カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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今週のウルトラマンタイガを見て思ったこと、珍しく倒された怪獣が遺恨を残してた事が驚きです。まさかあのゼットン単なるかませじゃなくて今回の為の伏線だったとは…このリハクの目をもってしても(以下略)。そしてパンドン殺したトレギア絶対許早苗

さあ、前回現れた最凶最悪の神威混淆 セト=テュポン。果たしてどの様な力を持つのか、どの様にして量産型神威混淆を倒すのか、是非お楽しみに



開戦の狼煙は上がる

神威混淆。エジプト神話を理解できなかった西洋人が、ならばギリシャ神話に当てはめる事で解釈しようとした逸話から作られた霊装。太陽神 ラーならば主神ゼウス、月神 トトならば盗人の神 ヘルメス、冥界神 オシリスならば同じく冥府の神 ハデス、と言った風に西洋人はエジプトの神々をギリシャの神々に対応することで理解したのだ…例えそれが歪であっても、西洋人達はそれが正しいのだと理解したつもりでいた。

 

セト=テュポンとはエジプトの最強の軍神をギリシャ最強の怪物に対応させた神だ。

 

セトとはエジプトの兄たるオシリスを殺した兄殺しの神…としての逸話が有名だが本質は戦争の神、つまりは軍神。太陽(ラー)を喰らう悪蛇(アポピス)から太陽を守れるのはセトのみと言わしめられたほどの力を持ち、王家に信仰された武の神。後にはラーの息子であるホルスと習合されたほど。だが、後の神話の改竄により悪神へと堕ちた神であり、悪蛇と同一とされた。光を掲げる者(ルシフェル)と同じ明けの明星であり、エジプトでは鉱石はセトの骨と呼ばれていた。今でこそ神話のホルスの引き立て役、悪役だがどの神話でも共通するのは「偉大なる強さ」。フォラオの強さは彼の偉大なる強さだと言われている。そう、セトこそがエジプト神話最強の神なのだ。

 

テュポーンとはギリシャ神話最強の怪物として知られ、母たる大地母神(ガイア)の怒りから誕生せし三頭犬(ケルベロス)などの怪物の父で、その巨体は星空まで届き、腕を広げれば世界の果てまで届く。疲れを知らず声を発しただけで山々が揺れ動く。台風(モンスーン)の語源であり、地震の正体はテュポーンともされる自然災害を具現化したかの様な怪物。その強さにはゼウスでも叶わず破れ四肢を裂かれた、ゼウスが勝利したのは無常の果実を食べさせ力を失わせ、山に押し潰され封印された。そう、あのゼウスですらまともなやり方ではテュポーンには勝てなかったのである。

 

そしてテュポーンに恐れをなした神々は、動物に化けエジプトへと逃げた。故にエジプトの神々は動物の姿をしているのだと西洋人は解釈したのだ。つまりは、テュポーンこそが神威混淆…西洋人がエジプト神話を理解する事が出来た理由の一つ。そんな神の名をつけられた霊装…それがセト=テュポン。セトは十字教とも関連づけられ魔王(サタン)渦巻く蛇(リヴァイアサン)と同一とされた。

 

その強さは規格外、本来神威混淆は人間と融合するのが運用法だが、この霊装は龍脈に接続することで本領を発揮する神威混淆の中では異質な霊装だ。だが、接続するのは英国の龍脈だけではない、龍脈とは全世界に広がっている。そう、全世界の龍脈とセト=テュポンを結びつけ、無尽蔵かつ無限大な膨大な魔力を得るのだ。つまり、セト=テュポンと戦う事はこの星…地球と戦うに等しい。そう、相手は星だ。誰も星の事など理解出来ない。故にセト=テュポンは強い。

 

神威混淆の本質とは「他者との間の無理解・不寛容を物理的な攻撃力に変換する」事。そういう意味では誰も地球の事など理解出来ないのが当然。誰からも理解されない、それがセト=テュポンの戦闘力に変換されるのだ。例え神であっても地球…星の意思など理解出来ない。故にセト=テュポンを止める方法は…完全にセト=テュポンを破壊する、それだけだ。

 

 

 

「……こんなバカデカい敵、初めて見たわ」

 

透視能力で地中内に潜むセト=テュポンを凝視する垣根。1,000メートルはあろう巨体に翼だけで500メートルはありそうだ。腕を横に伸ばせば3.000メートルはあるだろう。正に山の如し。そうとしか言えない程の大きさ。巨大、それしか言いようがない。

 

(こいつがあの神威混淆達を量産したんのか?)

 

よく見ると下半身の目を深く閉ざし、とぐろを巻いた蛇が顎を開けるとそこからラー=ゼウスやイシス=デメテルなどの神威混淆達を生み出しているのだ。

 

(こいつを倒さねえ限り、無限に神威混淆を生み出し続けるのか…厄介だな。ま、カラクリは分かった。後はどうやって倒すか…)

 

そう垣根が考えていたその時だった。閉ざしていた眼をいきなりカッと見開き、下半身の蛇がジロリと垣根を睨んだのだ。

 

「!?」

 

思わず透視能力を解除し、その場から後方へ跳ねるように退がる垣根。いつの間にか冷や汗を流していた。

 

(あいつ……俺が見えてやがんのか!?)

 

気の所為というレベルではない、確実に目線があった。つまり、セト=テュポンは恐るべき知能を持っている。とぐろを巻いていた蛇は目を覚ますとより一層神威混淆達を増殖させ、地上へと送り込む。

 

「アレイスター!神威混淆(こいつら)をいくら倒しても無駄だ

!こいつらを作り出してる本体を叩かねえといくらでも増殖するぞ!」

 

「何!?」

 

アレイスターはそれを聞いて驚愕の顔を見せる。上条達も唐突なその叫びに驚きを隠せない。

 

「地中にあいつらを生み出してる本体がいる!まずはそいつから…」

 

垣根がそう言い始めたその時だった、突如視界が揺れた、いや違う。地面そのものが揺れ動いている。

 

「!じ、地震!?」

 

「嘘だろ!このタイミングでか!?」

 

上条と一方通行の戸惑った声が響く、自然災害にしてもタイミングが悪すぎる。何者の意思が関わっているのかと思いたくなるレベルだ。だが、垣根は地中へと目をやる

 

(あの怪物野郎が地震を起こしてんのか?)

 

テュポーンは地震の原因ともされる、ならば地震を起こすのは容易いだろう。これはセト=テュポンの攻撃だ。垣根はそう判断した。更に地震の直後に地面が隆起しそこからラー=ゼウスやイシス=デメテル、テヌフト=アルテミス、テムズ川からオシリス=ハデスが、天空からワチェット=レトが無数に出現する。

 

「これ以上の乱戦はキツいか…各自2、3人のチームになって逃げろ!こんな狭いところで乱戦はキツい

!一先ず各自が戦いやすい所で敵を迎え撃て!決して一人で戦おうとするな!」

 

アレイスターはそう指示を出すと全員2、3人のチームになって違う方向へと駆け出す。アレイスターは脳幹共に東の方角へ、上条と美琴、食蜂は南の方角へ、一方通行と麦野、削板は北の方角へ、キャーリサとウィリアム、騎士団長は西の方角へ、メイザースとオティヌスは東西の方角へ、垣根と帆風、クリフォパズル545は北東の方角へ移動していく。

 

「おい、何か解決策を知ってねえかクリフォパズル545!」

 

『「知らないですよ、それに知ってても教えたくありませんし…いひひ」』

 

「くっ、この悪魔使えねえ!使えねえ悪魔なんて単なる粗大ゴミじゃねえか!」

 

『「いや、忘れてませんか?私が元々は敵方だった事?無理矢理契約されてるだけなんですけど」』

 

アンジュに取り憑いたままそうほざくクリフォパズル545、垣根は役に立たないなと思いながらも何かやれる事はないか考える。

 

(セト=テュポンに辿り着くには地中を掘り進まなきゃなんねえ。でも、どうすればいい?)

 

そんな考え事の邪魔をするように前方にラー=ゼウスとイシス=デメテルの二体の神威混淆が現れる。

 

「ここはわたくしにお任せを!」

 

帆風は未元物質の翼を展開しようとしていた垣根に片手で制すると、天使崇拝で天使を降ろす。

 

「来なさい 神の正義(ザドキエル)!」

 

その身に宿すはザドキエル。記憶に干渉する力と人間に叡智を授けた堕天使 アザエルの武器や魔道具創生の力の二種の力を持つ天使。アザエルの力で無数の武器を創造し蔦を伸ばしてきたイシス=デメテルの蔦を切断、中央の薔薇から冒涜的な叫びが響く。ラー=ゼウスはその隙に閃光を放ち帆風を滅ぼそうとするが。

 

神の力(ガブリエル)!」

 

ザドキエルからガブリエルへと切り替え、ガブリエルの水翼で閃光を防ぐ帆風。

 

天体制御(アストロインハンド)!」

 

天体制御で時間帯を夜にし、ガブリエルの属性を強化。神戮を展開しラー=ゼウスとイシス=デメテルに火の矢を流星群の如く降り注がす。だがラー=ゼウスとイシス=デメテルはそれを耐え、閃光や蔦を伸ばしてくる。

 

「ならば……神を見る者(カマエル)神の監視者(ザドキエル)!」

 

その身に宿すは格闘の天使 カマエルと最速の天使 ザドキエル。カマエルの身体能力の大幅な向上とカマエルの如き格闘術。ザドキエルの超高速スピードと遠心力を強化する能力を持つ。この接近戦最強の天使をその身に降ろし、帆風は音速を超えた速度でラー=ゼウスれと駆け抜け回し蹴りを放つ。遠心力を10倍にして放ったその蹴りはラー=ゼウスの身体であるオベリスクを叩き割って一撃で破壊した。

 

イシス=デメテルは蔦で絡めて帆風を絞め殺そうとするが、蔦は引き切られてしまう。だが、イシス=デメテルは植物。何度引っこ抜こうが引きちぎろうが何度でも再生してしまう。物理攻撃では相性がいささか悪い…なので。

 

「来なさい 神の如き者(ミカエル)

 

その身に宿したのはミカエル、右手に紅蓮の炎を纏った剣を召喚。太陽の如き高熱を放つ炎を帯びたその剣でイシス=デメテルを袈裟斬り。即座に炎上し燃え尽きるイシス=デメテル。だが、テムズ川から陸に上がって来たオシリス=ハデスが唸り声を上げて垣根達に近づいて来た

 

それに対し帆風は、先程蹴り壊したラー=ゼウスのオベリスクの先端を一瞥すると、再びカマエルを宿し強化した腕力でそれラー=ゼウスの残骸を持ち上げオシリス=ハデスへと投擲。ラー=ゼウスの先端がオシリス=ハデスの身体を穿った

 

ーーーガバァヴァァァァァ!?ーーー

 

叫び声を上げるオシリス=ハデス、だが帆風は容赦なくメタトロンの光の杭で串刺しにしオシリス=ハデスを破壊する。

 

『「いひひ……お見事。本来の使用でない点と量産型故の質の低下もあるとはいえ、容易く神威混淆を屠るとは…きひ」』

 

パチパチとわざとらしく拍手を送るクリフォパズル545、それについて垣根は何か言いたげだったが、またしても地面が揺れテヌフト=アルテミスが三体

、ワチェット=レトが五体垣根達に襲撃し、ワチェット=レトは毒霧を、テヌフトは岩石を投擲する。

 

「……優先する、人体を上位に、岩を下位に。優先する、人体を上位に、毒を下位に」

 

魔術すら組み込んだ多才能力で光の処刑を発動し、岩石と毒霧を防御する垣根。そして右肩から第三の腕…聖なる右の力を顕現させ、腕を一振るいしテヌフト=アルテミスとワチェット=レトを一気に殲滅する

 

「……流石聖なる右、凄え能力だな」

 

垣根が聖なる右の有用性を改めて理解し、感嘆の息を漏らす。

 

「流石ですわ帝督さん…いえ、この場合はオリジナルの聖なる右を持つフィアンマさんが凄いと言った方がいいのでしょうか?」

 

「だな、こいつはあくまで複製品。オリジナルがいなけりゃ複製できなかったんだ。フィアンマ様々だな」

 

(いや、それでも本家と同じ出力…いえ、神様だからオリジナルよりも出力を引き出せる時点でおかしいと思うんですが…)

 

やっぱ垣根の未元物質の性能はおかしい、そう再確認するクリフォパズル545だった

 

「……で、どうしたらあの神威混淆を止められる?方法はあるんだろ?教えろ。これは命令だ(・・・)

 

『「……いひひ、命令なら…仕方ないですねぇ」』

 

悪魔とは契約を守る者だ、契約してしまえば彼女は契約主である垣根の命令に背く事は出来ない。渋々ながらクリフォパズル545は垣根の質問に答える

 

「恐らくあの神威混淆は龍脈と接続され、稼働しています。その龍脈の膨大なエネルギーから無数の量産型 神威混淆を増殖させているのでしょう。龍脈から切り離せば増殖能力は停止するでしょうが増産された神威混淆達は消えませんし、そうなれば自衛本能が働いて暴れ出すでしょうね」

 

(ま、龍脈を切り離す事なんて英国一帯の龍脈を切断しなきゃいけないですし、そんなの幻想殺しでも無理でしょう。それにあの神威混淆は全世界の龍脈と接続してる様ですし…ま、勝つのは難しいでしょうね…いひひ)

 

そう垣根と帆風に説明するクリフォパズル545。確かに説明すると言ったが全て話すとは言っていない。

 

(そもそもコロンゾンとの繋がりは切れてませんし、もしかしたらコロンゾンの元に帰れると希望を持っていましたが…もうダメですねこれは)

 

クリフォパズル545はまだコロンゾンとの繋がりが切れていない。故にもしかすればコロンゾンにまだ必要とされ助け出されるかもしれないと、希望を持っていたのだが…もうコロンゾンは自分を垣根サイドだと誤解し、垣根ごと自分を殺そうとするだろうと思考する。そう思いもう既にクリフォパズル545はコロンゾンに対し様付けはやめている。

 

(まさか、コロンゾンと敵対する事になるなんて…死亡フラグ立ちまくってるんですが)

 

自分、終わったな…と乾いた笑い声を出すクリフォパズル545。もう完全に垣根達のせいでコロンゾンと敵対された今、いつ消滅させられてもおかしくない。

 

「成る程ね……後はああして…うん、これなら大丈夫か…よし、アレイスターに連絡するか」

 

「え?でもわたくし達通信霊装はありませんよ?」

 

「携帯使えばいいだろ」

 

『「……戦場で普通携帯使います?」』

 

垣根は携帯電話を懐から取り出す。まさか戦地で携帯電話を使うと言う発想はなかったのか、やや驚く帆風と若干呆れるクリフォパズル545。

 

 

 

『て、訳だ。出来るか?』

 

「勿論だ、私に任せておけ」

 

アレイスターはそう言って通話を切る、それを横で見ていた脳幹が口を開く

 

「で、彼は何と言っていた?」

 

「神威混淆達を生み出している奴を龍脈から切り離す…だそうだ。その為には私とメイザースの力が必要らしい」

 

「成る程ね」

 

会話しながらも襲いかかってきたテヌフト=アルテミスとラー=ゼウスをA.A.A.や魔術で迎撃、撃破する二人。

 

「ここは任せた脳幹」

 

「ああ、任された」

 

アレイスターは転移を用いて脳幹の前から消える。脳幹は葉巻を咥えると地中から現れたイシス=デメテルにA.A.A.を向ける。

 

 

「やれ神の如き者(ミカエル)!」

 

ミカエルがオシリス=ハデスを炎の剣で斬り裂き、オシリス=ハデスは一刀両断され光となって消える

。オティヌスも弩で一気に十体の神威混淆達を撃ち穿ち消失させる。

 

「ふん、手応えがないな。つまらん」

 

「全くだ、これなら地中にいるという怪物を倒した方がいいんじゃないか?」

 

メイザースは退屈だと言わんばかりに手に持った杖をクルクルと回転させる。オティヌスも槍で地面を叩きセト=テュポンを倒そうかと考えていた。

 

「ここにいたかメイザース」

 

「アレイスターか、何か用か?」

 

アレイスターが空間を転移してメイザース達の元に現れる。

 

「少しお前に用があってな。一人で大丈夫かオティヌス?」

 

「私を誰だも思っている?そんなオッさんいなくても私一人であの雑魚共は充分だ」

 

「そうだな、こんなギャンブル狂いの親父がいなくても君一人なら余裕か」

 

「おい、怒るぞ俺」

 

そんなジョークを交えながらメイザースを連れてアレイスターは空中へと飛行術式で飛び立つ。直後にカンタベリー大聖堂の尖塔から赤い高圧放水が放たれる、術式で空飛ぶ相手を自動的で狙う迎撃術式 トマス=ベケットの血の奇跡だ。

 

「「邪魔だ」」

 

そんな迎撃術式を四種の象徴武器と衝撃の杖で叩き落とす二人。二人は空からロンドンの街を見下げる。

 

「つまり、ここら一帯の龍脈を一時的に切断すればいいんだな?」

 

「ああ、そうすればあの神威混淆達の親玉の増殖能力は停止する筈だ」

 

「だが、そうするも俺の存在も保てんぞ。何せ俺はタロットカード。メイザースであってメイザースでない者。龍脈を切断されれば俺は一時的に戦線に復帰できん」

 

「……メイザースは勇敢な男だった…と、ミナに伝えておこう」

 

「おい、殺すな」

 

アレイスターとメイザース、二人の魔術師がセト=テュポンと繋がる龍脈を断ち切ろうとしているのだ。

 

「全く垣根帝督にはいつも驚かされるな…まさかこんな方法を思いつくとは」

 

「ふん、だからこそイレギュラーなのだろう。だからコロンゾンは警戒し、お前は奴を鬼札としている」

 

「そうだな……そんな事よりも…出来るか(・・・・)?」

 

俺を誰だと思っている(・・・・・・・・・・)?」

 

二人は決して互いの方向を見ようとはせず、ただ地面を見下ろしていた。

 

「……メイザース、私はお前が羨ましかった。妻…ミナ=メイザースという「理解者」がいたお前が…私は羨ましかった」

 

「メイザースという男もお前を羨ましがっていたのだろう。お前の様に金があればミナに不自由のない生活を送らせてやれたのに」

 

黄金夜明時代、殺した側と殺された側になった二人

。その二人の魔術師は互いに互いを羨んでいた。自分にはない物を羨んでいた。

 

「私はお前が嫌いだメイザース」

 

「奇遇だなアレイスター、私もお前が嫌いだ」

 

アレイスターとメイザースの関係は水と油だ。アレイスターがメイザースを殺したという部分を除いても二人は互いを嫌悪していた。自分が欲しかったものを持っていたのにそれを捨てたアレイスター/メイザースが嫌いだった。

 

「「だが、それはそれ。今は龍脈を切断する事が優先だ」」

 

だが、そんな個人的な感情を切り捨てて…二人は龍脈の切断にかかる。

 

「秘匿されし四文字、人の口にて振動不能な聖なる四角。すなわち神そのものを示すYとHとVとHはあまりに遠く、矮小な人の身でその本質を推し量れるものでなし」

 

アレイスターがそう口ずさむと、彼の周囲の空間が光り始める。それは浄化の光、何処からともなく百合の香りが漂う。

 

「しかし人は救いを求める。自らの知でもって理解のできる救済を。ここに橋渡しを設けよう、SH(シン)の字を足して。聖五文字、YとHとSHとVとHとはすなわち『神の子』、父と子と聖霊の複合によりて人は救いを目にする事が可能なり!!」

 

そう叫び終えるとアレイスターの背に白き翼が、頭上には光輪が…天使化。十字教を嫌い、神に唾をつけた者がこの瞬間、純化したのであった。

 

「INRIとは始祖の十字に刻まれた四文字なり。その振動は死者にすら活を入れる。未だ途上のわが身を充足せよ。その聖なる羅列によりて我が肉体は純化せん!!」

 

メイザースも続けて聖句を叫ぶ、彼の背にも翼が出現し頭の上には光る輪が出現。二人の天使は象徴武器と衝撃の杖を構え同時に叫ぶ。

 

「「魔力とは、生命力より精製される力なり。魔術とは、その魔力によって表す現象なり。魔術とは全て、生命の奥底から湧き立つ始原の力にささえられるべし」」

 

二人は聖句を綴る、二人を基点に膨大な力が集まっていく

 

「「すなわち魔術とは人を大切に想う気持ちに形を与えし技術なり。それは時に人を癒し、人を傷つけ、人に寄り添い、人を遠ざけ、祝福と畏怖を表裏合わせた真の力ある術式群とならん。嬢も思いもなき者よここから去れ!」」

 

そう二人が叫び終えるとロンドンは純白な白に包まれた。

 

 

その白い光に神威混淆達は飲み込まれると徐々に光の粒子となり消滅し始める…龍脈を切り離す事により龍脈の供給を断たれ消滅してしまったのだ。

 

「……天使?」

 

アレックスに乗ったキャーリサはロンドン上空に佇むアレイスターとメイザースを見てそう呟いた。

 

白い光がロンドンを、英国を満遍なく飲み込む。それにより英国は一時的に龍脈から切断され、一部の術式が組み込まれた施設や霊装が使用不可になったり破壊されたりしたが、二人にとっては関係ない。

 

「これで増殖能力は停止した。後は大元の神威混淆を叩くだけだな」

 

アレイスターがそう言ってメイザースを横目で見る

。メイザースの身体は透き通り今にも消えそうだ

 

「これで俺は一時的に戦線には戻れない…精々死ぬなよアレイスター」

 

「分かっているさ。お前が早く戦線に復帰出来る事を祈っておこう」

 

「……ふん」

 

メイザースは一枚のタロットカードに変わった。これこそがメイザースの正体。タロットカードの形をした魔道書、龍脈の供給を遮られればこうなってしまう。これを承知でアレイスターは龍脈の切断を行なったのだ。

 

「……感謝するメイザース」

 

そう言ってアレイスターはメイザースのタロットカードを右手で掴み、懐にしまうのだった。

 

 

学園都市の窓のないビル、そこでリリスのお守り兼留守番を任されていたミナ=メイザースはある気配に気づいた。

 

「あな、た…?」

 

彼女とメイザースは所詮タロットカードが再現した人格の設定上の妻だ。だが、彼女は反応した。例えそれが偽りの設定でも、親愛の情があった事にはなんら変わりはなかったのだ。

 

 

『きひ』

 

アレイスターとメイザースが龍脈を切断した影響をクリフォパズル545はモロに喰らっていた。消滅こそ免れたがアンジュに憑依するだけの力を失いアンジュは地面に死体の様に転がる。クリフォパズル545は死を待つだけの存在と化した。

 

(はあ、はあ…限界、ですね…いひひ。いや、よくもったという方ですかね。あの時垣根帝督(御主人様)に拾われてなければ消滅してましたし…まあ、仕方ないですね)

 

別に生にすがりつく気は無い。元々自分は生命ですらない。そんな自分が生きたいと願うほど滑稽なものはないだろう。

 

『い、ひひ…ここら一帯に爪痕を残しました。貴方の未元物質なら読み取れるでしょう?そこから私の情報を採取して精々コロンゾンに一泡吹かせてくださいね〜』

 

どうせ死ぬなら、自分を作った大悪魔に一矢報いたい。地獄に一足先に待っていて同じく地獄にやってきた悪魔に嘲笑してやりたい。

 

『……後のことは任せましたよ?』

 

「……ああ、そうだな…なあ、潤子」

 

「……ええ、そうですね帝督さん」

 

もう思い残す事はないとばかりにうっすらと消えていくクリフォパズル545。そんな彼女に垣根と帆風は笑いかけ…とん、と地面を足で軽く叩いた。

 

ーーーパァン!!!!ーーー

 

軽く叩いた筈なのに、とんでもない衝撃がクリフォパズル545を襲う。その衝撃はクリフォパズル545の全身を貫き、コロンゾンとの契約を容赦無く引き千切り、消失させ新たな身体を再構築させた。

 

『…………は?』

 

クリフォパズル545は何が起こったのか理解できなかった。消える筈だった身体が消えない、垣根と帆風が何かしたのは分かる。だが何をしたのか…いや、そもそも何故自分を助けた(・・・・・・)

 

『な、ぜ……?何故助けたのですか?』

 

「お忘れですか?貴方はわたくし達の魔術アドバイザーだという事を?まあ、それを抜きに純粋に助けたかったというのもありますが」

 

「その職務を放棄して消えるなんざ認めねえ、お前は一生俺らに魔術のサポートをする社畜なんだよ…ま、これは言い訳だがな」

 

ただ助けたかったから助けた。そう告げる二人に呆気にとられるクリフォパズル545。

 

『……分かりません、作られた存在でしかない私にそこまでの…』

 

「作られたからなんだ」

 

クリフォパズル545の言葉を遮って垣根は彼女にこう言った。

 

「お前は俺と潤子の仲間(モノ)だ。つまり、俺達がお前の御主人様だ。俺達が決めた事に疑問を持つな。作られた存在だろうが関係ない、生まれてきたのなら人生を楽しめ、それがお前へ下す命令だ。分かったかクリフォパズル545」

 

クリフォパズル545は何も言えない、その言葉の意味を理解しながらもなんと言えばいいのか分からなかった。そんな彼女に帆風が優しく肩に手を触れた。

 

「大丈夫です。もう貴方を縛るものは何もない。貴方はもう自由です、だから貴方は貴方の人生を楽しんでください」

 

『………う、うぇぐ…ぅぅ……ふぁい!肝に銘じておきます!』

 

そう言って泣き崩れるクリフォパズル545。そんな彼女に母親の様に優しく背中を撫でる帆風。垣根もふと微笑んだ後、すぐに異変に気付き顔を上げる。

 

「…………来たか」

 

 

 

それは異変に気付いた。龍脈を切断され自身の力の供給が断たれたのだ。これにより自身の下僕たる量産型 神威混淆達は消滅してしまった。龍脈のエネルギー供給も断たれた今、増殖能力は使えない。怪物は怒った、それと同時に理解した。地上の敵は自身で排除するしかないと。

 

ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ォ"ァ"ァ"

ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!ーーー

 

セト=テュポンは天地を響かせる咆哮を轟かせる。そして怪物は地上を目指す。自身とコロンゾン(主人)の敵である者達を抹殺する為に。

 

ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"

ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!ーーー

 

地面を突き破って百の首持つ上半身を地上へと出現させるセト=テュポン。半身だけでも並みの山々よりも遥かに大きい。そんな怪物が地上に咆哮を響かせる。これからが本番、開幕の狼煙が上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




セト=テュポン戦が始まると思った?残念次回だ、コンセプトは巨大な怪獣vs人類。モチーフはアニメゴジラやキング・オブ・モンスターズ、シン・ゴジラ…ぶっちゃけ言うとウルトラマンみたいな巨大な仲間がおらず、小さな人間だけでゴジラを倒す様なハード仕様。なお、小さいけどウルトラマン並みの強さを誇るバグキャラが味方にいるよ

そろそろステイルとインさんを活躍させたい、でもテスト中だから送れるか分からない…全く、テストなんて大嫌いなんだぜ、後、面接練習も(白目)

次回もお楽しみに!
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