謎の男の乱入により、窮地を脱したステイルとインデックス。蛇はそれを睨みながら火炎を再び吐き出す。
「
仮面の男がそう短剣を向けてそう呟くと、言った通りに火炎は消えてしまう。何度も何度も蛇は同じ攻撃を繰り返すがどれも無効化されてしまう。
「……その短剣にその声…君はアウレオ…」
「愕然、私はアウレオルス=イザードなどという錬金術師ではない。謎の仮面の男だ」
「いや、アウレオルス=イザードなんて言ってないし…やっぱり先生だよね?それにその短剣 アゾット剣でしょ、て事は
「私は謎の仮面の男、アウレオルス=イザードでもないし、黄金錬成も知らん。単なる流浪の錬金術師だ」
あくまで自らの正体を隠し続けるアウ…謎の男。彼は短剣…アゾット剣を構え次々に言霊を放ち黄金錬成で具現化させる。
「
アゾット剣の剣先から竜王の殺息を放ち、真っ直ぐ蛇に向かう。蛇は口から放射する熱線でそれを相殺
。ならばと口から暴風を放つ。
「
そう謎の男が呟くと、風は四方へと散り消滅する。
ーーークソ!錬金術ノ大魔術カ!小賢シイ真似ヲシテクレル!ダガ、
「当然、だろうな。お前はエジプトとギリシャの悪神が合わさった最強の怪物だ…だが、逆に考えるとしよう」
ーーーナニ?ーーー
黄金錬成では自分を倒す事は出来ないと宣言する蛇
、アウレオルスはそうだと頷きながらも、それなら発想を変えようと呟く。
「
そう謎の男が告げる、すると天から光が差し、そこから厳しい初老の男の顔付きをした羊の角を生やしウールの布を纏い、右肩を露出した存在が現れる。
ーーームウ"ウ"ヴヴヴヴゥゥゥゥゥッン!ーーー
ーーー!?ゼウス…イヤ、アメン・ラー…ソウカ、コイツハ ゼウス ト アメン ガ習合シタ神…ゼウス=アメンカ!ーーー
ゼウス=アメン、エジプトとギリシャの地の主神が習合された存在。それこそがゼウス=アメンである。太陽と雷、天候を司る最強の神にしてテュポンを、セトを撃ち破る者。セト=テュポンにとって天敵であろう存在概念が現世に出現したのだ。
「黄金錬成とは、
そう、黄金錬成とは世界を思うがままに支配し、改変し、操る偉大なる錬金術の秘奥にして秘術。残念ながらコロンゾンやセト=テュポンを倒す事は不可能だが神を操る事など容易い。故にこうして通常ならば召喚することすら不可能な存在概念を二柱召喚、更に複合させる事を可能とする。
「異国の神であろうと私の前では玩具に同じ、ゼウスであろうがアメン・ラーであろうが私の思うがままだ。故にゼウスとアメンを合わせる事など容易だ」
不可能を可能にする、それが黄金錬成。ゼウス=アメンは右手に万物を消失させる
「神話同様、敗れ去るがいい怪物」
ーーームウ"ウ"ヴヴヴヴゥゥゥゥゥッン!ーーー
ーーー舐メルナ!ーーー
ゼウス=アメンが雷霆を槍の如く投擲、蛇は火炎で相殺しようとするが雷霆は蛇に向かって放たれたのではなく、セト=テュポンの上半身に命中し、上半身の百の首の大半を消滅させ蛇の火炎は左手の太陽球で防いだ。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!?ーーー
ーーークッ!?我ガ半身ガ…!オノレ!ーーー
蛇はゼウス=アメンを睨む、ゼウス=アメンは雷霆を再び投擲、蛇は火球を放ちそれを相殺。それを幾度と繰り返す蛇とゼウス=アメン。
「ステイル=マグヌス、そしてインデックスよ。あの怪物を倒す為、二人の協力を得たい」
「……勝算はあるのか?」
「当然。策は用意してある。だが、被害が甚大ではない。故に垣根帝督達の力も必要になるだろう」
謎の男は倒す方法ならあると告げる、それに目を見開く二人。
「先ずはインデックス、君の知識を総動員しルーンカードでこのロンドン一帯に巨大な魔法陣を展開してもらう」
「ろ、ロンドン一帯を…?いや、組み立てるだけなら出来るけど…そんな沢山の数のルーンカードなんて何処に」
「作ればいい、私の黄金錬成でな。そしてステイル=マグヌス。お前は魔女狩りの王の制御に専念しろ」
ロンドン一帯に魔法陣を展開する、そしてそこから誕生するイノケンティウスの制御をステイルに任せると男は告げる
「……巨大な魔女狩りの王を出す気か?だが、地中内部にいる部分まで燃やし尽くせるかわ…」
「ふん、ステイル=マグヌス。お前にとって絶対必中の攻撃とはなんだ?」
「……は?」
突然そんな事を告げる男、ステイルはいきなり何を言っているのかと目を開く。
「追尾する攻撃か?それとも広範囲攻撃か?…否、そんなちっぽけなものではない。絶対必中とは
そうステイルとインデックスに告げる男、男が何を言いたいのか理解できない二人を他所に蛇はゼウス=アメンに火炎を吐く。だがゼウス=アメンはそれを防ぎ雷霆を飛ばしてくる。
ーーームウ"ウ"ヴヴヴヴゥゥゥゥゥッン!ーーー
ーーー……チッ、ヤハリ、半身ガイナケレバ勝テヌカーーー
蛇はそう呟くと地面の中に潜り、地中の中に消えていく。謎の男が召喚したゼウス=アメンの相手は自分一人では相手が悪いと判断し逃げたのだ。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!ーーー
セト=テュポンは垣根達の猛攻を浴びながら咆哮を上げてステイル達へと百の首を向ける。アレイスター達へは全身から発生させる暴風で相手をし、百の首から火炎を放射する。
「
男の言霊通りに火の軌道が逸れ、明後日の方向へ火炎が向かう。だが同時に地面から突如現れた蛇が顎を大きく開きステイル達を飲み込もうとする。
「!くっ、
そう叫ぶ事で男とステイル達をその場から転移し、蛇の攻撃を避ける。
「敵も学習し始めた様だな。このままでは危険だ。速攻に魔法陣を完成させねば…インデックス、魔法陣をどう描けばいいのか頭の中で考えろ」
「う、うん…今考えてるんだよ」
インデックスが思考する魔法陣は、以前出会った天草式に教えてもらった身の回りのあらゆる要素を魔術に応用する魔術。ただ配置するだけのルーンカードの配置を決め、結界の補強かつイノケンティウスの強化を行う。その為複雑怪奇な魔法陣を完成させねばならず、規模が大きいほど複雑になっていく。しかもロンドン一帯に魔法陣を展開するのだ。インデックスでなければ完成できないであろう。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!ーーー
ーーームウ"ウ"ヴヴヴヴゥゥゥゥゥッン!ーーー
セト=テュポンの拳の振り下ろしがゼウス=アメンの身体を打ち付ける。ゼウス=アメンは雷霆を剣状にして斬りつける。セト=テュポンの身体を斬り裂き焼き焦がしながら何度も何度も斬りつけ、切りつけた直後に再生し傷口を塞ぐセト=テュポン。セト=テュポンは両腕でゼウス=アメンを拘束しようと手を伸ばし、ゼウス=アメンも抵抗として雷霆の剣を消して両手をセト=テュポンに伸ばし互いの腕を掴み合い拮抗し合う。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!ーーー
ーーームウ"ウ"ヴヴヴヴゥゥゥゥゥッン!!ーーー
激しくぶつかり合い、互いの力をぶつけ拮抗し合う怪物と神。まさしくその光景は神話の再来、もしくは再現。神話上の戦いを再現するが如く。
「……凄いな、僕ら魔術師同士の戦いとは桁が違い過ぎる…本当にあの化け物を僕は倒せるのか?」
「惚けるなステイル=マグヌス。そんな暇などないぞ」
自分にセト=テュポンを倒す事など出来るのか、そうステイルは疑問に思う。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"!!!ーーー
ーーームウ"ウ"ヴヴヴヴゥゥゥゥゥッン!?ーーー
セト=テュポンの拳がゼウス=アメンが放った雷霆を殴りつけ消滅させ、ゼウス=アメンの顔面に拳をめり込ませる。そのままグチャとゼウス=アメンの顔を粉砕し、ゼウス=アメンの首から噴水の様に血が吹き出る。
だが、首が無くなろうとゼウス=アメンの身体は動く。神は首がなくなろうと死なず、それを身体で表す様にセト=テュポンに雷霆と擬似太陽と化した巨大火球を放とうとする。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!ーーー
だが、セト=テュポンは地中からの下半身たる蛇の尾でゼウス=アメンの身体を拘束。万力を込め締め上げ身動きが取れない様にする。そして蛇で絡めて動けない様にしたまま百の首を全て閉じ口内に炎エネルギーを充満させチャージ。そして勢いよく口を開け火炎を放射。百の火を全て束ねる事で極太の火炎放射となりゼウス=アメンを下半身の蛇ごと焼き払った。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!ーーー
歓喜と勝利の雄叫びを上げるセト=テュポン。神話上の敵だった神は自らの手で葬った。そして焼失した下半身が驚異的なまでの再生速度で復活し始めた。
ーーークックックッ…見タカ、我ハ無敵、例エ神ヲ呼ボウトモ我二叶ウ事ハナイ。何故ナラ我ハ最強故二。理解シタカ雑種共ヨーーー
そう傲慢不遜に言い放つ蛇、ゼウス=アメンを屠って勢いづいている様だ。だが、仮面の男にとってゼウス=アメンなど単なる
「………出来た」
ずっと目を瞑っていたインデックスはそう呟いた。彼女は今の今までロンドン一帯にルーンカードを配置し、過去類を見ない巨大な魔法陣を展開する為の魔法陣の配置図を頭の中で構築していたのだ。
「本当かい!?まだ五分しか経っていないのに…流石だな」
「うん、大体の配置図は出来たんだよ。後は先生の黄金錬成で配置すればいいだけだね」
「そうか、では君の頭の中を除き配置図を拝見させてもらおう…後、私は先生という人物ではない」
謎の男はアゾット剣をインデックスに向け、彼女の頭の中を除きルーンカードの配置図を確認する。そしてそのままアゾット剣を空に向け言霊を放とうとしたその瞬間。
ーーーサセヌワ!ーーー
蛇が地中から奇襲し、男を狙う。これ以上男の好き勝手にさせると不味いと理解し、殺そうと考えたのだ。咄嗟の不意打ちに男は反応が遅れそのまま蛇に飲み込まれかける…蛇は勝利を確認しほくそ笑み…直後白い何かに頭部を殴りつけられた
ーーーグゲボォォ!?ーーー
蛇は吹き飛ばされ建物に激突し瓦礫に埋もれる、そして蛇に攻撃した人物…垣根が白い羽を撒き散らしながら地上に降り立った。
「よお、アウレオルス。助けに来てくれたのか」
「憮然、私はアウレオルスではない。謎の錬金術師だ」
「あーはいはい、まあいいや。助けに来てくれてサンキュな」
まだ正体を隠す男、そんな彼に呆れながらも助けに来てくれた事に感謝する垣根。
「こいつは俺と潤子で足止めする。何かする気なんだろ?お前らはそれに集中してな」
垣根はそう笑って瓦礫を押しのけて垣根を睨む蛇の相手を取り、帆風はいつの間にセト=テュポンの上半身の相手をしていた。
ーーー邪魔ヲスルナ!ーーー
「そいつは無理な相談だ、あいつらの仕込みが終わるまで俺と遊んでもらうぞ」
ーーーナラバ貴様カラ殺シテヤル!ーーー
そう言って垣根に火炎を放つ蛇、垣根はそれを未元物質の翼でガード。ならばと鋭い歯を剥き出しにして噛み付こうとする蛇に対して翼を剣の様に振るう垣根。だが、切った瞬間から再生し切断が出来なかった。
「チッ、厄介な再生力だな…」
ーーー当然ダ、貴様モ排除サセテ貰ウゾ。我ガ主人ノ敵ヨーーー
「へ、やれるもんならやってみな」
そう言って翼を振るい烈風を起こし、蛇を細切れにする垣根。だがバラバラにされても即座に蘇る。太陽光を殺人光線に変え消滅させようとすると地中の中に潜り逃げてしまう。
「垣根帝督が足止めをしている今がチャンスだ。やるぞ二人共」
「……分かった」
垣根達が足止めしている今がチャンスだと呟き、天にアゾット剣を向ける。
「
そう言霊を言うと天空より舞う様に現れた無数のルーンカード。雪の様にひらひらと舞い男が望む場所に落ち、魔法陣としての役割を果たす。
「ステイル=マグヌス。お前はこの巨大魔法陣で通常の様に魔女狩りの王を呼ぶがいい」
「ま、待ってくれ!こんな大きな魔法陣で魔女狩りの王を召喚した事なんてない!下手をすれば暴走して…」
「ならば、しない様にしろ。制御できなければ魔女狩りの王に焼き殺されるだけだ。最も制御出来ねばあの怪物に潰されて死ぬだけだがな」
自分にそんな事が出来るのかとステイルが呟く。だが男は何としても成功させろと冷たく返す。
「ここで限界を超えろステイル=マグヌス。でなければ君の大事な
「!?………………分かった」
「………いい返事だ、それでこそ彼女のパートナーに相応しい」
男は笑ってアゾット剣を振るい、何らかの術式で空を飛ぶ。そして建物の屋根に降り立ち蛇に向けて風の刃を放ち首を吹き飛ばす。
「仕込みは終わったのかアウレオルス?」
「……私は謎の仮面の男だ、仕込みは終わった。だがこのままでは甚大な被害が出る。だからまずはロンドンから人を避難させよう」
このままでは一般人、味方である騎士派の騎士達、そしてコロンゾンに操られていただけの清教派のシスターや魔術師達に被害が及ぶ。故にまずは避難させようと考え、男はアゾット剣を天を掲げる。
「
その言霊の命によりロンドンから全ての人々が消え失せる。一般人から魔術師まで、全員がロンドンから消え失せた…ただ、アレイスターや超能力者の様な一部の強者は残ってしまったが。
「……やはり、貴様達は転移出来ないか。無意識にお前達ならこれから来るであろう
「……おい、今なんて言った?」
「さて、私も獄炎に巻き込まれぬ様、防御を整えるとしよう。貴様らも精々焼け死ぬなよ。まあ、死んでも死なないとは思うがな」
「いや、無視すんなよ!」
不吉なことをさらっと言った男、垣根は男に何を言ったのかと問いかけるが男は無視し何処かへと消える男。垣根は再生し終わり、顎から火炎を放った蛇の攻撃を防ぎながら
ステイル=マグヌスは汗を流す、本当に自分にこんな大規模な魔法陣の制御が出来るのかと。
(出来るか…?インデックスや垣根帝督みたいな何の才能も持たない僕が…出来るのか?)
自分を信じられないステイル、そんな彼の手をインデックスがそっと握った
「!?インデックス……」
「大丈夫なんだよ、ステイルなら出来るよ。自分を信じて」
何処までもまっすぐにステイルを見つめる緑の眼、それを見ているとステイルは先程まで考えていた不安や恐れは無くなっていた。
(……そうだ、やらなきゃ…いけないんだ。僕は決めたんだ、今度こそインデックスを守ると…その為にはこんな所で立ち止まっている暇はないんだ…!)
恐れるな、自分には
「……………」
彼は深く眼を閉じる、精神を集中させる為に。脳裏に思い出すはインデックスと過ごした楽しい思い出。これからもインデックスの笑顔を間近で見たい。だが、セト=テュポンを倒さねばそんな未来などない…故に覚悟を決めた、セト=テュポンを自らの手で倒すと。勇気を振り絞る、自分と彼女の未来の為に。全てはそう、愛の為に、少年は眼を見開き力の限り声を出す。
「
それは彼の信念であり覚悟だ、彼が力を渇望する理由は一つ。恋した少女を守りたい、それだけだ。そして魔法名に刻まれた生き様を証明すべく彼は口を開く
「
長き詠唱を歌う様に叫び、その声を轟かせる。それは裁きを下す巨神を呼ぶ聖句にして聖歌。少年の覚悟の象徴にして少女を守る彼の化身。その名は
ーーーオ"オ"オ"オ"オ"オ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"!!ーーー
突如紅蓮に燃え上がるロンドンの街並み、炎が吹き上がり、街を火炎で覆う。それは宛ら聖書における地獄か、北欧の神々の黄昏の最後に炎の巨人の剣によって焼き払われる世界そのもの。ロンドンは今まさにそんな神話を再現したのだ。そんな神話の再現した炎の中から一体の巨神が蠢いた。それこそが真・魔女狩りの王。百万℃の熱量を誇る炎の肉体…それを除けば見慣れた魔女狩りの王と似ている。
だが確実に違うのはその大きさ、セト=テュポンと並ぶ程の巨体に背中に存在する神の如き双翼。頭部には紅蓮の炎で構成された天使の如き輪…その姿はまさに"神"。無数のルーンカードと大規模な魔法陣、それにより誕生した炎の巨人。それが真・魔女狩りの王だ。
ーーーオ"オ"オ"オ"オ"オ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"!ーーー
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!?ーーー
炎の巨人がセト=テュポンへと手を伸ばす、その超高熱火炎の両手でセト=テュポンの身体へと触れようとしセト=テュポンは慌てて自らの両手で掴む。だが、腕自体も百万℃の火炎で構成されており掴んだだけでセト=テュポンの腕が黒く染まり白い灰になって零れ落ちる。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!ーーー
だが、セト=テュポンは持ち前の超再生で焼け爛れた腕を再生し、炎の腕と拮抗する。真・魔女狩りの王が動く度に炎が吹き荒れ、ロンドンの建物が燃え尽きる。もしロンドンに人がいたら人々は一瞬で灰も残らず焼けていただろう。
(くっ……凄まじい力だ…維持するだけで精一杯…僕はこんなじゃじゃ馬を制する事が出来るのか?)
ステイルは真・魔女狩りの王を維持するだけで精一杯だった。自分の意思で動かす事は出来ず、精々真
・魔女狩りの王を暴れさせるので精一杯だ。
(くそ…もう限界だ…早くあいつを倒さなきゃいけないのに…もう維持……出来ない)
後もう一歩でセト=テュポンを倒せる、だがステイルの体力が持たない。意識が遠のいたその時、インデックスが彼の手を握った。
「!インデックス…!」
「大丈夫、ステイルは一人じゃない。私がついてるんだよ。だから、頑張れる。だってステイルは私のヒーローだもん」
そう言って微笑むインデックス。その彼女の笑顔を見てステイルのなくなりかけていた力が溢れた気がした。
「う、おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」
ステイルは力の限り叫び、自分の全魔力を持って真
・魔女狩りの王に命令を下す。それは真・魔女狩りの王の身体を崩し、炎の津波とする事でセト=テュポンの全身を焼き払う為だ。
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!?ーーー
セト=テュポンの全身に絡みつく百万℃の真・魔女狩りの王の炎。瞬く間にセト=テュポンの身体を灰燼と化す。地中に逃げた下半身の蛇も蛇自ら開けた地中への穴を伝って炎が突き進み、地面の中で蛇を焼き殺す
ーーーウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ァ"ァ"ァ"
ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!?ーーー
ーーーギャァァァァァ!!!?我ガコンナ所デ!?コ、コロンゾン様ァァァァァ!!?ーーー
断末魔を叫び消滅するセト=テュポン。怪物は塵一つ残さず、この世界から消え失せたのだった。
ーーーオ"オ"オ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ッ!!ーーー
勝利の雄叫びを上げ、真・魔女狩りの王はゆっくりと消えていく。ロンドンを覆っていた火炎も陽炎の如く消え始める。
「………やった、やったのか?」
ステイルはそう呟く、インデックスと男の協力があったとはいえ、セト=テュポンを倒したのが自分だとステイルは信じられなかった。特別な力を持たない自分が、あの怪物を倒したと実感が湧かなかった。そんな彼の肩を男が優しく触れる。
「欣然、良くやったなステイル=マグヌス」
そう告げる男、そしてずっと手を握っていたインデックスがステイルににっこりと笑いかける。
「ね、私が言った通りでしょ?ステイルなら出来るって」
「……そう、みたいだね」
ステイルは彼女に笑いかけた、そして彼女に一つだけ、こう問いかけた。
「インデックス……僕は、君のヒーローになれたかな?」
そのステイルの問いに、インデックスは驚いた様に目を見開き、そして和かに微笑んでこう言った。
「何言ってるの、ステイルは最初から私のヒーローなんだよ」
「………そうかい」
互いに笑い合う二人、それを見て謎の男は仮面を取ってその素顔を露わにする。
「…………」
謎の男…アウレオルス=イザードはステイルとインデックスに何も言わず、ただ笑みを浮かべてその場から立ち去って行くのだった。
「何とか勝ったな」
「ええ、そうですわね」
垣根と帆風は焼け野原になったロンドンの街を空の上から眺める。ロンドンの有名な観光名所や建物が無残にも焼け尽くされている。どれだけの賠償金を支払わなければいけないのか、それを考えると頭が痛くなる。
「……賠償金のこと考えたくねえなぁ」
「……インデックスさんとステイルさんは学園都市の生徒なので、
「だな」
二人はアレイスターに全てを丸投げにする事にした
。だって自分達まだ子供だもん、だから大人を頼るんだもんと言い訳する。
「おぉーい!垣根!」
「お、当麻達やっぱ生きてたな」
地上から手を振っている上条達に気がつき、二人は地上へと降り立つ。
「やっぱ死んでなかったか、台所の黒い虫並みの生命力だな」
『五月蝿えよクソメルヘン』
そう軽口を言い合う垣根達、セト=テュポンという強敵を倒したせいか気が緩んでいる彼等。だから彼等に忍び寄る悪魔の影に気づけなかった
「たかがセト=テュポンを倒した程度で図に乗るなよ人間共」
『!?』
彼等の背後に立っていたのは宝石の如く輝く黄金の長髪、サファイアの如き青い眼。彼女の名はローラ
=スチュアート。本当の名は大悪魔 コロンゾン。彼女は微笑を垣根達に向けていた。
「だが、セト=テュポンは役に立った。奴のおかげでメイザースの本当の遺体から契約の縁を切る事が出来た。これで私は自由だ、これで私の本当の計画『モ・アサイアの儀』を行える」
そう笑うコロンゾン。垣根達は戦闘態勢に入る。
「戦う気か?無駄な足掻きだ、私には勝てない。弁えろ人間、お前達では逆立ちしても私には勝てん」
「やって見ないと分かんねえだろうが」
コロンゾンは最初に出会った時の様に殺意を垣根達に放つ、だが誰もそれに怯まず上条は逆にコロンゾンを睨む。それを見てコロンゾンは笑った。
「ほう、私の殺意には耐えられる様にはなったか。だが、私には勝てない。私はモ・アサイアの儀を成功させ私は
「……世界を終わらせる、ね」
コロンゾンは儀式を完遂し、世界を滅ぼすと宣言する。その発言に垣根は反応する。
「さあ来い、超能力者共。世界の終わりの前に、まずは貴様らに終わりを与えてやろう」
そう言って黄金の髪を触手の様に蠢かすコロンゾン
「……はっ、唐突なラスボス戦だな…まあいい、行くぞ潤子、お前ら」
「分かりましたわ」
垣根と帆風は神の力の象徴である翼を展開し、一方通行と麦野、削板も翼を出現。上条はドラゴン体になり美琴と食蜂はいつでも液状被覆超電磁砲を放てる様に構える。
これから始まるのは最終決戦、魔術と科学が交わるきっかけとなった事件を起こした黒幕たる
次章で長かったこの小説も最終章となります。有終の美を飾るよう頑張るぞ。でも長かったなー、最初はギャグ路線だったのに最近段々シリアスになってきた…まあ、最後は最初から決まってたんですけどね。そしてアウレオルスさんが言ってた絶対必中の攻撃…元ネタは「
そして最終章 「
「私は……この世界を愛している」
『大悪魔』ーーーー世界を愛し、滅ぼそうとする悪魔 コロンゾン
次回もお楽しみに!