「未来さん、デッキチェンジです」
未来の再びのオーバーキルに再び機体が煙をあげ、また数十分近くメンテナンスをしたエルフナインからの宣告に未来はかなりのショックを受けていた。
「そんな!?」
「ボクだって本当はこんなことを言いたくないです。けど毎回毎回こんなにオーバーキルして、今度は完全に壊れましたなんてなったらどうするんですか!!」
「私以外にもオーバーキルしてたよね!!響とかマリアさんとか!!」
「未来さんの場合は一発が大きすぎるんです!!一撃で初期ライフ全損できるのを連発されたら、どんなに頑張っても無理なんです!!」
響の場合は確かに『ジャンク・ウォリアー』の攻撃力が1万超えて、さらに『スクラップ・フィスト』なんて戦闘ダメージを2倍にするカードも使ってはいるが、結局のところワンパン。確かに発生するダメージは大きいけど連発じゃないぶんまだ対応できるらしい。
「それでも『パワー・ボンド』で『キメラティック・オーバー』からの『リミッター解除』なんてやったら、それこそ大破しますけどね!!」
仮に30枚素材にしたら24000×2×2……96000の30回攻撃だ、仮に遊戯王最大の攻撃力を持つ『F・G・D(攻撃力5000)』が相手だろうと全部受ければ341回も初期ライフ全損できる計算だ、はっきり言おう、下手したらS.O.N.G.本部の巨大潜水艦の外壁に修理不能の罅を全身に入れられるのは間違いない。
そして今回、通常の『サイバー・ダーク』に『ユベル』だけじゃなく、当然のように『サイバー・ドラゴン』まで混ぜられてることで、それと同じ事が出来てしまう関係上このデッキチェンジ宣告と相成ったわけだ。
「というわけで、未来さんは次のデュエルから別のデッキを使用してもらいますからね!!」
「……『アドバンスド宝玉獣』とか?」
「それ絶対『ハモン』とかの高攻撃力モンスター並ぶの目に見えてるからダメです!!」
「さて、それじゃあ最後は私なわけだけど…ー…まさか貴女が相手だとは思わなかったわ」
了子は眼鏡を外し、フィーネの姿になりながら目の前に立つサンジェルマンにそう呟いた。
「クジを引いたのは貴様の筈だが」
「それはそうなんだけどね。因縁と言うかなんと言うか」
「ふん、そう思うならさっさと負けてもらって出ていって貰えると助かるわけなんだが」
「そう簡単にはいかないのよね~、まぁ――加減できるとは思わないことだ」
「するつもりもない奴が言う言葉じゃないな」
互いにバチバチと火花を散らしながら、互いにデッキからカードをドローする。
「「デュエル!!」」
了子 LIFE8000
サンジェルマン LIFE8000
「先攻は私だ。手札から『魔弾の射手 カスパール』を通常召喚」
『魔弾の射手 カスパール』 ☆3 A1200
「さらに魔法カード『終焉のカウントダウン』を『カスパール』の存在する縦列で発動!!ライフを2000支払い、発動後20ターンの経過により私はデュエルに勝利する。そして『カスパール』の効果で、デッキから『魔弾―クロス・ドミネーター』を手札に加える。そしてさらに永続魔法『平和の使者』を発動。互いの攻撃力1500以上のモンスターは攻撃できない」
「『魔弾カウントダウン~エグゾディアを込めて』という所か、厄介なデッキだ」
「私はカードを1枚伏せてターン終了。この瞬間『終焉のカウントダウン』のターンカウントが一つ進む」
サンジェルマン 手札2枚 LIFE6000
フィールド
『魔弾の射手 カスパール』 A1200
『平和の使者』 永続魔法
伏せカード
フィールド外
『終焉のカウントダウン』 C1
「私のターン、ドロー!!私は永続魔法『スローライフ』を発動。自分のフィールドにモンスターが存在しないことで発動できる。このカードが存在する限り、互いのプレイヤーは通常召喚か特殊召喚のどちらかしかできなくなる」
「つまり通常召喚したら特殊召喚を、特殊召喚すれば通常召喚ができなくなるわけ」
「その通りだ、続けて自分のフィールドにモンスターが存在しないことで、手札の『時械神ミチオン』をリリース無しで通常召喚!!」
『時械神ミチオン』 ☆10 A0
「『時械神』だと!?」
「バトル!!『ミチオン』で『カスパール』へ攻撃!!『時械神』は戦闘及び効果では破壊されず、このカードとの戦闘で発生するダメージは0になる。そしてバトルフェイズを終了し、この瞬間『ミチオン』の効果を発動!!このカードがバトルしたことで、相手のライフを半分にする」
「く!?」
サンジェルマン LIFE6000→3000
「厄介なカードを!!」
「私はカードを1枚伏せてターン終了だ」
「『終焉のカウントダウン』の効果でターンカウントがさらに一つ乗る」
了子 手札3枚 LIFE8000
フィールド
『時械神ミチオン』 A0
『スローライフ』 永続魔法
伏せカード
「私のターン、ドロー!!この瞬間『平和の使者』のコストを支払わず、自壊させる。そして魔法カード『成金ゴブリン』を発動!!相手のライフを1000増やす代わりに、デッキから1枚ドロー!!」
了子 LIFE8000→9000
「さらに『カスパール』の存在する縦列に伏せていた罠カード『無謀な欲張り』発動!!今後2ターンドローフェイズでドローできない代わりに2枚ドロー、そして『魔弾―ネバー・エンドルフィン』を手札に加える」
「なるほど、カードを引きにきたか」
「私はモンスターをセットし、『カスパール』でリンク召喚!!現れろ『魔弾の射手 マックス』」
『魔弾の射手 マックス』(左EX) L1(下) A1000
「なるほどね、モンスターセットは通常召喚権は使用するけど召喚じゃないから『スローライフ』の対象にならない」
「『マックス』の効果発動!!私は相手の魔法、罠カードの数まで、フィールドに『魔弾モンスター』を特殊召喚する。私は『魔弾の射手 ザ・キッド』と『魔弾の射手 ドクトル』を特殊召喚!!」
『魔弾の射手 ザ・キッド』 ☆3 A1600
『魔弾の射手 ドクトル』 ☆3 A1400
「さらに魔法カード『魔弾―クロス・ドミネーター』を『ザ・キッド』が存在する縦列で発動!!『ミチオン』の効果を無効にする」
「うーん、ならここで永続罠『虚無械アイン』を発動!!そしてその効果で手札の『時械神ラツィオン』を捨てて、デッキから1枚ドロー!!」
「だが『ミチオン』の効果は無効になった。そして『ザ・キッド』の効果で、手札から『魔弾の悪魔 ザミエル』を捨てて、2枚ドロー!!さらに魔法カード『魔弾―ネバー・エンドルフィン』を『ドクトル』の縦列で発動!!『マックス』の元々の攻守を、ターンの終了まで2倍にする」
『魔弾の射手 マックス』 A1000→2000
「そして『ドクトル』の効果を発動!!墓地の『魔弾―クロス・ドミネーター』を手札に加える。バトル!!『魔弾の射手 マックス』で『ミチオン』を攻撃!!効果が無効になっていることで、戦闘ダメージが発生する!!」
「く!?」
了子 LIFE9000→7000
「さらに『ドクトル』と『ザ・キッド』の二体で攻撃!!」
「ぐあ!?おのれ!!」
了子 LIFE7000→5600→4000
「私はさらに『ドクトル』と『ザ・キッド』の二体でオーバーレイ!!現れろ!!『彼岸の旅人 ダンテ』!!」
『彼岸の旅人 ダンテ』 ★3 D2500
「『ダンテ』の効果を発動!!ORUを一つ取り除き、デッキからカードを3枚墓地へ送り発動!!その攻撃力をデッキから墓地へ送った枚数1枚につき、ターンの終了まで500アップする。送られたカードは『超電磁タートル』、『封印されし者の右腕』、『封印されし者の左足』だ」
「(『封印されし』が一気に2枚も落ちたな)だがもはやバトルフェイズは終了しているうえに守備表示、墓地肥やしのためにそのようなカードを入れるとはな」
「ふん、私はカードを2枚伏せてターン終了だ」
サンジェルマン 手札2枚 LIFE3000
フィールド
『魔弾の射手 マックス』(左EX) A1000
『彼岸の旅人 ダンテ』(左EX下) D2500
伏せモンスター
伏せカード×2
『終演のカウントダウン』 C3
視点 観戦室
「どっちもラスボスなデッキなんだけど、これ」
マリアが戦々恐々といった面持ちで視線の先のモンスターを見ながら呟いた。
「でも姉さん、了子さんのデッキはあんまり強くなさそうだよ?」
「いいえセレナ、あのデッキの……特に手札のカード次第だと次のターン、サンジェルマンは苦境に強いられることになるわ」
「へ~どんな風になるの?」
「ライフを1000以下にされた後に『グスタフマックス』の2000バーンが飛んでくるわ」
「それ本当にラスボスなんだけど姉さん!?」
視点 バトルフィールド
「私のターン、ドロー!!手札から『強欲で金満な壺』を発動!!EXデッキをランダムに6枚除外して2枚ドロー!!そして『覇王眷竜ダークヴルム』をペンデュラムゾーンにセッティング!!」
『覇王眷竜ダークヴルム』 ◇5
「『覇王眷竜ダークヴルム』の効果発動!!自分のフィールドにモンスターが存在しないことで、デッキから『覇王門無限』をペンデュラムゾーンにセッティングする!!」
『覇王門無限』 ◆13
「さらに『虚無械アイン』の効果発動!!墓地の『ラツィオン』をデッキに戻して、デッキから『無限械アイン・ソフ』をセットする」
「罠カード『威嚇する咆哮』!!このターン相手は攻撃宣言できなくなる!!」
「(『サンダイオン』な『ミチオン』を警戒したわね)なら私はセッティングされたスケールでペンデュラム召喚!!現れなさい『メタイオン』、『ガブリオン』、『サンダイオン』!!」
『時械神メタイオン』 ☆10 A0
『時械神ガブリオン』 ☆10 A0
『時械神サンダイオン』 ☆10 A4000
「そして私は『メタイオン』と『ガブリオン』の二体でオーバーレイ!!現れなさい!!『No.XX インフィニティ・ダークホープ』!!」
『No.XX インフィニティ・ダークホープ』(右EX) ★10 A4000
「『ダークホープ』の効果発動!!特殊召喚された『サンダイオン』を選択して、その攻撃力4000分、ライフを回復する!!」
了子 LIFE4000→8000
「一気に初期値まで回復してくるなんて……」
「私はこれでターンエンド」
了子 手札1枚 LIFE8000
フィールド
『No.XX インフィニティ・ダークホープ』(右EX) A4000
『時械神サンダイオン』 A4000
『スローライフ』 永続魔法
『虚無械アイン』 永続罠
伏せカード(『無限械アイン・ソフ』)
『覇王眷竜ダークヴルム』 ◇5
『覇王門無限』 ◆13
サンジェルマン
『終演のカウントダウン』 C4
「私のターン、『無謀な欲張り』の効果でこのターン通常ドローできない。『ダンテ』を攻撃表示に変更して効果を発動!!デッキからカードを3枚墓地へ送り、攻撃力を1500アップ。落ちたカードは『D―HERO ドローガイ』、『魔弾の射手 ドクトル』、『魔弾―デッドマンズ・バースト』」
『彼岸の旅人 ダンテ』 A1000→2500
「さらに魔法カード『ハーピィの羽根箒』を発動!!そちらの魔法、罠カードはすべて破壊させてもらうぞ」
「ならそれにチェーンして伏せていた『無限械アイン・ソフ』を発動!!このカードは発動時にフィールドの『虚無械アイン』を墓地へ送って発動できる。そして『アインソフ』は1ターンに1度だけ、効果では破壊されない!!」
「だがこれで『覇王眷竜ダークヴルム』と『覇王門無限』、そして邪魔な『スローライフ』は破壊できた。セットモンスターを反転召喚!!『メタモルポット』!!そのリバース効果で、互いに手札をすべて捨てて、その後デッキから5枚ドローする」
サンジェルマン 手札2→5
了子 手札1→5
「良いのかしら?私にカードをドローさせて」
「このターンに決めてしまえば問題ない!!魔法カード『闇の量産工場』を発動!!墓地の『封印されし者の右腕』と『封印されし者の左足』を手札に加える。さらに魔法カード『死者転生』を発動!!手札の『魔弾の射手 ザ・キッド』を捨てて、今捨てた『封印されし者の右足』を手札に加える」
「これで3枚が揃った」
「さらに魔法カード『運命のドロー』を発動!!デッキから『強欲で謙虚な壺』、『封印されしエグゾディア』、『一時休戦』を選択し、シャッフルしてデッキトップに乗せ、その後カードを1枚ドローする」
「既に『左腕』を引き込んでいたか!!」
「このドローのあと、私は効果を1度しか使用できない。が、このカードならば関係ない!!ドロー!!……引いたカードは『一時休戦』!!これを発動し、デッキから互いに1枚ドローし、相手のターン終了までダメージを受けない!!ドロー!!」
ここで『エグゾディア』を引ければ間違いなくサンジェルマンの勝利。だが、
「……私はこれでターン終了」
引けなかった。詰まるところ次のターンに持ち越しとなった。
サンジェルマン 手札6枚 LIFE3000
フィールド
『魔弾の射手 マックス』(左EX) A1000
『彼岸の旅人 ダンテ』(左EX下) A1000
『メタモルポット』 A700
伏せカード×1
『終演のカウントダウン』 C5
「私のターン、ドロー!!この瞬間『サンダイオン』の効果が発動して、このカードをデッキに戻す。」
「だがこちらも『ドローガイ』の効果を発動!!このカードを特殊召喚する」
「チェーンして『墓穴の指名者』を発動して『ドローガイ』を除外して、その効果を無効にするわ。そして『アイン・ソフ』の効果発動!!手札から『時械神ラツィオン』を特殊召喚!!」
『時械神ラツィオン』 ☆10 A0
「バトル!!『ダークホープ』で『マックス』を、『ラツィオン』で『ダンテ』を攻撃!!」
「く!?」
「バトル終了、この瞬間『ラツィオン』の効果を発動!!相手の墓地のカードを全て、デッキへ戻す。これで私はターンエンドよ」
了子 手札4枚 LIFE8000
フィールド
『No.XX インフィニティ・ダークホープ』(右EX) A4000
『時械神ラツィオン』 A0
『無限械アイン・ソフ』 永続罠
サンジェルマン
『終演のカウントダウン』 C6
「私のターン、このターンも『無謀な欲張り』の効果でドローできない。私は『魔弾の射手 ザ・キッド』を通常召喚!!」
『魔弾の射手ザ・キッド』 ☆3 A1400
「『ザ・キッド』の存在する縦列で魔法カード『強欲で謙虚な壺』を発動!!デッキトップは『魔弾の悪魔 ザミエル』、『魔弾―ネバー・エンドルフィン』、『一撃必殺!居合いドロー』。私は『居合いドロー』を選択して手札に加える。そして『ザ・キッド』の強欲で手札の『魔弾の射手 カスパール』を捨てて、2枚ドロー!!」
「だがこの瞬間、『ラツィオン』の効果で1000ダメージを与える!!」
サンジェルマン LIFE3000→2000
「まだだ!!魔法カード『一撃必殺!居合いドロー』を発動!!デッキから相手のフィールドの数、つまり3枚を墓地へ送り、デッキから1枚ドローする。その後引いたカードを確認し、そのカードが『一撃必殺!居合いドロー』ならば、相手のフィールドのカードを全て破壊して、この効果で墓地へ送ったカード1枚につき2000のダメージを相手に与える!!墓地へ送られたカードは『終演のカウントダウン』、『一時休戦』、『無謀な欲張り』……ドロー……ッ!!」
引いたカードを確認したサンジェルマンの表情が固まった事に了子は嫌な予感を感じ取った。
「引いたカードは……『一撃必殺!居合いドロー』ではない」
「ふーん、それじゃあなんのカードかしら?」
「……今引いたのは、『封印されしエグゾディア』!!」
「な!?」
サンジェルマンが了子に見せたカードは間違いなく、見間違えなど有り得ない特徴的な巨人の顔がそこにあった。
「既に手札には『封印されし者の右足』、『左足』、『右腕』、『左腕』の4枚が揃っている。よって私はこのゲームに勝利する!!」
「そんな馬鹿なぁぁぁぁぁ!!」