FINAL FANTASY XV -EPISODE HOPE-   作:びゃこ

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Chapter1.旅立ち④

 翌朝、キャンプ用品等を片付け終えて例の野獣の討伐を終えると、再びシドニーから電話がかかってくる。今度は何の用かと尋ねれば、丁度整備が終わったのだという。あの後無事にデイブとも連絡が取れたらしい。

 

「シドニー、今度はなんだって?」

「整備が終わったんだと。ハンマーヘッドに戻ろうぜ」

「それじゃ、ようやく出発かぁ」

「とんだ足止め食らっちまったな」

「いいじゃないか、これも経験だ」

 

 昨日きた道を戻り、ハンマーヘッドへと急ぐ。そうしてハンマーヘッドにたどり着くと、整備のついでに洗車までしてくれたのか、見違えるほど綺麗になったレガリアが出されていた。折角だから記念写真を撮ろうというプロンプトに付き合って、それから今回の目的地であるオルティシエへの船が出るガーディナ渡船場へと出発する。そのついでにとお使いを頼んでくるシドニーは、やはりオレのことを王子とは思っていないのではないだろうか。

 ガーディナ渡船場への道中にあるレストストップ・ランガウィータでシドニーのお使いを終えると、どこからか元気の良い犬の鳴き声がする。もしかして、と辺りを見渡すと、案の定こちらへ駆け寄ってくるアンブラの姿が見えた。

 アンブラが運んできてくれる手帳は、何年も前からルーナとのやり取りを行なっているものだ。幼い頃からの習慣が今になっても続いているというのは、我ながらすごいことのように思う。ルーナとはこの手帳を使うようになって以来直接顔をあわせることすらできていないので、その影響もあったのかもしれない。会えない分、少しでもルーナとの繋がりを感じられるから。

 

「答えないだろうけどさあ、一応」

「じゃあ聞くな」

「それなにしてんの?」

 

 子供のころからの約束だとか、婚約者のやり取りだとか、事実を口にすればからかわれるのは目に見えている。このルーナとの約束は、オレの中だけにあれば良い。

 頼むな。そうアンブラに声をかけてから、オレは3人の方に向き直る。さっさと行こうぜ、と真っ先にレガリアへと乗り込めば、手帳についてそれ以上の追求は飛んでこない。それでもプロンプトは、やれどう思っているんだだとか騒ぎ続けていたが。

 

「海だー!」

「すげー」

「いい景色だな」

 

 テレビなどで見たことはあっても、こうして直接海を見たのは初めてのような気がする。渡船場に近づくにつれて潮の香りも強くなっていき、これからの船旅への期待も高まっていく。

 

「綺麗なとこだなー」

「ガーディナは、魚が美味いらしい」

「あの辺りは釣りもできそうじゃねえか?」

「お、釣り釣り!」

 

 海に来たのが初めてとなれば、当然海釣りをするのも初めてだ。そもそも王都にいた頃も頻繁に釣りに出かけるなんてことは憚られたので、趣味といいながらそれほど多くの機会に恵まれていない。それがわかっているからなのか、本来の目的を忘れんなよ、などと言いながらも釣りに付き合ってくれるつもりのようだ。

 

「へえ、どんな魚が釣れるかも書いてあるんだね」

「食材になる魚も多いな。どうせなら多く釣ってくれ」

「任せとけって!」

「うわほんと楽しそ〜」

 

 釣って、釣って。切れそうになったラインを交換してはまた釣って。存分に釣りを楽しんでいると、いつの間にか時刻は正午を回っている。楽しい時間は流れるのが早いものだ。

 

「ねえノクトー、まだ釣りすんの?一回休憩しない?というかオレお腹ペコペコー」

「しゃーねえな。釣った魚でも焼くか?」

「どうせならば、この魚にあった調理法を知りたいものだが……」

 

どうしたものか、とイグニスが呟くと、ちょうどその場を通りかかった女性が声をかけてくる。黒髪でやや派手な服装をした彼女は、レブロと名乗った。

 

「アタシ、この先で店開いてるんだ。アタシでよかったら調理法も教えるよ。使わない分の魚を譲ってくれたらそれでいいからさ」

「お、いいじゃん!行こうよノクト」

「つかこの先に店なんてあるんだな」

「渡船場周辺はともかく、離れた位置ともなると野獣やシガイも出るんじゃないか?」

 

オレたちのそんな疑問に対して、レブロは勝気に笑って見せた。

 

「アタシたちノラは軍隊よりも強い!ってね。ああ、ノラってのは店を運営してるグループみたいなもんだよ。機械いじりに野獣退治、人探しなんかも請け負ってる。まあ何でも屋みたいなもんさ」

 

 レブロは、ノラというそのグループについての説明を始めた。”ヒーロー"だというある青年を筆頭に、主要メンバーは5人。何でも屋の仕事に加え、野菜などを自給自足で担って店を開いているらしい。

 

「ガーディナのレストランのカクトーラとはライバルってとこさ。まあこっちには野獣も出るから、食事目当ての客はあまりこないんだけどね」

 

 そんな話を聞きながら浜辺を進んでいくと、小さな建物と、その周りに広がる畑が目に入る。近くにはハンマーヘッドのようなガレージもあったりと、どこか秘密基地のような雰囲気だ。

 

「へえ、本当に自給自足なんだな」

「そ。今日は魚を捕りに行こうと思ってたんだけど、あんたたちが大量に捕まえてるのが見えてさ」

「それにしても、よく海辺で作物を育てられるな。潮風があると厳しいだろう」

「まあアタシらは色々あって慣れてるからね」

 

レブロは、建物の中に入るとお客さんだよ、と呼びかけた。レブロに続いて中の様子を覗き込むと、そこには3人の青年の姿がある。

 

「帰りが早いと思ったらそういうことか。やあ、お兄さんたち。俺はユージュだよ」

「マーキーっす!」

「ガドーだ。……で、客ってのはなんの客だ?」

「今回は食事の方。魚が大漁みたいだったから貰う約束をつけたんだよ」

 

 レブロは、3人とそんなやり取りをしてからイグニスを呼び出した。調理法を教えるというのも本気だったらしい。あとは適当なところに座って待っているようにとのことで、調理が終わるまで3人の青年たちから自給自足の生活について詳しい話を聞いてみる。王都暮らしのオレたちからすれば。本当に未知の世界だ。サバイバル好きのグラディオは、まだ通じる点があるのかもしれないが。

 

「ヒーローってのはガドーのことなのか?」

「よく言われるがちげーよ。ヒーローは今ここにはいないんだ。なんでも王都の方で大仕事があるらしくてよ。今は留守にしてんだ」

「まあ、初めて来た人はみんな勘違いするんだよね。こいつガタイいいし」

「それにしても王都かー。どこかですれ違ってたかもしれないね」

 

そんな話を続けていると、レブロとイグニスが大皿を持って戻ってくる。せっかくの機会だから、食事も一緒にということらしい。

 

「こういうのも、旅ならではだよな」

「大将もいたらよかったんすけどね〜。そのうち戻ってくると思うんで、また遊びに来てくれると嬉しいっす!」

 

食事を進めながら互いの境遇を話し合う。グラディオの言葉通り、こういったことが旅の醍醐味なのかもしれなかった。

 

「そういえばお兄さんたち、王都の方からきたんだっけ。ガーディナには観光で?」

「これから船でオルティシエなんだー」

 

プロンプトがそう答えると、船か、とレブロが呟いた。ユージュやマーキー、ガドーらの他3名もそれぞれ顔を曇らせる。

 

「なぜだかわからないけど、ここ数日ガーディナに船は来てないんだよ。渡船場の方ならもっと詳しい奴がいるだろうから聞いてみるといいけどさ」

「マジかよ……間に合うのか?」

「行程にはだいぶ余裕を持たせているからな。……しかし、王都を出る前は船も動いていたはずだ。一体なぜ……。ともかく、情報感謝する。こちらでも色々と聞いて回ってみよう」

「このくらいお安いご用さ。何か困ったことがあったらいつでも来なよ。大将から黒づくめの連中を見たら力を貸してやれって言われてるんでね」

 

 その大将とやらは何者なのだろうか。黒づくめの連中を、ということは、王家に関わる人間に協力するように口にして王都へと向かっていったことになる。船が動いていないという情報もあって、どうにも妙な胸騒ぎがしていた。

 

「それじゃ、俺たちはもう行く。飯美味かったよ」

「そいつはよかった。それじゃまた!」

 

 プロンプトが、良い人たちだったね、と零した。それには同意できるのだが、やはり彼らがヒーロー、大将と呼んでいる人物のことが気になる。まるで、こうしてオレたち王家にまつわる人間がこの地を訪れることを予め知っているかのようだ。

 

「案外、知り合いだったりしてな」

「さてな。ともかく、まずは船の運航状況を確認しよう」

 

 渡船場の方へと戻って、レストランなどの施設を抜けて船着場へと向かう。しかし、そこには言われた通り船の姿がない。掲示板で運航状況を確認してみても、船が来る予定は一切ないようだ。

 

「運航状況が回復すれば良いが……」

 

 これではまた足止め状態だ。どうしたものかと悩んでいると、ふと背後から陽気な声がかけられた。

 

「ね、君たち王子ご一行でしょ。ちょっと俺の話聞いてかない?」

 

ディーノと名乗ったその男は、記者の仕事のかたわらアクセサリー制作もしているらしい。ディーノは、船を用意できるよう掛け合う代わりに宝石の原石を探してきてほしいという。挙げ句の果てに記事にされたくないだろう云々と脅しまでかけてくるのがどうにも怪しい気がしないでもないのだが。

 いずれにせよ、そう言われてしまえば従うほかない。オルティシエに向かうための手段が必要なこともそうであるし、仮にもお忍びの旅という名目上記事にされるわけにもいかない。実際に原石の採取ができたのもガーディナの近場だったので、その依頼自体は楽に終えることができた。

 

「おっ、早かったじゃん王子」

「お前なぁ……。つーかあのくらいの距離なら自分で行けよ」

「そこはほら、王城で鍛えられた王子の審美眼を信じてみたわけ。そうそう、船なら明日到着する予定だからそのあたりのホテルで休んどきなよ」

 

 根回し自体は本当にしてくれていたらしい。一介の記者にそれほどの力があるとも思えなかったが、今日のところは素直に感謝してガーディナのホテルに泊まることにした。道中野獣の討伐依頼などで路銀を稼いでいたため、一泊くらいならば問題ないだろうというイグニスの判断のもとで、だ。

 そして、その翌朝。オルティシエへの航行へ出るオレたちに、一件の連絡が入った。曰く、王都で帝国軍と交戦中である、と。

 




FF15は、元々FF13の対となるヴェルサスとして制作される予定だったというのはご存知の方も多いと思います。ヴェルサスFF13からFF15へと変更することに伴って世界観やシナリオが変化したとのことですが、逆にFF15の本編をFF13の世界観に合わせる形に再編成してみたらどうなるだろう、と考え執筆させていただいているものが当作品です。
序盤は大半が原作通りのため、軽く文章でサラサラ流している部分が多くお見苦しい点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。
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