カプ厨がていとくんに憑依転生しました   作:暗愚魯鈍

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今回は軽く飯テロ回。蟹料理のお話です。コロンゾン戦前のお口直しなので文字数は少なめです。ギャグで心を和ませてからのラスボス戦に行きます

今回は三馬鹿弟子のターン。あの子達可愛い&豪華声優なのに原作に全然出てきませんよね…解せぬ。てか、とあるは豪華声優が多い…とあレーだと単なる脇役の不良にオッレルス役の島崎信長さんと松岡禎丞さん、コンビニ店員に内山夕実さん、常盤台のモブお嬢様に潘めぐみさんやら大西沙織さんとかの豪華声優使ってるんですよ?てな訳で、この小説だと散々な目にあってる彼女達がメイン回です



終章 世界崩壊 編
ズワイガニの甲羅にくっついてる黒いつぶつぶ、あれ寄生虫じゃなくてカ二ビルの卵らしいよ。


メアリエ=スピアヘッドとジェーン=エルブス、マリーベート=ブラックホールは魔女である。ステイルの弟子で通称 三馬鹿弟子。イギリス清教から裏切り者であるステイル達を抹殺しに来たのにろくな活躍もないまま、倒されなんやかんやあって小萌の家で居候している穀潰しである。

 

「あ〜退屈です。そろそろ本気で畳の目を数えるのも飽きて来ました」

 

「ししょー達はロンドンに行っちゃたし…何もすることがなくて暇だな〜」

 

「まあ、ついて行っても何の役に立たないし死にそうなので、どっちにしろ行かないんですけどね」

 

ロンドンにインデックス達が行っている今、構ってくれる人がいなくて退屈なのだ。小萌は教師の付き合いの飲み会に行った為、暫く帰ってこない、あまりにも退屈なのでテレビをつけることにした三人。

 

『今週も始まりました。親船の部屋です、本日のゲストは学園都市でボランティア活動をなさっている浜面仕上さんです』

 

『どうも、でも俺なんかがテレビに出演出来る日が来るなんて…感激だな』

 

『所で浜面さん、頭切りました?』

 

『いえ、髪は…て、頭!?頭切ったら死んじゃうでしょうが!』

 

浜面が学園都市統括理事会のメンバー 親船最中にそうツッコミを入れる。くそつまらなそうなので他の番組にした。

 

『続いてのニュースです、盗撮の疑いでイギリス人の男性 ホレグレス=ミレーツ容疑者が先程逮捕されました』

 

『被告は「私はカップリング写真を撮っていただけだ!」と意味不明な証言を言っており、警察は今後の捜査でさらなる余罪が明らかになる可能性があると…』

 

ニュース番組は嫌いなので他の番組にすることにした、何処か容疑者が見たことある顔のような気がしたが気にしないでおいた。

 

『本日アメリカ大統領のロベルト=カッツェ氏が秘書のローズライン=クラックハルト氏に「もうお前売れ残り(クリスマスケーキ)だな。俺が嫁に貰ってやろうか?」とセクハラ発言を行い、ローズライン氏に馬乗りされボコボコに顔の形が変わるほど殴られ病院に搬送されました。その後何故か支持率がアップした模様です』

 

なんでセクハラ発言して支持率が上がるんだよ、三人はそう思いながら別のチャンネルに変えた。

 

『本日は学園都市の歌姫 鳴護 アリサさんにインタビューをして見たいと思います!』

 

『どうも、鳴護アリサです』

 

『そう言えばアリサさんにはお付き合いをしている男性がいると聞きましたがどんな男性なのでしょうか?』

 

『えっとですね、一言で言えば「根性」ですかね。とっても強くて優しくて、漢気が溢れていて、でも少しお馬鹿で抜けてて、でもそんな所が魅力的で、筋肉が凄くていつも筋トレしてて、特に上腕二頭筋が…』

 

『………ええ、長くなりそうなので次のコメント行きたいと思います。学園都市統括理事会メンバーのレディリー=タングルロードさんです』

 

ただアリサが削板(彼氏)の魅力を語るだけの痛いトーク番組だったのでメアリエはテレビを切った。ろくな番組がありゃしねえ、そう思った三人。

 

『……はぁ、暇』

 

そう三人が呟いたその時だ、ピンポーンとインターホンの音が鳴った

 

「……ジェーン、取りに行って」

 

「……面倒ですの…マリーベート〜」

 

「……仕方ないなぁ」

 

マリーベートが面倒くさそうに起き上がって、ゴロゴロしている他の二人をジト目で見ながら扉を開ける。

 

「おっす小萌ちゃん!……て、あれ?小萌ちゃんとこで居候してる三魔女か」

 

「……確かトールさんでしたっけ?」

 

扉の目の前にいたのは、少し大きめな発泡スチロールの箱を抱えたトールだった。

 

「いやな、小萌ちゃんにこれをお裾分けしようと思ってな…小萌ちゃんは?」

 

「小萌さんなら飲み会行きましたよ」

 

「あ〜マジか。ま、いっか。お前らこの家で居候してんだろ?なら、これ小萌ちゃんに渡しといてくれよ」

 

そう言ってトールはマリーベートに箱を手渡す。マリーベートは箱を眺めながら顔を上げる。

 

「この箱の中身はなんですか?」

 

「ああ、ズワイガニだよズワイガニ。知り合いから貰ったんだが一人じゃ食い切れねえから小萌ちゃんにやろうと思ってな」

 

『蟹!?』

 

ZUWAIGANI。それは日本のグルメである。普段彼女達が食べているカニカマ(蟹の模造品)とは美味しさも味も一味も二味も違う高級グルメ。自然と涎が溢れ出るメアリエ達。

 

「んじゃ、ちゃんと小萌ちゃんに渡してくれよな」

 

「「「いや、ちょっとストップ!」」」

 

トールはそのまま帰ろうとする、そんな彼に慌てて起き上がったメアリエ達が待ったをかける。

 

「んだよ?俺こう見えても忙しいんだぜ?グレムリンのNo.2だからオティヌスが放ったらかしにしたままロンドンに行った分の書類書かなきゃなんねえんだよ」

 

そう面倒くさげに答えるトール。自由気ままな上司を持つと苦労するんだね。

 

「小萌さんの事さっきから馴れ馴れしい言ってますけど…どうやって知り合っんですか?」

 

「ああ、俺がバイトしてる居酒屋で呑んだくれて酔い潰れてた小萌ちゃんを俺が店長から頼まれてここまで送る事になったんだよ」

 

「……小萌さんらしいですわね」

 

ジェーンが呆れてそう呟く。見た目は子供なのに中身はおっさん。それが小萌なのだと再認識した。

 

「で、家まで送ってやったらさ。目を覚ました小萌ちゃんに絡まれてさ

 

『せんせーは出会いがないのですー!』

 

『上条ちゃん達はいい子ちゃん達だけど、リア充なんですー!リア充なんて爆発しちまえ!』

 

『もう誰でもいいからせんせーと付き合ってくださいー!ただし、優しい人限定でー!』

 

『もういっその事生徒達に単位を餌にして揺するしかないのですよー』

 

とか、危ねえ発言してたんだぜ?」

 

「「「……マジ引くわー」」」

 

その発言は教育者として流石にどうよ?とメアリエ達は思った。

 

「で、小萌ちゃんの愚痴聞かされてな。段々眠くなってきたんだよ。で、うっかり寝ちまったわけよ…そして目を覚ましたら俺は全裸で、同じく全裸の小萌ちゃんと一緒に同じ布団で寝てたんだよ」

 

『…………は?』

 

唐突に放たれたそのリトルボーイ並みの爆弾発言にメアリエ達は凍てついた。

 

「俺訳わかんなくてさ。俺が寝た後に何があったんだと頭を抱えたよ。でな、小萌ちゃんが目を覚まして俺を見たら滅茶苦茶顔を真っ赤にしてさ。『せ、責任とってくださいね…』て、見た目とは裏腹の大人の色香だしてさ…で、今の関係に至ると…ま、そんな感じだ」

 

『待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て』

 

一気にラブロマンスに変わっていく話、それも大人のラブロマンスだ、18禁の。

 

「じゃ、俺は帰るぜ。じゃあな」

 

「「「いや、待って!そんな爆弾発言して帰らないで!頭が混乱してるから!」」」

 

「………あ、これだけは言わせてくれ」

 

帰りかけたトールが、ふと思い出したようにメアリエ達の方を向く。

 

「今の話全部嘘だから、小萌ちゃんとはよく行くスーパーでセールやってる時出会ったんだよ。まあ、そういう訳で…じゃあな」

 

パタン、そう言って扉を閉めて去って行くトール。今までの話は嘘だった。それを聞いたメアリエ達はトールに軽く殺意を覚えた。

 

「と、兎に角このズワイガニは冷蔵庫にしまっておこう」

 

マリーベートがそう言ってズワイガニが入った箱を冷蔵庫に入れようとした時。ぐわっとメアリエとジェーンが彼女の肩を掴む。

 

「何してるんですかマリーベート?」

 

「え?いや冷蔵庫にこれ入れようと…」

 

「…マリーベート、貴方おつむ大丈夫ですか?」

 

「え!?何か私おかしい事言ったか!?」

 

困惑するマリーベート。二人はそんな彼女にこう告げる。

 

「小萌さんは帰りが遅くなる筈。師匠達もいない。なら、このズワイガニは私達が食べるべきです」

 

「そうなのです」

 

「は、はぁ!?お前ら正気か!?これは小萌さんのだろ!」

 

「チッチッチッ、ズワイガニの事を知っているのは私達だけ…つまり、食べてもノー問題です」

 

そう黒い笑顔でメアリエとジェーンが笑う。

 

「お前らな…普段からお世話になってる小萌さんやししょー達に悪いと思わねえのか!?」

 

「なら思い出してください…普段の私達の日常を」

 

マリーベートは思い出す、普段からお世話になっている人達との日常に。

 

 

『おい三馬鹿弟子。僕のスーパーのセールに行ってこい。30分いないでな、過ぎたら飯抜きだ』

 

『三馬鹿弟子、私の代わりにこの洗濯物をたたんでおきなさい。出来なかったら唯閃です』

 

『ねえねえ三馬鹿弟子〜、お腹空いたからご飯作ってよ〜。そうしないと頭ガブリンチョだよ』

 

『三馬鹿ちゃん達〜、これ勉強のテキストですー。今週中に終わらせて私に提出するのですよー。出来なかったこの量倍プッシュするのですー』

 

 

「……食うか」

 

あ、こんな奴らにズワイガニ食べさせる価値なかったわ。マリーベートは掌返しでメアリエ達と共犯になる事にした。やっぱりズワイガニの誘惑には勝てなかったよ。

 

 

「「「蟹パーディー〜蟹パーディー〜♪美味しい蟹を三等分〜♪」」」

 

ズワイガニ、それは冬の味覚の王様である。しゃぶしゃぶ、鍋、寿司と様々な料理に活かせる蟹社会のDIO様である、カーズである、ディアボロである。

 

「でも私蟹なんて食った事ねえよ…どうやって食べる?」

 

「ここは生で脚を食べたいですわね」

 

「賛成です、でもズワイガニの脚はハサミを除いても8本…三等分出来ませんね」

 

「ん〜、まあそこはじゃんけんでいいだろ」

 

マリーベートはそう軽く返す、マリーベートは蟹を食べたことが一度もない。ジャパニーズキャンサー ズワイガニ。イギリス人にとって珍味だ、是非食してみたい。

 

「蟹てどんな味がするんだろうな〜?カニカマしか食った事がねえから分からないな〜。なあ、メアリエ達はどんな味だと…」

 

マリーベートがそう笑いながら顔をメアリエとジェーンに向ける。そんなマリーベートの視界に映ったのはもぐもぐと蟹の脚(・・・)を食べるメアリエとジェーンの姿だった。

 

「……ん?」

 

ズワイガニを見てみる。ハサミ以外の蟹の脚がなくなっている。二人を見る、二人はそれぞれ4本ずつの蟹の脚を持って口の中に頬張っている。

 

「……おい、お前ら」

 

「……はい?どうしましたマリーベート?」

 

「何かあったんですか?…て、あれれ?蟹の脚がなくなってますねー(棒)。あ、さては貴方が一人で食べちゃったんですかー(棒)」

 

「最低ですマリーベート(棒)」

 

「いや白々しいわ!」

 

ごくりんこ、と蟹の生身を飲み込んで何事もなかったかのような顔をする。それに青筋を立てるマリーベート。

 

「お前らが食べたんだろうが!私のせいにすんな!てか、もうハサミしか残ってねえじゃねえか!」

 

「「ちょっと何言ってるか分かんないですね」」

 

「ぶん殴るぞ!」

 

きゃー、この人何言ってるの?怖ーい。とわざとらしく怯えるメアリエとジェーン。こいつらなぐってもいいかな、勿論グーで、とマリーベートは思った。

 

「というか、私達が食べたて言ってますけど…本当は貴方が食べたんじゃありませんの?」

 

「そうですよ、自分がした事を人のせいにするなんて最低です」

 

「……(殴りたい、このゲス顔を)」

 

あろう事か人のせいにするメアリエとジェーン。このゲス魔女二人を火炙りの刑にしてやろうかと本気で思った。

 

「まあ、マリーベートには特別にハサミだけはあげますよ」

 

そう言って蟹の前端にある鉗脚と呼ばれるをマリーベートに与えようとするメアリエ。

 

「当然だよ…さ、早くハサミよこせ」

 

「はいよ」

 

メアリエは言葉通り、蟹のハサミをマリーベートに手渡した…そう、ハサミの部分だけ(・・・・・・・・)を。

 

「………」

 

「さ、残った部分は私達が貰いますねー」

 

「わぁい、胴体と残った脚ゲットですー♪」

 

「おい、待てやゴラ」

 

ハサミとは前足の先端にあるペンチの様な部分を指す。故にマリーベートが貰ったのは鉗脚ではなく、何もないハサミの部分しか与えられなかったというわけだ。

 

「………ししょー」

 

自分だけ蟹の身が食えなかった。その悔しさで涙をボロボロと流すマリーベート。それを見てドヤ顔になる二人。下衆の極みである。

 

(さ、いくらでも泣きなさい。所詮この世は弱肉強食…さて、勝利の美酒ならぬ勝利の蟹を堪能するのです)

 

ほくそ笑みながらジェーンは蟹の甲羅を開く。その中に財宝の如く隠された身と蟹味噌を食べる為に…だが、彼女は見てしまった。

 

「……え?」

 

蟹の甲羅の中には身も蟹味噌も、何もかも入ってい(・・・・・・・・)なかったのだ(・・・・・・)

 

「……ま、さか…謀りましたねメアリエ…!」

 

ジェーンはメアリエを睨む、メアリエは笑みを浮かべる。

 

「ジェーン…一体いつから私が貴方の味方だと錯覚していました?」

 

「……何……だと……」

 

戦慄するジェーン、マリーベートだけでない。自分もこいつに騙されていたのだと漸く気づいた。

 

「既にその甲羅は空、中身は全て私が抜き取りこの様に蟹炊き込みご飯にしておきました……こ …これでズワイガニ……いえ、ひとつなぎの大蟹宝(蟹ピース)は私だけのもの。蟹食王に私はなったのです」

 

勝利を確信し満面の笑みを浮かべるメアリエ…いな、蟹食王 メアリエ。彼女は全ての蟹を愛する人が求め、大蟹食時代の覇者の印たるひとつなぎの大蟹宝を手に入れたのだ。

 

「既に甲羅の中の身も蟹味噌も私の物です(まあ、蟹味噌は要らないので後で捨てますがね)」

 

「くっ…蟹味噌まで!?(いやまあ、蟹味噌はグロいし気持ち悪いから捨てる予定だったんですが)」

 

蟹味噌不遇である。

 

「ジェーン、貴方は私の役に立ちました…お礼としてその甲羅は差し上げましょう…そう、その虚ろな宝箱を……ね」

 

「……………!!!」

 

勝ち取ったズワイガニの前足の身を食べながらそう宣言するメアリエ。ジェーンはただ、唇を血が流れるまで噛む。

 

「所詮貴方達など敗北者なのです」

 

ジェーンが開けたのはパンドラの箱、最後の希望があると一縷の望みをかけ、開いたがそこには何もなかった。そう、その最後の希望とはあると思う事。最初から箱は空だったのだ…そう、ジェーンが開けた蟹の甲羅の様に…

 

「蟹炊き込みご飯…ふ、大蟹食時代を制したのはやはり私…貴方達は指をしゃぶって私が食べるのを見ていなさい」

 

メアリエは蟹炊き込みご飯を頬張る。そしてメアリエはある事に気付く。

 

(……予想以上に薄味…美味なのは香りだけで…味は薄い…だと!?)

 

そう、蟹炊き込みご飯は名前こそ食欲が唆られるも実際は蟹の美味しい匂いがするだけの薄味のご飯なのだ。

 

(ま、まさか…蟹炊き込みご飯は名前だけの微妙な料理だった…!?ま、まあいいでしょう。何も食べられない他の二人よりはマシ…)

 

メアリエはそう思いながらジェーンの悔しそうな顔を見ようとし…ある事に気付いた。ジェーンが鍋の中に蟹の甲羅を入れて出汁を取っていた。

 

「な………!そ、その料理は…!?」

 

驚くメアリエに構わず、彼女はそのまま白菜としいたけ、豆腐、春菊、細かく切り刻んだ長ねぎ、豚肉を鍋の中に入れる。そして調味料を加え出汁の蟹の甲羅を抜き出しその美味な匂いを周囲に漂わせる。

 

「……ふ、蟹炊き込みご飯…確かに食指が踊る名ですが…所詮薄味のご飯。この蟹の王道料理 蟹鍋には敵いませんわ」

 

「か、蟹鍋だとぉ!?」

 

蟹鍋。それは至高の蟹料理。蟹の旨味は身だけではない。甲羅も出汁にできる…そして鍋とは冬にマッチングする料理…つまり、相性抜群。劇場版ドラえもんののび太とジャイアンの関係なのだ。

 

「貴方の蟹炊き込みご飯の薄味…濃い汁物がないと素材を生かせない…つまり、私の蟹鍋がなければ貴方の蟹炊き込みご飯は単なる雑魚なんですよ!」

 

「………っ!」

 

薄味のご飯は濃い汁物とベストマッチなのだ。心の友なのだ。のび太とジャイアンなのだ。故に蟹鍋と一緒に食べなければ単なる微妙な料理なのである。

 

「さあ、頭を下げなさい。そして

 

「ジェーン様を裏切ってしまい申し訳ありません。この蛆虫は調子に乗りすぎました。どうか許してください。ビューティフルでプリティーなゴッデス ジェーン様」

 

と言って土下座なさい。そうすれば貴方もこの蟹鍋を食べさせてあげてもいいのです」

 

「くっ…!」

 

「さっき貴方は言いましたね…"敗北者"と。ですが敗北者は貴方ですメアリエ。所詮貴方は前時代の遺物…新時代の王…いえ、蟹影である私には敵わないのですよ!」

 

蟹ノ葉隠れの里の52(カニ)代目蟹影 ジェーン。彼女は蟹食王であるメアリエの事を敗北者と告げる。怒りで歯をギリギリさせるメアリエ。

 

「さあ、どうしますかメアリエ?私に跪くか、その美味しくないご飯を食べるか…選びなさい」

 

そう言って微笑むジェーン、正しくその姿は美食の女王。メアリエがどうするべきかと悩む。このまま微妙な蟹炊き込みご飯を食べるか、頭を下げて蟹鍋のセットメニューにして美味しく頂くか…どちらを選ぶか。プライドか美食か…究極の二択で揺れるメアリエ

 

ーーーボスン、ザババァーーー

 

「「?」」

 

変な音が聞こえ蟹鍋の方から聞こえ、二人は蟹鍋の方を向く。そして二人の目に映った光景は…

 

「こうした方が美味そうだな」

 

マリーベートが蟹炊き込みご飯を蟹鍋の中にぶち込んでいた。

 

「「何やってんの敗北者(お前)ーーー!?」」

 

敗北者と書いてお前と叫ぶ二人、マリーベートは二人が作った蟹炊き込みご飯と蟹鍋を掻き混ぜて(錬成)して蟹雑炊を作り上げた(錬金)してしまったのだ。

 

「「この美味そうな匂い…ま、まさかこれは…この料理は…蟹雑炊!?ば、馬鹿な…!」」

 

蟹雑炊、蟹炊き込みご飯の欠点を補う蟹鍋とフージョンし、誕生した最強戦士(料理)…それが蟹雑炊だ。マリーベートは更に蟹雑炊に卵を割って黄身と白身を入れ掻き混ぜる。その一掻きだけで美味しそうな匂いが漂う。

 

「ま、マリーベート…貴方何を…?」

 

「ん?いや、この二つを混ぜたら美味しそうだな〜て思って混ぜてみたんだよ。食うか?」

 

「「うん、頂く…て、それは私のだ!!」」

 

思わずノリツッコミを叫ぶ二人、この二人実は仲良さげである。

 

「蟹炊き込みご飯は私の物ですよマリーベート!」

 

「蟹鍋は私のです!勝手に錬金しないで下さい!」

 

「まあまあ、これ食って落ち着けよ」

 

「「むがっ!?」」

 

プンスカと憤る二人の口に蟹雑炊をひと匙掬ったスプーンを入れるマリーベート。二人はもぐもぐと蟹雑炊を咀嚼し…目を見開く。

 

((お、美味しいだと!?))

 

そう蟹炊き込みご飯と蟹鍋の両所を併せ持つこの蟹雑炊は驚くほど美味しいのだ。卵の味も絡み合い完全無欠の蟹料理と化していたのだ…!

 

(く、悔しいけど美味しい…!認めたくないのに舌が…震える!作ったのはマリーベートなのに…!)

 

(完敗ですわ…まさか、マリーベートに一杯食わされるとは…蟹料理だけに)

 

マリーベートはそんな二人の心情など知らずに笑顔で蟹雑炊を掻き混ぜる。そして三つの茶碗に蟹雑炊をしゃもじでよそりメアリエとジェーンに茶碗を手渡す。

 

「ん」

 

「「……え?」」

 

「ほら、受け取れよ。お前らの分だぞ」

 

「「……え?わ、私達の…?」」

 

「お前達じゃなかったら誰の物になるんだよ…」

 

そうジト目を向けるマリーベート、二人は散々嫌がらせじみた行為をした自分達に何故こんな慈悲を与えるのかと訝しむ。

 

「な、何を企んでいるんですのマリーベート?」

 

「いや、企むも何も…私達ししょーの同じ弟子だろうが」

 

「「!?」」

 

同じ師に使える弟子だろ、ただそれだけの理由で蟹雑炊を分け合うマリーベート。あれだけの悪質な嫌がらせをした自分達にそんな事を言った。

 

「さ、早く食えよ。折角の料理が冷めちまうぞ」

 

そう笑みを二人に向けるマリーベート。二人は罪悪感から居心地の悪さを覚える。

 

(な、何故……こんなに優しくするの…?さっき私達がどれだけ酷い事したか忘れたの?)

 

(…私達だけ蟹の脚を食べた事が急に恥ずかしくなってきましたわ…)

 

今更ながら先程の自分達の醜さに気付く二人、そんなメアリエとジェーンに何者かが声をかける。

 

【そうだ少女達よ…先程の君達の行動は蟹パーティー道に反する行為だったのだ】

 

((!?だ、誰!?))

 

二人の脳内に直接響く声、気付くと蟹雑炊の頭上に半透明な身体の蟹が浮かんでいた

 

【私は蟹味噌の化身 ガニメ=ガンザ=ザニカ=キングクラブ=レイキュバス。先程この心優しき少女に食された蟹味噌である】

 

((な…!?蟹味噌の化身!?))

 

彼の名はガニメ=ガンザ=ザニカ=キングクラブ=レイキュバス。いつの間にかマリーベートが食べていた蟹味噌の化身である。

 

【蟹パーティーとは、争うものではなく楽しむものだ。蟹を奪い合い独占するより、分け合い一緒に食べる事が蟹パーティーの真髄にして基本。君達はそれを疎かにした、だが彼女は分け合う心を失っていなかったのだ】

 

そういきなり語り出すガニメ。

 

【…君達は良い友を持った。君達からあれほどの仕打ちを受けても、なお友として扱い蟹を分け与える姿は感服した。君達もそう思わんか?】

 

((…………))

 

いい友を持ったなと優しく語りかけるガニメ。その言葉を黙って聞く二人。

 

【ちゃんと謝るのだぞ、人とは絆、絆とは宝だ。彼女と言う才能の宝物()を大切にな】

 

そう言って天へと登っていくガニメ。それを黙って見届けるメアリエとジェーン。

 

【最後に一つだけ…ルールを守って楽しく蟹パーティー。これが蟹パーティーの鉄則だ】

 

そう言って消えていくガニメ。残ったのは蟹味噌の残りカスが付着した皿のみ。

 

「食べないの?」

 

「「……食べる」」

 

マリーベートにそう言われ床に座るメアリエとジェーン。三人は手を合わせて卓袱台に置かれた蟹雑炊を食べ始める。

 

「うん、やっぱ美味しいな蟹雑炊!」

 

「……そうね」

 

「そうですわね…」

 

美味しかった、蟹の出汁がよく効いた蟹鍋とほのかの風味を漂わせる蟹炊き込みご飯。その二つの欲張りセットである蟹雑炊は美味しかった。それに何より…皆で食べているから美味しいのかもしれない。

 

「「………マリーベート」」

 

「ん?なに?」

 

一杯目を食べ終わり、お代わりとして二杯目を注ぐマリーベートに二人は話しかける。マリーベートは何事かと首を傾げる。

 

「「……さっきは蟹の脚食べてごめん」」

 

「……ん!いいってそんな事!ほら、まだ沢山あるから沢山食べろよ!」

 

そう言って笑い合いながら蟹雑炊を食べる三人。三人で一緒に食べた蟹雑炊は今まで食べたどの料理よりも美味しく感じたのだった。

 

 

【そう、蟹とは皆で食べるからこそ美味しい…一人より二人、二人より三人…大人数な程美味しくなる…絆というスパイスが蟹の味をより一層美味にするのですから…】

 

メアリエとジェーンにそんな声が何処からか聞こえた気がした。

 

 

家の外は寒い、だが家の中は暖かい。それは単に蟹雑炊を食べて身体が温まっているからなのか、それとも…全員と一緒に食べる事で心の温度が上がっているのか…それは誰も分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 




オ チ は な い (断言)。ただ蟹料理の事を書いてみただけ。なお作者は蟹あんまり食べた事ないです。作者は生臭い魚の刺身が大好きです(唐突)

ガニメ=ガンザ=ザニカ=キングクラブ=レイキュバスの名前の由来はウルトラシリーズの怪獣 大ガニ怪獣 ガンザと大蟹超獣 キングクラブ、宇宙海獣 レイキュバス、カニ座怪獣 ザニカと東宝シリーズのガニメから…全部怪獣関連です。CVは海馬瀬人社長でお馴染み 津田健次郎さんです

次回から終章 世界崩壊編スタートとなります。コロンゾンの思惑、ラスボス感、驚きの結末…それらを書きたいと思っております

次回もお楽しみに!
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