなし、確実に実力を上げていく、鷲尾須美、乃木園子、三ノ輪銀の三人の勇者たち。

 

襲来するバーテックスに対しても、徐々に向上させてきた連係プレーで善戦することも増えてきていた。

 

勇者のお役目と日々の暮らし。順調なように見えた日々は、何時ものようなバーテックスの襲来で変わることになる――――――。

 

 

 

 

 

 

「こいつらを……新樹様のところに行かせるわけには……!」

 

 

全身に重傷を負いながらも三ノ輪銀は一人、三体のバーテックスを前に不退転の覚悟を決めていた。

 

仲間である須美と園子はバーテックスの猛攻により、戦線を離脱している。つまり自分がここを抑えなければ、現実世界に甚大な被害が起こるのだ。

 

 

「人間の!気合って奴を……!」

 

 

斧を振り上げ、バーテックスへと挑みかかる銀。スコーピオンの尾針をかわし、サジタリウスの矢をかわし――――――

 

 

「ぐぅぁっ!?」

 

 

――――躱した筈の矢が、キャンサーの反射板によって銀にダメージを与えた。

 

 

「くっそ……!」

 

 

遠くなる意識。地へと落ちていく感覚を味わいながらも、まだ戦える、という意志だけで意識を保たせる。

 

地へと落ちる衝撃に身構えた、その時だった。

 

 

「とぉっ!」

 

 

突然銀の体を何者かが抱え込み、バーテックスの追撃から銀を救い出した。

 

 

「え……?」

 

 

訳も分からぬまま、銀は目を開ける。そこにいたのは何と!

 

 

「人命、救助!」

 

「せ、せがた三四郎!?」

 

「大丈夫か、銀君!?」

 

 

白い道着に身を包んだ男。せがた三四郎が立っていたのだ。

 

 

「な、何でここに……!?」

 

「うむ。修行に最適な場所を探していたら、なぜかここにたどり着いたのだ。 そうしたら何やら銀君が一人、危機を迎えていたようなので、人命救助に駆け付けたのだ!」

 

「い、いや、そういう事じゃなくて……」

 

 

樹海――――新樹様の決壊の中には勇者しか入れないはず、と銀は言おうとするが、

 

 

「む、攻撃をしてくるぞ!」

 

「え?」

 

 

口を開く間もなく、スコーピオンの尾針が二人に襲い掛かる! しかし、せがた三四郎は一足飛びで攻撃を躱して見せた。

 

 

「銀君! 俺も一緒に戦うぞ!」

 

「え!? ば、バーテックスに普通の人間がかなうはずが……!」

 

「君が勇者の道を極めているように、俺も遊びの道を極めた男! 見ていろ!」

 

 

そういうとせがた三四郎は、キャンサー・バーテックスへと向かって走り出した!

 

 

「せ、せがた三四郎!」

 

 

そう銀が叫んだ時だった。

 

どどどど……と銀の背後から地響きを立てて、何者かがやってきたではないか。

 

 

「新手のバーテックス!?」

 

 

斧を握りしめ、後ろへ振り向く銀。その目に映ったのは―――――大群で押し寄せるせがた三四郎だ。

 

 

「……は?」

 

 

大勢の、しかし大きさが違うせがた三四郎達が、キャンサー・バーテックスへと攻撃を仕掛ける!

 

 

「「「「「「ドラゴンフォース!」」」」」」

 

 

大勢のせがた三四郎によって、滅茶滅茶に攻撃を撃ち込まれるキャンサー・バーテックス。そして終いには、せがた三四郎の背負い投げによって、結界の外へと投げ飛ばされてしまった。

 

 

「せがたゲームチャート……大人数の混戦度、満点!」

 

「……す、すげぇ!」

 

 

あまりの事態ながらも、キャンサー・バーテックスを退けたせがた三四郎に、銀は称賛の声を上げる。

 

しかしせがた三四郎は首を振って、目の前を指さす。

 

 

「まだだ! 敵は、まだ残っているぞ!」

 

「そ、そうだった……!」

 

 

そう、サジタリウス・バーテックスとスコーピオン・バーテックスはいまだ健在である。二体とも凄く動揺しているようだ。

 

 

「銀君!ここは君と俺で連携攻撃をしよう!」

 

「解った! ……でも、どうやって?」

 

 

一斉にとびかかればいいのだろうか? などと銀が考えていると、何故かせがた三四郎は銀の胸ぐらをつかんだではないか!

 

 

「え?」

 

「とぉぉりゃぁっ!」

 

「う、うわぁぁぁっ!?何でぇぇぇっ!?」

 

 

そしてせがた三四郎は、銀を高く、高く放り投げた!突然の事態に混乱する銀に、せがた三四郎は叫ぶ。

 

 

「銀君!斧を振り上げるのだ!」

 

「斧!? ……はっ!ここは!」

 

 

せがた三四郎の言葉で、銀はすぐさま事態を把握した。

 

 

「サジタリウスの……真上か!」

 

 

しかもサジタリウスは未だ動揺の最中である。銀は無防備なそれに、力の限りで斧を振り下ろす!

 

 

「脳天直撃……!」

 

 

しかしサジタリウスは未だ健在。しかし銀は理解していた。そう、こういう時は――――‐

 

 

「何度でも攻撃を叩き込む! そう、指が折れるまで!」

 

 

斧による連撃で、徐々にサジタリウスの殻に罅が入り始める。そして遂に、斧がサジタリウスに突き刺さった!

 

音にならない声を上げながら、サジタリウスが身を激しく捩る。銀が素早く地へと戻ると、サジタリウスは這う這うの体で結界の外へと逃げて行ってしまった。

 

 

「や、やった……!」

 

 

銀は笑顔を浮かべて、安堵の声を上げる。 ――――――しかし、そのわずかな油断は命取りになりかねない。

 

 

「危ない!銀君!」

 

「え?」

 

 

せがた三四郎が叫ぶが、それは僅かに間に合わなかった。

 

 

「ぁ……!」

 

 

スコーピオンの尾針が、銀の右腕を吹き飛ばした。

 

 

「ぐ、あぁぁぁっ!?」

 

 

少し気を抜いたところへの、突然の激痛。が、銀はそれに耐え、追撃してきた尾針を斧で切断して見せる!

 

 

「大丈夫か、銀君!」

 

「せがた三四郎……ごめん、油断した……」

 

「しっかりするんだ!傷は浅いぞ!」

 

 

浅くないよ、とは銀は返さない。言ったら最後だ、という思いがあったからだ。

 

そして銀は、口を開く。

 

 

「せがた三四郎……私を、スコーピオンの真上に投げてくれ……」

 

 

銀の頼みに、せがた三四郎は目を丸くした。

 

 

「銀君……しかし、その体では……!」

 

「傷は浅いんだろ? それに……私は勇者を極めたいんだ……諦めたくない……勇者の役目を、投げ出したくない!」

 

「むぅ……」

 

 

せがた三四郎は唸る。これ以上戦わせれば、この少女の命は更に危うくなるだろう。

 

しかし……せがた三四郎はわかっていた。極めた者は、途中で投げ出すことができないのだ。

 

 

「そうか……君は勇者の道を極めた……そう、三ノ輪銀は勇者である、なのだな!」

 

「そういう事! 頼む!」

 

「うむ!」

 

 

銀が左手で斧を握りしめたことを確認すると、せがた三四郎は彼女の胸ぐらを掴む。そして!

 

 

「とおぉぉりゃぁっ!」

 

「うおぉぉぉっ!」

 

 

スコーピオン・バーテックスの頭上へと、銀を放り投げた!位置は完璧だ!

 

 

「炎の女が……バーテックスに喝を入れる!」

 

 

振り下ろされた斧は、スコーピオン・バーテックスの脳天を直撃!あまりの事態にスコーピオン・バーテックスは戦意を喪失したのか、結界の外へと逃げだす。

 

それと同時に、気力を使い果たした銀が地へと落ちていく。それをせがた三四郎は受け止めると、一言呟くのだった。

 

 

「名、監、督……! 銀君。君は勇者の道を極めたのだ……!」

 

 

感動で涙を流すせがた三四郎は、銀の体に救命措置を施すと、また何処かへと去っていったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、須美と園子の手によって病院に運び込まれた銀は、一命をとりとめた。

 

しかし右腕を失った上に、数々の重傷を負った体は、もはや勇者としては役に立たないも同然の状態……。

 

そう。勇者の道を極めた少女は、もう勇者として戦うことはできなくなっていた。

 

 

「銀……」

 

「ミノさん……」

 

「二人とも、そんな顔をするなよ」

 

 

ベッドに横たわりながら銀は、泣きそうな顔をしている須美と園子に笑いかける。

 

そんな銀に、二人は涙を流しながら謝罪する。

 

「私が……もっと戦えれば……!」

 

「ごめんなさい、ミノさん……! ミノさんの、体が……!」

 

 

そんな二人に、銀はやはり笑顔で答える。

 

 

「生きていればどうとでもなるって! それよりも私が抜けた後、須美たちだけでのお役目のほうが心配だよ」

 

「む……」

 

 

銀の言葉に、須美が難しい顔で黙り込む。確かに、これからは銀を抜いた二人だけでお役目をしなければならないのだ。

 

不安に駆られる須美。しかしそれに対し、園子は、ぐ、と拳を握りしめて言った。

 

 

「大丈夫!私たちもミノさんと一緒に修業したんだもん! ミノさんが極めたのなら、私たちも極めるんよ!」

 

「…………」

 

「ね、わっしー!」

 

 

せがた三四郎の言葉を引用して、決意を語る園子。須美には何となく悔しい思いもあったが、同じく銀に決意を語ることにした。

 

 

「……そうね。安心して、銀。私たちも、貴方と同じ勇者なのだから」

 

「そっか。そうだよな!」

 

 

二人の答えに、銀は安心したように笑った。

 

 

 

 

 

 

 

遊びの道に魂を込め、それを極めた男によって、少女に定められた運命は少し変わった。

 

その変化が、その後の運命にどのような影響を与えるのか……それは未だ解らないが、一つだけ解っていることがある。

 

途中で投げ出さず、その道を極める。それだけが運命を変える可能性を作るという事だ!

 

 

 

 

 

 

 




 
第二回、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
 
前書きにも書きましたが、この回を書くに当たって、銀ちゃんがたましいを燃やすシーンを何度も見返しました。三回目くらいに、何だか苦行じみてるな、と思い始めました。
それでも頑張ってネタを集めたのですが、出来たものがこれでした。 ……まぁ、それほど酷い物にはなっていないと思っています。
 
 
銀ちゃんの活躍をどう描くかは、最後まで悩んだところでした。というよりも、せがた三四郎がどこまで関わっていいものかどうかと言う。
そしてやっぱり。銀ちゃんが勇者のお役目を最後まで全うする、という事がこの作品には一番大切なのかな、と思い、こういう形に。
せがた三四郎をぶち込んだ以上、誰かに何かを途中で投げ出させるわけにはいかない……。
 
 
次回はゆゆゆ編に一気にジャンプする予定です。わすゆのクライマックスはどうあっても弄れない……。
 
感想やご批判、その他諸々などいただけたら嬉しいです。
 
 
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